……ある意味響輝のやらかし回かも……w
籠鉄が春花に拘束される数分前の別の場所……蒼鬼、焔、日影の三つ巴の戦いが起こっている場所にて誰が有利とも言えぬ状況になる程の戦いが行われていた。
「雷遁・蛇雷!」
「火遁・豪火球の術!!」
「…風遁・大突破…!!」
蒼鬼は雷、焔は炎、日影は風の術を発動させてぶつけ合うと3つの術が相殺されその威力で3人は吹き飛んでしまう。
「ここまで拮抗するとはな……」
「…焔さんも蒼鬼さんも相変わらず強いなぁ…」
「……一瞬も気を抜けませんね」
一瞬の油断で勝敗は決する…それを分かっている3人は如何にして優位に立つかを考えながら戦っており、早々に決着をつけて仲間の援護に向かう事が最善の手である事を考えていた。
仲間の到着まで時間を稼ぐという手もあるがその場合は恐らく長時間粘らなければならない上に下手をすれば相手の増援が先に到着してしまう事もある。そう判断した3人は一斉に動き出し……蒼鬼は鬼刃に風のチャクラを纏わせた。
「秘伝忍法……『天空刃』!!」
風を纏った刀の斬撃が凄まじい速度で焔と日影に襲い掛かる。その速度は音速を越えておりソニックブームという言葉では生易しい破壊力であった。しかし日影は圧倒的なスピードで難なく回避し、焔の方は避けきれないと判断し自身も秘伝忍法で迎え撃つ事にした。
「秘伝忍法『紅』!!」
焔は刀に炎のチャクラを纏わせその場で回転すると周囲から炎の竜巻が発生し、蒼鬼の秘伝忍法を意図も簡単に掻き消した。しかし秘伝忍法を掻き消しただけでなく回転を維持したまま蒼鬼へと攻撃を試みた。対する蒼鬼も迎え撃つ様に再び鬼刃にチャクラを纏わせるが今度は風属性ではなく……
「秘伝忍法…『雷水蛇刃』!!」
「ぐああぁぁっ!!」
雷と水……二つの属性を合わせ持った斬撃を焔目掛けて放つ。すると斬撃はまるで生まれ変わったかの様に蛇の形へ変化し焔に襲い掛かると炎の竜巻を破り蛇は焔に噛み付いた。更に蒼鬼が指を鳴らすと同時に蛇が起爆し、焔は吹き飛ばされた。
「……秘伝忍法……『ぶっち切り』!!!」
「…秘伝忍法『黒刃』!!」
そんな時、日影は2人の隙を狙い空中から無数のナイフを雨のように振り下ろす。焔は吹き飛ばされた事で射程外に弾き出されたが蒼鬼は射程内に入っていた。しかし蒼鬼は冷静に秘伝忍法で対処しようと応戦した。
闇を纏った刀は極めて長いリーチを持ち日影のナイフを迎撃する。日影のスピードなら回避されると予測した蒼鬼は日影の移動範囲を狭める為に辺りの木々を狙い倒していく。日影は素早い身のこなしで蒼鬼の刀を的確に回避していくが逆に木々が邪魔で蒼鬼には近付けなかった。日影も風遁か秘伝忍法を使えば状況を打破出来ない訳ではないが『ぶっち切り』を除けば日影の秘伝忍法は全て近距離タイプの為に下手に近付くと蒼鬼の攻撃を受けかねない。……かといってここで『ぶっち切り』を使おうとすれば間違いなく空中で狙い撃ちにされる事が予測された。
「……アカン…そう上手くいかんかぁ…」
日影は思う様に反撃が出来ない状況に立たされているのだがそれでも冷静さを失う事が無いのは日影曰く自身に感情が無いからだろう。そう言う意味では感情が無くても良いが反撃が出来ないのであれば冷静であっても意味がない…なので日影は冷静に反撃の糸口を探しながらも回避に専念していた。
………その一方で吹き飛ばされた焔は2人が戦っている隙に二人から少しだけ離れた木々に隠れ二人の不意を突く為の準備をしていた。……これは光牙からの策であり、光牙はマーキングした対象の位置を自由自在に入れ換える事の出来る秘伝忍法を扱う事ができた。特に禁止はされていない為にチーム戦が開始する前に光牙は焔と籠鉄にマーキングをしていた。しかし響輝はこの作戦で行うもう1つの『ある事』に反対していたがそれでも光牙達はこの『ある事』を行う為に協力を拒みマーキングをも拒絶した為に響輝は入れ替える事ができない状態となっていた。
……因みにこの術は光牙曰くチャクラを大量に消費する為に余り多用は出来ない為に精々使えても1~2回程度である為に焔は必ず隙を突けるタイミングで連絡を入れる様に指示されていた。
……しかしこの術には幾つか欠点があるり、入れ換えている間は常に光が放たれる為に敵からは丸見えになってしまう事、そして発動中に対象が移動不能の拘束術を掛けられていると入れ換えは可能だが拘束されている対象も入れ換わる。
例えば籠鉄が拘束の術を掛けられている時に焔と入れ換えると籠鉄の拘束は解かれるが逆に焔が拘束されてしまうという事だ。それ故に光牙は籠鉄にはある指示を出していた。……響輝が反対していた…『ある事』だ。
「……後は籠鉄の合図次第か……」
「くっそぉぉ………!」
「ふふ、私の幻術スキルを侮っていたでしょう?残念だけど私の幻術は特上忍クラスまで昇華したのよ。 …例え光牙くんや蒼鬼ちゃん達でも簡単に破れないわ♪」
場所は変わり籠鉄と春花が戦っている場所……春花の幻術で籠鉄は神経を麻痺させられており、更にそこから動けないようにする為に強固なチャクラ糸で拘束されてしまっていた。神経が麻痺して拘束術まで掛けられており身動きが取れない状態である為に誰が見てもこの状況で籠鉄に勝機は無い事が分かる状態であった。
「……でもまだ何かありそうね…」
しかし察しや勘が鋭い春花は優位に立っているにも関わらず慢心せずに冷静に色々と考えており、いつでもそれを回避できるようにと動けない今の籠鉄相手でも警戒し距離を取っていた。
(……耐えろ…!後…もう少しだ…!!)
そして案の定春花の考えは当たっており籠鉄は切り札を隠していた。それは動けない上でも発動出来る奥の手である為に今ここで気絶させられたら一巻の終わりである為にバレない様に慎重に準備していたのだ。
「………もしかする事もあるかも知れないし、ここは早めにトドメを刺させてもらうとするわ。」
「…っ!」
そして春花はもしもの事を考えつつも籠鉄にトドメを刺す為に秘伝忍法を発動させた。
「秘伝忍法…『Heartvibration』!!」
召喚した傀儡を抱き締めながら上下に振り、前方へと投げる…その瞬間傀儡が凄まじい速度で籠鉄へと突っ込んでおり更に傀儡からは火花が上がっていた。そう、この傀儡は爆弾でありその爆発で籠鉄を確実にトドメを刺そうとしていたのだ。
……実験や研究が得意な春花であるが為にこの傀儡は相当な爆発力を持つであろう。更に神経の麻痺や拘束術により動けない籠鉄は回避できない……
「……出来た…!」
「…っ!」
しかし籠鉄はギリギリのタイミングで奥の手の準備が整い、その様子から春花も籠鉄が何かをしてくるであろうと感じ取ったのかすぐさまバックステップで距離を取った。
「秘伝忍法!『起爆・猛炎虎』!!!」
その瞬間、籠鉄の全身を炎が包み込み向かってくる傀儡を炎が盾になる形で防ぎ、更に籠鉄を拘束していたチャクラ糸も炎の熱で溶けて拘束から解放され、更には炎の一部が巨大な手の形に変化しては落としていた槍を籠鉄の元へと届けた。
……この術は万が一動けなくなってしまった場合に備えて籠鉄が開発した術であり、自分のチャクラの流れを強制的に加速させ下がった身体能力を極限まで高める事が出来るという術であり、この状態であれば無理矢理ではあるが体を動かす事ができるようになるのだ。
…とはいえ既に幻術に掛かってしまっている場合は方向感覚を取り戻せないという点はあるが籠鉄は前向きに判断しつつ何も気にせずに全てを焼き払うかのように力を振るう行動に出た。
「秘伝忍法!『千両火花』!!!」
更に秘伝忍法を発動させ、籠鉄の槍から無数の火花が迸る。この技は威力は低いが手数と速度そして範囲は籠鉄の秘伝忍法の中でも段違いの技であった。欠点は発動中は動けない上に殆どコントロールが利かない事だが近くに誰も居ないと分かっているなら思い切り使えると判断し、この技を選んだのだ。
一方春花は試験管を駆使して距離を取るが火花の一部が当たった事で忍装束は破け春花自身も軽く火傷を負ってしまう。
対して籠鉄は目が見えずとも辛うじて聞き取れた音でそれを判断し、切り札を発動させた。今使っている術も長く持たない為に籠鉄は春花の足止めの為に残ったチャクラで全力の術を使う事を決心した。
……作戦の際に光牙は春花が居る以上は隙を突いても完全には決まらないと予想しており、故に籠鉄には春花を倒す事ではなく足止めを最優先に行う事を指示していた。
………そして籠鉄の春花を止める為の切り札とは…自爆。彼が得意とする技の1つに爆破がある為にそれを把握した光牙は春花に妨害させない様、確実に大ダメージを与えられる自爆を提案した。死ぬ訳ではないが自身も巻き込む大爆発を発生させて春花に仲間の援護をさせない為にそれを提案したのだ。そう、これこそ響輝が反対していた作戦の事であったのだ………。
そしてそれを行うには自身のチャクラの流れを無理矢理荒らす必要があるのだが今は常にその状態と言っても良い状態でありそれ程苦労する事なく術を発動出来たのだ。
「……秘伝忍法!『爆・火炎放天』!!!!」
「っ!?」
「…あれは!?」
「……あの爆発……籠鉄さんの術っぽいな……」
一方交戦中だった蒼鬼と日影は籠鉄の爆発に気付き動きが止まった。……止まってしまったのだ…!
「……秘伝忍法………!」
「「…!?」」
「………『輝迅』!!」
「っ!!!!!」
「っっっ!!?」
瞬間、焔……では無く光牙の秘伝忍法である筈の光の矢が2人に襲い掛かる。蒼鬼はギリギリ回避出来たが蒼鬼の技を回避する為に空中に飛んでいた日影は直撃してしまった。そのまま辺りの木々ごと吹き飛ばされ巻物を落とし掛けるがバランスを取り何とか回収するも……
「……遅い」
「…っ!?」
この場に現れた光牙は焔との戦いで使った抜き足を使用し日影の背後に回り込み、首筋に手刀を入れて日影を気絶させた。そして日影が持っていた天の巻物を奪い取るのだった。
「……蒼鬼は逃げたか……恐らく詠達の所に向かったと言った処か……」
蒼鬼の姿が消えていた事に光牙は察してはそのまま蒼鬼を追うように先ほどまで自分が居た場所へと向かった。
………籠鉄の爆発に気を取られた他のメンバーの隙を突き、焔と入れ替わり巻物を奪う……それが光牙の考えた策であった。非情と言える行動であるが勝つ為の手段としては間違っていない……響輝や翔が最も嫌う手段であった。
「…うぉっ!?何だぁ!?」
「…!」
一方翔と響輝が戦っている場所にて同じく爆発が響き渡り同じく2人も動きが止まった。その瞬間、響輝は持っていたメイスを仕舞うと爆発が起きた場所へと走り出した。
「あ、おい!響輝!?」
「…ごめん翔、さっきの言った通りだ。」
走り出す響輝を呼び止めるも響輝はそう言いつつ爆発した場所へと向かってしまった。1人残された翔はポツンと立ち尽くすも考えていた。
「………あの爆発が響輝の言ってたけったくそ悪い作戦か……。しかもありゃあ籠鉄の爆発技………野郎……そう言う事か………!」
今の爆発が響輝が嫌悪していた作戦である事を察し、更には今の技が籠鉄の技である事を察すると……翔も作戦の内容を察しては舌打ちをしつつ静かに怒りを浮かべるような表情となった……。
…そしてそのまま蒼鬼達が居る場所へと翔も向かうのであった………。
その一方、籠鉄と春花の居た場所は距離にして凡そ数キロが大爆発で吹き飛んでいた。籠鉄と春花も爆発と爆風でかなりの距離まで吹き飛び、双方共に大きなダメージを負っており春花の忍装束は大きく破け、籠鉄に至っては気絶で忍転身が解除されていた。一応春花も装束は維持出来ているがダメージは決して少なくない為に回復が必要な状態だった。
「……籠鉄君も無茶するわね……お陰で私も暫くは動けそうにないわ。…恐らくこれは光牙君の指示なのかしら……?」
春花は自身を医療忍術で傷の治療をしながらこの自爆が光牙の指示である事を察する。籠鉄は仲間の為なら幾らでも体を張れる性格だ、それを利用して光牙は自爆を指示したのではないかと春花は考えたのだ。
………そんな時、先ほどここに向かうべく走り出していた響輝がたどり着いた。
「…響輝ちゃん……」
「……痴女の人……バンダナの人は?」
「……見ての通りよ」
響輝がやって来ては春花に尋ねるとそう言いボロボロになった籠鉄の姿があった。表情こそは変え…いや、分からない程度に少しだけ何処か怒りを浮かべるように響輝は黙り込む。
「………響輝ちゃん、籠鉄くんの自爆……あなたも提案した訳じゃ「ふざけた事抜かすなよおばさん」…は?」
春花は一応響輝にも籠鉄の自爆の件を提案していないかを尋ねるも響輝がそう言う……もまたもやおばさん呼ばわりされる為に春花は頬に青筋を立ててそう言う。もし自分が動ける状態であれば響輝をシバいていた所であろう。……だが春花は今の響輝の表情……怒りを隠そうとしているも少しずつ露わにしている姿を察しては…
「……そうよね、変な事聞いてごめんなさいね…」
そんな響輝に春花は謝罪をする。確かに普段は日影以上に何を考えているか分からない彼女であるが少なくとも翔と同じく仲間を大事にしている人物である為にそんな非道な事をする筈がないと思い春花は謝罪をしたのだった。
「………痴女の人、バンダナの人の手当て…お願い出来る?」
「え?え、えぇ……任せて。響輝ちゃんは戦いに戻るの?」
「………うん……
アイツらを粛清してくる」
「……ゑ?ちょ、響輝ちゃん!?」
響輝は春花に籠鉄の治癒を頼み、頼まれた春花は頷きつつも響輝にそう尋ねるも響輝の発言した言葉に一瞬唖然とするもすぐさま我に返っては呼び止めるが既に響輝の姿は無かった。
「………アイツらを粛清って………あの子…変な事しないでしょうね……?」
響輝の発言に春花は何か仕出かそうと勘付きつつも頼まれた通りに重症の籠鉄を治癒するのであった………。
そしてその一方の詠達は……
「…あれは、籠鉄さんの爆発!?」
「な、何て規模なの……?」
やはり2人も籠鉄の爆発に気を取られてしまっており……
「秘伝忍法……!」
「…あっ!?」
「ヤバッ…!」
その隙に光牙は秘伝忍法を発動させ、自身の全身が光に包まれ始めた。その事に詠と未来は気を取られてしまった事に慌てて体勢を整えるも今の状態で光牙の攻撃を防ぐことは出来ない状態となっていた……が……
「『フォトン・シフトチェンジ』!!」
「…え!?」
「な、何故焔ちゃんが…!?」
その瞬間、光牙の姿が消え、代わりに焔が現れたのだ。その事に再び気を取られてしまい焔が既に秘伝忍法を発動させていた事に気付くのが遅れてしまった…!
「秘伝忍法・『響』!!」
焔は一瞬で二人の頭上に飛び上がり、炎を纏った刀を二人に叩き付けようと仕掛けるも……その瞬間に闇を纏った刀のような物に叩きつけられてしまい真横に吹き飛んでしまった…!
「ガハァッ!?」
「……お待たせしました。」
焔を吹き飛ばしたのは蒼鬼であり、彼女も『飛雷神』と言う時空間忍術でここまでやって来たのだった。
「巻物の状況は?」
「まだ取られていませんが今は天と地が揃っています。」
詠に状況を尋ねるとそう答えた為に蒼鬼は少し考え指示を出そうとすると。
「待たせたな」
「しょ、翔!」
「響輝ちゃんは!?」
「安心しろ、恐らくアイツはこっちには来ない。」
翔もやって来ては詠がそう尋ねるとそう答える。何処か曖昧な感じではあるが恐らく響輝がこちらにやってこないという事は倒したという事であると思い蒼鬼は指示を出す。
「……よし、多少予定が狂いましたが、ここからは全員で行きましょう!」
「はい!」「うん!」「り」
蒼鬼は指示を出してここからは全員で戦うと指示を出し、一同は了解した。
「……4対1……分が悪いか……」
「……!」「…。」
焔はそう呟き木々を利用して離れて行こうとする姿を蒼鬼は光牙との合流を図っている事に気付きクナイを手に取ると……何故か焔とは反対の背後に投げた。一方その際に翔も既に背後を向いていた。
「ゑ?蒼鬼、何で後ろに…「…バレていたか……」うわぁっ!?し、真司蛇!?」
その事に未来が尋ねようとした瞬間に真司蛇が現れた事に驚き詠も声は上げていないが目を見開いて驚いていた。蒼鬼が背後にクナイを投げたのは木々を使う事で潜んでいた真司蛇に気付いたからだ。
「…どうしますか真司蛇君?戦うと言うのならば受けて立ちますが……その怪我でも私達と戦いますか?」
「……いや、止めておく。お前達が全員揃っている中、この状態の俺1人で太刀打ち出来そうにないだろうし仲間の援護は期待できそうにないだろう。唯依も手当してやらねばいけないからな…」
「…あれまぁ……」
蒼鬼の問いに真司蛇はそう答えつつ担いでいた唯依の姿を見せつつそう言う。気絶した翔はそう言うと…
「…翔、お前の妹は力及ばずとも自分の出来るだけの事をやって俺達の力になってくれた。」
「…そいつは重畳、唯依にとっても良い経験になっただろうな。」
真司蛇は翔に唯依も頑張っていた事を伝えると翔は小さく笑いつつそう返した。そして真司蛇は唯依を連れて発した方角へと向かう…恐らく春花に傷の治癒をしてもらう為であろう…。
「みなさん、光牙君と焔さんの所に向かいましょう。あのチームは回復役が居ないので今が攻め時です。…恐らくですが真司蛇君は春花さんの所に向かったと考えられますがここは追うべきではないと思います。もしかしたら籠鉄君も居るかも知れませんがその近くに居るであろう回復役の春花さんの所に真司蛇君が向かった以上、それは悪手です。そうなると今の内に勝負を付けなければ真司蛇君達が回復して戦いが長引いてしまいます。」
「…そうだね。今私達は天と海の二つの書を持っていて海はまだ誰も奪われてないから長引かせると確実に狙われる。」
「私も賛成ですわ。真司蛇さん達が回復するのは光牙さん達も分かっている筈となると彼方も決着を付けたがるのではないでしょうか?」
「だな。ここで決着を付けさせてもらうとするか……」
「では、行きましょう!」
「はい!」「うん!」「おk」
蒼鬼の提案に翔達は賛成し、そのまま光牙達の元へと向かうのだった…。
「次で必ず決着を付ける…だから間違っても準備を怠るなよ。それから俺の足を引っ張る様な真似もするな」
「当たり前だ、この私が戦闘準備を怠る何て事をする訳がないだろう?お前こそ油断するなよ?……しかし…響輝の奴は何処に行ったんだ……?」
「…知るか。普段から何を考えているか分からん奴だからな……そんな奴をアテにするな。」
一方で光牙と焔は合流しており決着に向けて準備しつつ軽口を叩き合いながら軽い休息を行っていた。……最も響輝が居ない事に焔がそう言うも光牙はそう切り捨てるように返した……瞬間に何かを察したように2人の動きが止まった。
「…来たか」
「…行くぞ、焔」
「ああ!最後に勝つのは私達だ!」
蒼鬼達がやって来た事を感じ取り、迎え撃つ為にその場所へと向かうのだった…。
そしてその場所へとたどり着き、両チームはにらみ合うように向かい合っていた…。
「……決着を付けましょう、光牙くん、焔さん…!」
「当たり前だ、楽しませてくれよ!」
蒼鬼は冷静に言うと焔は興奮を隠せないように返す。……しかしやはり蒼鬼は聞きたい事がありそれを尋ねた。
「……戦う前に聞きたいのですが……何故、籠鉄君に自爆などさせたのですか?籠鉄君は仲間の筈でしょう?」
「…え…!?」
「さ、させた……!?あれ、籠鉄の判断じゃ無かったの…!?」
蒼鬼の問いに詠と未来は動揺する。どうやら2人は籠鉄の爆発が自分の判断で行った事であると思っていたが為に動揺が隠せなかったのだ。
「……勝つ為だ。それ以外に理由は無いし必要ない。」
「右に同じくだ。勝つ為なら利用できることは利用する、当然だ。」
「そんな……!?」
「………………。」
光牙の発言に焔も同感でありつつそう吐き捨てる為に詠と未来はショックを隠せず、蒼鬼は小さくため息を吐きつつ……その瞬間、翔は手をポキポキ鳴らしながら一歩前に出る…。
「……翔くん………?」
「…蒼鬼、お前らは光牙をやってくれ。俺は焔を潰す。」
翔が蒼鬼にそう頼む。蒼鬼、詠、未来の3人で光牙と戦い自分は焔を倒すとの事であった。……最も蒼鬼が少し戸惑ったのは翔が『倒す』ではなく『潰す』と言う発言をした事であった……。
「……わ、私達で光牙を……?」
「あぁ。別に逆でも良いんだが光牙の奴はお前らを舐め腐ってやがる……特に詠と未来……お前らを間違いなく舐め腐ってやがるだろう……。だからこそ舐め腐っていた奴にしてやられるという事になればアイツもさぞ悔しがるだろうよ。」
「………………。」
未来がそう言うと翔は二ヤリとしつつもそう答える。光牙にとって蒼鬼の事は実力は認めても何処か舐めている所があり、詠と未来に至っては恐らく眼中に無いというような様子を見せていた。その事もあって翔はそれを提案したのだった。……最も何処か腹黒い提案である事に蒼鬼は苦笑いをしていた…。
「で、でも翔くん……焔ちゃんを1人で大丈夫ですか……?」
「心配すんな、焔ごとき俺の相手じゃねぇよ。」
「…っ!貴様ぁ………!!」
詠は焔を1人で相手にしようとしている翔を心配するようにするも翔がそう言う……も『ごとき』と言う言葉に案の定焔は癪に障った。
「何処まで私を舐め腐れば気が済むんだ貴様はぁ…!!!だったら私も今のお前ごとき敵じゃ「喋るな」……っっっ!!!???」
怒りで叫ぶ焔は逆に翔に言い放とうとした……瞬間、突如翔から途轍もない威圧が溢れ出し焔はその威圧に言葉を発せなくなってしまった……!!
「…もう喋んな……これ以上機嫌悪くなる前にな……」
「っ…!?っっっ…………!!!」
「こ…コイツ……!?」
「あ…あぁぁぁ…………っ!?」
「しょ…翔………くん………?」
「………翔くん………」
翔は途轍もない威圧を発しつつも光牙と焔にそう吐き捨てる。その威圧により焔は勿論のこと未来と詠にも恐怖を与えてしまい、光牙も翔から放たれる威圧に動揺が隠せずにいた。一方蒼鬼は……翔が何故ここまで怒りを含めた威圧を放っているかを察しつつも……彼が間違えてしまわないかを心配していた……その時だった……。
「……響輝……?」
「「「…!?」」」
光牙と焔の後方から……響輝が現れた事に翔は気付いて威圧を抑える。威圧が解放されたと同時に光牙と焔も振り返り詠達も驚く。……先ほど響輝は来ないと言っていたのだがその響輝が援軍として来てしまったのだ……。
「ひ…響輝……」
「………貴様……何処に行っていた………」
「……………。」
響輝が現れた事に焔も驚き、光牙は睨むように響輝に尋ねるも響輝は何も答えず………突如武器のメイスを手に持った……瞬間………
「…がぁっっ……!!!???」
「…なっ……!?」
「………!?」
「「……え…?」」
「……響輝…さん………?」
血迷ったかのように……響輝は焔に目掛けてメイスを投げつけて直撃させた……!突然の味方からの攻撃に焔も対処出来ずに腹に直撃を喰らっては吹き飛ばされてしまい背後にあった木に激突してしまう。無論、響輝の行動に光牙は勿論のこと翔達も驚きが隠せなかった……。
「…き……貴様……な……ぜ……っっ!!???」
「……………。」
今ので大ダメージを受けてしまった焔は口から血を吐きつつ響輝に尋ねる……も顔面を蹴られてしまい焔は意識を刈り取られてしまった……。それでも響輝は何も言わずにメイスを拾い上げるとそのまましまい込んだ……。
「……貴様…………どう言うつもりだ………!?」
「……どう言うつもりはアンタらの方だ……。」
光牙の問いに響輝はそう返す……。響輝のその目は……以前貧民街にて響輝が勘違いで光牙を絞め殺そうとしていた時と同じ目を向けていた……。
「…眼鏡の先生はチームプレイをしろって言っていた……。勝つ方法なら他にも思い浮かんだはずなのにあろう事かアンタらはバンダナの人を人間爆弾にして自爆させた……それもバンダナの人の良心を利用した……。私もその作戦を反対したがアンタらはそれでもこんな作戦を実行した……。そんな奴らとチーム戦なんて出来る筈がない……出来る訳が無い………。
………だから…お前らは敵だ……」
「っ!!!」
響輝は……籠鉄を自爆させた件……それも籠鉄の良心を利用したようなやらせ方に対し静かに怒りを露わにしたと同時に……翔が先ほど出していた威圧と同じ位の威圧を露わにし、光牙も威圧に押されそうになるも構えるが……
「ひ、響輝さん……あなたの気持ちは分からなくもありません……。ですが…これ以上は監督生として見過ごせません……!」
「………うん、多分そう言われると思った……。」
蒼鬼も戦闘中とは言え響輝の行動をこれ以上は見過ごせないと説得を持ちかけると……あっさりと威圧を抑えた為に蒼鬼も少し呆気に取られてしまうが……
「…だから監督生の人、私はここでリタイアする。さっきの言葉通りもうこいつ等と組んで戦いたくないよ。」
「っ……!」
「え、で…でも………」
「……無駄だ、ああなっちまったらもう聞かねぇ。自業自得だ。」
そして響輝はリタイアを……これ以上光牙達と肩を並べて戦いたくないと言い出し光牙はその事に目を見開き、蒼鬼がその事に動揺するも翔が蒼鬼にそう言い聞かせる。
……この瞬間から響輝は光牙を…そして焔を見損なったという事であったのだ…。
「……え?て…てことは……私達大分有利なんじゃ……?」
「そ…う……ですわよね………」
未来と詠はそう把握する。問題はかなりあるがこのまま続けば焔が倒れ響輝もリタイアした今、完全にこちらが有利な状況となっていたからだ……。
「………貴様………!」
「…それとも……この場で殺り合う?」
「ちょ…お二人とも…!?」
裏切った響輝に流石の光牙も怒りの表情を見せ矢を向ける。対する響輝も臆する事無く今度は光牙を殺さんとばかりにメイスを構えて戦おうとする為に蒼鬼が止めに入ろうとすると………
「落ち着け響輝。……お前も一々挑発に乗るなや…」
「……翔………?」
翔は一瞬にして響輝の背後に回ると響輝の頭を優しく撫でつつ落ち着かせ、光牙には睨み付けつつそう吐き捨てる。
「…蒼鬼、俺もリタイアする事にするわ。」
「…えぇ!?」
「……このまんまじゃ流石に勝敗も分かりきった状態になってるからな……フェアにもならんしな……。」
「……舐めるなよ貴様……!!例え貴様ら4人が掛かろうとも俺は負け「ほら、今で5回は死んでるぜ~?」っ!?」
「「…………!?」」
響輝がここまでやってしまった為に確実に光牙が不利な状況になってしまった為に翔は自分もリタイアにして少しだがフェアにしようと言い出す。その事に蒼鬼もやはり困ってしまい、光牙も怒りを露わにしつつ4人を相手にしても自分は負けないと言いだそうとした……瞬間、いつの間にか翔は光牙の背後に移動しては彼の首筋にナイフを突き付けていた。その速度は詠や未来は勿論のこと……あの光牙でさえも反応出来なかったのだ……
「すぐ挑発に乗る……完全に冷静さが欠けてるじゃん。そんな状態のオメーが俺ら4人がかりに勝てる訳ねーじゃんかよ。だから今のオメェじゃ俺どころか……蒼鬼達にも勝てやしねえよ」
「………っ……!」
「…ま、どーしてもやり合いたいってんなら蒼鬼達を倒してからにするんだな。ぎゃんぎゃん犬みたいに吠えるんだったら倒してからにしろよ、お前があそこで倒れている馬鹿に言ってるようにな。……つー訳で蒼鬼、そう言う事だ。ま、今のお前らだったら光牙にも負けないさ、だから気合い入れて頑張れよ!」
散々光牙を煽り倒しては蒼鬼にそう言うと翔は響輝を連れてその場から離れる……。あんな事もあってか重苦しい空気になっていたが……。
「……良いだろう……!散々あそこまで吐いたんだ、こいつ等などすぐに片づけて後悔させてやる……!……おい蒼鬼、アイツはリタイアにするな……俺の手で叩き潰さねば気が済まん…!」
「………分かりました。ですが3対1とは言え私達も全力で行かせてもらいます……!」
「……これ…私達が勝たなきゃ翔はヤバイんじゃ……?」
「………そ、そうですわね……何としても勝たないと………!」
ここまで煽られて黙っている光牙ではない為に光牙は闘志に火を付けられては蒼鬼にそう言う。…自分が直々に潰さなければ気が済まないという事であろう……。
………その事に蒼鬼も小さく頷き、未来と詠はここで勝たなきゃ翔が不味いと思ったのか何処か複雑に思いつつもこの戦いに勝とうと決心するのであった……。
「…よぉ皆さんご揃いで。」
「……あっ!?翔くん…!?」
「心配すんな、俺も響輝もリタイアしたさ。」
そして場所は変わり春花達の居る場所………。そこには春花達メンバーが揃っており春花が治癒を行っていた。
「……んで、回復次第復帰するのか?」
「………いや、思ったよりダメージが大きい…。恐らく復帰する頃には戦いが終わっているだろう……」
翔が尋ねると真司蛇がそう答える。思った以上に蒼鬼達との戦いで消耗やダメージが大きく、現に日影と唯依が気を失っている為に万全になった所で戦いは終わっているであろうと予測していた…。
「…………バンダナの人は…?」
「…やっぱりダメージが大きいわ。死んでいないけど…まだ気を失っている……」
「…ケッ、響輝の言う通りやっぱりけったくそ悪いな。勝つ為に仲間を人間爆弾にしやがって……それを快く引き受けるこの馬鹿も馬鹿だ。」
響輝が籠鉄の容態を春花に尋ねると春花は答える。かなりの威力の自爆だ、命は落としてはいないが自身にもかなりの大ダメージであったであろう、傷も完治出来ておらず今も気を失っていた。
……その事に翔は舌打ちをしつつ自爆させた光牙達とそれを引き受けた籠鉄に対してそう吐き捨てた……。
「………それはそうと……あなたリタイアって大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫さ。アホは響輝が倒したし今の光牙程度、蒼鬼達なら勝つ事が出来るだろう。」
「…………ちょっと待て、響輝が倒したとは……どう言う事だ……?」
(………この子まさか………)
「……………仲間にあんな事させる奴は仲間じゃないよ」
(……やっぱり………)
それはさて置き翔はリタイアした事に蒼鬼達は大丈夫なのかを尋ねると翔はそう答える……も響輝が焔を倒したという事に真司蛇と春花は疑問に思い、響輝の答えで春花は内心で納得しては頭を抑える……。
………粛清するとは……そう言う事だったのだ………。
「蒼鬼は勿論だが詠と未来も十分成長してんだ、負ける筈がねぇさ」
「……随分信頼しているな………」
「あたぼーよ、貧民街の時のツレに努力家の後輩……それに俺の自慢の妹だからな。」
翔が蒼鬼達は絶対に勝つという為に真司蛇は随分と信頼している事を言うと詠と未来、そして蒼鬼の事をそう言うのであった……。
「秘伝忍法…『輝龍一刀斬』!!!」
「キャアアアアァ!!!?」
「ッ! 未来さん!!」
一方場所は変わり光牙と蒼鬼達の戦い……。やはり翔の言葉で火を付けられた光牙は蒼鬼達を追い詰め始め、遂には未来も倒されてしまい段々と蒼鬼達は押され始めた。
「ハア……ハア……詠さん…大丈夫ですか?」
「え、ええ………辛うじてですが……」
流石の蒼鬼も既に体力の限界が近い状態となり、詠も同様であるが光牙からまともに秘伝忍法の攻撃を受けていなかった為にまだ僅かに余裕があった。
そんな2人の様子の隙に光牙は焔の元へと向かっては彼女が持っていた巻物を回収し、蒼鬼達に奪われないようにした。これで光牙を倒さなければ巻物が回収できない…と言う状態になった……。
「詠さん…必ず次で決めますから時間稼ぎをお願いします」
「……了解しました。余り長くは持たないと思いますのでなるべく早目にお願いします…!」
「はい、必ず勝ちましょう!」
蒼鬼は作戦があるのか詠に頼むと詠も恐らくここで倒されてしまうかもしれないと把握しつつも蒼鬼の為に踏ん張って時間稼ぎを行う事を決心した。
「態々時間を稼がせる訳がないだろう」
「っ…させませんわ!!」
しかし時間稼ぎさせまいと冷静さを崩さずに蒼鬼を狙って矢を放つ……しかし詠は反応して大剣で防がれ、更に詠は反撃でボウガンを放ち光牙に直撃させた。
「ぐっ……!ならばこれでどうだ……!」
反撃でダメージを受けるも光牙は粒子変化で光の槍を形成して詠を狙う…しかし詠は光牙にも決して引けを取らないスピードで防御と回避を繰り返し、光牙を斬り付けていた…!
…本来であればパワーでは詠の方が上な代わりに光牙の方が圧倒的にスピードで勝る筈だがどういう訳かここに来て詠の能力が全体的に飛躍的な上昇をしており、その事に流石の光牙も動揺が隠せないが詠の攻撃の間合いを考えては行動に移しバックステップを行いながら矢で詠を狙う…だが詠はそれさえも防ぎきったのだ…!
「蒼鬼さんに手出しはさせません!仲間を思う気持ちが私達を強くしてくれるのです!」
「……ッ…!」
『…人間が一人で辿り着ける場所はたかが知れている……だからこそ人は家族や友、そして仲間と共に成長して強くなれるのではないかと私は思っています。』
詠は光牙に向けてそう言った瞬間、光牙はその言葉に怒りを覚えた。……それは以前蒼鬼が光牙に同じような事を言っていた言葉であったのだ……。
………光牙の過去に一体何があったのかは分からないが頑なに仲間と言う言葉を軽々しく使われる事を…そして仲間が居るから強くなれるという言葉を嫌っていたからだ…。
「……そんな物はまやかしだ!強さは強さ、それ以上でもそれ以下でもない!!」
「……聞き捨てなりませんわね…!」
「…俺を納得させたいのであれば俺を倒して分からせてみろ!」
光牙の発言に詠は納得いかないように攻撃を仕掛け、そう言う。そして光牙がそう言った瞬間、光牙の全身を白い光が包み込んだ。
「秘伝忍法・『雷光・竜腕牙』!!!」
光牙の腕には白い竜の鱗の様なガントレットが付き雷がバチバチと音をたてる。この術は雷と光の属性を融合させたドーピングタイプの秘伝忍法である。光牙に取っては抜き足と同じく奥の手の一つでもあるがチャクラと体力の消費が激しい上に使用後は全身に痛みが回る為に普段は中々使う事はなかった。しかし今は他の何よりも蒼鬼達を倒す事に集中している為にリスクを顧みずに発動した。
因みにこの状態の光牙の戦闘能力は先程までの通常時の十数倍にまで羽上がる程だ。その圧倒的な力に詠は思わず息を飲むが直ぐに我に返ると大剣を構えた。
「俺の切り札を前にしても戦意喪失しないのだから大したものだ。……だがお前は負ける」
「………この一撃に全てを賭けます…!」
「…来い……」
光牙は圧倒的な力を発動させた事で自分の勝利を確信するが詠は決して怯まず今の出せる全力を振り絞っては飛び上がり、大剣に有りったけのチャクラを流して光牙に突っ込んで行く。対する光牙も迎え撃つ様に拳を構えていた…。
「秘伝忍法!『アースガルズ』!!」
「秘伝忍法……『雷光・双竜轟拳』!!」
詠の風のチャクラを纏った大剣と光牙の雷と光のチャクラを纏った竜の化身の如き拳の衝突……辺り一帯が吹き飛び蒼鬼でさえも容易には近付けない程の爆発が発生した。
「その程度か」
そして煙が晴れると……そこには転身が解かれて気絶し倒れている詠と無傷の光牙の姿があった。倒れている詠に光牙は嘲笑う様な視線で見つつ吐き捨てる。
…しかしそれと同時に背後の気配に気付いては振り返る。そう、そこには強い決意を宿した眼差しで光牙を睨みつける蒼鬼の姿があった。
「…いいえ、詠さんも未来さんも本当によく頑張ってくれました。お陰様で私もしっかり準備が出来ました。」
「…だがその時間稼ぎの効果も今の俺が相手では全くの無意味だ。」
蒼鬼は詠のお陰で光牙に勝つ準備が出来たと言うも光牙はそう返す。油断こそしていないが今の状態で負けるとは到底思っていないからだ。……それこそ蒼鬼が実力を隠していたとしても……
「…いいえ、無意味にはさせません。この時間は詠さん達が作ってくれた正真正銘最後のチャンスです……だから絶対に勝ちます!」
「やれる物ならやってみろ」
蒼鬼はそう言うと光牙に向かって走り出す。対する光牙も迎え撃つ様に矢を放つと蒼鬼は矢を回避していくとクナイを構えた。
「水遁・スイレイハ!」
「…秘伝忍法…『輝迅』!!」
無数の水の弾丸を光牙に向けて放つ。その威力と速度は焔達の時とは桁違いであり仮にこのレベルを使えば圧勝出来ただろう。しかし今の光牙の秘伝忍法の前では相殺は愚か削る事も出来ない。矢は凄まじい速度で蒼鬼に向かっていくが蒼鬼は真横へ跳んで矢を辛うじて躱すも光牙は決して手を緩めない。蒼鬼が回避する事を見越しており弓を上に向けて強大な光の矢を放った。
「秘伝忍法……『閃光龍雨』!!」
通常時とは比較にならない程の数の光弾が蒼鬼に向かって振り注ぎ、蒼鬼も鉄球を使いながら防御をしながらも的確に回避する。…しかし避けた所を再び輝迅に襲われる。
「秘伝忍法…『黒刃』!!」
…これは避けられないと判断した蒼鬼は秘伝忍法で相殺を試みた。しかし先程よりも威力の上がった秘伝忍法に押され始めてしまい、徐々に後退してしまうが…
「…ハアアアッ!!」
蒼鬼は力を込めて強引に秘伝忍法を打ち消す。だがその動きによって光牙に十分な隙を与えてしまった。
「遅過ぎる」
光牙は抜き足で蒼鬼の後ろを取り、蒼鬼を殴ろうと拳を振る……が、蒼鬼は後ろを振り向かずまるで分かっていた様に光牙の拳を回避した。
「…何ッ!?」
「…抜き足はもう効きません」
流石の光牙もこれには今までの比ではない程の動揺を見せ、その隙に蒼鬼は光牙を蹴り上げる。そして蹴り上げた直後にバックステップで光牙から少しだけ距離を取り、更なる闇を纏わせた刀を光牙に向ける。
「秘伝忍法……『常闇の渦』…!!」
「ぐっ!?……これは…闇の渦!?」
すると周囲の空間から特大の闇が出現し、光牙を闇色の渦に閉じ込めた。この術は強いチャクラを引き付ける為、チャクラの強い者程効果が大きく今の光牙にはこれ以上ない程に打ってつけの技なのだ。
「秘伝忍法…『フォトン・シフトチェンジ』……!!」
しかし光牙も負けてはおらず気を失っている焔と位置を入れ換えては瞬時に蒼鬼目掛けて光刀の斬撃を放ち、対する蒼鬼も迎え撃つ様に闇の斬撃を放った。
「秘伝忍法……『輝龍一刀斬』!!」
「秘伝忍法…『無明斬』!!」
今度は相殺しては双方共に吹き飛ぶ。しかし光牙は体勢を直した瞬時に走り出しており、対する蒼鬼はまだ倒れていた。
「……もらった!」
光牙は光刀と雷の刀を構えて蒼鬼を狙う。
「秘伝忍法…『雷光・双竜斬』!!」
雷の斬撃と光の斬撃を放ち、斬撃は竜の姿に変化して蒼鬼を襲おうとした。
「秘伝忍法…『黒穴』!!」
そして即座に起き上がった蒼鬼は周囲の空間に巨大な闇を出現させ斬撃を吸い込むも光牙はその隙に接近し再び二刀流で蒼鬼に襲い掛かる。
(……このままでは手数が足りない。…でもそれなら此方も手数を増やすだけです!)
しかし蒼鬼は黒刃を発動しながら氷の術で氷の剣を形成、光牙に対抗する様に二刀流で挑んだ。
「…お前も二刀流が使えたのか。だが刀と剣は似ている様で本質は違う、質の違う武器をお前は同時に扱えるのか?」
「何も付け焼き刃ではありません。これも恩師に習った大切な技です。…それに扱いに慣れていないならこの場で慣らせば良いだけです。」
「フンッ…面白い……!」
互いの攻撃を防ぎながらも斬り掛かり、その度に互いに防がれる。しかし蒼鬼の黒刃が光刀をへし折り氷の剣で光牙に切り傷を負わせる。
光牙はならばと両腕を構える。
「秘伝忍法…『雷光・双竜轟拳』!!!」
今の光牙の特大の秘伝忍法が蒼鬼に襲い掛かる。
「秘伝忍法……『氷蛇・氷壁氷渦』!!!」
対する蒼鬼も秘伝忍法を発動。氷の蛇が出現し蛇が空中で回り出すと同時に巨大な氷の壁が形成された。そして光牙の秘伝忍法を完全に防ぎ切ると蛇が光牙の回りに集まり氷の渦を発生させて光牙を攻撃する。
「……!?…この技は…姉さんの技と似ている……!?」
光牙は蒼鬼の秘伝忍法に驚く。……それはこの技が同じく忍であった光牙の姉が現役の時に使っていた秘伝忍法と余りに似すぎていたからだ。それによって光牙は油断してしまい……
「……雷遁・蛇雷!!」
「ぐっがあぁぁぁ……!!」
蒼鬼の雷遁が光牙に直撃してしまう。ドーピング効果で光牙の雷に対する耐性は飛躍的に増大していたのだが油断していた為に少なくないダメージを受けてしまった。
「……ハア……ハア……」
この技により光牙は限界を迎え始める。それは蒼鬼にも言える事だがドーピング効果も長時間持続した為にタイムリミットは迫っていた。
………そしてここで2人は勝負を決めようと決心した。
光牙の光刀と蒼鬼の黒刀がぶつかり合う…しかし残っているドーピングのパワーの影響か光牙が僅かに押している。そしてつばぜり合いに持ち込むと同時に蒼鬼の首を左腕で掴み地面に叩き付けた。
「ガハッ!?」
更に光牙は畳み掛ける様に右腕で殴り掛かる。一方で蒼鬼は叩き付けられた痛みから悲痛な表情を見せるがそれも一瞬……光牙の右腕の拳を刀を持っていない左手で僅かに逸らしして回避、更にそのまま右腕を掴むと膝蹴りで腕の骨をへし折る。
「ぐっ!?」
更に光牙を蹴り上げ、顔面に頭突きをかます。
「がっ!?」
今の光牙はドーピング効果で腕を中心に全身が強化されている。まさか最も強化されている腕を術無しで折るとは微塵も思っていなかったのだ。そう思いながらも蒼鬼が向かって来る為に光刀を形成して迎え撃とうとする。対する蒼鬼も既に黒刃を発動させており二人は再びつばぜり合いに持ち込むが同じ事をしても決定打を打てないと分かっている為に即座に攻撃を仕掛けては互いに刀で防ぐ。そして互いにバックステップで距離を取り有りったけのチャクラを刀に込めては走り出し、相手目掛けて刀を向けた。
「ハアアアアアッ!!!」
「ウオオオオオッ!!!」
二人は互いに刀を突き刺す。刺した刀には互いの血が大量に付着し、二人からも尋常ではない血が噴き出した…………
「……私達の……勝ちです……」
「………ガハッ……」
しかし最後に立っていたのは蒼鬼であり…光牙は倒れ、転身も解除された。
「ば……かな……」
そう呟くと光牙は意識を失い、蒼鬼もかなりの疲労から思わず膝を付いた。
……蒼鬼が勝った結果には理由があった。
先程蒼鬼が頭突きをした時に蒼鬼は赤い右目を使って光牙に幻術を掛けていた。だが蒼鬼の幻術は特殊であり掛けた後に時間差で発動するというものだった。
…そして最後の刺し合う時に光牙の視点で蒼鬼が本来の位置よりも僅かに遠くに居る様に見せたのだ。故に蒼鬼の方が先に辿り着き致命傷を避けつつも急所を突く事が出来たのだ。
…しかしこの幻術はかなりのチャクラを使う上に使用後にかなりのチャージが必要であり、だからこそ蒼鬼は詠に幻術の準備が整うまでの時間稼ぎを頼んだという事だった。もしもこの幻術がなければ勝っていたのは間違いなく光牙であると今の蒼鬼は思っていた。実はまだ奥の手がありそれを使えば完勝する事も出来たがそれを使えば下手をすれば殺し兼ねない為に使わなかったのだ。
「………今回は…私の勝ちです……巻物は頂きます。」
蒼鬼は気絶した光牙にそう言いつつ巻物を奪い、これにて蒼鬼のチームが勝利となった………。
「…勝ったな……」
「…あぁ」
「………何してるのよあなた達は………」
一方、蒼鬼達の勝利を把握した翔と響輝はどこぞの総司令とその友人のようなポーズを取りながらそんなセリフを言い出す為に春花はツッコミを入れた…。
「…と言うか今回、あなた達そんなに戦ってないでしょ…?実際そこまで傷付いた様子でも無いし……」
「………飴とガングロがバンダナの人を爆破してなければ翔とは本気で戦えてたんだ。」
「そうだよ(便乗)……久しぶりに…いや、実際真正面で戦った記憶がねぇがそれがなきゃ響輝とやり合えたんだよ。」
(こいつ等も戦ってたら戦ってたで大規模になっていたかもしれんがな……)
春花は翔と響輝にそう言う。今回の修行にて翔と響輝は実際そこまで戦った様子では無いと言い、実際に他のメンツとは違ってボロボロではなく砂埃で汚れた程度くらいにしかなっていない感じであった。
その事に響輝と翔はそれぞれそう言い、真司蛇はもしも実際にこの2人が戦っていたら大規模な戦いになっていたのでは…?と思うのだった……。
「……終わったか。」
「鈴音先生……。」
そんな時、いつの間にか鈴音が現れてはそう言い、一同は鈴音の方を向く。しかしその表情は何処か少し怒っている様子であった……。
「……光牙と焔もそうだが………響輝、お前も随分な事をしたな……」
「……………?」
鈴音はそう言いつつ、響輝を睨む。そんな鈴音の様子に響輝は臆するどころか『?』を浮かべては首を傾げ、一体何のことかと言うような表情をしていた……。
………こうして波乱で色々な問題はあったがチームワークの修行は幕を閉じたのだった……。
……翔と響輝が散々やりたい放題したり光牙を大分悪者扱いする回になってしまいました……wダーク・リベリオンさん、本当にすいません…w(しかし序盤の光牙の性格的に一度鼻を折って成長させるにはこれしか無かったので……(おいw))
…何か翔が散々煽り倒すという如何にも小物っぽい行動になってしまった気がしますがこの案の前のヤツはボロッカス吐き捨てて恐らく読んでて気分悪くなるようなシーンになってしまう感じになってしまったので急遽書き直しましたw(今作の翔は今までのように捻くれ過ぎずに普段おちゃらけてるが言う時は言う(煽りも含めてw)というキャラにしたかった為にこんな感じに……w)……だからこそこの話は難産でした……w
………次回もやらかす回になりそうです…w