翔と焔の共同任務…更にあの妖魔との戦いから二日後……。焔は折れたあばらの事もあったが元々体が丈夫な事もあった為に実技授業以外の授業を受ける事には問題は無かった………のだがその当の焔は自室で塞ぎ込んでしまっていた……。自分が意地を張ったせいで翔がこんな事になってしまったと思い込んでしまったからであったからだ…。
一方翔も輸血や怪我の手当てをしたもののあれから眠り続けた状態であり今も目を覚まさなかった……。そんな状態で帰って来た翔をみて唯依と詠は泣きじゃくり、焔も泣きながら翔に「ごめんなさい……ごめんなさい……」と謝り続けていた事は選抜メンバーの記憶に強く残っていた……。
「…………………。」
そして場所は変わり翔が眠っている医務室……いつ起きるか分からない翔の傍に響輝、蒼鬼、唯依が見守っていた。……ただ唯依も泣き疲れて眠ってしまっていたが…。
「……ごめんなさい翔くん……私の意見を押し通したせいでこんな目に遭わせてしまって……。」
「…全くもってその通りだがいい加減懺悔の言葉は聞き飽きたからマイナス思考に考えるの止めなよ。今眠ってるけど翔が死ぬわけじゃ無いんだしさ…。」
「………ですが……いえ、そうですね………。」
今日も眠る翔に蒼鬼が謝罪するように言う……が、響輝はそんな蒼鬼を何処か鬱陶しそうに見ながら言う為に蒼鬼は言い訳しようとするが響輝の様子に察したのか黙り込むのであった…。
「……第一、翔の肩の怪我はあのガングロのしくじりのせいだろ?そうじゃなかったら翔自身万全な状態だしあんな妖魔程度簡単に始末出来た筈だ。……あのガングロにはそれを理解した上で翔に感謝して欲しい物だな…いや、無駄か……。」
「……いえ、それはは大丈夫だと思います。翔くんが目覚めた事に気付いたら焔さんは翔くんに謝罪する筈です…。」
「…あの引きこもっている様子から見てかい?私には悲劇のヒロインを気取っているようにしか見えないけど…」
「っ!ひ、響輝さん!!」
「………悪いね、私自身少し機嫌が悪いようだ……。」
「…あ、い、いえ………。」
響輝は焔の事をこれでもかと言う為に蒼鬼が指摘すると響輝は謝罪した。……今の様子からして外見からは普段とは変わらないが翔がこのようになった事などが色々あったが為に響輝自身も少し冷静ではいられなかったと把握したのか蒼鬼もそれ以上は何も言えず黙り込んだ……。
「……ぅ………ん……」
「!」
「!!翔くん!!」
「……ふぇ……!?」
突如翔の口から小さく声が聞こえた為に響輝達は翔が目覚めた事に気付いた。唯依も蒼鬼の声で目覚めた。
「………ぅ……ここは………?」
「…っ!翔くん!!」
「っ…おにいちゃあぁぁぁぁん!!」
「…うぉっ!?唯依…いででで!?」
翔が目覚めた事に蒼鬼は安心した表情になり、唯依も泣きじゃくりながら翔に抱き着く……も翔はまだ右肩の怪我が完治していない為抱き着かれた際に痛みが走ってしまった。
「……随分と遅いお目覚めだったね」
「…随分?てことはあれから何日たったんだ?」
「………まぁとは言っても二日くらいだけどね」
「…二日か……まぁ結構眠ってたようだな……。」
響輝が翔に何日眠っていたのかを教えると翔はここまで心配された事に納得する。響輝もそう言いながらも安心したのか小さく笑みを浮かべていた。
「……お、そうだ。あの馬鹿は大丈夫か?確かあばら折れてたっぽいが……。」
「あの馬鹿って……まぁ翔くん程の重傷でもなかったですし焔さん自身意外と回復が早かったから今は座学であれば授業は受けられる状態です。」
「…そうか……。」
「……ただ…………」
「?」
翔は焔は今どういう状態かを尋ねると蒼鬼がそう説明したために少し安堵した表情となる……が蒼鬼が何処か少し暗い表情になる為に「?」を浮かべる……が…
「……まさかアイツ、俺がこうなったっていう罪悪感で部屋に引き籠ってるってタマじゃあねぇだろうな?」
「………よく分かりましたね……?」
「まぁ付き合いは長い方だからな……。」
「……でも翔くんが目覚めたって分かったら安心するかと思います…。私、焔さんの所に行ってきますね。」
翔は焔が今罪悪感で部屋に引き籠っているという事を把握したのかそう答えると蒼鬼は少し驚いた表情となる。……確かに蛇女に来てからいがみ合っていたがそれでもその前は結構長い付き合いだったが為に翔も焔の事は大体は分かっていた様子であった。そして翔が目覚めた事を教え焔を安心させるために蒼鬼は焔の部屋へと向かうのであった……。
「…ぐすっ……お兄ちゃん……よかったよぉ……」
「悪かったな、心配かけて。」
「…全くだ、唯依もそうだが詠もギャン泣きだったよ。」
「そりゃあ詠にも悪い事したなぁ……。」
「……焔さんも…泣いてたんだよ…?ごめんなさいって……」
「また泣いてたのかよ……んで、部屋に引き籠っちまった…ってか……」
「…また?」
「あぁ、実はな……」
すすり泣きながらも唯依は翔に抱き着きながらそう言う。そして自分が眠っている時に詠は勿論の事焔もまた泣いていた事を聞きそう言う。そして響輝達に任務の時の話を始めるのだった……。
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「…焔さん、大丈夫ですか?」
「………………。」
一方場所は変わり焔の部屋の前で蒼鬼はドアにノックしながら尋ねるも何も返ってこなかった。焔がそれ程ショックであった事を把握しつつも蒼鬼は再びノックをする……。
「焔さん、開けてもらっても良いですか……?」
「……………。」
蒼鬼は焔に尋ねるも返事も何も返ってこなかった。その事に蒼鬼は小さくため息を吐くと懐から何かを取り出した。
………カチカチ……ガチャッ
「……っ!?」
鍵の開く音が聞こえ中にいた焔はそれに気付き振り返るも既に蒼鬼がドアを開けていた。そして蒼鬼は何も言わずに部屋の電気を点けた。
「お、お前………」
「…ごめんなさい、返事が無かったので。」
「……プライバシーもクソも無いのか………」
「……もしもの時の為です…。少なからずとも自室とは言え早まる行動をとる生徒がいるかも知れないので……」
鍵を開けた蒼鬼に焔は皮肉を言う。しかし蒼鬼の言う通り部屋で早まった行動をさせない為にもスペアの鍵は用意されていたのであった。
……そして焔の顔を見ると……案の定泣き腫らした顔であった……。
「………翔くんが目を覚ましました。」
「…!……そうか………」
蒼鬼は焔に翔が目を覚ました事を話すと焔は少し驚きの表情を浮かべ、少し安心した表情をするもその表情は自虐的な笑みであった……。
「……会いに行かないのですか………?」
「…今更会いに行ったって……どうなるってんだ…。私のせいでアイツはあんな重傷を負う事になったんだぞ?」
蒼鬼は焔にそう言うが焔はそう返す。……やはり今回の一件、焔は責任を感じている様子であった。
「……今回だけじゃない、私は蛇女に入ってから今日までずっとアイツに八つ当たりするかのように当たって来たんだ。変に突っかかったり、ひがんだりと………」
「………………。」
「…翔だけじゃない……お前にも……そして他の奴らにもだ……。そんな私が今更アイツに会って謝る資格なんて………」
焔はそう言い続ける。………今の彼女に普段の様な覇気は無く弱弱しかった…。そして今まで自分が犯した罪の重さを感じており今更許してもらえる筈も無いと思い込んでしまっていた……。
………そんな時、蒼鬼は焔の元へと歩み寄ると……突如焔の両肩を強く掴んだ。
「…いい加減にしてください!何でそんな事思うんですか!?」
「……………」
「……確かに…確かに焔さんは今まで皆さんにそんな態度を取ってきました…。他の皆さんが焔さんをどう思っているかは分かりません……でもそれでも私はあなたを仲間だと思っています!今まで共にここまで歩んできた仲間なんです……!」
「…蒼鬼………」
「でも焔さんはそれに気付くことが出来たんです…!だから、だから今からでも遅くない……変わる事が出来るはずです……!」
蒼鬼は焔にそう話す。例え他の者が焔の事を嫌っていようとも蒼鬼は焔の事を大切な仲間である事を伝える。そして焔が今までの行動に気付くことができ、今からでも遅くは無いという事を話した。
「今更翔くんに会いに行く資格なんてない…許してもらえないとは言いましたが焔さんは翔くんがそんな人だと思っているんですか?焔さんはあの任務で翔くんが昔から変わってないって事を見たんじゃないんですか?」
「…………!」
「……大丈夫です。翔くんにちゃんと謝れば……許してくれる筈です…。確かに意地を張ると事もあると思いますが……翔くんは分かってくれるはずです……。」
そしてあの任務で翔が昔から変わっていないのを見た事、そしてちゃんと謝れば翔は絶対に許してくれるという事を蒼鬼は話した。
………それを聞いた焔は鼻で小さく笑うと………
「……そう……だよな……。分かって……くれるよな………?」
「…私も一緒に行きます。だから……ね?」
蒼鬼がそう言うと焔は小さく頷き、立ち上がった。そして蒼鬼と共に翔達の居る医務室へと向かうのだった………。
そしてその道中、春花と出会い、翔が目を覚ました事を聞いては彼女も見舞いに行く為に同行する事になった。
「……そっか……翔くんにね………。まぁ、大丈夫なんじゃない?」
「…何か軽いですね……。」
そして焔が翔に謝りに行く話を聞いて春花は軽くそう言う。……何となくではあるが春花も翔は許してくれるであろうと思っている様子であろう……。
「………春花も…済まなかった……。」
「……それは翔くんと仲直りしてから聞くわ。」
「……そうか………。」
焔はここで春花にも謝罪をするが春花はそう返す。……どうやら春花は最初から焔が謝って来たのであれば許すつもりではあった様子であり、それに気付いた焔は少し申し訳なさそうな表情をするのであった。
………そして翔の居る医務室へとたどり着き……
「………大丈夫?」
「…あぁ、多分………。」
春花がそう軽く励ますと焔はそう返し、部屋の扉を開ける……が、中で翔達がワヤワヤと話をしており焔達が入って来た事に気付いていなかった。
「…そしたらアイツ泣きながらごめんなさいって……今はそんな状況じゃあないってのに泣き出しちゃうんだからさ~」
「まぁ確かに状況が状況だけど、焔さんもようやくわかったって事だよね。」
「まぁそうだろうね。……アイツ、普段は男勝りみたいな雰囲気出してるって言うのに、ああいう所だけ乙女になるんだからさ~、まぁそういう所、結構可愛いけどねw」
「ハハハ、確かにそれは思った事あった。」
………そしてあろう事か焔の話……それも話されれば結構恥ずかしいような話をワイワイとしていた……。
「……あらら……」
「…………………。」
それを見た春花はそう言いつつも何か面白い事が起こりそうと言わんばかりにニヤニヤしていた。そして蒼鬼は恐る恐る焔をチラッと見ると……案の定焔は顔を真っ赤にしながら怒りの表情を浮かべていた……。
「…翔!!!!」
「「「……!?」」」ギクッ
医務室にて焔の怒声が上がり、翔達はビクッと体を震わせた。
「お前って奴はぁぁ!!!」
「ほ、焔ぁ!?」
焔は怒りながら翔の元へと走り出し、焔が現れた事に翔はギョッとした表情になっていた。
「ぶっ殺したる!!」
バチンッ!!
「あ痛てぇぇ!?痛いじゃないの!!何すんのよこのヤロ!」
バチンッ!!
「んがぁ!?」
焔は物騒な事を言いつつも翔の鼻に強烈なデコピンを喰らわせた。翔は痛みに飛び上がりつつも仕返しに同じく焔の鼻にデコピンを喰らわせた。
「話は全部聞かせてもらったぞ!」バチンッ
「今のはジョークだよ!」バチンッ
「だまらっしゃい!」バチンッ
「うるちゃいわね!」バチンッ
翔と焔はそう言い合いながら鼻デコピン合戦を繰り広げて始めた。
「……折角仲直りできる状態だったのにあの二人は……と言うか翔くんは……」
「フフフ、でも喧嘩するほど仲がいい、それでいいんじゃないの?」
「………そうですね……。」
そんな2人を見て蒼鬼は呆れた表情になるが春花がそう言う。そして今の2人を見て何処か懐かしく思ったのか蒼鬼は小さく笑みを浮かべながら春花にそう返した。
「このっ…!」バチンッ
「コノヤロ…!」バチンッ
「コイツゥ…!」バチンッ
「屁のつっぱりは、いらんぜよ!!」
「…おぉ!?言葉の意味は分からんが兎に角凄い自信だなお前…!?」
翔が突如凄い自信でよく分からない言葉を言い出す為に焔は何故か驚きの声を上げた。そしてそんな焔の反応に何故か翔もズッコケてしまうのだった……。
………蛇女に入学してから散々いがみ合っていた翔と焔………
……しかし今の2人にはもういがみ合うような物はすっかり無くなっていた……
よ、ようやく……ようやく焔とのいざこざが終わった…w
これで一応翔と焔は和解を果たしたので次回からは結構変わってくるかと思います。(焔自身実はまだ迷いがあったりする部分はありますが……)
とりあえず次回からは数話は日常回になるかと思います。更新速度もどうなるかは分かりませんが次回もお楽しみに!