あの日々を永遠に   作:セントレ

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君と最高の思い出を

あれから一週間後。

今日は美晴の誕生日。

折角の誕生日に家の中に引きこもるのもあれなので、日帰りで少しお出かけ。

普通電車でトコトコ行く旅にはなるけど、個人的にはこっちの方が好き。風景をゆっくり見られるしね。

 

「美晴は、まだいないかな。それもそうか。」

 

待ち合わせ場所には美晴に伝えた時間の10分前に到着。遅刻したら後々に影響出ちゃうからね。5分ほど過ぎたのだろうか

 

「マネージャーさん、おはようございます。待たせちゃいましたか?」

 

「待ったには待ったけど気にしないで。ただ僕がはやめに来てるだけだから。さ、行くよ。」

 

「は~い。」

 

とりあえず券売機に行って切符を購入。戻ってくると

 

「お金は払いますよ?」

 

「今日のは安く遠くに行こうとするやるだからお金はいらないよ。先に切符見せたほうがはやいかな。はい。」

 

「これ・・・一区間ですけど、大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だよ。不正乗車とかじゃないから。どういうことかは、後でちゃんと言うから。まずは改札入っちゃお。」

 

「はい。」

 

切符を改札機に通す。まぁ案の定一瞬で戻って来るけど。

 

「この切符帰って来るまでずっと使うからね。」

 

「は~い。マネージャーさん、今日はどんなルートなんですか?」

 

「そうだな・・・。方面だけは伝えとこうか。北関東のほうがメインだよ。」

 

「そんなところまで行くんですか・・・」

 

「うん行く。じゃあ、このタイミングで解説しとこうかな。今日使う裏技的なのを。」

 

「お願いします。」

 

美晴に携帯の画面を見せながら、話を進める。

 

「東京で話し進めちゃうけど、東京には大都市近郊区間っていうのがあって、その範囲から出なくて、同じ駅を二度通らずに且つ改札からでなければ、どういう経路行っても、最安値の運賃で計算するっていうルールがあってね。それをうまいこと使うと、今日みたいに安く遠くに行けるってわけ。ただ駅からは出られないから車窓を眺めるだけになっちゃうけどね。大回りって言ったり、一筆書きって言ったりするかな。」

 

「へぇ~。」

 

「とりあえずこれに乗って小山まで行くよ。」

 

「分かりました。」

 

天気は雲が多いものの雨は降ってなかった。途中から車窓にも田園風景が目立ってくる。

 

大宮駅の隣、東大宮駅に到着したときだった。

 

「あら?マネージャーさん、雨降ってきてませんか?」

 

「ほんとだ。この辺だけちょこっと降ってるみたいだな。この先あんまり激しいの降ってこないといいけど。」

 

今日の天気予報は曇りで、雨がパラつくかもという予報だったのだ。

 

「それにしてもいい景色だなぁ。晴れてたらもっと良かったんだろうけど。」

 

「そうですね。」

 

「さ、次で降りるよ。メインはここから。晴れてないけど、多分いい景色が見れると思うよ。」

 

「はい。楽しみにしてますね。」

 

「ちょっとここから乗車時間長いからね。トイレ行くなら今のうちに。」

 

「じゃ、ちょっとトイレ行きますね。」

 

「はいよ、行ってらっしゃい。」

 

「自販機で飲み物買ってくるよ。何か欲しいのある?」

 

「じゃあ、お茶お願いしますね。」

 

「はいよ。」

 

近くの自販機で僕の分の水みたいなやつと美晴の分のお茶を購入。

ちょっとしたら美晴がトイレから戻ってきたので、お茶を手渡してホームへ向かう。

 

「次はこの列車ね。お、ラッキー。連結してる。」

 

「これ、珍しいんですか?」

 

「多分ね。この両毛線って基本は4両編成の運転だから。連結して6両運転っていうのはなかなか見られないんじゃないかな?せっかくだし、連結部通ろうかな。」

 

「通れるんですか?この車両。」

 

「うん。ほらこの通り。このまま隣の車両へ移動できるよ。」

 

ちょうど二人が席に着いたタイミングで列車は小山駅を発車。

 

「マネージャーさん、ちょっと聞いてもいいですか?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「あそこの運転台のところに『EB装置非搭載車』って書いてあるんですけど、EB装置ってなんですか?」

 

「あ~EB装置か。ちょっと機能が違うやつにデッドマン装置って言うのもあるけどね。たしか運転士が加速かブレーキか警笛の操作をしてから一分間何も操作が無かったらブザー音が鳴って、ブザー音が鳴ってから5秒以内にさっきの3つかEBリセット操作のどれかをしないと非常ブレーキがかかるっていうのが概要みたいな感じかな。」

 

「その装置ってどうしてついてなかったらあんな掲示をしないといけないんですか?」

 

「元々この装置自体、運転士に急になんらかの異常が発生して、運転が出来なくなったときに、加速操作が入ってたら延々と加速しちゃって、事故の危険があるからこの装置が取り付けられているわけで。その装置がないと普通の営業列車で走るのは禁止だから、ああやって掲示板を出して、この運転台は使えませんよってことを言っておいているんじゃないかな?」

 

「なるほど。ありがとうございます、マネージャーさん。」

 

「いえいえ。あ、美晴、外を見てみて。」

 

「なんですか?あっ!」

 

外の景色は山がもう目の前という景色で、自然の雄大さを感じられる景色だった。

 

「やっぱりこういう景色、好きだなぁ・・・」

 

「マネージャーさんどうしたんですか?」

 

「あ、いや。僕ってこういう景色が好きなんだなぁって。」

 

「そうなんですか?」

 

「そう。こう都会の中を駆け抜けるより、こういう山のすぐそばとか山の中みたいな自然の中を駆け抜けていくような、そんな景色が好きなんだなぁって。」

 

 

しばらく進むと、

 

「この辺は建物が増えてきましたね。」

 

「横の線路が東武日光線の線路だからね。多分、利用者はかなりいるとは思うよ。」

そんなことを話していたら、終点に着くまではあっという間。

 

「さてと、次で乗り換えるからね。また次も終点まで乗るよ。」

 

「はーい。」

 

「またちょっと乗り換えまで距離あるからね。」

 

「分かりました。」

 

「次も終点まで乗るからね~。」

 

「はーい。分かりましたー。」

 

駅から発車すると、

 

「この音、今まで乗って来たのとは違いますね。」

 

「この車両は電車じゃないからね。エンジンで走る気動車っていうものだから、全然音が違うんだよ。」

 

「なんか、生きてるみたいな音ですね。」

 

「そうだね。さて、さっき自販機で買ったやつに飲み物変えよっと。」

 

「なんですか?それ。」

 

「水ゼリーっていうやつ。去年の夏販売されててね。秋ぐらいに一旦販売が止まって、そのあと3月くらいだったかな?再販されたんだよ。なんか飲みたくなってね。自販機に置いてあったから、買おうってなって(笑)」

 

「なるほど。」

 

「お、やっぱり結構山が近いね。」

 

「のどかですね。」

 

「ホント。こういう景色は落ち着くなぁ。ね?車窓を見るだけでも意外と楽しめるものでしょ?」

 

「そうですね。」

 

「よし、こんなもんかな~。この水ゼリー、振って水とゼリー混ぜるんだよ。」

 

「量少なそうですけど?」

 

「もう終わり近いから、この量で大丈夫。ラムネ風味でおいしい。」

 

「いつか買ってみますね。」

 

「買ってみな。ああただ、売ってる自販機がJRの駅の中だけだから、そこは注意しといてね。」

 

「は~い。」

 

楽しい時間はあっという間。すぐに終点に到着。

 

「次の電車は向かい側のホームね。」

 

「すぐ近くですね。」

 

「電車来るまで少し時間空くかな。」

 

電車がやって来るという案内が出たので車両はなにかなぁと思っていたら、

 

「あれ?この車両まだいたんだ。やった。」

 

「これも珍しい車両なんですか?」

 

「そ。今乗ってる八高線の電車が走る区間では2編成しかいないレアなやつだよ。音も特徴的なんだ。」

 

「そうなんですね。」

 

乗り込んだあと、すぐに座席に座る。

 

「音、聞いてみてね。」

 

「確かに、あんまり聞き慣れない音ですね。」

 

「でしょ?ちなみにこの車両近いうちに見れなくなるから、乗れて良かったよ。」

 

「そうなんですか・・・」

 

「そうなの。んで、ここから先の区間は通勤通学需要が多いから、混雑してきちゃうかな。」

 

そのあとはあんまり二人で離さず、景色を見ていた。さすがに混んでる中で話しちゃうと、ほかの乗客にも迷惑になっちゃうから。

そんなこんなで終点八王子に到着。

 

「さて、ここから最後の電車だよ。」

 

「もう終わり、ですか。」

 

「まぁ最後は見慣れてるし、混んでるから何も話せないと思うけどね。」

 

「そうですね。」

 

最後は案の定混んでいたので特に話すことなく終了。

 

「これで今日は終わり。お疲れ様。」

 

「お疲れ様でした。切符はそのまま改札機に通しちゃっていいんですか?」

 

「あーいや、今日なったのは特別なやり方だから有人改札行って、無効印もらわないといけないんだ。」

 

二人とも駅員さんから無効印をもらって今日の旅程は全部終了。...まだ夜が残ってるけど。

 

「じゃ美晴、またあとで。」

 

「あとでって、いつですか?」

 

「さあ。それは美晴が一番分かってるんじゃない?」

 

「もう、なんですかそれ。(もしかして.....)」

 

「本当だよ。さ、はやく寮に戻りな。みんなが待ってるよ。」

 

「はーい。じゃあ、マネージャーさん、また後で。」

 

「うん。また後で。(美晴、意味分かってくれたのかな・・・?)」

――――――――――――

僕は自宅に戻った後、一つの準備をした。

 

「これが僕が美晴に、AiRBLUEの皆にできる、最後のことか・・・」

 

思えばこの半年間、彼女たちには本当に助けられたりした。

でも、その思い出にふけるのはまだ早い。それができるのは、彼女たちと一旦の別れを告げる、その先だ。

そして僕はこれから先の荷物と美晴へのプレゼント。

それにAiRBLUEのみんなへのメッセージをリュックに入れて車の助手席に置き、家を出た。

目的地はあまり車で向かうことの無い、みんなの寮。

彼女に、彼女たちにマネージャーとしてできる、最後のことをするために。

僕は車を走らせた。




ここまで読んでいただき、ありがとうございました。中の人です。鉄要素満載だったのは許してください。実は近頃流行りのヤツのせいで全然出かけてなくて、この小説書く前に行った唯一のお出かけが大回りだったんですよね。なので適当ながら題材にしてみたした。ルートに選んだ路線に乗ったのがめちゃ久しぶりだったからか、結構車窓見てるだけでも楽しかったです。まぁ旅の話はおしまいにして。とりあえず次回が最終回かなぁと思ってます。それでは次回もお楽しみに。
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