ウマ娘プリコネダービー    作:アランmk-2

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クロエが好きなので初投稿です。

プリコネを知らないニキの為に軽く用語解説。

〈ランドソル〉
主人公(騎士くん)が冒険する国の名前。そしてその首都の名前。
何回かドソルっ子という単語が出るが【都会っ子】みたいな感じ。

〈聖テレサ女学院(なかよし部)〉
王都内にあるお嬢様学校、その中で異端児と呼ばれる三人が結成したギルドの名前。
奨学金審査を乗り越えるために組んだ打算的なギルドだが、最近はその名の通りなかよしになって来ている。
 メンバーは三年生のユニ、二年生のクロエ、一年生のチエル。


プロローグ なかよし部のダベリング

「先輩! チエル、テイオーちゃんに会いたいんですよー!」

「え、なにこの子。急に王族への謁見を求めだしてるんですけど」

 

 ここはランドソルのお嬢様学校、聖テレサ女学院。

 その中で結成されたなかよし部というギルドのメンバー二人、クロエとチエルは顔を突き合わせていつものように駄弁りに興じていた。

 ピンクの髪のボブカットが愉快なヒューマンの少女・チエルが突然言い出した事に、金髪のツインテールという可愛らしい属性とは裏腹に、鋭い目つきをしたエルフの少女・クロエは呆れたように答えた。

 

 

「どしたの急に。頭がちぇるってるのは今更なんだけど、王族にアガるバイブスあったの?」

「そうですよ! アゲアゲです」

「分かんね分かんね。てかさぁ……いや、いいんだけどね。うん。上の人間にリスペクトあんのは。で? 会って何すンの」

「何する……? そんなの、テイオーステップを見たいに決まってるじゃないですか。大丈夫ですか?」

「ゴキゲンなステップで断頭台に上げ上げって? ゆ―てる場合か。『おいおばさん』とか言って許してくれンのはお話の中だけだから」

「クロエ先輩、何か言ってる事が物騒なんですけど。怖いのはその顔と声と雰囲気と手に持ってるナイフだけにしてください」

「『だけ』って言葉の意味知ってる? 重量超過で業務停止命令不可避なんだけど。つーか割とフツーの危機感だわ。あんたがもうちょい怖さを抱けって」

「怖い? またまたー。テイオーちゃんは怖いとは真反対のキラキラでキュンキュンな子ですよ」

「は? 分かりみ。うちも年一でおっきい役所行って納税に胃がキュンキュンしてるし。帝王ってそういうとこあるよね。あと、キラキラ? それアレじゃね? マジどんだけーってくらい高い服の宝石とか金糸とかのキラキラでしょ」

 

「はあ……? 先輩、何の話してるんですか? テイオーちゃんの話ですよ?」

「いやしてるじゃん。帝王の話。つーか、女帝?」

「あー、先輩エアグルーヴちゃん派ですか」

「知んないけど。もっと分からなを取っ込んできてくんなし。……いや八代前の王女の名前じゃないですかーとか言われたら、うん、それはごめんだわ。そらうちの方が悪いわ。華麗なステップで断頭台に上げ上げだわ」

「エアグルーちぇるじゃなくてダイワスカーちぇるットでしたか」

「やば、うち魔法で別の世界に紛れ込んだ? 」

 

「残念ながらクロエくん、ここは昨日君が過ごした世界と一つも違わぬ連続面にある世界だよ。チエルくんの言葉には情勢の裏付けがあって、公的な取引があって、公然の事実となっている事象の発露というわけだ。端的に言うと、君の方がおかしい」

 

 カラカラとなかよし部が居城としている教室の扉が開く。現れたのは、ちみっとした赤毛で、ぶかぶかのテレ女の制服に身を包んだ少女だった。

 なかよし部で、というより、テレ女でも一番小さいが、一番大きな叡智を秘めたユニである。

 

「初っ端先輩にディスられたうちはどうすればいいですか。……ま、いいんだけど。別に。別に、気にしてないし……」

「察するにチエルくん、君が言いたいのはトウカイテイオーのことだろう?」

「そうです! いやーやっと話が通じる世界に来れてチエルのハートもちぇるるんちぇるるんって感じです。やっぱりバイ……こほんこほん……有償ボランティアで世間を知った気になった人はダメですね」

「いや、人をディスったあげく異世界の住人呼ばわりしないで欲しーんだけど? てかユニ先輩、なんすかその建築ギルドのやべーノリの奴がつけたーみたいな名前」

「倒れ壊れる倒壊ではなくて、東の海の東海、その帝王という意味だそうだよ」

「で? 誰なんすか?」

 

 言葉の意味を懇切丁寧に説明された所で分からない事が分かったクロエは、素直に降参して知ってる二人に教えを乞う事にした。

 

「うわ、あのクロエ先輩が教えてくださいって頭を擦りつけてますよ。テレ女の珍事2021」

「然り。だが聞かぬ一生の恥を背負うより地べたを舐め回す一時の恥の方がましということだろう。それを笑う者こそ最も恥じ入るべき人間だとぼかあ思うが」

「バチクソ捏造かますじゃん。頭擦りつけてないし舐め回してもないんだけど。フェイクニュースやめろし」

 

「ふむ。まずチエルくん答えてあげたまえ」

「テイオーちゃんは、ここ最近急に伸びてきた獣人アイドルの一人ですよークロエ先輩。ギルド『URA』の一員でキレキレのダンスと甘ったる~い声が……」

「声がね……」

「いいよね……最高ですよね……」

「知らんし。てかアイドル? あんたノゾミンはいいの」

「ノゾミンは確かに命の糧ですけど~」

「端的に換言してやべえオタいんなここ」

「チエルは新しい事にはとりあえず触れてみる系女子なんで。映えってるケーキは食べますけど、結局主食はパンみたいな感じです」

「はいはい」

「チエルくんの言う通りだクロエくんよ。新しい知見に触れねば、また新たな発見は生まれない」

「まあ、いいけど。つーかユニ先輩がアイドルに興味があるなんて珍しいっすね」

「ただの獣人アイドルならぼくもこうはなるまい」

「って、じゃあその子はフツーじゃないって事すか?」

「これは非常に高度な広範魔法学術的な見地から言っても非常に興味深い事象だよ。端的に換言すると、実に面白い」

 

 ユニは有名な魔法力学左手の法則の形を作って顔を覆う。

 指がつった。

 

「ぅぅぅ…………」

「あー急に無茶な事すっから。てか、つわれても分かンないすけど」

「はい。どういう事ですかユニ先輩?」

「いてて……つまりだね、学者達は昔から彼女らの事を知っていたのさ」

「は? 適当な事言わないでくださいよ先輩。流行に敏感すぎてごめんなさい、可愛すぎてごめんなさい、なチエルが知ってるのはともかく、埃臭そうなおじさんが知ってるなんて納得できません」

 

「最新の服や転写魔法などを作っている多くは男性だよ。その意味では最も流行の先端にいるのはおじさんと言っても過言ではない」

「いやだー! チエル達のキラキラがおじさんの汗と涙の結晶で出来てるなんて、こんな事ってないですよ!」

「やめたまえ、それは虚無主義だ。なにもおじさんが無から生み出しているわけではない。人の中にある集合的無意識から現実へと降りてくるのに必要な、いわばおじさんは触媒だよ。普段汚いと嫌う泥から美しい蓮の花が咲くだろう。おじさんは泥だ」

「おじさんって泥なんだ……」

 

「話が反れたな。人類が初めてうまぴょいを観測したのはもう五年前になる。その時はまだ誰も興味など抱いていない観測魔法の揺らぎレベルだったが……」

「ちょ……っと待ってもらっていいすか。」

「なんだいクロエくん。君も話の腰を折るんじゃあないよ。蓮の花を咲かさせるぞ」

「誰が汚泥やねん。いや、それはマジ謝罪で賠償金案件も辞さなめなンですけど、うまぴょいが気になり過ぎて話入ってこないっていうか」

「逆に聞くがうまぴょいとは何かね」

「えっ」

 

「うまぴょいとは何なんだ……うまぴょいはまだしも、うまだっちとは……」

 

「あっ、はいっすーすんませんー」

「話を戻そう。初観測から二年……つまり今から三年前だ。時空魔法震の前兆が現れこの世界にリリースされるかと思われていたんだが」

「何もなかったんですね」

「然り。学者達は神話のような新たな魔法の発現や土地の出現を心待ちにしていたが、そんな揺らぎが一年ごとに起きるので段々と興味をなくしていった。端的に換言すると、オオカミ少年と同じだな」

「で、そのオオカミ少女のテイオーちゃんが現れたのはいつなんすか?」

「観測ナンバーだと20210224と言われている。我々の感覚で言うなら、約二か月前だな」

「テレフェスでゴチャついてた頃よりちょい前……けっこー最近すね」

「だから凄いんじゃないですか。急に現れて、話題を全てかっさらってっちゃったんです。驚きの一言ですよ」

 

「あとクロエくん。例えと分かっているが、彼女達は馬の獣人だ」

「馬? 珍しめですね。大体獣人って猫とか犬でしょ。タマキさんみたいな」

「だから彼女達はウマ娘と呼ばれている。あまりに安易かと思うかもしれないが、どうやら彼女達のいる国には馬の獣人族以外はいないようだ。なので特別な呼称がある」

「はあ。まあ? なんかすげー奴が最近現れたのは分かりましたけど、その子達は何が凄いんすか?」

「もちろん可愛い所に決まってます!」

「あっさ……」

「うむ。それも一つだ」

「マジか。ただチエルが浅いオタだって訳じゃないんすね」

「ウマ娘と呼ばれる彼女達は、タイプの違いこそあれ、皆一様に美人なのさ。ぼくのようなせくしいなレディーから、ノゾミンのような王道美人までよりどりみどり」

「前半に同意しかねるっすけど、え、なにそれ。生まれた時点で爆アド民族じゃん。爆アド民族大移動でこっち滅びない?」

「そして非情に優れた運動能力を有している。例えばクロエくん、君は馬とマラソンをして勝てるかね?」

「分かんないすけど。まあ、うち超健康優良児で通ってるんで、一瞬なら勝てンじゃないすか? 知らんけど」

「では馬くらい重い荷物を持てるかね?」

「それは出来ませんけど……てか何すか。うちの事ゴリラか何かと思ってません?」

「口を慎みたまえよクロエくん。ゴリラは非常に繊細な生き物だ。君と一緒の空間にいたらお腹を下してしまうくらいにデリケートなのだよ」

「サーセン……。え、何でうち謝ってんの。ゴリラに謝るのはやぶさかではないとしても、パイセンに謝るの納得いかないンすけど」

「ゴリラは皆おおざっぱと言われがちだけど、その下に繊細な心を持ちがちがちなB型なんですから気を付けてくださいよクロエ先輩」

「知らんし。血液型マウントやめなー」

「マウントを取るというのも、強固な縦社会をつくる事で組織を安定させる、ある種の合理性だ。我々人間のようではないか。非常に社会的な生き物だよ」

「あーダメだ。今日全ての話題がゴリラに呑まれていくわ。無限ゴリラの螺旋に飲み込まれてるわ」

「むっ! その言い方よくないですよ。ゴリラを笑う者はゴリラの右に泣くんですからね」

「シンプルに死」

「ユニ先輩この分からんちゃんに何か言ってください!」

「西ランドソルゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ・ゴリラという」

「ナイス叡智!」

「ちなみに東ランドソルゴリラはゴリラ・べリンゲイだよ」

「いやいらんしその一生使う機会のない豆知識。一瞬の『へぇー』にしかギリなれんやつじゃん。てかどうせまだウホ知識あるんでしょ。早くうちに披露して森に帰りよ」

「ゴリラの仕草として有名なドラミングだが、あれは『立ち去りなさい』と相手に訴えかける非常に平和的な行動なのだよ」

「はいあざしたー。森の入り口あちらでーす。ありあとしたー」

 

「待ちたまえ。すげなくするのは待ちたまえ。泣くぞ。ぎゃん泣きしてしまうぞ。面倒見のいいクロエくんがそれを見過ごせるのか?」

「そんな言われても知らんし……。ただまあ? 結局そのウマ娘とやらが何も分からなかったからもうちょっと話聞いてもいいけど」

「ここすき」

「うむ。さすがぼく達の期待を裏切らない事で有名なクロエくんだ。そう言う所だぞ毒婦め」

「え、何なの? なんで人が興味もったのに秒でガン萎えさせてくるの。母なの? やろうと思ったタイミングで『やりなさい』って言って来がちなの?」

「お母さんってなんであんなにタイミングばっちりなんでしょうかね。ちぇるっとしたテンションもチルッとしちゃいますよ」

「なんだ。母親マウントかね? 自慢じゃないが、ぼくのママは皆とは一線を画すぞ」

「もしかしてキョウカママの事言ってますか……? 一線を画すっつーか歳一回り隔されてますけど。おままごとでママ言い出すの終わってるンで」

「だから何度も言っているではないか。あれは社会実験のフィールドワークの一つであって」

「ユニちゃん八歳の話はそこら辺にしません? けっこーギリな話題だと思うんですけど」

「どっちのギリ」

「もちろんギリギリ真人間を踏み外して転落真っ逆さまですよ。ギリギリって所にチエルの配慮を感じてほしいですね」

「だそうですよニユ先輩。キリキリ何たら娘の事話してください」

「おお、後輩からの信頼が真っ逆さまになって行くのを感じる。これが仲が良くなければできないと言ういじりというものか。ふふふ。そう青春を加速させてくれないでくれ。むほほ。ぼくが陽の者になってしまったらどうする」

 

「皆さん。……はい、全員いらっしゃいますね」

 

 聖テレサ女学院の生徒なら、誰でも一度は聞いた事のある声がギル活真っ最中のなかよし部を襲った。耳馴染む落ち着いた大人の女性の声。最近ちょっとおかしめな波動に目覚めつつあるが、品行方正な女学院に相応しい風格をもつマザー・ヒルダの物に間違いない。

 

「これはマザー。今回はどういった要件だろうか。様々な困難を乗り越えて結束を固めたユニちゃんズにようやく奨学金が出るという話なら嬉しいが」

 

「「ユニちゃんズじゃねーし!」」

 

「いやいや先輩学びましょうよ。無理っすよこれ」

「この流れ絶対アレですよ。また面倒な事を奨学金を言い訳に任せるつもりですよ。チエルそういうの分かっちゃう系女子なんで。もう何回目だよって話なんで」

「まあ。話が早くて助かります」

「認めた……? てか開き直った? え何そのもううちらに言葉はいらない的な信頼の置き方。嫌なんだけど、ウケるんだけど、ウケてる場合じゃないんですけど。友達じゃん。十年来の友達じゃん」

「ていうか任されすぎてません? 今までの仕事量ちゃんと計ったらドソルっ子の平均月収超えててもおかしくないですよ。一括払いちぇるっとしてくれてもバチは当たらないと思います! あ、もちろん色は付けてくださいね。チエル的にはピンクな色がついてたら嬉しいかにゃーって」

「ふむ。この通り後輩たちが言う通りだよマザー。過去我々ユニちゃんズがどれだけの事を成し遂げてきたか、一番近くで見ていたのなら理解していると思うのだが」

「ええ、よーく分かっておりますとも。あの燃え盛る校舎の事は今でも思い出しますよ」

 

「おっラスボスか? なかよしXベリハかな?」

「どーするんですか。今更そんな事言われても。チエル自分が可愛いって事しか謝れないですよ。ごめんなさい。ちぇるーん☆」

「そもあの事故は周りの暴走が原因な物が多い。確かに遠因に我々がいた事は否定できないが、それは殺人の咎を刃物職人に帰させる論法と同じだ。端的に言うとキレそう」

 

「聞こえてますよお三方。全く……。ですが、そのお小言も今回で終わりになるかもしれませんよ」

「ほぉ」

「急に景気よくなったな。え何々こわっ。ウィスタリア家みたいなとこがじゃぶじゃぶ寄付でもしてくれたの? 寄付した方が税金的にお得だからしますってか、使ったほうが得とか舐めてンのかこのヤロウ」

「チエルセンサーにはそんな情報入って来てませんね。セレブなお友達は横の繋がりエグめですから、すぐ噂になりますよ」

「閨閥体制の表と裏や利点と欠点を一粒で二度おいしく垣間見れたが、そういう事ではなさそうだ」

「そんな寄付が来ただの浅ましい事を言ってはいけません。私達は清楚清廉貞淑を目指すテレサ女学院なのですから」

「聖学祭で露骨なCM流しといてどの口が言ってんの。寄付してってお話の骨子が露わになりまくりだったじゃん」

「もはやギャグとして友達みんな笑ってましたよ」

「そう言ってはいけない。必死なのだよ。だから同志を男子生徒一号として受け入れるような事までしているのだから」

 

「何をウホウホ内緒話をしているのですか」

「マザカル今ウホウホ言ってました? チエルの聞き間違いじゃないですよね」

「言っていたね。よく覚えておきたまえ二人とも。新しいオノマトペが誕生した瞬間かもしれないぞ。言語学に殴り込みだ。ゴリラなだけに」

「今日すげーゴリラが前に出てくるな。ウホ娘ジャングルダービー始まるの?」

「まあ! 口を慎みなさいクロエさん。ゴリラは非常に非常に繊細な心の持ち主なのですよ。そのような乱暴な物言いはテレサ女学院の生徒として、何より一人の女性として到底看過できるものではありません」

「数分前に同じ話題聞いたけど……。流行ってンの? え、うちの知らない間にゴリラが空前のブーム巻き起こし散らしてる感じ? 小学生男子の感性にドソルっ子が追い付いたの。一周回っちゃったの」

 

「はあ、何言ってるんですかクロエ先輩?」

「チエルくんの言う通りだよクロエくん。今マザーが真面目な話をしようとしているのにゴリラゴリラとふざけているのかね」

「あなたが小さい弟さんを持っている事はよーく理解していますが、時と場合に応じて話題は使い分けなさい」

「こっわ。こいつらこっわ。やっぱ変な魔法がかかった世界に迷い込んでンじゃーん。この一瞬で三人が結託するとか明日のパイセンがジャングル駆け回るしチエルが謙虚になるくらいあり得なくね」

「こんな謙虚で慎み深い美少女チエルちゃんになんて事言うんですか!」

「謙虚な奴は自分の事謙虚って言わないから」

 

 

「静粛に。今日ここに私が来たのは、あなた達も察しの通り重要な案件があっての事です」

 

「見たまえ、あの我々が易々と提案に乗ってくるだろうと確信している教師の驕りを。ユニちゃんズの声望高まる事なら受けてもいいが、そうで無いなら断る勇気を今回ばかりは持とうではないか」

「り。ユニちゃんズじゃないけど」

「まあ意外と楽しかったりしましたけど、でもそれやりがい搾取じゃないですか!? ていうか奨学金審査が本当に行われているのか疑問なんですけど!」

「あなた達の心配は十分理解しているつもりですよ」

「なおタチが悪い……悪くない? パーペキ足元見られてるじゃん。足元のお洒落から人間を値踏みしてくるのピーじゃん」

「私どももその点は反省しておりまして。そこで今回は受け入れていただいた時点である程度の優遇が受けられるよう働きかけています。一部授業料の免除という形で」

 

「ほ?」

「ん?」

「と~にですか? 今回ばかりは騙されませんよ?」

「お望みなら書面も提示させていただきます。こちらをどうぞ」

「では失敬。……ふむ……ふむ……。ほわぁぁあああ!」

「どうしましたパイセン。やっぱ嘘八百ですか」

「ほ、ほ、本当だぁ。数万ルピ相当の免除を確約すると書いてある!」

「えマジん子チエルですか見せてくださいよわああああああ!」

「うるさっ。そんな凄めな奨学金なん?」

「ギルド名がユニちゃんズになってますうぅぅぅぅぅ!!」

「だーらちゃんと封印しとけって前から言ってるじゃん。ね前から思ってたんだけど何でテレ女は名前を言ってはいけないギルド名推しなの。名状しがたい何かに囚われてるの。地獄の窯の蓋を開けちゃったの。先輩に媚売るんならもちっと別の所でやれし」

「引き受けてくださいますね?」

「圧。……いや、いいんですけどね。今回はちゃんと出る物は出るっぽいんで。テンション上げめで行かせてもらいますけど。うっす」

「左様。結果にとらわれず過程を重視するぼくだが、さりとて結果を軽んじる訳でもない。端的に言うと、奨学金は欲しい。やる」

「チエルももちろん受けますよ~。最近はありとあらゆるお金がヤババだったんで」

 

「ぷー……。で? 今回は何をさせられるんすか?」

「それを聞いておかねばなるまいよ。まあ結成以来あらゆる困難を乗り越えてきた我々に、越えられない物はないと自負しているが」

「そうですねー。ユウキ先輩とかアオイちゃんみたいな余所の生徒となかよしになったり」

「うむ。特別講義に出席して興味深い学びを得た事もあったな。……あれはなかよしXとの戦いが主だった気もするが」

「聖学祭つって、走って働いておまけに踊ってみたいな、……いや改めて考えてもアタオカ。欲張り過ぎでしょ」

 

 

「今回は、ウマ娘と呼ばれる方々が所属しているギルド、『URA』からお越しになる生徒達を受け入れ友好を結び、代表者の特別授業から異なる文化の価値観を学んで、彼女達の普段している事でもある走って踊ってという働きのお手伝いをしてもらいます」

 

 

「「「今までの三つ全部盛り!?」」」

 




〈今までの三つ〉
なかよし部のストーリー

・森の臆病者と聖なる学舎の異端児
・授けの財団と聖なる学舎の異端児
・鋼の聖女と聖なる学舎の異端児

の事。
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