英雄伝説リリカルREBORN! 炎の軌跡   作:蒼空の魔導書

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今回は一話全体通してバトル描写です。

活動報告の募集で御応募頂いたリィンとツナのコンビクラフトが登場します。(貴重な時間を使ってアイデアを考えてくれた【ポトフーポット】さん、今一度御礼申し上げます。 御協力ありがとうございました!)




天地無用の超熱戦! Wヒーロー(リィン&ツナ) VS 次元魔王(イノケント)

ドドドドドドドドーーーッッ!!!

 

煉獄の大気と瘴気を無数の20階以上の高層ビル群が突き貫き、怒涛の如き勢力音を轟かせながら突撃して来る様は塔並の巨大釘が豪雨となって降り注いでくるかのような圧倒的畏怖を感じさせてくる。

 

「幾らなんでも無茶苦茶だろう!」

 

凡そ60アージュ(m)以上もの特大の体積を持った四角柱の鉄物が千を超える大規模の量で迫り来るという非常識極まりない光景を真正面から受けて衝撃的な動揺を覚えたリィンが大きく開かせた双眸の瞳を戦慄に揺らがせて不条理を叫ぶ。 彼に並び立つツナも声を失って全身から大量の汗を流し出しているという有様だ。 この攻撃はあまりにも超常災厄的で迎え撃つにはとても人の身に余り過ぎている。

 

──だけど、退く訳にはいかない!

 

──ああ、死ぬ気で突破するッ!

 

「「うおおおおおおおおっ!!」」

 

高層ビルの流星群が殺到すると同時に死ぬ気の腹を括り、二人の英雄は勇猛な雄叫びをあげると再び灰色(グレー)橙色(オレンジ)の閃光と化して果敢に飛び出して行く。 神氣合一の霊力で練り上げた“勁”と死ぬ気の身体強化で人並み外れた脚力を発揮した両雄が蹴った浮遊流木と浮遊ファミレスが同時に爆散し、強烈な爆風に背中を押されて加速をつけた二人は高層ビル流星群の隙間を縫うようにして雷鳴の如く突っ切る。 『天地崩界・神々の黄昏(この世界)』の(ルール)を利用して避けたビルの側壁面を駆け抜け、散弾のように次から次へと飛来するビルからビルへと飛び移り、絶妙に回避不可能な弾道(コース)に突っ込んで来るビルや浮遊障害物は邪魔な部分を一刀両断・炎拳粉砕して貫いた風穴を突き抜ける。 それを閃光の(はや)さと“疑似戦術リンク”を駆使して繰り返しつつ高層ビルの流星群の中を見事無傷で突破し、その先で待ち構える《次元魔王》イノケントへと音よりも速く向かって逆に二色の流星突撃(メテオストライク)をお見舞いしてやる。

 

「「イノケントォォーーーーーッ!!」」

 

「ふはははははーー! やはりこの程度は突破してみせるか。 そう来なくてはなっ!!」

 

物理的に破壊不可能の結界をも斬り砕く神氣の膂力で振り下ろされる《灰色の騎士》の閃光の一太刀、“究極の一撃”以上の炎圧を放つ神炎の籠手(ガントレット)を死ぬ気で相手を倒す覚悟と共に握り突き打つ《ボンゴレⅩ世(デーチモ)》の火を吐く鉄拳。 対して自身の大技(強クラフト)の一端である『天覇星群』を勇気と覚悟をもって見事突破してきた二人の英雄に呵々大笑で賞賛し、その英雄の輝き(ヒカリ)を喉が潰れそうな程に称えて過剰な敬意を払いながら魔の威力を存分に込めた鞘付き長軍刀で迎え撃つは《次元魔王》。 異次元の攻撃同士が煉獄の大空の中心で正面衝突し、彼ら三人を中心に超新星爆発(スーパーノヴァ)にも見紛う球体大爆発が巻き起こされた。 終末の世界が半壊する程の大規模な衝撃爆風だったが、リィンとツナはこの程度でどうにかなるような柔い死線を伊達に越えてきてはいないし、後方に残してきたなのはとスバルやこの世界の何処かしこに散らばっている仲間達への心配もあったが今は無事であると信じて戦闘に集中する他ない。

 

煉獄の大空を包んだ爆煙の中から絶え間なく剣戟や連打による壮大な乱撃騒音(ラッシュサウンド)が鳴り響き、凄まじい威力と速度で得物同士が打ち合わされる度に生じる衝撃風が爆煙を吹き飛ばして消失させる。 その中心に現れた浮遊小島の上でリィンとツナがイノケントと壮絶な超高速打ち合い(ハイスピードラッシュ)を繰り広げていた。 “武の(ことわり)”に触れた達人の手で振るわれる絶技によって灰色を纏う刃が綺羅綺羅しく閃き舞い、裏社会に流される血の争いで齎されてきた数多の悲しみを止めてきた調和の橙炎を灯す絶拳の乱打によって百花繚乱の橙色花火が咲き乱れ、そして百戦錬磨の猛者たるその二人が緋色の絵画(おおぞら)に描き出す輝き(ヒカリ)の軌跡をも魔王は鞘付き長軍刀の大筆を手に魔速の暴威をもって縦横無尽と乱雑に引き書いた群青色の斜線でその上から塗り潰した。

 

「むむっ。 歴戦を乗り越えて磨き抜かれた電光石火の如き剣閃と疾風怒濤の如き連撃による攻め入る隙間を見せぬ攻勢は大変素晴らしい。 だがその程度の輝き(原稿)じゃあ()()()──ッ!!

 

「「ぐ──ああああああっ!?」」

 

群青色の斜線によって灰色の剣閃と橙色の花火が全て塗り潰されると同時にリィンとツナが全身に無数の打撲痕を刻み付けられながら、浮遊小島から吹っ飛ばされた。 お前は漫画やラノベの編集者か!? と、鞘付き長軍刀を豪快に振り切った体勢で「ワーハッハッハッハ!」と愉快そうに高笑いをあげているイノケントにはツッコミ入れたいが、奴は正真正銘“魔人(クラス)”や“UNLMITED(アンリミテッド)(ランク)”と呼ぶに相応しい、とびっきりの強さだ。

 

──くっ……ツナ!!

 

──分かっているさ!

 

故に幾ら歴戦の勇者や英雄(ヒーロー)が複数人で束になっても、正直に正面から向かって行ってはとてもじゃないが敵わない……ならば思いも寄らない奇策で魔王の度肝を抜いてやる!

 

イノケントが立つ浮遊小島から数百メートル程飛ばされて来た所の宙空には先程彼が『天覇星群』で飛ばした高層ビル群の一部が漂っていた。 その内の屋上面(ほこさき)が丁度イノケントの方へと指し向いていた一棟のビルの上側壁面にリィンが片膝着き(ヒーロー)着地して飛び乗ると、そのビルの背後地下面へ回ったツナが死ぬ気の気合いを込めて額と《大空のVG(ボンゴレギア)》に灯す死ぬ気の炎の純度を瞬間的に上昇させる事で炎圧打撃力を爆上げした右拳(Xガントレット)を全力全開で振り被った。

 

「行っけええええええええ!!」

 

そしてツナの爆炎拳がリィンを乗せた浮遊高層ビルを文字通り大爆発の勢いで()()()()()。 超大型ミサイルが発射されるが如き威容と速度をもって煉獄の大空を爆進し、愉快が止まらず高笑いし続けている次元魔王へと60mの鉄柱を真っ直ぐ突っ込ませる。

 

「フハハハハハハ──」

 

それでも哄笑を止めず、一歩も逃げ出さず、それでいて自身へと凄まじい速度と質量と上側壁面に屈み乗る灰色の騎士(リィン)を伴って飛来した高層ビルの屋上面(ほこさき)を堂々と真正面から見据えるイノケント。

 

(グオォォォオン)──激突(ズッッガアアアアン)!!

 

直後、彼の鋼鉄の肉体は足下の浮遊小島ごと20階建築の巨大鉄柱に圧し潰される事となった。 見事魔王へ直撃した高層ビルはその瞬間に衝突の反動を受けて中部分からへし折れるようにして崩壊。 その刹那に轟いた天をも激震させる破壊音と共に大中小無数の破片となって地上に崩れ落ちていく高層ビル、その一部の成人男性約百人分は有ろう巨きさの鉄塊が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、其処へ合わせてビルが目標に命中する直前に上に跳躍していたリィンが閃光の如き速度をもって五月雨(さみだれ)太刀を刻み込んだ。

 

(れん)ノ太刀──箒星(ほうきぼし)!!

 

斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬────ッッ!! 刹那の剣閃が幾筋走り、鉄塊は人四人分程のサイズの鉄岩に複数分割される。 そしてそのまま流星群(メテオレイン)となって経った今完全に崩れ去った高層ビルの着弾地点に降り注いだ。 鉄の質量と多大な数による一瞬の暴力の豪雨はビルの崩落とともに濛々と蔓延した鉄塵の煙壁を巨大な蜂の巣に変えながらその中に潜む魔王の影を飲み込み、そのまま崩壊都市(クラナガン)の中心に雲を突き抜けて高々と聳え立つ巨大な塔──時空管理局地上部隊本部の上層を直撃した。

 

死者達は踊り、中つ大地の塔は虚しく砕け落ちる……先のJS事件の最中にとある教会の予言者が著書に書き残していた予言の一節が遅ばせながらも現実となった刹那、塔に直撃した流星群が群青色の衝撃波によって爆砕される。

 

「くは、ふはははははは!!」

 

未だ黒漆の鞘に刃を納めたままの《天魔刀【信長】》を右腕一つで豪快に一閃して己を隠す煙を自ら払い除け、上層が折れ砕けた塔の上に無傷の姿を現した次元魔王イノケント。 60mの高層ビルや鉄岩の流星群(メテオレイン)といった人の身の丈に(おお)きく収まらない規模(レベル)の質量の暴力を立て続けに受けておきながら全然ピンピンとして依然変わりなく素敵な笑顔を絶やさないでいるこの男の規格外過ぎる硬さに、数多の巨大異変を戦い越えてきた英雄が二人と言えども畏怖せざるを得ない。

 

「ハァアアアアッ!」

 

それでも世界の未来(あす)を守る為、英雄(ヒーロー)は退く訳にはいかない。 イノケントが反撃に出る前に、リィンの《連ノ太刀・箒星》から間髪入れずに相手の背後に回り込んでいたツナが折れて浮かんだ地上本部上層棟の屋上ヘリポートを蹴り、《大空のボンゴレギア》の両手炎背後放出推進(バーニア)を使った弾丸スピードをもってその背中へと突撃かました。

 

背後からの不意打ちで、煉獄の空を橙色(オレンジ)に焼き焦がし音を貫く弾丸突撃の威勢を乗せた神炎の右ブローを叩き込む──そう思って相手の背中を狙い右拳を繰り出そうとした瞬間、忽ち天辺から凍死させられそうな程の猛烈な悪寒がツナの背筋に走り、彼は咄嗟に上体を後ろに大きく仰け反らす。 その“超直感”が警報した通り、最初からツナの不意打ちを察知していたイノケントが振り返り様に払った群青色の一閃がブリッジ状に反らされたツナの腹上擦れ擦れの空間を引き裂く。 その太刀筋には異次元レベルに殺人的な鋭さがあり、鞘付き軍刀が描いた半月の先数百メートルの空域に巨大な裂け目が刻み付けられた。 その光景を上体反らした体勢で目に入れたツナは一瞬ゾッとさせた目元を浮かべたが、人知を超える事象を生じさせる難敵には慣れていた為に直ぐ様冷静を取り返すと、長軍刀を振り切るイノケントの足下をスライディングで滑り、折れた塔の断層に剥き出していた鉄骨を反射板にして蹴る。 跳弾の如く身を跳ね返えらさせて更なる加速をつけ、得物を振り切った体勢となったイノケントの背後に再び襲い掛かる。

 

しかし身躱しで後ろを突いたツナの跳弾加速パンチをもイノケントは長軍刀の柄尻を脇の下から滑り下げる事で曲技的に受け止めてみせた。 その反動に乗って片足軸に背後へクルっと迅速華麗に振り返ったイノケントと怯むことなく神炎の拳を握り相手の懐へと踏み込むツナが拳と拳を衝突させて、鋼で鉄を打つような鈍く甲高い打撃音が鳴り響き盛大な火花が散った。

 

「くぅ──っ!」

 

死ぬ気の炎のお陰で純粋な攻撃力こそ若干上回らせられたが相手とは体格と筋力の差が開き過ぎていた事により、ツナの拳が打ち負けた。 結果相手の拳に押し込まれ、後ろに仰け反って体勢を崩されて苦悶が浮かんだツナの顔に、イノケントの裏拳が追撃で叩き込まれた。

 

「ぐああああっ!!」

 

イノケントの鋼の拳の甲が減り込んだツナの左頬はドグシャアア! という小気味イイ音と共に圧し潰れ、彼はそのまま痛烈な当たりで地上本部から打っ飛ばされてしまった。

 

「ARCUSⅡ“零駆動(ゼロドライブ)”──《クロノバースト》ッ!」

 

撃退されたツナと入れ替わる(スイッチする)ようにして、後方からリィンが浮遊障害物の間を閃光の速度で飛び交いながら地上本部の折れた塔の上に向けて飛来してきた。 彼は吹っ飛ばされて行ったツナを見てイノケントのもとに突撃する直前の浮遊鉄板の上で一旦踏み止まり、このまま普通に突っ込んでも返り討ちにされるだけだろうなと思って、自身が持つ《ARCUSⅡ》に組み込んで(セッティングして)ある導力魔法(アーツ)を使用し自身に強化(バフ)をかける。 時属性の上位支援導力魔法《クロノバースト》はたとえ使用者の駆動時間がどれだけ遅かろうと既存の導力魔法の中で唯一零駆動(無詠唱)で発動させる事を可能にしていて、使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という超御得な恩恵が得られるのだ。 それ故に──

 

(かさね)ノ太刀──龍炎撃・双牙(そうが)!!

 

連続行動を用いる事で戦技(クラフト)の重ね撃ちが出来る。 リィンは灰色の光線(レーザー)と化して一足飛びの一直線に浮遊鉄板から地上本部の上で待ち受けているイノケントの許へと突撃し、八葉一刀流の(さん)ノ型・秘技《龍炎撃》を()()()()()()()という即興応用技を放った。 宙を翔けながら天高々と振り上げた《神刀【緋天】》の刀身に“双頭を持つ炎龍”がとぐろを巻き天を焼き焦がす。

 

(ゴウッ)─────爆々(ババアアァァン)ッッ!!!

 

そして魔王に接敵すると同時に《灰色の騎士》は双頭の炎龍を巻き付けた刃を豪快に振り落とし、同時に炎龍が双頭同時に牙を剥いて魔王へ襲い掛かった。 左右から大口を開けて挟み込む形でイノケントの鋼鉄の肉体に喰らい付いた刹那、双頭の炎龍が二重の大爆発を引き起こし、彼の規格外に頑強な肉体を特大の業炎で飲み込む。 そのまま足下の地上本部を半壊させる規模(レベル)の爆風で吹き飛ばし、真上に浮遊していた地上本部上層棟をド派手な貫通音を轟かせて突き破り、その内部へと押し遣った。

 

「おおおおおおォォォッ!!」

 

直後、あと一つ吹けば崩壊寸前の有様となった地上本部上に着地したリィンも吹っ飛ばしたイノケントの後を追って真上を漂う上層棟に向いて咆哮し、罅だらけの足下を《ARCUSⅡ》と霊圧闘気(オーラ)と“勁”で三重強化された脚力をもって蹴飛ばした。

 

(ドッ)────崩落(ガラガラガラアアア)ッ!!

 

灰色の霊圧闘気を纏いて《灰色の騎士》が舞い上がったと同時にその超越的強化を施された脚力で踏み砕かれたのがトドメとなり、地上本部は折れた塔の頭から砕け散っていった。 この終末世界の建物はイノケントの近未来戦術オーブメント《PARAISO》のTTO(テリトリーオーダー)システムを用いて位相空間に創造された虚像(ニセモノ)であるので本物の地上本部は当然無事なのだが、先のゆりかご決戦の最中に殉職された先代の地上本部統括にこの光景を見せたら瞬間心肺停止か又は発狂(ショック)死するだろうな……。

 

閑話休題(それはさておき)重力崩壊(このせかいのルール)を利用して一直線に上昇滑空し浮遊上層棟へ到達したリィンはそのままイノケントが突き破った穴から内部へと突入。

 

「フハハハハハハ!」

 

「──ッ!!」

 

斜めに傾いた廊下の床・壁・天井を蹴り高速乱反射で奥へと進むと、エレベーターホールに出た瞬間広場の中央で待ち構えていたイノケントに奇襲を受けた。 新戦技(クラフト)《龍炎撃・双牙》をまともに受けて派手に吹っ飛ばされておいて当たり前の事のようにダメージは軽微の様相を見せながら、ヘッチャラ笑顔ウルトラZで今日もアイアイアイアイヤーと言わんばかりのハイテンションを上げつつ真正面へ弾丸突攻をかまして来る。 相手は陰から不意打ちして来ると踏んでいて予想外の正面奇襲を受けた為、面食らったように喉を詰まらせた顔になったリィンは咄嗟の反応で閃光の太刀を振るい群青色の砲弾(イノケント)を迎え撃った。

 

「《閃光斬(せんこうざん)》ッ!!」

 

「ぬぅぅぅんっ!!」

 

無型の神速二連太刀と戦技の名すら無い渾身の孤月落ろしで振り下ろされた鞘付き軍刀が正面衝突し、特大の火花がエレベーターホールに散りばめられる。 その直後に英雄と魔王両者の姿がピシュン! という空気を切り裂くような効果音が鳴り響くと共に一瞬残像を残してその場から消失。

 

「オオオオオオォォーーーッ!!」

 

「クハハハハハハハーーーッ!!」

 

同時にその階の西側端に在ったパソコン事務室の出入り口扉が木端微塵に破壊され、室内を灰色群青色の閃光が駆け回った。 英雄の雄々しい裂帛と魔王の戯れる哄笑が反響する中で室内中を縦横無尽に乱反射しながら二つの閃光は超速連鎖的に衝突と火花を撒き散らし、室内に置かれていた大量のパソコン事務机を根こそぎと轢き散らかしていく。

 

「そぅらっ!」

 

「ぐあああっ!?」

 

そうして経ったの四秒間で事務室内の物品が一切合切鉄屑と塵山化した直後に散々室内中を暴れ回った二つの閃光は消滅し、それと同時に建物の外が覗ける窓際側に出現したリィンとイノケントが再び互いの得物を衝突させる。 体力も無尽蔵に有り余るイノケントに対し、この激しい高速戦闘で蓄積したダメージにより消耗していたリィンは先程より若干勢い衰えていた。 結果、リィンの太刀はイノケントの鞘付き長軍刀に打ち負けてしまい、彼は背後の窓へ払い飛ばされ背中から硝子を突き破って外へと吹っ飛び、苦鳴を煉獄の大空に虚しく響かせて浮遊地上本部上層棟の近辺を漂っていた浮遊障害物複数を音速の弾丸ライナーで打ち抜いてから約80アージュ飛ばされた先に立ち塞がった浮遊岩盤に巨大な激突陥没跡(クレーター)を形成しながら、その中心に大の字貼り付けにされたのだった。

 

「ハハハハハーーッッ!! これではまだまだ足りんぞ? もっとだ。 もっと強い英雄の輝き(ヒカリ)を俺にぶつけて来いよなぁ」

 

「──なら、望み通りオレの死ぬ気の炎(ヒカリ)をぶつけてやるよ!」

 

砕け割れて地上へと降り注いだ硝子破片粉末(ダイヤモンドダスト)の後を追うようにして窓に空けた孔から外へ飛び出そうとするイノケント……だがしかし、気分最高に嗤いながら英雄達に魔王(じぶん)への更に強い抵抗を求めようとする彼の前方には橙色(オレンジ)の炎を剛に燃え盛らせる左掌(大砲)を構える大空の守護者が待ち構え、獲物を狙う鷹の眼で魔王を射抜きつつ照準を定めていたのであった。

 

右手(ライトバーナー)炎圧。 43万……44万……更ニ上昇! 限界数値領域(レッドゾーン)突入!!』

 

浮遊上層棟内部でリィンとイノケントが大暴れしていた間にバラバラになって舞い上がっていた無数の地上本部の残骸、その中心部は浮遊上層棟全体を狙い撃てる絶好の狙撃位置(ポイント)となっていた。 故にツナは二人が建物内でカチ合っている隙に其処に移動して待ち伏せながら砲撃発射の反動を抑制する右掌の“柔の炎”を後方に()()()()()()()()()でもって逆噴射させていた。 その柔炎のエアバッグは先刻リィンとの合体戦技(コンビクラフト)を決める際に撃ち放った時のそれよりも二倍以上にまで(おお)きく膨張させていて背後の煉獄を丸ごと橙色(オレンジ)に飲み込み、その限界量を越える炎圧の制御には想像を隔絶する程の根気と繊細さを要する様に砲撃手(ツナ)の顔は途轍もない苦悶と大量の汗に塗れている。

 

左手(レフトバーナー)炎圧再上昇。 43万……44万……限界数値領域(レッドゾーン)突入!!』

 

後方に真っ直ぐ突き出された右掌と対角線になるように位置調整しつつ棟壁面の割れて吹き抜けた窓際に顔を出したイノケントに両眼のコンタクト型ディスプレイの照準を合わせて前方に左掌を突き向ける。 全身を支える右手の“柔の炎”と同等に砲門である左手にも“剛の炎”を()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 指の間が千切れそうな程力強く開き翳した《Xガントレット》の甲に施された【X(イクス)】文字の下に嵌め込まれている半球水晶(クリスタル)の中に橙色の極光が極限まで収束され、文字通り“爆発的”な破壊エネルギーを生んでいく。 それは正しく火を見るよりも明らかに砲撃手(ツナ)がまともに制御可能である威力を超えていた。

 

「沢田綱吉……待ち伏せによる不意撃ちの超火力狙撃砲(X BURNER)か。 クハ、面白い──っ!!」

 

『ゲージシンメトリー!! 発射スタンバイ!!』

 

「これがオレの全力全開だ!! くらえイノケント──ッッ!!!」

 

 

X(イクス) BURNER(バーナー) 超爆発(ハイパーイクスプロージョン)!!!

 

 

見せつけてやる、オレの覚悟の全力を! そうはち切れんばかりの咆哮をツナが叫ぶと同時に彼の左掌に極限収束された“剛の炎”が天地をも割る程の爆発音と共に発射された。 神ですらも燃やし尽くしそうな程の超密度となった神炎が極大の光禍と為って終末の世界の総てを飲み込みながら大空の王と彼の仲間に仇名す《次元魔王》を焼滅させんとして爆進する。

 

「ぬおおおおおおおおお──ッッ!!!」

 

対して自身へ向かって放たれて来る砲撃がSランクオーバー級魔導師の集束魔法(ブレイカー)をも凌駕するような果てしない威力であると理解しながらもイノケントはその場から一歩も動かずに直立不動のまま不敵な笑みを浮かべて真正面から堂々受けるという構えを取っていた。 破壊の時告げる暗黒(デストロイブラック)に塗り尽くされし長鞘に納刀させた次元を統べる魔王の剣《天魔刀【信長】》を肩上高々と掲げ、総てを飲み込みながら襲い来る神炎の砲撃に泰然自若と切っ先(鞘尻)を差し向け、雄々しく吼え猛る。 勇者達が魔王からは逃げられないのであれば、魔王は勇者達から逃げない。 退かぬ、媚びぬ、顧みぬ。 尊き英雄の輝き(ヒカリ)を前にして《次元魔王》イノケント・リヒターオディンに後退は無いのだ。

 

(ドウッ)(ギャオオオオ)────爆々(ドガアアアア)ッッ!!!

 

しかして現在のツナが制御可能にしている炎圧数量は脅威の40万FV(フィアンマボルテージ)。 その限界炎圧上限を無理矢理上回らせる超火力砲撃──《X BURNER 超爆発》は今や折れた塔程度など余裕で丸ごと飲み込めてしまう極大閃光に成った。 故にそれは崩壊した地上本部の生き残りであった浮遊上層棟ごと次元魔王イノケントを呆気なく一飲みにして、天から見下ろしている巨大方陣を突き貫く程の巨大爆発を起こしたのだった。

 

終末の世界全体を激震させる天災規模の爆風により浮遊上層棟とその周辺に漂っていた浮遊障害物と地上の街の中心部が粉微塵に吹き飛ばされ、やがて巨大なキノコの形をとっていた爆煙が晴れるとその空間には木端微塵に破壊された地上本部上層棟の残骸破片が宇宙を漂う隕石群の如く無数に密集して、殺風ながらも幻想的な()()()が形成されていた。

 

「──くは、ふははは! さすがに今のは少し効いたなぁ……」

 

その巣の隙間にイノケントは健在していた。 核兵器にも見劣りしない絶大な破壊力を発揮したツナの《X BURNER 超爆発》には《次元魔王》の鋼鉄の肉体もさすがに無傷とはいかなかったようで、彼の身に纏う憲兵軍服の様な群青色の外套衣装は火事場に入ったように黒澄み焦げてボロボロになっていた。

 

──ククク……いやはや、まったくもって我が信奉する三世界の英雄達は素晴らしい事この上ないな。 1200年の時を得た悪意の呪いをもって世界を絶望に染め上げ、数多と枝分かれる並列時空を渡り滅ぼす事をも出来るような難敵を幾度となく打ち倒してきた彼らの力を侮る事など微塵もしてなかったが、まさか“黄昏の七属性”に未覚醒で【(ゼロ)】を得た俺にまともなダメージを与えてくるとはなぁ。 くははっ! 想像以上だ。

 

しかし、そのような手酷い見た目にされて尚もイノケントは愉しそうな嗤いを絶やさない。 光の勇者や英雄達の軌跡で描かれる伝説や御伽噺をこの上なく愛しているこの男にとって、強大な力を持つ敵へと勇敢に立ち向かい、愛や絆でどこまでも限界を超えてくる彼らの輝き(ヒカリ)を自ら身に受けられる事は掛け替えのない悦びなのだから。

 

「ツナ! 《ブレイブオーダー》で畳み掛けるぞ!」

 

(おう)っ!!」

 

「燃やせ──烈攻陣(れつこうじん)焔群(ほむら)》』ッッ!!

 

ほら見ろ。 世界を脅かす魔王になど絶対に負ける訳にはいかないという英雄(ヒーロー)達はまだ立派に立ち向かって来ているじゃないか。

 

岩盤へ吹っ飛ばされながらも瀕死級の大ダメージを根性で耐え切り即座に回復導力魔法(ティアラル)で受けたダメージを帳消しにして速攻反撃に戻ったリィンがツナと合流し、二人で見上げた先の空の巣の隙間から今も大好きなヒーローショーを観ている子供のような無邪気な笑顔を浮かべて英雄(彼ら)がどう勇敢に魔王(じぶん)へ立ち向かって来るのかワクワクしながら眺め下ろしているイノケントを発見する。 遠目で視た様子から相手に確かなダメージは与えられていると確信し、リィンは先刻の《紫焔の武士》との戦闘の最中に三つの世界の壁を越えて集った英雄達の()()が一つに重なった事で()()が起こり手に入れた、彼らの新しい力──《ARCUSⅡ》のシステムへ《ボンゴレギア》と《魔導師のデバイス(コア)》を重複接続(デュアルリンク)させる事で《ブレイブオーダー》の号令(オーダー)効果を別世界の仲間(ツナ達)にも共有可能になった新規集団(ニューパーティ)強化システムを使用して、一気に決着を着けに行く作戦をツナに提案する。 ツナも同じ考えだった為リィンの提案に威勢良く応じ。 リィンが《ARCUSⅡ》を手に取り意気軒昂と号令(オーダー)を発令。

 

リィンの《ARCUSⅡ》のシステムにツナの身に纏っているボンゴレギアが重複接続(デュアルリンク)されて互いに共鳴するような輝き(ヒカリ)を発し出す。 号令発令時の効果により二人(パーティ)気力(CP)が少々回復し、この瞬間から4カウント(分)の間『烈攻陣《焔群》』の号令(オーダー)効果によって二人が繰り出す全ての攻撃に【与ダメージ+25%】が加算されるようになった。

 

「「オオオオオオオオオ──ッッ!!」」

 

そして二人の主人公(ヒーロー)は大気を震わす程の戦意を発すると雄々しく吼え猛り、それぞれ灰色(グレー)の霊圧闘気(オーラ)橙色(オレンジ)の炎圧死気を全身に纏い激しく漲らせると二人同時に閃光の矢と化した。 魔王が待ち受ける空の巣へ目掛け()くと飛び上がって一直線に空を翔ける。

 

「さあ、主人公(ヒーロー)達よ、来るがいい。 ラスボス(おれ)は此処だ──っ!!」

 

光の魔王(イノケント)は勇気の輝き(ヒカリ)をもって強大な“壁”に挑まんとする英雄達を愛している。 故に魔王(ラスボス)として英雄達の前に立ちはだかる。 身体いっぱいに両腕を大きく広げ、大声をあげて自ら主人公(ヒーロー)らに居場所を示す。 世界の中心で愛を叫ぶかの如く、イノケントの挑発が盛大高々と終末の世界中に轟かされた直後、灰色と橙色の光の矢が空の巣の中心を射し貫いた。

 

360度視界周囲を無数の空中足場(地上デブリ)が埋め尽くす鈍色煌びやかな幻想的空間の中で英雄二人と次元魔王の全身全霊が激突。 天地を割く規模(レベル)の衝撃が打ち鳴らされ、彼らの居る位相空間に僅かな亀裂が走る。 ブレイブオーダー『烈攻陣《焔群》』の号令(オーダー)効果の恩恵を受けて因果律的に攻撃力強化されたリィンの刺突太刀とツナの爆炎突拳に、戦艦空母をも一撃粉砕するイノケントの渾身の長軍刀鞘打ちが正面衝突し、壮絶な火花を散らして圧し競り合う。

 

今度は完全に両雄の攻撃力は拮抗した。 それは文字通り爆発的な威力が出ていた為、三人の得物が打ち重ねられた部分に大爆発の如き反発衝撃波が生じる。 その結果、三者の得物は反発衝撃波によって勢い良く吹き飛ばされるようにして弾き返され、それに腕を引かれた三者はバラバラの方向に弾き飛ばされた。 そして再び灰色橙色の閃光と化した英雄二人と群青色(ウルトラマリン)の閃光と成った魔王は周囲に浮き散らばる空中足場に乱反射して空の巣全体を超高速で駆け巡る。

 

プリズムのような乱軌道で空中足場の間を跳び回るイノケントの隣をツナがピッタリと追従し、連続跳躍移動を行いながら両者は互いの手足が多重にブレて映る程の神速肉弾戦を繰り広げる。 ズダダダダーーッ!! という打ち合いの音を途切れなく超速連鎖で響かせながら嵐が過ぎるような猛烈な余波を撒き散らして通り越した軌道の周囲に浮かんでいた小中サイズの障害物を次々と吹き飛ばしていく。

 

並走しつつ神速連打(スーパーラッシュ)を交わし続けながら一軒家程度の巨大鉄岩の上に着地した二人はその瞬間に同時に放った一撃同士をぶつけ、それを反発に利用して両者は互いに距離間を数メートル開けて離れる。 そのまま向き合った二人は再び打ち合おうとしてダッシュで駆け寄ろうとしたが、助走をつけて両者が互いに駆けだそうとした瞬間に二人が足を着けている巨大鉄岩の裏側に回り込んでいたリィンが自らが装備している最強の一太刀である《神刀【緋天】》の唐竹割をもってその一軒家大の質量を持つ足場を一刀両断。 彼のその動きを“超直感”で察していたツナは足下が二つに割れる瞬間咄嗟に跳躍してその足場から離れたが、若干反応が遅れてしまったイノケントは割れた足下の切断面間に脚を取られて嵌り落ちてしまう。

 

真っ二つに両断された巨大鉄岩の切断面間に落下したイノケントに反対側から突入してきたリィンが一閃をもって斬り掛かった。 しかし若干斜め予想外の処から来た為コンマ数秒対処が遅れたものの彼が相方(ツナ)と入れ替わりに不意打ちを仕掛けて来る事はイノケントも予想していた為、左右を切断面に塞がれて避け道が無い所に真正面から振るわれてきた横一文字斬りを鞘付き長軍刀で受け止める。 不意打ちに失敗して歯噛みしたリィンをイノケントは太腕の万力で相手の太刀ごと横片側の切断面に叩き付け、直ぐさまに自身も逆側の切断面に足を着ける。 リィンも背中を猛打されて受けたダメージと衝撃による反動痙攣を呼吸法で緩和しながら叩き付けられた切断面に足を着ける。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と両者は手を上に伸ばせば届きそうな相手と視線を交差させ、その瞬間お互いの剣を同時に頭上の相手へ向けて振り上げる。 上下から鮮鋭なる半月の軌跡を描いた緋色に煌く太刀と黒漆の鞘に納められた長軍刀が互いを振るい上げた剣士の頭上同士の丁度間で打ち合わされ、鉄が交わって鳴らされる甲高い炸裂音が上下の切断面に反響する。 それで二人はお互いに耳の鼓膜へ強烈な刺激を受けるものの、両者怯まずに頭上の相手へと次々に高速孤影斬撃を放ち上げていく。 巨大鉄岩の割れた裂け目の中心で、鮮烈で綺羅綺羅しい半月の軌跡が夥しく踊り狂い、鉄打火花が百花繚乱も赫奕(かくやく)と咲き乱れた。

 

永遠に続くかと思われたリィンとイノケントの熾烈な上下殺陣はイノケントが足着けていた側の鉄岩半分、それに丁度その外側に回り込んだツナが爆裂炎拳(ビッグバンアクセル)を打ち込んで一撃爆砕した事で決着が着いた。 唐突に足を着けていた足場が消滅して斬り合いに踏み留まる場を失ったイノケントはその瞬間にリィンが打ち込んで来た会心の孤影斬撃を鞘付き長軍刀で受けたものの、その直後に齎された反動を押し留める事は足下が宙に離れてしまったが故に不可能になった為、呆気なく痛烈な当たりで群青色の光尾を引きながら派手に打っ飛ばされた。

 

軌道上の空中足場を複数反射して幾何学模様的(メチャクチャに複雑な)軌道を雷鳴の速度で描きつつ巣の上部付近に爆砕音を鳴らしてダイナミック着地を決めるイノケント。 それに続いて彼がニヤリと口角を吊り上げて睥睨した下方より灰色光線(リィン)橙色光線(ツナ)が追撃して来る。 無数に散らばる空中足場を乱反射して(跳び移り渡って)超加速しつつ二色の毛糸がド下手な人の失敗で混絡(こんがら)まってしまった編み物のように()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()しつつ、主人公(ヒーロー)達は左右二手の死角からイノケントへ強襲した。

 

「セイィィッ!!」

 

「ハアァァッ!!」

 

「──フハハッ」

 

ドッ! ガァァンッ! 拳が硬いものを打った音と鉄同士がぶつかる音がほぼ同時に打鳴らされる。 特大の炎を《Xガントレット》に灯し渾身の威力で突き放たれたツナの超鉄拳(右ストレート)は盾にした鋼鉄筋骨の左太腕で止められ、荒海の如く胎動させた灰色の神氣を《神刀【緋天】》の刀身に纏わせながら全身全霊で練り上げた“勁”で限界ギリギリまで筋力を強化し袈裟下ろしたリィンの剛太刀は右手に振り翳した《天魔刀【信長】》の鍔で受けられた。 『天地崩界・神々の黄昏(この世界)』のルールを最大限に利用して空中足場の乱反射超加速を威力に過剰させた二人同時の全力突撃は叩き付けた相手の足下の足場を炸裂と同時に大きく陥没させたが、それ程の重撃でもイノケントはビクともせず黄ばみ一つ無い白歯を見せて嗤いながら容易に受け止めてしまう。 二人でその勢いのまま押し込もうとしても魔人(クラス)の膂力には人の身であるリィンとツナではまるで敵わずにグググと相手に押し返されそうになる。

 

「「負ける──もの(ん)かあああああああああああっ!!!」」

 

護りたい人達や世界がある限り、俺達は絶対に勝つ! そう揺ぎ無き誓いと覚悟を乗せた気迫を主人公(ヒーロー)達が叫んだ刹那、二人の持つ《ARCUSⅡ》と《大空のボンゴレギア》が眩い輝き(ヒカリ)を放った。 残り時間(カウント)1(分)を刻んだ『烈攻陣《焔群》』の号令(オーダー)効果【与ダメージ+25%】がリィンとツナのSTR(攻撃力)に加算されてイノケントのDEF(防御力)を上回り、二人の太刀と炎拳が一気に魔王の鋼鉄腕を押し込んだ。

 

「ぬううううう────ッッ!!?」

 

(ズバゴォォォン)────ッ!!

 

迸る真紅の電光(プラズマ)を生じさせて鬩ぎ合う三人の気迫が周辺の空中足場の表面を剥がして荒れ浮かばせる程に壮絶極まる競り合いだったが、遂に英雄達は次元魔王の力を超えた。 リィンの太刀とツナの炎拳がイノケントの両腕を肩まで押し切った直後に赫灼のような凄まじい赤熱を発し、炸裂。 外側から離れて眺めると空の巣の上部が雷鳴の如き轟音を鳴らして特大の発光(フラッシュ)を一瞬放った様に映される程に途轍もない衝撃(インパクト)でイノケントをド派手にブッ飛ばし、巣の上空まで突き抜けて行った。

 

『ツナ! 今こそ俺達がイノケント(あの魔人)を倒せる唯一の()だと()た。 合体戦技(コンビクラフト)で決める。 やれるか?』

 

『問題無い! 息を合わせていくぞ、リィン!』

 

遥か天空から終末の世界を見下ろしている十干十二支の真下まで吹き飛んで群青色の放物線を描き出したイノケントが背中をこちらに向けて無防備を晒している様子を見上げた二人はこの瞬間こそ魔王(ラスボス)を撃破できる好機(チャンス)だと思い、“疑似戦術リンク”の意識下会話(アナログ通話)で意思共有確認。 この状況に相応しい新たな合体戦技(コンビクラフト)を即興で創り出し、直ちに二人横並びの発射体形を取った。

 

「光の未来(あす)を目指して裂空へと羽ばたけ、(ほのお)を纏いし(つばくろ)の群れよ!」

 

右に、緋色に煌く刃を静寂と鞘に納めて居合い抜きの構えを取る《灰色の騎士》。 (はや)く飛ぶ(はやぶさ)を墜とさんとするように狙い澄ました鋭利な眼で巣の上空の《次元魔王》を射抜き、【神氣合一覚醒状態】により全身から発せられている灰色の霊圧闘気(オーラ)に“暁色をした焔”のような闘気を重ね纏う。

 

「その焔に闇を切り裂く一閃の生き様と大空を守護せし覚悟を宿して、天の星々を穢す魔を貫け!!」

 

左に、左拳に装着している神炎を灯す籠手(ガントレット)の甲を眼前に掲げて、その中心に施された【(イクス)】の数字を見せ示す《ボンゴレⅩ世(デーチモ)》。 煉獄の天に群青色の軌跡を描く《次元魔王》の背中を撃ち抜かんとする狙撃手(スナイパー)の如く極限に集中された双眸をもって見据えながら両脚を開いて足下をどっしりと踏みしめ、額に灯る死ぬ気の炎が両翼を大きく広げ飛翔する燕を形造る。

 

並び立つ主人公(ヒーロー)二人が纏う灰色の霊圧闘気と橙色の炎圧闘気が同調(シンクロ)するように激しく胎動して漲りながら増大と共に一つに合わさり、絢爛なる焔の翼を広げる緋燕(ひえん)と成った。

 

「「(ソラ)()()(ホノオ)(マト)飛燕(ヒエン)斬空(ザンクウ)──緋炎奥義(ひえんおうぎ)緋炎裂空天翔(ひえんれっくうてんしょう)ッッ!!!」」

 

そして二人で合体戦技(コンビクラフト)の名を言い放った刹那、満を持してリィンが抜刀し、ツナが掲げた左拳を振るい薙ぐ。 すると左右一閃に“(えん)の軌跡”を描き出した緋色に煌く神刀と神炎を灯す籠手(ガントレット)から焔を纏う無数の燕が飛び出し、群れを成して裂空へと飛翔したのだった……。

 

 

 

 




あとがきコーナー『リリカルマジカル復活(リボーン)! 超絶最強ヒロイン、アリサちゃんの“炎の軌跡”講座!』第6回



アリサちゃん「ヘイ、お待ちどう! 【超絶最強ヒロイン、アリサちゃんの“炎の軌跡講座”】第6回目のお届けよ♪」

グナちゃん「サテサテ。 ゼンカイマデデ、コノショウセツノシュジンコウトメインヒロインコウホヲダシタコトダシ。 ソロソロキャラクターショウカイイガイノヤレヨナ」

アリサちゃん「ん、待てーいッ!! まだメインヒロイン候補にはこの超ヒロイン、アリサ・ラインフォルトちゃんが居る事を忘れてもらっちゃ困r──」

グナちゃん(ミニレバ剣でシバく)「シデンイッセン!」

アリサちゃん(シバかれた)「ンギャー!?」

グナちゃん(威圧)「ムダナモジスウヲツカウナ。 サッサトコウザハジメロ」

アリサちゃん(泣きそうに項垂れて)「うー。 分かったわよぉ。 チキショー」

アリサちゃんがグチグチ言いながら頭上に垂れ下がった紐を引っ張ると、天井から導力スクリーンが降りてきて【西ゼムリア大陸】の世界地図が投影される。

アリサちゃん(気を取り直し)「てな訳で、今回はこの小説の舞台であるクロス元三原作の世界観をざっくり簡単に教えちゃうわね♪ まずは私やリィン達トールズⅦ組や歴代シリーズの若き英雄(ヒーロー)達が数々の人間関係ドラマや強大な陰謀・強敵との激闘を繰り広げてきた『英雄伝説 軌跡シリーズ』の世界からよ!」

アリサちゃん(知的女史っぽく見える伊達眼鏡を掛け、指し棒で世界地図を差しながら講義開始)「《ゼムリア大陸》──空の女神《エイドス》への信仰により人々の秩序が成り立つ祝福の大地。 しかし、大昔に空の女神より授けられた《七つの至宝(セプト=テリオン)》を元手に古代人達が様々な理想を追求しようとしたのだけれども、人間が持つ底無しの“業”の所為で人の手に余る程に文明を発展させ過ぎてしまった結果、《大崩壊》が起き、繁栄を極めていた古代文明は消失されたの。 それで大陸各地で戦乱の勃発や魔獣の出現などにより人々の生存環境は過酷極まるものへと一変し、長い間“暗黒時代”の荒波に苛まれる事となった……けれど、空の女神を奉じる《七耀教会》によってゼムリア大陸新人類に新たな秩序が創られたり、次々と歴史に名を残す大英雄らが誕生して世界各国の戦乱を平定したり、“技術の父”と称された世紀の大天才発明家《C(クロード)・エプスタイン》博士の手によって《導力器(オーブメント)》が生み出された事で人々の生活基盤を一変させる技術革命が起こされたりして、実に1200年以上もの長く苦しい時を乗り越えたゼムリア人達は再び豊かな生活を取り戻す事ができたのよね」

グナちゃん「オオッ!? オマエニシテハイガイトテイネイナセツメイダナ──」

アリサちゃん「そんなこんなで、導力技術で自分の能力を自由にカスタマイズできる《戦術オーブメント》やRPGお馴染みの飛行艇が造られたり、《身喰らう蛇(ウロボロス)》や《D∴G教団》や《黒の工房》等といった怪しい化物人外集団が大陸各地で暗躍して世界をメチャクチャにするような超常事件を起こしたり、大昔の人の業から生まれた悪意の怨念がヤバ過ぎる呪いを振り撒いて現代の人々を強制的に破滅確定争いの道へと向かわせたり、チート過ぎる古代遺物(アーティファクト)で一国中の導力を停止したり夢の世界に大勢を取り込んだり因果律を捻じ曲げたり、スーパーロボット大戦が行われたり、スーパーバケモン大戦が行われたり、スーパーOTONA大戦が行われたり、etc.etc──要するに何でも有りなカオスな世界なのよ☆ 以上ッ!!」

グナちゃん「──ッテ、ケッキョクテキトージャネーカヨ。 チャントマジメニヤレ!!」

アリサちゃん(自棄っぱち)「だってだって! 私の世界ってば、科学と魔術が交差するだけじゃ飽き足らずにマジカル武術やらSF系やら超常ミステリーやら異世界やら大怪獣やらOTONAやらOYAZIやらと、矢鱈滅多に混ぜ過ぎて本当に闇鍋(カオス)なんだから仕方がないじゃないのよ!? 遊○王カードのカード効果処理のように、一見複雑そうな内容に見えるけど複雑なの! 原作ゲームの方でもまだまだ明らかにされていない設定も多いんだし、一から十まで説明したら確実に本文の文字数を超えちゃうわよ!!」

グナちゃん(あんぐり)「マジカヨ……ソノナイヨウデイテ、ヨク18ネンイジョウモゲームシリーズガツヅクモノダナ……」

アリサちゃん(どーしょーもないなと言いたい表情)「どうせその辺については本業の歴史教師(オタク)であるリィンや古代ゼムリアの神秘や遺物の知識に詳しい七耀教会騎士であるガイウスとかが本編でちょくちょく説明するのでしょうし、今はこれで納得しておきなさい」

アリサちゃんが手元のリモコンを操作し、導力スクリーンに映る西ゼムリア大陸の世界地図が【並盛町】の風景写真に切り替わる。

アリサちゃん「んじゃ、次は『家庭教師(かてきょー)ヒットマンREBORN!』の世界ね。 と言っても原作漫画は現代活劇物だから、表面上は画面の前の読者(貴方)達の現実世界とあまり変わらない地球よ。 間違ってもチートな陰陽師や魔法使いが居る日本が第二次世界大戦の戦勝国になってなんかいないし、急に日本列島爆散したなんて事も無く、至って普通に日本やイタリアが存在しているわ」

グナちゃん「フムフム、ソレデ?」

アリサちゃん「表社会は平和そのものなんだけどね。 REBORNの世界は無法が蔓延る裏社会に生きるマフィアや殺し屋といった反社会的勢力(シンジケート)が強大な力を持っているのよ。 彼らは水面下で世界の行く末を取り仕切り、年がら年中血生臭い抗争を繰り広げているわ。 このコーナーの第3回の時に原作主人公の《沢田綱吉》君をゲストに呼んで彼らマフィアの力である【死ぬ気の炎】について概要の一部を解説したでしょう? あの力はマフィア達が世界の裏で幅を利かす事が出来ている要因の一つなのだけれど、これも含め裏社会の超技術や異能力を表に明かす事はマフィア界の掟(オメルタ)で厳しく禁止されているわ。 もし掟を破れば裏社会の番人《復讐者(ヴェンディチェ)》によって粛清されてしまうのよ」

グナちゃん「ブッソウダナ……」

アリサちゃん「そうよねぇ……まあ、そんなおっかない掟があるのに、並盛町のマフィア関係者は意外と気にしない様子で日常的に人前で派手に暴れているのよね。 リボーン君は1歳の赤ん坊の姿なのに普通に一般人と喋ってるし、ツナヨシ君は人前でも死ぬ気モード化してパンイチになって暴れているし、ゴクデラ君は何所でもダイナマイト投げるし、ヤマモト君は常識人に見えてもバットに刀を仕込んでるし……そもそも、不良風紀委員の中学生達が町を取り締まっていたり、爆弾魔が大手を振って建物を爆破しまくっていたり、明らかに不審者な黒服スーツの人達が白昼堂々と出没しているのに、一般人や警察は普段事のようにスルーしちゃってるのよねぇ。 つまり一言で言い表すとカオスな世界だわ☆」

グナちゃん(ガクッ)「オイオイ、マタカオスカヨ」

アリサちゃん(フッ……のポーズ)「赤ん坊が殺し屋で家庭教師やってる時点で常識外(カオス)でしょうが。 わかったら最後のに進むわよ」

アリサちゃんが再び手元のリモコンを操作して、導力スクリーンに映る並盛町の風景写真が【首都クラナガン(『天地崩界・神々の黄昏(ディザスター・ラグナロク)』領域化)】の生中継映像に切り替わった。

アリサちゃん「ラストは本編のメイン舞台となる『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の《次元世界》を解説するわ!」

グナちゃん(白目)「オイマテ。 コノエイゾウッテ、ホンペンノナマホウソウジャネエカ?」

アリサちゃん((トラップ)カード【スルースキル】発動)「《次元世界》というのは“次元空間”を通じて行き来可能である多元宇宙や惑星世界群の総称よ。 次元世界はなのはさんやスバル達が所属している《時空管理局》が法を定めて厳重監視と災害対応を執り行っているの。 何故なら次元世界には【魔法】や【ロストロギア】などといった人の身に余る異能・異端技術が存在している為、それらの力が凶悪や身勝手な人間の手に渡ったり不慮の事故で文化や世界が滅んでしまったりなどを防ぎ、広大な次元世界の平和を守っているのよね」

グナちゃん「イワユル“シホウキカン”トイウヤツダナ。 シカシ、ホウテキソシキトイウノハウチガワガクサリヤスイモノダガ……」

アリサちゃん「ま、そうよね。 一つの世界の国一つだけでも政府法制にロクな人間は少ないから、組織が星の数程の世界を管理できる程に巨大な規模なら尚更よ。 実際に上層部には汚職やマッチポンプでより高い実権を手に入れようとする将官や官僚も少なくないらしいし、マッチポンプの結果ジェイル・スカリエッティやラコフ・ドンチェルのような時空管理局を叩き潰そうとする広域次元犯罪者が出てきて全次元世界を巻き込む極大規模の戦いが勃発する場合もあったからね。 これも“人の業故に”というやつよ……」

グナちゃん「オーイ。 ハナシガダッセンシテルゾ。 ジゲンセカイノセツメイシロヨ」

アリサちゃん「それもそうね。 時空管理局についての説明はまた別の機会にしときましょう。 話を戻すと、次元世界は大まかに5種類に分けられているわ。 魔法技術が表に認知されていて日常文化にも取り入れられ、時空管理局の法管理下に入っている惑星世界群は【管理世界】。 魔法技術が認知されていない又は魔法の存在は有っても都市伝説化や人里隠れる一小規模部族の秘蔵魔術として扱われ表沙汰にされていない、非魔法文化で人間社会が成り立つ有人世界である為、時空管理局が表社会への干渉を控えて次元災害対応の為の監視のみに留めている惑星群の事を【管理外世界】。 そもそも人間や知的生命体が全く存在していない宇宙の星々を【無人世界】。 禁忌指定級魔法生物の生息支配圏だったり生き物が生活できない超絶過酷な自然環境だったりして、時空管理局の力を持ってしても管理不可能だと見なされた惑星領域を【進入禁止指定世界】。 次元空間内に存在している事は確認されてはいるものの現在有る次元航行手段では到達不能であるとされている完全未知の宇宙領域を【未到達世界】。 それで時空管理局はそれぞれの種類別に分けた世界に番号を付けて監視し易くしているらしいのよね。 《ミッドチルダ》は時空管理局が発祥された世界だから管理世界の中心にするとう意味で“第一管理世界”だという風にね」

グナちゃん「チツジョヲチャントマモッテイルンダナ」

アリサちゃん「ところがどっこい! 次元世界は尋常じゃなく監視範囲がバカッ広くて、時空管理局の実働員である魔導師の数は万年不足しているのよ。 だから全部の次元世界をカバーしきれずにロストロギアの暴走が頻発して幾つもの世界が消滅したり、狡猾な野心家が監視の目を離した隙に禁止されている兵器を持ち出して紛争を起こしたり、何処からか世界を殺してしまう未知のウィルスが発生したり、魔法少女(19歳)が極大魔砲をブッパなして飛行巨大戦艦に風穴を空けたりしている風景が日常茶飯で見られる、カオスな世界なのッ!!」

グナちゃん(頭を抱えて青天井発狂)「ケッキョク、ミッツトモゼンブカオスナセカイジャネーカアアアアアッッ!!!」

ボルサリーノ帽の喋る赤ん坊、来る!「CHAOS(ちゃおす)

グナちゃん(ビックリ)「──ッテ、ウワァァッ!? ダレダコイツハ!」

アリサちゃん(事前に来る事を知らされてた)「あら、《リボーン》君もう来てたの? 出演は次回からなんだから、ゆっくりしていればよかったのに」

リボーン「なぁに、紳士の嗜みとしてレディー達に早めの挨拶をしておこうと思ってな。 それに、本編ではオレの出番はしばらく先になるらしいから、暇してたんだよ」

グナちゃん「ム? マスコットノチイハワタサヌ!」

リボーン「いらねーから安心しろよ。 そんな訳で、次回の【炎の軌跡講座】第7回からは、オレがレギュラーに加わってツナ達の事をねっちょり解説してやるからな。 死ぬ気で楽しみにしていろよ!」

グナちゃん「サラダバー!」



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