英雄伝説リリカルREBORN! 炎の軌跡   作:蒼空の魔導書

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*とある急に歌い出す戦姫の異世界にて──

ゴールデンアーマー終焉BBA「心は確かに折り砕いたはずだ……なのに、何だそれは。 私が作ったものか? お前が纏っているそれは、いったい何なのだ!!」

(あおぐろ)の魔装鬼「GAAAAAA!!?(略:此処はどこなんだぁぁぁぁ!!?)」

EXビッキー「シ・ン・フォ・g……って、誰ですかッ!!?」

悪夢を纏ってます。(笑)


2023年初更新初っ端から、くだらないボツネタをごめんなさい。(土下座)




神氣絶唱ボンゴレギア

「「きゃあああっ!?」」

 

リィンとツナが高らかと終末の世界に絶唱を響かせたと同時に二人を(おお)って煉獄の空を突くように天高く立ち昇った灰色(グレー)橙色(オレンジ)の光柱。 その真後ろに控えていたなのはとスバルは二色の極光に視界を眩まされて堪らず目を伏せて瞑り悲鳴をあげてしまう。

 

「素晴らしい……!」

 

地上から見上げたなら煉獄の大空に浮かんだ岩石島に灰色と橙色の光の巨塔が並んで聳え立ったように映っている事だろう。 まるで絶望の闇に覆われた世界に天から希望の光が二つ射したかのような非常に神々しい光景を眼前にして魔王(イノケント)が感動的に大きく見開いた目の瞳をその二色の光で焦がしながら見惚れている。

 

このまま無限に湧き出し続けるかと思われた二色の光塔はやがて収束をしはじめ、細くなって消失する。 するとそこに姿を現したのは【迸り輝く灰色の神氣を纏いし剣聖】と【橙色の神炎を灯す籠手(ガントレット)を両手に装着した大空の守護者】であった。

 

 

リィン、黄昏の鬼の力──≪神氣合一覚醒状態≫

 

 

ツナ、《ナッツVer.X(イクス)》全力解放形態変化──≪大空のVG(ボンゴレギア)

 

 

「ううっ……いったい何が──ふ、ええっ!?」

 

「どど、どうなってるの!? ツナさんとリィンさんが叫んだら二人から物凄い光が出て、変身しちゃった……!!」

 

リィンとツナから立ち昇った光の柱が消失して目の眩みから回復したなのはとスバルは恐る恐る瞼を開き、灰色と橙色に塗り潰されていた視界が景色を取り戻すと同時にリィンとツナの非常に様変わりした姿を眼に映し、二人は思わず背筋をピンと反らして豊満な胸元を弾ませてしまう程に物凄い驚愕を発していた。

 

燃え盛る炎のように激しく漲らせて灰色に迸り輝く神秘的な霊圧闘気(オーラ)を脚下から放出し、それを全身に纏せて何処か神々しい雰囲気を放っているリィン。 X(イクス)の文字を両手の甲に刻み、その上の手首に炎の噴射口が取り付けられた籠手(ガントレット)を装着して、その両手に太陽の如き眩い光輝を放っている濃厚な橙色(オレンジ)の煌炎を力強く握り締めているツナ。 打倒すべき次元魔王を睨みつける両者の双眸は怒れる獅子の如く烈々としていて、二人が発する霊圧と炎圧は大気を層ごと震動させて音よりも(はや)く墜ちてくる落雷をも地に到達する前に弾けて消滅させる程に膨大であった。

 

「スバル、なのはの事を頼む」

 

「は……はい」

 

リィンは一瞬チラリと肩の後ろに目を向け、全身に見るも悲惨な程の重傷を負ってぐったりとしているなのはを自身も片腕を欠損するレベルの負傷を負いながらも必死に背に庇っていたスバルに此処でなのはの身を守っていているようにと頼む。 咄嗟に言われて一瞬戸惑いながらその頼みを了承するスバルの返事を聞いたリィンはツナと共に威風堂々と並び立って魔王(イノケント)と対峙する。

 

「よし……いくぞ、ツナッ!!」

 

(おう)ッ! 覚悟しろイノケント。 オレ達の死ぬ気でお前を倒すッ!!」

 

「ふははははー! さあさあ来るがいい、リィン・シュバルツァー! 沢田綱吉! “可能世界”と“七輪世界”を代表する偉大なる主人公(ヒーロー)らよ!! お前達の持てる勇気と力の(すべ)てをもって、この《次元魔王》イノケント・リヒターオディンを(たお)してみせろ──ッッ!!!」

 

リィンが周囲の空気を陽炎のように揺らがせる程に濃色な灰色の霊気(マナ)を刃に纏わせた《神刀【緋天】》の切っ先を、ツナが煉獄色の空に橙色(オレンジ)の陰りが混ざりだす程に濃厚な大空属性の炎を輝かせる右拳の《X(イクス)ガントレット》を、毅然とそれぞれ正面に敵対するイノケントへ突き向ける。 対するイノケントは己が信奉する主人公の二人から本気の戦意を向けられて感極まる哄笑を大声であげるとそのまま笑顔全開で霊圧を絶頂にまで高めつつ鞘に納めた長軍刀──《天魔刀【信長(のぶなが)】》を高く構えて魔王(じぶん)へ挑む勇者達を迎え撃つ。

 

……(シッ)ッ! ──(ゴウ)ッッ!! ────(バゴォォォン)ッッッ!!!

 

そして緊張感が頂点に達するよりも早く、繰り出しの初動だけで周辺の大気を彼方まで吹き飛ばす威力を乗せた太刀と拳が魔王の長軍刀と激突した。

 

今宵の物語の主役たる三世界より集いし若き英雄達とその宿敵(ラスボス)となる次元魔王。 その両者の因縁が始まりを告げる初戦は直径150㎡の岩石浮遊島の三分の一が爆ぜた轟音と共に開始された。

 

終末の世界の煉獄の大空に巻き起こされた入道雲の如き巨大な爆煙の中から三つの孔を空けて突き破り、それぞれ灰色(グレー)橙色(オレンジ)群青色(ウルトラマリン)の閃光が三色横並びで飛び出てくる。 群青色の閃光を中心に左右を他二色の閃光が挟み込んだ瞬間、挟み撃ちした二色の閃光が群青色の閃光に弾き返される。 同時に鋼を叩き鳴らすような甲高い衝撃音が反響し、明滅する波濤が大気を伝播して音速で周囲へと拡散され煉獄の大空に悲鳴をあげさせた。

 

左右に弾き飛ばされた灰色と橙色の閃光は重力崩壊された終末の世界の宙空に浮遊する障害物(地上デブリ)にぶつかって再反射され、暴嵐の如き衝撃波を竜巻状に纏い大気と征く手を塞ぐ浮遊障害物を光の(はや)さで蹴散らしつつ煉獄の大空を翔け抜ける群青色の閃光を再度挟撃。 だが三閃が交錯した刹那、再び猛烈な波濤が撒き散らされて灰色と橙色の閃光は甲高い衝撃音が反響するのと一緒にまた群青色の閃光に易々と弾き返されてしまう。

 

すると今度は灰色と橙色の閃光が弾き飛ばされた矢先で疎らに散らばり漂っていた浮遊障害物群を利用してプリズムのように乱反射しながら加速し、群青色の閃光の前に先回りして仕掛けた。 だがしかし結果は変わらず灰色と橙色の閃光が明滅する波濤と甲高い衝撃音と共に群青色の閃光に蹴散らされる。

 

それでも諦めず灰色と橙色の閃光は行く先に散らばる浮遊障害物で縦横無尽の乱反射加速を繰り返しながら群青色の閃光へ絶え間なく全方位突撃(オールレンジチャージ)を浴びせていく。 ギャリリリリリィィィ──! という天が割れそうな断続衝突音を鳴り響かせながら煉獄の大空に三色の軌跡で乱雑な幾何学模様を描き、その後を異次元の勢力を伴った衝撃風が追って来て引かれた線を粉々に割り砕くようにして搔き消していく。

 

熾烈な光速空中戦(ライトニング・ドッグファイト)を繰り広げる三色の閃光はやがて螺旋渦状に巻き重なり合う形になり、常人の耳の鼓膜なら十分離れた距離から聞いてもその瞬間に即破けて聴覚が即死してしまうだろう程の壮絶な音量の剣戟や打撃や空を切る音を矢継ぎ早に打ち鳴らしながら三者錐揉みして、全長約200mで引き千切られた浮遊首都高速道路(ハイウェイ)の上へと墜落したのだった。

 

空中橋状を取る浮遊首都高の中心に大きな蜘蛛の巣状の墜落跡(クレーター)を造って三色の閃光は勢いのまま弾かれるようにして片端側に灰色と橙色、もう片端側に群青色と別れて放物線を描き亀裂だらけのコンクリート路面を削ってブレーキを掛けるようにして着地した。

 

「くは、ふははははは! 実に良い。 まさか二人共に初見にも拘らずにこの『天地崩壊・神々の黄昏(俺のTTO)』の“領域効果”を曖昧ながらに理解して、こうも俺の動きに追い縋って来ようなどとは……ククク、いやはや恐れ入ったぞ。 流石は幾度となく世界の危機を救ってきた英雄(ヒーロー)達だな!」

 

群青色の閃光の正体は山並みに巨大な霊圧闘気(オーラ)を纏ったイノケントだった。 彼は最高に愉快そうに哄笑を響かせつつ、自分が立った浮遊首都高橋の切れ端から中央に出来た墜落跡(クレーター)の向こう側を見据える。 その反対端の手前に着地して強大な霊気と炎を纏わせた得物を構えながら迷いなき戦意を宿した目で射抜くようにこちらを見据えてきている二人の英雄(ヒーロー)に向かって自分の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を実に愛おしそうに指で撫ぜながら偽り無き賞賛を送った。

 

「う……ぐっ。 二人掛かりの波状挟撃をほぼ無傷(ノーダメージ)で捌ききっておきながら……よくもそんなに褒めてくれる……な……ッ!」

 

「ゴホッ、ゲホッ! おまけに鞘に入れたままの刀なんかでこっちの攻撃を全部的確に受け返し(カウンター)してきて……オレ達の方は今の空中戦だけで二人共大きなダメージをくらわされたってのに……ッ!」

 

無論、灰色の閃光は《神氣合一》の強化戦技(クラフト)を使用して神氣を纏う“覚醒状態”となったリィンで、橙色の閃光は遠くから見ると全身に纏っているように見える程に巨大に輝く“大空属性の炎”を額と両手の籠手に灯す《大空のVG(全力解放状態)》のツナであった。 だがしかし、橋の逆側でダメージが無いに等しい軽傷で余裕綽々と嗤っている相手に対して、彼らは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、息も肩でしているという程まではギリギリいっていなさそうな様子だがもうかなり余裕がない息遣いになっていた。 戦闘続行はまだ大分可能であるダメージ量なので、二人はなんとか踏ん張って太刀と籠手をそれぞれ構え直し、橋の中央にできた墜落跡(クレーター)を挟んだ逆側から「もっと本気を見せろ」という熱視線を向けてきているイノケントへと油断なく何時でも突撃できるように、同時に何処から不意打ちが来ても回避できるように半前傾姿勢になって睨みつける(ロックオン)

 

「ははは。 まあ確かにそうだな。 先程のスバル・ナカジマは割り込みの不意打ちだったとはいえ、この俺に確かな一撃を入れたのだからな。 ……だが、彼女よりもずっと数多くの強者と戦って打ち倒してきた主人公(お前達)ならば、まだまだ()れるだろう?」

 

イノケントはそう少し失敬だったなと肩を竦めて言いながら先程のスバルとの戦いで彼女の鉄拳を受けた腹部を摩り、そのままその手を外套の懐に入れるとその中から長方形状の二重層構造携帯端末機の型をした戦術オーブメント──《PARAISO(パライゾ)》を取り出す。

 

「さて、次は魔法攻撃も交えてゆくぞ……《PARAISO》駆動(ドライブ)開始だ!」

 

「っ! そうはさせるか!!」

 

イノケントが《PARAISO》を片手に持ち掲げて、導力魔法(アーツ)発動の為の駆動詠唱をしようとしたその刹那、詠唱陣が出る前にリィンが先に動いた。

 

八葉一刀流──()の型、疾風(はやて)

 

太刀を肩の上に振り掲げて突撃の構えを取ったと同時に一陣の疾風と化して、“火”を想わせる赤色の詠唱法陣を足下に展開し駆動開始した魔王へと駆け出す灰色の騎士。 常人の動体視力では疾走する姿すらも映すことは適わない、縮地の歩法をもって一息に相手へと距離を詰めて斬り抜けるという、八葉一刀流の“七つの基本の型”の中で最速の太刀が第()の型《疾風(はやて)》である。

 

──導力魔法(アーツ)など撃たせてたまるか! 相手の駆動(ドライブ)が完了する前に最速の一太刀で──

 

「──(はや)いな……だが──遅いッ!

 

「何──ッ!!?」

 

その刹那、誰の目にも映らぬ疾風の速度で駆け出したリィンは加速する世界の先にとても信じられない衝撃の現象を視る。

 

浮遊首都高橋の端からその反対側の端に立つ相手まで約200mもあるが、彼は1秒と掛からずに橋の中央にある墜落跡(クレーター)を踏み越えて来ている。 だがしかし、驚く事にイノケントはそれよりも早くほぼ無詠唱(ノータイム)で詠唱駆動を完了させて攻撃導力魔法(アーツ)を発動させていたのだ。 しかも──

 

「《ファイアボルト》──三重発動(トライバースト)ッ!!

 

──そんな馬鹿な、()()()だと────ッッ!!?

 

中距離(ミドルレンジ)に迫ったイノケントの正面に三重の術式法陣が展開され、そこから火属性の下級攻撃導力魔法(アーツ)──《ファイアボルト》が三発矢継ぎ早に撃っ放たれて来るのを見てリィンは常識外れだという驚愕を露わにした。 真正面一直線のコースとはいえ文字通り風よりも(はや)い速度で駆け抜けているリィンへと精確に直撃する計算された弾道、しかも三発共通常のファイアボルトより三倍以上もの大きさがあるうえに耳を劈くような発砲音が遅れて響いてきた事から音速(マッハ)など優に超える弾速だ。

 

「クッ──!!」

 

リィンは音よりも速く迫り来る三発の巨大火球を目前にして苦難を示すように表情を歪めると脚捌きを駆使する事で高速を維持したままジグザグの曲がり(カット)を連続で切ってみせ、流麗な雷軌道走法(サンダードリフト)で巨大火球を三発全て擦れ擦れに絶妙回避。 左・右・左と身体を掠った三発の巨大火球がすぐ後方の路面に着弾して橋を爆砕する。 天地が激震する程の猛烈な爆風を背中に置き去りにしてブッチ切り、文字通り疾風迅雷の如き加速度で橋の先に待ち受けるイノケントの懐へと踏み込んだ。

 

──導力魔法(アーツ)三連発動(トライバースト)には驚かされたが、魔法使用後の硬直で相手に隙が生まれるだろう。 この速度の踏み込みの一太刀なら、まともに入れば幾ら魔人級だろうと一溜りもない筈──

 

リィンは雷速の疾風と全身から溢れ出る灰色の神氣を伴った一太刀をイノケントの肩口から袈裟に振り下ろす。 さすがにこれで仕留められるとは甘く考えていないが、少なくともこの一刀で大ダメージを与えられる自信があった……だがしかし、振り下ろした緋色の刃はガキィィン! という鈍い金属同士の衝突音を鳴らして虚しい火花を散らせた。

 

「な……に──ッ!!?」

 

あまりにも衝撃的な攻撃結果を瞳に映したリィンの双眸が唖然と大きく見開かれていた。 相手の急所(クリティカル)に確実に入ると思われた疾風(はやて)の一太刀は即座にイノケントが振り翳した()()()()()によっていとも容易く受け止められたのだ。 しかも驚愕すべき事にリィンが己の内から練り上げた“異能の力”を用いて最強の太刀である《神刀【緋天】》に雷速の威力を上乗せして振り下ろした、その一刀は並み居る実力者でもまとも受ければ数字化して少なからず数十万以上もの超過ダメージを確実に与えられる超過必殺(オーバーキル)級の攻撃であったが、しかしそれ程に規格外な斬撃を有ろう事かこの埒外級の魔王(バカ)は防具の一つも付けていない生身の手首を盾にして切り落とされるどころか全くの無傷で受け止めてみせたのだった。

 

「くはは! 初見で《PARAISO》の導力魔法三重発動(オーバルアーツ・トライバースト)を躱したのは見事だった。 流石は帝国の英雄《灰色の騎士》にしてかの八葉の《剣聖》たるリィン・シュバルツァーだ。 ……だが、しかし惜しかったな。 生憎この程度の生半可な戦技(クラフト)じゃあ、この《次元魔王()》の鋼鉄の肉体には掠り傷一つ刻む事は適わなんぞ」

 

「嘘……だろう……」と未だに到底信じられないという呻き声を漏らすリィン。 彼の【滅・疾風】を受け止めた衝撃が心底愉しそうに嗤うイノケントの背を通り抜けて橋の切れ端から数百メートル先に漂っていた崩壊ビルの側面に巨大な蜘蛛の巣状のクレーターを造ると同時にそのビルがビリヤードの球の如く遥か後方の彼方へと弾き飛ばされて行っている光景がその戦技の威力を物語っている。 これを難なく素腕で受け止めてみせたイノケントの肉体は鋼鉄(メタル)どころか金剛石(ダイヤモンド)をも凌駕する硬さだろう。

 

──この男が持っている未知の戦術オーブメント《PARAISO》による身体能力強化機能によるものか、それとも何らかの“現世の(ことわり)から外れた異能”による恩恵か……いずれにしても、やはりこのイノケントという男は()()()()()()()()()()()()()

 

『──リィン! 一旦ソイツから離れてくれ!!』

 

「っ!?」

 

イノケントの左腕に《神刀【緋天】》の刃を圧し付けて鍔競り合いをしつつ相手が人の(ことわり)から外れた存在である事を疑っていたリィンの脳裏に念話のような声が響いてくる。 その声の指示に従って、咄嗟に脚の力を緩めてわざとイノケントの左腕に薙ぎ払われる事でリィンは相手の間合いから後方へと大きく飛び退いて行く。 先程の巨大ファイアボルト三連射によってイノケントが立っている端から10m前方までは既にもう崩落していた為、薙ぎ飛ばされて行ったリィンは『天地崩壊・神々の黄昏(この世界)』のルールに従い()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そのまま真っ直ぐと鼻先の浮遊流木へと向かってスッ飛んで行き、ほぼ一瞬でイノケントから十分な距離を確保した。

 

そして上空を見上げてみると、リィンが《疾風》で駆け出した時から既に移動していたツナが浮遊ファミレスの屋根の上に構えていて、《Xガントレット》を装着した右掌をイノケントの頭上へと向けて突き出すように狙いを定め、発射体勢を取っている姿が確認できた。

 

「ふはははは! 成程よなぁ。 先程の戦いの中でお前達二人が開眼させた、意識下(アナログ)の意志共有での接続による“疑似戦術リンク”か?」

 

「今頃気付いたところでもう遅い! これでも、くらえっ! X(イクス)カノン──ッッ!!!

 

天から轟かす威勢で叫んだツナの突き出された右掌からギャギャ!! という発砲音が鳴ると共に凄まじい速度を伴った炎の砲弾が二発撃ち出された。 それに込められた熱量はイノケントが放っていた巨大ファイアボルトの三倍以上はあるであろう(おお)きさで、大気圏から落下して来る隕石にも見紛いそうな迫力だ。

 

「いっけええええええーーっ!!」

 

ツナが大声をあげて《Xカノン》の勢いを増させる。 二発の火炎流星弾が熱量を上げて激しく燃焼し、煉獄の大空を丸ごと橙色(オレンジ)の輝きで染め上げながら超加速。 不意を突かれて崩落寸前の浮遊首都高橋の上から逃げ遅れ、その場に足を縫い止められて一瞬回避不能状態を曝したイノケントへと頭上から直撃した。

 

「ぬおおおおおおッ!!」

 

イノケントは負けじと両腕を大きく広げて己の鋼鉄の肉体全てを使ってXカノンを二発共受け止め、雄叫びをあげて気合い一発押し返そうとするが、勢いは止められず忽ち足場にしている浮遊首都高橋ごと炎の中に飲み込まれて、そのまま大爆発を起こした。

 

「やった? ……いや、全然駄目か」

 

「どうやら、そのようだな……」

 

爆心地点から直接的な被害を受けずに爆風が届く程度に離れた浮遊ファミレスの屋根の上からキノコのような形をした爆煙に覆われた爆心地点を見下ろすツナはXカノンがイノケントを直撃した手応えを確かに感じたのだが、その直ぐに爆煙の中に浮かんだ人影を見つけて眉を顰めた。 爆風に煽られてツナが足場にしている浮遊ファミレスの側に流されて来た浮遊流木の上に居るリィンも見据えた爆心地点から流れてくる益々と(おお)きく膨れ上がった魔王の圧の気配を感じ取って険しい呟きを漏らしている。

 

すると爆煙の中の人影が手にしている棒状の何かを一振りしたと同時にその人影を中心の目にして爆煙の中から天に突き破る一陣の大竜巻が発生し、直前の爆発の余波に巻き込まれて大小無数の残骸と化して散らばった周辺の浮遊障害物諸共に爆煙が全体纏めて吹き消されていく。 その中から人影の正体であるイノケントが轟々と吹き荒れる極光の威風を全身に纏いて現出。 その鋼鉄の肉体には少しの傷も付いておらず、焼け煤が被った顔は更に色濃い喜悦に染まっていた。

 

「ふはははは! なかなか上々だな♪ 二人共、今の連携は大変素晴らしかったぞ。 数刻前に出会ったばかりである相手同士なのにも係わらず、百戦錬磨の経験と培われた能力を最大限に発揮し、もう既に阿吽の呼吸に近しい相互伝達を獲得している程とは、予想以上だったよ。 流石は歴戦の若き英雄達だ。 まったく何度惚れても、益々惚れ惚れしてしまうよなぁ♡」

 

「好色に染めたような目をこっちへと向けて、気持ち悪い事を言うんじゃない」

 

「それに、最大炎圧(X BURNER)じゃなかったとは言え、まともにオレの全力の炎を受けておいて、ノーダメージでそんなにケロっとしていて、オレ達を高く評価するな。 お前本当は馬鹿にしているだろ?」

 

「ククク、それは失礼した。 だが断じてお前達(英雄)を馬鹿にできる筈があるものか。 お前達が過去に乗り越えてきた苦難の戦いや試練、理不尽なる悲劇や運命の数々を想えばな……」

 

「どうにも()せないな……お前はどうしてそこまで俺達の事情に詳しいんだ? 俺達の事を執拗なまでに“英雄”と褒め称えて心酔するのは何故なんだ?」

 

「前者の質問については、流石に()()明かしてやる訳にはいかんよ。 後者の質問についてなら、英雄を愛しているからだッ!」

 

「「何故、そこで愛ッ!!?」」

 

一瞬素っ頓狂になった主人公二人分(リィンとツナ)のツッコミ声が(ハモ)って重り終末の世界全体に響き渡った。 真剣に受け答えしているつもりなのにどうにも話がズレる所為で、上下で向かい合っている二人とイノケントの間に緊張感を欠けさせるビミョーな空気が流れている……だがしかし、他愛ない日常の中でならグダグダになって済む事だが、此処は未だに戦場である。

 

「さて、我が愛しの英雄達と他愛ない対話を続けるのも素晴らしく有意義な体験になるとは思うが、光の魔王()英雄(お前達)が苦難の最中で発する輝き(ヒカリ)()でたいのでな。 故に戦闘を続けるとしようか……」

 

イノケントがビミョーな空気を断ち切って、またまた《PARAISO》を手にした左腕を天高く掲げてみせる。 すると《PARAISO》の表面の電子画面(ディスプレイ)一瞬発光(フラッシュ)して、その直後に巨大な地震音が鳴り響き出した。

 

「なな、何だ……!?」

 

「お前、いったい今度は何をしたんだ!!」

 

リィンとツナは地上から湧き上がるようにして聴こえてきた大量の岩雪崩が起きたような地震音に耳の鼓膜を激しく叩かれて、痛烈な耳鳴りを両側から両掌で強く押さえつけながら、この事象を意図的に起こしたのであろう相手へと非難する視線を刺し、その詳細について問い詰める。 上空に居る為にどれだけの震度で揺れているのかは判らないが、約5000m上空まで耳に堪らないような地響きが届いて来ているのだから、大震災規模の大地震が地上を襲っている事は想像に難くはない……しかしその想像は大きな間違いであった。

 

「ククク、先程言った筈だよなぁ。 天地崩壊・神々の黄昏(この世界)』は俺の創造した支配領域(テリトリー)だ。 故に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだよ……例えば、このような風にな──ッ!!

 

イノケントがまだまだ英雄達と戦える悦びに興奮し過ぎて網膜が色濃く血走る程大きく見開いた両目の眉間に刀印を結んだ右手を添えてみせる。 すると終末の世界の天の中心に座して下々を睥睨していた巨大方陣に刻まれた十干十二支を示す漢字が紅白(あかじろ)い輝きを放ち出し、その文字が肉眼では読めなくなる程にまで回転が急加速されて光の車と化し、方陣全体が紅白の極光で塗り潰される。 その姿はまるで終末の世界の最期に破滅の光を差す灼光の太陽のようであった。

 

そして右手の刀印を一度解いて眉間から離し、握り携えていた鞘付き長軍刀《信長》を外套の内に一度佩き戻した左手と共に胸の前で組合わせ、九字護身の印を結ぶ次元魔王──(りん)(ぴょう)(とう)(しゃ)(かい)(じん)(れつ)(ざい)──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──・(ぜん)!!

 

 

天覇星群(てんはせいぐん)──顕象(けんしょう)ッッ!!!!

 

ズドドドドドドドド──ッ!!

 

イノケントは九字全ての護印を結び終えると、これまでのものとは全く響きが異なった号令(オーダー)を高らかに発令した。 その直後、地上から聴こえてきていた地響きが唐突と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に取って代わり、そして遮る浮遊障害物を貫破して真下から高速上昇して来た“巨大な直方体の大群”の姿を目の当たりにしたリィンとツナはそのあまりにも非常識的な光景に思わず言葉を失ってしまった。

 

「な……に……いぃィィッ!!!」

 

「真下に見える都市に建っていた……沢山の高層ビルを……!!」

 

常軌を逸脱した景色に大きな戦慄を露わにする二人の視界に映るのは、見渡す限りの【浮遊超高層ミラービル】の群団──その総数はざっと1000棟を超え、その全てが20階層以上もある巨大ビルディングであり、それがイノケントの後方に葬列して煉獄の大空を天上から奥まで埋め尽くしていたのだった。

 

己の意のままに動く超巨大な下僕を大軍で従えた魔王の姿は言葉にできない程に圧巻であった。

 

「ふはははははー! さあ、三世界の若き英雄達よ。 此処からが魔王との戦いの本番だぞ。 これまで以上の不撓不屈の勇気をもって、見事乗り越えてみせるがいいッ!!」

 

その宣言と共に再度全身に莫大な霊圧を纏ったイノケントが激しくはためかせた外套の内側から再び《信長》を鞘ごと抜き放つ。 ブレーキが破壊された暴走列車の如く止まる事を知らない愉悦に全身全霊を浸り尽くして高嗤い続ける彼は人為的に超創生爆発(ビッグバーン)を起こして全宇宙を破壊し新たなる宇宙を再誕させる程の規模(レベル)で滅茶苦茶に身勝手な期待をこれでもかと込めて、左手に高く掲げた《信長》の切っ先(鞘尻)を上から戦慄が解けないままの揺らいだ目で見下ろしているリィンとツナへと向けて盛大に振り下ろした。 それに合わせて同時に彼の後方いっぱいに従えられていた浮遊超高層ビルの葬列が皆一斉に屋上(矛先)の照準を二人の主人公(ヒーロー)へと差し向けて、ミサイルのような猛烈な勢いをつけて発射されるのだった……。

 

 

 

 

 




う~ん、このペースで行けばあと2・3話あたりでプロローグ編を書き切れる……かな?(イノケント(バカ)がどれだけはっちゃけてくるかにもよるし(汗))


“炎の軌跡講座”は今回もお休みです。


代わりに活動報告の方でアイデア募集第二弾を開始しました。 興味のある方は活動報告の募集内容をご確認の上、よければ是非コメント覧にアイデアの応募をお願いします♪


では読者の皆様、今年も『英雄伝説リリカルREBORN! (えん)の軌跡』をどうか応援よろしくお願いします!

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