英雄伝説リリカルREBORN! 炎の軌跡   作:蒼空の魔導書

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元バンダナ先輩(メロンパンコス)「ツクモユキ……!!」

という訳で、久しぶりの最新話更新です。(FFⅦリバース長かった……)

リィンとアルティナ、界の軌跡参戦(公式発表はまだされていないが、PVの映像に出ていたので新作登場はほぼ確実と思われる)おめでとう!!

他にもPVに顔出ししていた過去作のキャラクターは、前作『黎の軌跡Ⅱ』ではクライマックスの場面で通信越しの声のみ登場していたピクニック隊隊長兄様と『空の軌跡 the 3rd』以来のプレイヤブル参戦(登場だけなら零・碧の軌跡にもしている)が期待されるネギ・グラハム神父!

ネギ神父「って、誰がネギやねん!?」

そして業物の太刀を肩に担いでいた貫禄のある御老人の背中は、もしや……!?

やべぇ今まででも最高の最高にテンションアガットしてきた!! 早く次の続報出ないかなー?


さて、今話はサブタイトルを見て分かる通り、ギャグ爆発回ですww。 あとがきコーナーの“炎の軌跡講座”も九話ぶりに書きましたので、ごゆっくり読んでお楽しみください。




どんな女がタイプかな?

「ほな。 最初やから、まずはお互いの事を知るのが先やろな。 みんなで仲良く自己紹介でも交わそうやないか♪」

 

豪奢な金縁の網目窓硝子を透過して小体育館程に広い応接室の中へと射し込まれて来る朝日の陽光で、全体に塗られた樹脂塗料(ニス)が発する色艶やかな光沢を神聖な白に輝かせる豪奢な木製の十三人席円卓テーブルを、三つの世界の危機を幾度となく救ってきた歴戦の若き英雄達と機動六課の後見人だという時空管理局のお偉いっぽい要人三名で囲い。 この場に集まった者達がそれぞれの平和を守護する三つの世界に、超次元規模(レベル)の戦力・技術と《楽炎計画》なる謎に包まれた怪しい企てを持ち込み、何かのとんでもない災厄を齎そうとしている、《次元魔王》イノケント・リヒターオディンと彼の者が率いる【次元魔王軍】へ対処するべくして、リィン・シュバルツァーら【トールズ士官学院Ⅶ組】と沢田綱吉ら【十代目ボンゴレファミリー】が次元(この)世界へとやって来た経緯(いきさつ)と事情についてと今後の対策を話し合う、【三世界対談会】が始まった。 窓の後光を背にした円卓の上座に腰掛けたはやてが卓上に両掌を着いて席から立ち上がり、司会者のように慣れた饒舌で口を開く。

 

「僭越ながら、言い出しっぺの私から最初にやらせてもらうで。 異世界の助っ人の皆はんには本局の客室で会った時に、私の名前と管理局内での立場について少しだけ話したと思うところさかい。 せやけど、画面の前のみんなの中には私の事を知らへん人がおるやもしれへんからな☆」

 

「“画面の前のみんな”とは誰の事でしょうか?」

 

「えっ……?」

 

「アルティナちゃん。 はやてちゃんの意味不明だと思った発言は極力気にしないでいいからね? 大体は本当に意味が無い電波(メタ)を受信してるだけの冗談だから……」

 

会議の始まりで最初の題を切り出す時に生じられる特有の緊迫した空気を軽くする為の会話術(トークテクニック)なのだろうか、まるでキッズ向けアニメの特番放送でテレビの中のキャラクターが説明の前振りに画面越しの視聴者たちへ向けて話しかけるように、この場に居ない謎の第三者へ配慮する発言を冗談で自己紹介前に挟んだはやて。 ところが、上座の会議長席の対面左席に座っているリィンの右手側後ろ──丁度はやての視界正面となる位置に立ちながら彼女の電波的冗談を耳に聴き入れたアルティナが自らの木目細かに白い小さな片手の甲を顎に添え可愛らしく首を傾げて素直過ぎる疑問を訊いてきた為、はやては不意を突かれたような呆気らかんの顔となる。 次いでに冗談を本気にして御人形(ビスクドール)のような希薄の表情に可愛い思案顔を作るのを止めないでいるアルティナに、なのはがはやてが言った事が冗談である事を伝えて、銀髪の希薄系美少女が「そうなんですか……」とちょっと残念そうにして思案顔を解いたのが真正面に見えたはやては何だか途端に恥ずかしくなって硬直させた顔の頬にちょこっと赤面を浮かべさせた。

 

「あぁ……コホンッ! 改めて、自己紹介させて下さい。 私は八神はやて。 時空管理局本局所属、古代遺物管理部機動六課の課長、並びに部隊の全体指揮を取る総部隊長の役に務めています。 階級は二等陸佐、魔法犯罪の足取りを追跡する【特別捜査官】等々……なんというか色々と物々しい地位を持っている者ですが、異世界の皆さんはお客様なので、あまり気にせず気軽に“はやて”と呼んで下さい」

 

はやては冗談がスベった空気を感じて流石に少々気恥ずかしさを覚え、数秒の間両眼を泳がせた後、戯れが過ぎたと思い咳払いで気まずくなった空気を一度払拭する。 これ以上いい加減に醜態を曝し続けるのは、異世界からの来客であるリィンやツナ達に、親しい間柄ではあるが機動六課の創設と支援に大きく貢献してくれている後見人三名等の機嫌を損ねてしまい兼ねない。 それは相手との友好的或いは立場的にとてもよろしくないとして、彼女は先程までのへらへらした態度と馴れ馴れしい方言を止め、真面目な笑顔と通常語を用いた自己紹介を簡潔に述べた。 一寸前までのはやては図太い口で残念美人な印象が大きかった為に、彼女が急に空気を読んで顔と態度を真摯に変えながら無駄を削いだ堅実な内容の自己紹介をしてきたのに対してリィン達異世界勢が全員目を丸くしたり瞬きを高速で行ったりして驚きの反応を示した。

 

──なんだこの人。 凄く美人だけど少し変なお姉さんだなと思ったけれど、ちゃんとやれば真面目にできるんじゃないか。

 

──なるほど。 ヤガミ総部隊長……もとい、はやては場所と相手によって人格の仮面(ペルソナ)を使い分ける手合い(タイプ)なのか……。 恐らくは彼女自身が言った、色々と物々しい地位を持った立場であるが故に、普段から(おおやけ)の場や組織の上役からの監視などの重圧(プレッシャー)に晒されているんだろう。 だからそういった己の持つ立場に相応しい振る舞いを求められる場では自分の素を厳格という仮面で抑え込み、組織内の慣れ親しい友人知人だけの前か組織の目が無い場などでは仮面を外し自由奔放に本来の自分を曝け出す事で、自分の心を守っている……なんとなく、彼女は感覚的にどこかオリヴァルト殿下と似ているところがあるのかもしれないな……。

 

「ふむ……了解した。 それではその御厚意に甘え、こちらも気兼ねなく接するとしよう。 今後ともよろしく頼む、はやて」

 

二つの異世界両陣営はツナやリィンという両リーダーをはじめ皆がはやての人格の切り替わりぶりに困惑したり関心したりして彼女の自己紹介に返す言葉を失っていたところ、素直を保ってよろしくの返事を返したのはガイウス一人だけであった。 リィンの左に座っているエマとユウナの間に座高を高くして腰掛ける彼の平静さに皆の視線を集めるが、彼はそれにも大して緊張を出さず涼しい表情を少しも崩さない。

 

「しかし、“はやて”か……以前リィンに聞いた東方の言葉で“疾風”という字の読み方の一つで、【急に吹き付ける激しい風】を指す名だそうだが……馬を駆り草原を走り抜ける時に感じる疾風とはとても心地が良いもので、その刹那の時のみ偉大なる勇気と誇りを与えてくれる。 ……うん、実に良き名だな」

 

しかもガイウスは涼然としたまま腕を組み、“はやて”という名前を恥ずかし気も無く褒めちぎって、裏表がまるっきり無い澄ました微笑をその名を名乗った当人へ向けてくる始末である。

 

ガイウスは【ノルドの民】と呼ばれる雄大なノルド高原に住まう遊牧民族の出であり、彼らは風と大地に深い信仰を持っている。 その為、彼は自分が信仰する“風”と関連性がある“疾風(はやて)”という名前に対して良き名前だと正直に答えただけであり、彼の事を良く知っている仲間であるリィン達トールズⅦ組連中もそれをよく理解しているので、これに関してが別に驚く事はなく寧ろ「ガイウスなら当然そう言うだろうな」という風に七人とも首を縦に頷かせながら関心した顔で示している。

 

「~~~っ!!!」

 

だが、トールズⅦ組以外の人等はガイウスの経歴と人柄(プロフィール)を全く知らない為、彼が関心気に放った女性(はやて)の名前に対する誉め言葉を聴いて、どうも照れくさい熱と動揺を顕わして固まってしまっていた。 特に自分の名前を詩的な感想付きで褒められた本人に至ってはそれを耳に入れた瞬間に反応して肩と座る背筋が畏縮しだし、伸びて硬直した両腕で上座に腰掛ける両膝をプルプルと震える程強く押さえつけて、子狸のように可愛らしい小顔を熱した鉄のように真っ赤に火照らせつつ、やかんが沸騰したように頭から湯気を出して、実にこっ恥ずかしくて堪らないという様になっていた。

 

「? ……皆いきなりどうした。 もしや、俺は今君に対して何か傷付けるような失言をしてしまったのだろうか……だとしたら、すまなかった。 どうか軽率な発言を許してくれ」

 

「い……いや! そんな事は全然、全く、ちっともあらへんで!!」

 

予想外に気まずそうな空気と身内であるトールズⅦ組以外の赤裸々な反応(リアクション)を目の当たりにしてガイウスはよく分からず一度首を傾げてから、もしかして今の返事の内容は相手の心に負った傷に触れるようなNGワードだったのではないかと思い直し、はやてに対して迂闊な発言だったと己を恥じて頭を下げつつ謝罪する。 まだ二十代前半に入ったばかりの若輩者だとは思えない程に大人びた対応を見せるガイウスにこの場の皆の驚きや関心の視線が集まる中、彼の真摯な謝罪に対して、羞恥のあまり身を竦めてモジモジやっていたはやては顔を赤面させたまま大慌てふためいて君の発言に非は無いから全然気にする必要はないと、両手をパーに開いて自分の口元の前に小刻みに激しく振る否定表現の手信号(ジェスチャー)も交えながらどうにか伝える。

 

「それよりも、ガイウス君……とゆうたかな?」

 

しかし下げた頭を一旦上げたはいいが、こちらの明らかに取り乱した語彙と態度を見聞きしてそう言われてもと困ったように長い眉毛をハの字にして向けてこられたガイウスの負い目に刺されたはやては何故か赤熱していた頭を氷水で冷やしたかのように急に落ち着きを戻し、今度は相手に安心させるような微笑みを向けて穏やかな口調をもって彼に名を確認し、何かを問おうとする真剣そのものの視線を刺し返してきた。 此処にきて改まった雰囲気になった為、さすがにガイウスも謝罪顔を引っ込め、この場に居る他の一同も皆息を呑んで、全員機動六課総部隊長の口から放たれる言葉に傾聴した。

 

「──どんな女が好み(タイプ)なんや?」

 

…………は?

 

質問を言い放ったはやて以外、彼女に訊かれた当人を含むこの円卓を囲んだ全員がその内容を耳に入れてから数秒の間時が止まったように固まり、硬直が解けたと同時にそのような腑抜けた一言を漏らし、頭の上に疑問符を浮かべていた。 この狸娘はいったい何を言ってんだ? 真剣になった顔面の半分を影に染め、背景に一瞬『ドン!』という効果音が鳴らされたような幻聴が字面にして浮かんだかのような錯覚を他の目に見せる程の厳然たる威圧感と一緒に言い放ってきたものだから気を張っていたのに、それを厳重に開かれた口から出てきた問いは【好み(タイプ)の異性は?】などというプライベート感丸出しの内容だった。

 

「因みに私は──」

 

しかも、いきなり素っ頓狂な質問を出して皆を困惑の停止の空気に晒しておきながら、この狸娘ときたら訊いた相手に答えを返す暇も与えずに、また急に上座の席を立って腰を深く落としつつ向き合った長身褐色の美丈夫の青年へ両手で掴み掛かりに行きそうな身構えを取りながら、十九歳の可憐な美少女らしからぬ肉食獣の如き獰猛な笑みを吊り上げ、堂々と言い放った。

 

「──背丈(タッパ)××××(ババババキューン!)がデカイ男性が好みですッ!!」

 

スッッッパァァァァアアン!!!

 

んぎゃおおおおおおぉぉぉぉっ!!?

 

汚れ一つ存在しない聖教の一室に全年齢対象小説に書き込み禁止だろう隠語が放たれた刹那、気持ちの良い叩音と夜天の主の間抜けな苦鳴が爽快に鳴り響く。 直後、皆の注目は某嵐を呼ぶ五歳児がおバカな事をやって母親から拳骨制裁を落とされた風の巨大タンコブを後頭部に膨らませて腫らしたはやてが円卓上に突っ伏してタンコブから煙を上げる様と、その背後に何時の間にか上座の隣席から立って斬馬刀(ザンバー)並に(おお)きな金色の魔力光ハリセンを右肩に担いでいたフェイトに集められる。

 

「痛っつぁぁ……。 い、いきなり何どつきくれとんねん、フェイトちゃん!?」

 

「いきなり何小説がBANされかねないNGワードぶっちゃけとんねんだよ、はやて? ていうか、清廉な教会の敷地内で品の無い性癖を暴露しないでよね。 異世界の教会騎士だよ、ガイウス()

 

「ア……ハイ。 ソレハトテモモウシワケゴザイマセンデシタ……」

 

訊いた相手の清涼系長身好青年が聖職者だとはつゆ知らず、彼に向かって某キモイ以外は完璧人間であるブギウギブラザー一級呪術師調の激面をして己の性癖を盛大に暴露しやがった機動六課総部隊長は後頭部に作った巨大タンコブを両手で抱えるように摩りつつ円卓テーブルの上から上体をガバッと起こし、背後を振り向いて【ライオットザンバー・ハリセンカラミティ(ライオットザンバー並に巨大なビームハリセン形態にフォーム変形させたバルディッシュ)】を右手に立って見下ろしてきている部下の金髪美女執務官へと抗議を物申すが、すかさず彼女から笑ってない満面の笑顔の圧力と共にメタっぽい発言を含めたが正しい文句を突き返されたので、逆らえない威圧に気圧され一瞬でしゅんと黙らされてしまった。 フェイトの白肌で可憐に美しい顔立ちの上半分を覆い尽くして歪める程に()っとく浮かび上がらせた複数の青筋を見れば彼女が相当お怒りである事が伺える故、怒られた狸娘は聞くまでもなく、この場の誰もが金色の死神に向かって何も論する事はできなかった。

 

──ひえぇ~、フェイトって怒るとあんなに怖いんだ……。

 

──なんだか、三年前の帝都の特別実習の時に初対面で会ったオリヴァルト殿下が少し戯れた挨拶をして、アルフィン皇女殿下に雑なハリセンでツッコミを入れられていた一幕を思い出すな。

 

──にゃはは、これはさすがにはやてちゃんがふざけ過ぎたね。 でもフェイトちゃん、バルディッシュにハリセンフォームなんてツッコミ用途にしか使えない形態を何でインストールしているんだろう……。

 

──美人を怒らせたら怖いって言うけれど、エリンの隠れ里がギルバートっていう結社の下っ端に襲撃された時のエマさんも凄く怖かったし、納得よね。

 

──ここ、今後はあのフェイトとかいうパツキン女にデカパイケツマルダシ痴女とか言ってあまり揶揄い過ぎるのは、止しておくとするぜ……。

 

「コホンッ! 大変失礼しました。 ガイウスも、私達の部隊長が変な事言って、ごめんなさいね。 この子ったら高い役職に就いていつも多忙なものだから、ストレス解消に読んでるマンガの影響を受けているの。 だから頻繁にそれっぽいセリフをボケて言う事があるんだ。 許してあげて」

 

はやての戯れ言とフェイトのツッコミと怒気の合成化学反応により円卓が苦々しい空気に包まれ、各々が困惑や気疲れしたような色をしている中、ハリセンフォームのバルディッシュを待機形態に戻してようやく怒気を冷ましたフェイトが皆の衆と狸娘の精神的被害を被ったガイウスに謝罪を述べる。 「私はまだピッチピチの十九歳やで? ボケとらんわ!」と反論をギャーギャー喚くはやて、「マンガって何?」と元居た世界の自国にはまだ存在していない未知なる物の名称に疑問を漏らしているトールズⅦ組勢、会議の場だがもう我慢できずに懐から胃薬が入ったビンを取り出して両方容量無視し大量の錠剤を手に取り出して飲みだした黒髪長身の男性魔導師。 それらの反応を他所に許しを請われたガイウスは涼しく腕を組んで微笑を浮かべた。

 

「なに、気にすることはない。 フェイトがハリセンで叩いた音に掻き消されて、はやてが何を言ったかはよく聴こえなかったからな。 ……それに、自己紹介の場なのだから、はやては場を盛り上げようとして少し洒落を利かせてくれたのだろう?」

 

「えっ? えっと、まあ……それもそうだろうけど」

 

「そうやで♪ 折角、異世界の壁を越えて出会う事ができた新しい仲間の歓迎なんやし、重苦しい挨拶は気分悪くなるやろ? せやから今会の議長役を務める私が粋なジョークで雰囲気を明るくしようとしたさかい。 気が利く女やろ、私」

 

「フフフ、成程。 事前にシグナムから機動六課の部隊長殿の人柄については聞いていたが。 確かに“明るくウィットに富み、周囲の誰もを惹き付ける魅力を持ちつつ、とても親しみやすさを覚えられる御人”であるようだ。 先程は女性の好みについて訊かれたが、俺は少なくとも君のような愉快な魅力に溢れる女性は()()()()()()()()()だと思うよ」

 

「ホンマかッ!!? ほほほ、ほんならガイウス君、もしよかったら後でわたしとデイt──」

 

「バルディッシュ、《ライトニングバインド》!」

 

Yes(イエス) Sir(サー)

 

「──してくれへんかアアアアア───ふごえ″ぇ″っ!?

 

ガイウスから自分の性格を賞賛された上に好意的な女性だと言われて歓喜と興奮に舞い上がり出したはやてが会議の進行を忘れてガイウスに何か誘い事を言い出そうとしたところで、もういい加減にしろと感じたフェイトが待機形態(金の台座に乗った三角形の黄色い宝石のアクセサリー)のバルディッシュに拘束魔法の発動を命じた直後、目にも留まらぬ早業ではやての身は金色の魔力縄に拘束され、強制的に上座席に座らされて何処にも逃げられないように縛り付けられたのだった。

 

「会議が全然進まないよ。 誘い事なら後にして、議長役なら円滑な進行をするように、ちゃんとしっかり真面目にやってね?」

 

「ハイ……」

 

「??」

 

「ははは! なんかフェイトとはやてって、お笑いコンビみたいでおもしれーのな♪」

 

「はやて総部隊長はともかく、フェイトさんは別に好きでツッコミ役に準じているわけではないように見えるのだがな……」

 

「それよりも、はやてさんがガイウス先輩に対して見せていたあの甘い熱に浮かされた初々しい反応は……あらあら、うふふふ。 これはもしかすると、新たな春の訪れかもしれませんね♡」

 

上座の左隣席に座り直したフェイトが不機嫌に目を閉じてそっぽを向き、右手の上座席に拘束魔法(ライトニングバインド)で縛り付けられてぐったりと興奮(テンション)を下げられたはやてに圧掛けた声音で会議の進行を急かし、椅子に身を拘束された夜天の主は悲しそうに渋々と返事する。 まつ毛を濃く細めた双眸から川のように太い涙を小刻みに波描いて頬を伝うようにドバドバと流し、しかし同情心が全く感じられない道化(ギャグ)風な悲愴感を漂わせながら落胆しているはやてを眺め、結局彼女が自分に何を言いたかったのか解らなかったので首を傾げて頭の上に疑問符を浮かべるしかないガイウス。 その後ろでクルトが、フェイトとはやてのツッコミとボケのやり取りを面白がって飛ばしてきた山本の感想に呆れた声で自分の見解を返している様子。 やれやれと妙に疲れた表情を無言のまま浮かべているリィンの左手側後ろに立っているミュゼははやてがガイウスにどう見ても熱の籠ったアプローチを向けているのを敏感に感じ取り、異世界に来て嬉しい楽しみが増えたと言いたいように合わせた両手を頬に摺り寄せながら蠱惑の微笑を浮かべて、 六課の後見人だという緑髪の女性も同じように若者の青春を感じ口元に手を当てて愉しそうな含み笑顔を見せている。そしてその左手隣の席に座る黒髪長身の男性魔導師は遂に療法容量をガン無視してビンの中全部を落として手に乗せた胃薬錠剤を手元のお茶で一気に胃の中へと飲み干した。

 

「しゃーないな。 そんじゃ、気ぃ取り直して次行こか」

 

フェイトの拘束魔法(ライトニングバインド)によって議長椅子に座らされて上体をぐるぐるに縛り固定されたはやてが機嫌悪くして小動物のような小頬をムスッと膨らませながら、非常に仕方なくという風な態度を取って自身の自己紹介を締め、部下の紹介へと移した。(尚、はやての機嫌悪い態度は再びフェイトの青筋笑顔の圧力を受けて直ぐに背筋をシャキッと調整された)

 

「次は六課の自慢の最大戦力(エース)で前線を指揮する実働分隊の分隊長・副隊長の紹介やな。 異世界の助っ人の皆さん方とは一昨日昨日に一緒に戦った仲やからもう知っとると思うんやが。 私の隣でおっかない微笑を浮かべとる金髪の鬼よm「ウフフフ……ひぃぃっ!? もとい、こちらの笑顔が素敵な金髪の別嬪はんがライトニング分隊隊長のフェイト執務官。 その反対側隣に座っとるスタイル抜群なサイドテール童顔美女がスターズ分隊隊長のなのは教導官や」

 

「異世界の皆さん、改めまして、機動六課ライトニング分隊隊長のフェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウンです。 リィン達もツナ達も、昨日の戦いでは私達に助力していただき、大変助かりました」

 

嫌味な紹介をしようとした部隊長を幻覚の雷鬼様を自らの背後に見せる笑顔の威圧でビビらせたフェイトが、リィン達異世界の助っ人らの引き攣らせた顔の視線に合わせ正面に向くと同時に雷鬼を背中に引っ込めて、一瞬で慈母のような優しい笑顔に早変わり様に改まった軽い自己紹介と先のミッドナイト軍や次元魔王との戦いにおいて助太刀してくれた事に対する心からの御礼を彼らへ言う。

 

──スタイル抜群と美女は恥ずかしながら嬉しいけど、童顔って……。

 

異世界の英雄らの乾いた苦笑が響いて応接室内をぎこちない空気が流れる中、親しき中にも礼儀有りという言葉など知らぬふりという調子の部隊長に気恥ずかしいと自分が昔から少し気にしている特徴を並べられて紹介を受けたなのはは目尻と口端を吊り上げてピクピクと小刻みさせている。 この腹黒豆狸めが、童顔は君だって同じなんだから、人の事言えないでしょうが──などと内心で愚痴りつつ、隣の親友に向いていたリィン達の注目がこちらに移った雰囲気を感じ、普段は見せない顰め面を見られた事に一瞬動揺して顔が固まってしまった。

 

「あ……コホンッ! 失礼。 右に同じく、機動六課スターズ分隊隊長の高町なのはです。 あの時も確か言ったかと思いますが。 改めて皆さん、機動六課(わたし達)窮地(ピンチ)を救ってくれて、本当にありがとうございました。 特にリィン君は、あの戦いでは負担で完全に足手纏いだったわたしの危ない場面に何度も助けてくれたよね? ありがとう、本当に感謝しています」

 

なのはは不屈の心と咳払いをもって誤魔化(リセット)し、笑顔を作り直しつつ隣の親友に倣い異世界から来た助っ人達へと誠意向き合って、自己紹介と御礼を述べた。 特にリィンにはあの戦いの最中で、大きな不調と負傷を抱えていた所為で殆ど戦力になれずに御荷物化していた自分を何度も手助けしてくれた事もあり、頭を下げてより大きな心からの感謝を伝える。

 

「ぁ……ああ。 どういたしまして。 君の助けになれてなによりだ。 けど、別に危ない目に遭っている人、ましてやそれが仲間なら進んで助けるのは当然の事だろう? だからそんなに畏まった礼をしなくてもいいと思うけど……」

 

「そそ、そうはいかないよ! 侵略者の親玉(ラコフ・ドンチェル)が操る魔煌機兵(スクルド)と無限に増え続ける紫色の炎に機動六課(わたし達)が手も足も出せずに全滅しかけて、わたしが命を賭けてでも皆を守ろうと覚悟を決めてやろうとしかけた時、突然上空に現れて降って来たリィン君達が助太刀してくれたお陰で、わたしは命を救われた。 それどころかリィン君個人にはあの戦いの最中に何度も危ないところを救われたんだから、いくら感謝してもし足りない程なの!」

 

「そうは言われても……」

 

老若男女関係なく誰もが見惚れる可憐な笑顔と一度目を合わせたら吸い込まれてしまいそうな大きく澄まされた碧い瞳で真っ直ぐこちらの視線に合わせてきながら一切の飾り無い多大な感謝の言葉を送ってきた、なのはからの誠心誠意にリィンはつい一瞬呆気に取られ、一秒間を置いてから我に返って少し照れくさそうに片手で後頭部を掻きながら相手の感謝に応えた。 だが、自分が彼女の危機や失敗を手助けした事に関しては知り合ったばかりでも共同戦線を張る仲間として当たり前の行為だったと思っているので、彼女がわざわざ頭を下げるのは幾ら何でも過剰な謝礼ではないかと恐れ多く思ったリィンは思ったそのまま坑言(こうげん)を投げ返してみる。 しかし、彼には危うく撃墜か下手をすれば命を落としていたかもしれなかった非常に危うい場面を何度も救われた恩が多大にある為、なのはは頑なになってでもリィンにこちらの感謝を受け取ってくださいと声を大にして直球を投げつける。 さて、どうしたものかと困り果てて呻いたリィンだったが、なのはが泣きそうな声で「う~!」と唸り出したのを見たので、このままにしたら自分が悪者にされる予感がして、観念した。

 

「ふぅ……わかった。 君の感謝を素直に受け取るよ。 今後ともよろしく頼む、なのは」

 

「うん! こちらこそ、これからよろしく。 仲良くしようね、リィン君♪」

 

もしかして無自覚なのか? 喜びを表す兎の如く飛び跳ねさせた声音でよろしくを伝えてきながら向けてきたなのはの咲いた可憐な花のような満面の微笑みがあまりにも眩し過ぎて、女子との交友関係も百戦錬磨である帝国の英雄《灰色の騎士》も流石に直視できずに頬を朱に染めざるを得ず相手の顔から横に視線を逃亡させるしかなかった。 「リィン教官、もしかしてと思ったけれど、異世界に来て早速一人目を()()()()みたいね……」「さすがはシュバルツァーだな。 よっ、帝国一の天然タラシ英雄、手が早いもんだぜ!」「あらあら、これは困りましたわね。 アリサ先輩やラウラ先輩などの強敵がいない異世界でならリィン教官を独り占めできるチャンスだと思っていましたのに、またまた強力なライバルが出現しちゃいましたわ♡」「やれやれだ」「何処に行っても不埒な人ですね」等々と我が愛するクラスの教え子達のひそひそ話が耳に入ってきているが、気にしてはダメだ……。

 

「おやおや、ここ十年間魔導師の仕事にばかりにかまけて浮いた話の一つにも縁があらへんかったカタブツのなのはちゃんにも、ようやく御縁が舞い降りてきたかもしれへんなぁ? これは当分のおいしいお菓子の話のネタになりそうや。 ムフフフ♪

 

「ふえっ!? ははは、はやてちゃん! もう、別にそんなんじゃないの! ただ、リィン君は士官学校の教官だって言っていたから、同じ戦術教練を取っている立場同士で色々と共通のお話ができそうだと思ったからなの!!」

 

そうは言うても、テンパりおって語尾が【なのなの】になっとるやん君ぃ? なのはちゃんは動揺しとると言葉遣いが【なのなの】になってしもうのが癖なんは、みんながよ~く知っとるんやでww

 

「にゃああぁっ!? もうっ、はやてちゃん!!」

 

「あぁん。 もう、なのはちゃんはカワエエなぁ♡ ぐへへへ──「なのは弄りしてないで、いい加減に次の紹介に進めてはくれないでしょうか、八神はやて総部隊長?(ニコッ)」ひぃぃぃっ!? ほな、次は隊長二人の後ろに立っとる副隊長二人の番さかい。 シグナム、ヴィータ、景気良く頼むでぇ!」

 

機動六課の方でもリィンに対する好感度が高い様子を見せたなのはを、からかい上手のはやてさんが三下の悪役のような下品な笑みを浮かべて弄りまくるが、また調子に乗り過ぎて会議の進行を遅延させたが為に再び般若の如き恐ろしい笑顔をしたフェイトの背中に雷鬼様のス○ンドを出す羽目になり、それを見て忽ち恐怖に慄いた愚かなる狸娘が、隊長二人が座る席の背後で困った主に辟易したような嘆息を二人同時に吐いたシグナムとヴィータに自己紹介をするよう催促して命じる。

 

相手を退屈させない為だからと言って何度も何度も議長役がふざけ過ぎる所為でちっとも会議が進まない事にそろそろ噴火しそうな程の苛立ちを募らせているライトニング分隊長、突つかれ回され過ぎて幼さを残した美貌をすっかり羞恥の朱色に丸く染めつつ肩を狭めて硬く竦めながら頭の上に熱焦げたような黒い煙を出し故障(ショート)したポンコツと化したスターズ分隊長、そんな対照的な熱っぽい空気を放っているそれぞれの上官の右側へと歩み出た副隊長の二人が草臥れた口を開いた。

 

「先の戦場で肩を並べた戦友である故、お前達とは既にもう互い知った仲だろうが、我らが《夜天の主》はやての命故に今一度名乗らせてもらおう。 私はこのフェイト・T・ハラオウン隊長の率いるライトニング分隊の副隊長にして《夜天の主》八神はやての守護騎士“ヴォルケンリッター”を束ねる《烈火の将》シグナムだ。 以後、よろしく頼む」

 

「同じく、はやての守護騎士“ヴォルケンリッター”の《鉄槌の騎士》で、不本意ながらこの恋愛雑魚(ポンコツ)教導官の高町なのはの戦技教練と前線分隊指揮の補佐を務めている、スターズ分隊副隊長のヴィータだ。 先に言っとくがアタシはこんな見た目でもテメェ等よりもず~っと歳上だからな? アタシの事は“ヴィータさん”又は“ヴィータ姉さん”と呼べよ。 特にエマ」

 

無難に手堅い自己紹介を述べたシグナムと人前でポンコツ化した自分の隊長に恥じ入って皮肉を混ぜながら名乗るヴィータ。 先の戦いの中初対面のエマに「ヴィータちゃん」と呼ばれた事が自分の幼い外見で歳下に見られたと思っていたヴィータはエマには特に深く釘を刺しながら異世界の英雄達を睨み回して自分の方が歳上なのだからそれを意識した呼び方をしろと注意を飛ばした。 名指しで釘刺されて困ったように苦笑を浮かべているエマをはじめ、リィンやツナ達異世界勢の反応は困り汗を一滴垂らした微妙なものであったが、別世界の教会守護騎士であるガイウスはシグナムとヴィータが肩書きに名乗った()()()()()()()()とその尾に付けていた振り名の事が気になった。

 

「少し気になっていたのだが……シグナム、ヴィータ(きょう)、貴女方は自分達の事を()()()()()()()()と肩書き、その後に“ヴォルケンリッター”という騎士団名のようなものを付け足していたようだったが、それは一体どのような意味を持つのだろうか? 出来るのなら教えていただきたい」

 

「ヴィータ卿!? おおお、お前さすがにそこまで敬った呼び方しろとは言ってねぇだろ……ああもう、こっ恥ずかしくて背中がムズ痒いっ! お前は【ヴィータ】で構わねーから、次からその呼び方禁止な!!」

 

「プッ……ははは! 私も先の戦いで邂逅を果たした際に名乗り合った時の最初、ガイウスに【シグナム卿】呼びをされて少々こそばゆかったが、昔よりあまり敬われ慣れていないヴィータに“卿”呼びはさすがに擽った過ぎたようだな。 はははは!」

 

「おまっ!? 笑ってんじゃねーよシグナム!」

 

それは真面目なのか、それとも天然なのか? ガイウスが長い背筋を真っ直ぐ伸ばした実直な目を次元(この)世界の守護騎士両名に真っ直ぐ向けつつ彼女らへ質問を乞うが、彼は直前にヴィータが彼女自身へ呼びかける時は目上を意識した呼び方をしろと言っていた気がしたので元居た世界に所属していた教会の先輩守護騎士らに使っている敬称と同じ“卿”呼びを使ってみたら、彼女の羞恥のツボに刺さったようであり、熟れたトマトの如く赤面して動揺しまくったヴィータに上擦り声を出されながら以後の彼女へ対する敬称呼びを禁止されてしまう。 するとシグナムが先日の戦場で突然の邂逅を果たし、共闘して強敵オーバル・モスカを撃墜した後に同じ守護騎士の肩書きを持つ者同士の縁でガイウスと名乗り合った時に、彼から純粋な敬意でその敬称で呼ばれた為にちょっと気恥ずかしかったという記憶を掘り起こして破顔を曝す。 珍しく普段の硬派を崩した将に驚きながら彼女の愉快そうな哄笑を聴いて馬鹿にされたと思ったヴィータがプンスカ怒る。

 

「人様の事言えた義理じゃないけどさ、ココの人らみんな落ち着き無さ過ぎるでしょ!?」

 

「ホントに困った連中ですね、十代目」

 

「なのな♪」

 

そんな風に先程から誰かの戯れや天然ので一々場の空気が搔き乱される所為で話が一向に進まないというグダグダな惨状を前に、ツナが『ガーン!』という効果音を背景に浮かばせる愕然とした表情に白目を剥いてツッコミきれない周りへの第一印象を呟き、その評価に彼の守護者である獄寺と山本も相槌を打っていた。 そう言うがお前ら、この場に集っている陣営の中でも今のところ一番少数でまだ公共の場で変に騒ぐような仲間が一人も来ていないから大人しくなっているが、もしこの場に“極限ボクシング馬鹿”の晴の守護者や獄寺曰く“クソガキアホ牛”の雷の守護者などが居たら今頃は奴等により余計に場が混沌化されて収拾が付けられなくなり早くも会議進行不能になって閉会しているところだっただろうに……。

 

「私達、四騎の“雲の守護騎士団(ヴォルケンリッター)”は《夜天の魔導書》の(マスター)である、はやてちゃんの命と彼女の身の回りの守護をする使命を持った誇り高い騎士であり、【家族】なんですよ」

 

シグナムとヴィータが愉快に揉めるのを眺めていて、あの二人に説明を任せては益々話が進まないと感じたらしく、今まではやての背後に控えていた金髪のショートボブスタイルが似合う白衣の美人医師と思わせる美女が議長席の右側に歩み出た。

 

 

≪風の癒し手≫シャマル CV:柚木涼香

 

 

「異世界の皆さん、はじめまして。 機動六課主任医師兼《夜天の主》八神はやての守護騎士“ヴォルケンリッター”参謀の《風の癒し手》シャマルと申します」

 

ショートボブスタイルの美人医師──シャマルが前開きに着こなした白衣の間から覗かせる豊満な胸元に片手を当てて、まず丁寧な挨拶から入りながら恭しい口で自己紹介を述べる。 揉め合っていた所為でたったの今になって説明の役目を取られた事に気付き「あぁっ!?」「しまったぁぁ!」と愕然する声を上げているシグナムとヴィータと同じ、自分もはやての守護騎士“ヴォルケンリッター”であると明かしたシャマルは歴戦の騎士と確かに感じさせる凛烈とした人相と苛烈な雰囲気を持ち合わせている二人とは真逆で、柔和にほんわかとした第一印象を懐かせる。

 

「え。 医師で……【シャマル】だってぇ!?」

 

そんな一見良識人そうな感触を出している三騎目のはやての守護騎士が言ってきた彼女の職業と名前を聞いたツナが、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ような仰天声を口を大きく開けて漏らした。 彼の右で獄寺も目元を真っ青にして「ゲェッ!? よりによってあのスケコマシヤローと同じ名前と職業を持った女だなんて最悪だ」と凄く嫌そうに呻いていて、その右では山本が面白そうに「はははっ! すげー偶然だなこりゃあ」と呟いて笑っている。 そんなボンゴレ三人組の大仰な反応(リアクション)が意外に思ったシャマルは少なくない驚愕(ショック)を受ける。

 

「ええっ!? まさかそんな嫌そうな反応をされるだなんて……もしかして私の自己紹介、何処か変でしたか?」

 

「ぁ……い、いえ、別に変では無いです! ただ、オレ達の知り合いに偶然シャマルさんと同じ名前と職業の人が居たので驚いただけなんです! 凄く不快な気分にさせてしまったようで、どうもごめんなさいィィーー!!」

 

美人医師でまともなシャマルが白目に泣きそうな顔になったのを目の当たりにし、自分の中の超直感に直ぐ弁解しないと非常にヤバくなると告げられたツナが慌てて誤解だと説明して眼前の円卓テーブル上に釘を打つ金槌の如く高速で額を何度も叩き付けながら謝罪を述べた。 さすがに大袈裟過ぎる彼の挙動を眺めてシャマルは柔和な美貌を崩して引き攣らせながら「別にそこまでしなくても……」と呟きつつ困った冷や水を一滴流していたところに、話に興味が惹かれた六課の隊長三人娘が割り込んでくる。

 

「ほほう、うちのシャマルと同名同職の知り合いがおるとな?」

 

「それは、ちょっと興味あるかな」

 

「ツナ君達の知り合いのシャマルさんて、どんな人なの?」

 

「とんでもねー女好きのおっさんで診察は女だけにしかしやがらない上に、出会った女の胸を速攻で揉んだりしやがるスケコマシヤローだよ」

 

「あ、成程。 つまりそのシャマルって男の人は、中身がはやてっていう感じなんだね」

 

「ちょっ!? それってどういう意味やねんフェイトちゃん!」

 

「えぇと……コホン! とりあえず皆、今からヴォルケンリッターの説明をするから、しっかり耳を傾けてちょうだいね」

 

ツナ達の知り合いのシャマルについての話題でわいわい盛り上がっている(はやて)等を他所に、ヴォルケンリッターの《風の癒し手》のシャマルは獄寺から彼らの知り合いに自分と同名同職であるスケコマシヤローのおっさんが存在していると教えられて何故だかとても居た堪れない程の恥じらいを感じてしまい、顔面を熱された鉄板のように真っ赤に染めながらも咳払いでどうにか平静を保ちつつ、無理矢理にヴォルケンリッターの話へと戻して軌道修正を行うのであった。(因みに獄寺はそのスケコマシヤローのDrシャマルとは幼少の頃やほんの数ヵ月前にボンゴレファミリーの十代目ボスを決定するべく執り行われたとある団体対抗戦の直前にダイナマイトの戦い方を教授されていた師弟関係であったのだが、あんな女好きに教わっていた事実を他人には絶対に知られたくなかった為に此処では話さなかった)

 

「まず最初に《夜天の主》……正式には《夜天の魔導書》が選んだ最後の(マスター)こそが、このはやてちゃんなの。 言ってみれば、雲の守護騎士団(ヴォルケンリッター)とは《夜天の主》に従い魔導書と主を守護する役割が与えられた四騎士と言ったところかしらね。 《烈火の将》シグナムを筆頭に、《鉄槌の騎士》ヴィータ、《盾の守護獣》ザフィーラ、そしてこの私《風の癒し手》シャマルの四騎が揃って、“最後の《夜天の主》”たるはやてちゃんと彼女の周りの大切なものを単騎無双の武勇と魔力をもって何者からも護る。 それが私達、守護騎士“ヴォルケンリッター”なのよ」

 

──魔導書が選んだ最後の主? 主を守護する役割が与えられた騎士? どうにも何か引っ掛かる言い方だな……。

 

姦しい喧騒が収まったのを見計らって、広い応接室によく通る声でヴォルケンリッターの概要を説明し始めるシャマル。 しかし、彼女は虚偽は言っていないようだが何か大事な事を隠しているような気を言葉の表現から感じ取ったリィンは訝し気に眉根に皺を寄せて探り入れの問いを投げてみる。

 

「シャマルさん、つかぬ事をお聞きしますが《夜天の魔導書》とはどういった物なんですか?」

 

「【シャマル先生】で構いませんよ。 まあ、《夜天の魔導書》の詳細については()()()()()()()()()()()けれど、たぶん君達になら教えても構わないと思うわ」

 

「せやな。 私もリィン君やガイウス君達の事は一昨日昨日の戦いを遠隔操作探索魔法(サーチャー)の映像で見とったから信用しとるし、教えても大丈夫やと思うで? ……せやけど残念やな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 【デバイス】の説明もまだしとらんし、とりあえず今はまた後でにという事にしとこかシャマル」

 

「そういう訳なので、会議の後で場所を移してから纏めて教えますね」

 

「そうですか……わかりました」

 

(はやて)からその話は後回しにしようと命じられたシャマルにほんわかな笑顔で濁されたので、仕方がないなと渋々了解するリィン。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、話は後程に用意してくれると言うのならば無理に追求はしないでおく事にした。 するとエマの後ろで姿勢良く気を付けをして立っていたクルトが質問よろしいでしょうか? という風に挙手した。

 

「横槍大変失礼致します。 話を拝聴させて頂いた限りですと、確かはやて総部隊長の守護騎士“ヴォルケンリッター”の団員構成は()()とおっしゃられていました。 シグナム殿、ヴィータ、シャマル殿……と、残りの一騎の方は、いったいどちらに?」

 

「──それは、(われ)の事だ」

 

クルトは礼儀正しい口調で疑問を訊ねながらも自然に今まで紹介されたヴォルケンリッター三騎の内ヴィータだけ呼び捨てにする。 「おい蒼灰髪、テメェやっぱアタシは歳上には見えねぇって言うのかコラァ!!」と頭沸騰しそうになったヴィータが一瞬で背後を取られたシグナムによって羽交い絞めで制されている、その右で今まで大人しく控えていた凡そ人の子供二人並の大きな体躯を持った青い体毛の狼らしき四足歩行の動物(?)が、シャマルの立つ位置とは反対の議長席の隣にのっそりと歩み出て来た。

 

 

≪盾の守護獣≫ザフィーラ CV:一条和矢

 

 

「異世界の英雄達よ、我こそがヴォルケンリッターの四騎目にして我が主はやての《盾の守護獣》ザフィーラだ。 遥か遠き次元の壁を超え、よくぞこのミッドチルダの地へと参られた。 我が主の信に従い、そなたらを歓迎しよう」

 

…………。

 

「む? 客人らよ、いったいどうした。 皆そのように身を石像の如く硬直させながら両の(まなこ)を点にして──「い……」──い?」

 

「「「犬が喋ったああああああぁぁーーーっ!!!」」」

 

ボンゴレ三人組による三者三様の驚愕を乗せた絶叫が体育館並の広さを持つ応接室内から漏れ出て外の教会の中庭にまで、よく響き渡った。 ツナは自分の中の常識がまたしても破壊されたと嘆くかのように自分の頭を左右から両手で挟み抱えて天井を狂い仰ぎ、獄寺は先の戦いの最中に目の当たりにした本物のドラゴン(フリードリヒ)に続いてまた新しい幻想生物が出てきたと思って何処からか取り出した伊達眼鏡を目にかけつつ興味津々と観察をしだし、山本は今までに見た事がないものを見たような驚きを浮かべながら平常通り愉快そうに笑っている。

 

「幾らなんでも冗談だろ!? 大人と同じように立って歩く凄腕で鬼畜で理不尽な殺し屋の赤ん坊ならともかく、さすがに犬が普通に日本語を喋って自己紹介してきてたまるもんかよチキショー!」

 

「なんだと!? 守護獣形態で人語を発すれば驚かれるのは仕方ないとしても、犬呼ばわりされるのはさすがに心外だぞ。 我は狼の守護獣だ! というか殺し屋の赤子とは何だ? その方が余程に奇怪な生物だろうが!!」

 

「おおおっ! マジで喋ってやがるぜ。 北欧神話のガルムか? それともフェンリルか? また神秘の幻想生物に出会えるだなんて、さすが異世界だぜ♪」

 

──こちらの銀髪の少年は何やら我を文字通り色眼鏡で興味深そうに見てきている様子だが、懐からメモ帳を取り出して、いったい何を記入しているのだろうか?

 

「喋る犬まで居るなんてスゲーな。 もしかして、はやてのペットかコイツ?」

 

「もう一度言わせてもらうが、我は主はやての《盾の守護獣》だ! 断じてペットなどではない……のか?」

 

──言われてみれば海鳴市の主の実家に住まわせてもらっていた頃から、我は日常時は常に守護獣形態で過ごしていて、主やヴィータに紐で繋がれて外の散歩に出掛けたり、公園で主らが骨や投擲円盤(フリスビー)を投げてそれを追って駆け咥えて戻って来るを繰り返すという遊戯をしていたという思い出のような記憶が脳裏に霞んで()ぎるような……むむむ?

 

最後四騎目のヴォルケンリッターである《盾の守護獣》ザフィーラの狼の姿を見て、それぞれの反応(リアクション)を表しながら、今思った事を口から盛大にぶっちゃけるボンゴレ三人組に対し、ザフィーラは憤慨や疑念で応対する。 突然話に割り込んできた大型の狼が自然に人語を介して普通に自己紹介と意志疎通(コミュニケーション)を交わしてきたのだから、無理もないが、言われた当人は少しだけ思い当たる節があるような気がしても、なかなか納得がいかない様子だった。

 

その一方でトールズⅦ組陣の反応はというと──

 

「ふむ、ザフィーラさんというのですね……了解、生徒手帳と《クラウ=ソラス》の人物データに記録しました」

 

「確かに守護騎士の肩書きの通り、狼の姿ながら歴戦の武人と感じさせる気質と風格が観て取れる。 相当な猛者だという事が判るな」

 

「ええ。 本当に大きく逞しくて、とても頼もしそうな守護獣様ですね♡」

 

平然として好感触であった。

 

ボンゴレ組(ツナら)は死ぬほど驚いてるのに、トールズⅦ組(エマら)はザフィーラに対する反応普通なんだな?」

 

「あはは……まあ、ゼムリア大陸(私達の世界)には人の言葉を話せる使い魔や聖獣などが存在していますからね……」

 

「因みに、大っきい狼の聖獣なら、あたしの学院卒業後の進路希望先のクロスベル警察《特務支援課》で警察犬やってるんですよね~♪ ザフィーラさんと大体同じくらいか一回り小さいといった感じの大きさで“ツァイト”っていう名前の白い毛並みの狼なんですけど。 なんでも正体は1200年前からクロスベルの地と空の女神(エイドス)が齎した至宝の一つを見守っていたという伝承の神狼らしいんですよ。 フフン、凄いでしょ?」

 

「神狼と呼称される程の聖獣が何故警察犬などやっているんだ!?」

 

予想外にもザフィーラという喋る狼を見ても反応が薄いトールズⅦ組陣を妙に思ったヴィータが彼らにさり気なくどうしてか聞くと、そういった類には詳しい巡回魔女のエマが家族同然の付き合いが長い使い魔の黒猫と正体が焔の聖獣であるロリBB……もとい《魔女の眷属(ヘクセンブリード)》の長の事を思い浮かべて苦笑しつつ人語を交わす人外の知り合いには事欠かない世界の出身だからという意味を含めて濁した回答を述べ、便乗したユウナが自分の就職希望先に決めている警察部署に神狼の警察犬が所属している事を教えて何故か自慢気に鼻を鳴らした為、シグナムが淡々とツッコミを入れていた。

 

「兎に角や。 今紹介した四人が守護騎士ヴォルケンリッター。 そして其処にこの末っ子の【ツヴァイ】を入れた五人が私の大切で自慢の家族という訳やな~」

 

一々グダクダしたが、はやての守護騎士“ヴォルケンリッター”四騎全員の紹介をどうにか終え、はやては最後に自分の耳元で文字通り浮いている妖精のように可愛らしくて小さな【ツヴァイ】に自己紹介するように言う。 すると円卓テーブルの中心へと飛翔した八神家の末っ子がリィン達に向けて元気よく口を発した。

 

「やっとツヴァイの番が回って来ましたね♪ 先程お会いしましたが改めてご挨拶します。 機動六課部隊長補佐と前線管制役を兼任している《リインフォース(ツヴァイ)》空曹長です! はやてちゃんや親しい人達からは名前の頭を省略して“リイン”と呼ばれる事もありますけど、それだとそこのリィンさんと呼び間違いやすいと思うので、私の事はどうか【ツヴァイ】とお呼びください」

 

「「「「「「「……」」」」」」」

 

円卓の上に文字通り浮いてリィン達の顔ぶれをぐるりと見回しつつハキハキとした自己紹介を述べたツヴァイ。 彼女はリィン達とは早朝方はやてと一緒に彼らを本局の拘留から釈放してこの場に連れ出してくる時に一度会っているので彼らから友好的な返事が返ってくると期待していたが、異世界の英雄達は妖精サイズでふわふわと宙に浮遊するこちらの姿をやっぱりなんだか不思議だと感じている風にぽかんと口を開いて呆気に取られながら丸い視線を集めてきていたので、思いがけず「あれれぇ?」という可愛らしいひょんな声を漏らしてしまった。

 

「どうかしましたか皆さま?」

 

「う~ん。 正直に言うと、さっき会った時からずっと気になっていたんだけどさ。 君ってもしかして……妖精?」

 

「いや、或いは未確認の飛行人形魔獣という可能性も……」

 

「ズコーッ! ──って、ツヴァイは妖精でも魔獣でもないですよ!? はやてちゃんの融合型(ユニゾン)デバイスですってば!!」

 

「ユニゾンデバイスとは?」

 

「デバイスの事は後で纏めて説明してあげるから、今は会議に集中してねアルティナちゃん」

 

どうやらボンゴレ組もトールズⅦ組もツヴァイの事を本当の妖精や魔獣の類と勘違いしていたようであった……。

 

器用に浮いたままズッコケを披露したツヴァイは直ぐさまに体勢を戻して某ネバーランドの鐘の妖精が機嫌悪くしたように両肩を力ませつつ赤くなった頬に空気を含んでプンスカ怒りながら間違いを訂正し、その際に彼女が口に出した次元世界の専門用語を耳に拾ったアルティナがその詳細について説明を求めるが、いい加減にこの三世界対談会が最初の自己紹介から一向に進行していない事を危惧しはじめていたなのはが先程にシャマルが提案していた会議後の予定に乗っかって、頭に乗せた黒い帽子の上に疑問符を浮かべる黒兎をどうにか宥めた。

 

「ははは……まあ、私の家族はこんなん色々と個性派な面子なんやけどな。 どうかみんな、仲良くしたってな?」

 

「あとはこの間にみんなと一緒に戦ったスバル達──“機動六課FW(フォアード)”の四人の紹介なんだけど、あの子達は外で待機させているから、後でしてもらうとして……」

 

「これで時空管理局《古代遺物管理部機動六課》の戦闘人員(ユニット)は全員出し終えたね」

 

「んじゃあ続きまして、次は大変忙しいところこの対談会に出席していただいた、そちらの六課の後見人である三人を紹介し──」

 

「待てよ」

 

ここでようやく機動六課の戦闘(パーティ)メンバー全員の紹介を終えられ、足早に円卓の窓側右列の席に横並んで待ちわびていた様子を顔に少し滲み出していた三名の要人の紹介に移ろうとした。 だがそこへ、この会議が始まってから此処まで彼にしては珍しく口数少なく大人しくしていたアッシュが今になって横から口を挟んでくる。 円卓を囲む全員から「一体全体何事だ?」と言いた気な視線をジロジロと一斉に浴びせられた金茶毛の不良優等生の双眸は疑わし気な剣呑を孕ませながら時空管理局関係者(はやて達)を見回した。

 

「時空管理局だか機動六課だか言ったか……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? エマ先輩(パイセン)魔導杖(オーバル・スタッフ)とかと似ている変形機械武装持って、生身で空飛んだりクソ()っといビームぶっ放したりと色々ブッ飛んだような魔術を使っていた魔導師(アンタら)といい。 次元を渡れる飛行艦なんっつうとんでもねぇものを艦隊数で所有してやがる程の規模(レベル)でバカデカイ組織力といい。 この前に俺らが戦った、変な紫色の炎を纏った鎧武者みてぇな魔煌機兵や【次元魔王軍】とかいったクソヤバそうな連中を大勢敵に回していやがる事だって、()()()()()()()()()()()()()()。 時空管理局っつうのがどういった目的を持つ組織なのか説明されないまま自己紹介されたって、アンタらの事を信用なんかできたもんじゃねぇぜ!」

 

煉獄や地獄と呼べる程の過酷極まりない戦場を一度共に並び乗り越えた戦友だからと言って、どのような目的を持っているのか分からない巨大な規模を持った組織を知らぬまま信用する事など到底出来ない。 アッシュは兄同然だった《剣帝》の遺品を超次元規模(クラス)の戦力を有する【次元魔王軍】から取り返す為に、時空管理局のような巨大な力を持った組織と協力を結ぶ事は必要不可欠だと思っている。 故に仲間に取り入る相手が信用できるかどうかを慎重に見極める必要があった。

 

「今ここで洗いざらい吐きやがれ、この腹芸()けダヌキ! 【時空管理局】とはどういう組織なんだ?」

 

アッシュは誤魔化しは一切も許さねぇと言わんばかりの威を乗せた人差し指を管理局側代表(はやて)に向かってビシッとさし、問い詰めるのだった。

 

 

 




あとがきコーナー『リリカルマジカル復活(リボーン)! 超絶最強ヒロイン、アリサちゃんの“炎の軌跡”講座!』第7回



アリサちゃん(お歌のお姉さんっぽい衣装)「画面の前の読者のみんなー、お久しぶりー! 【リリカルマジカル復活(リボーン)! 超絶最強ヒロインアリサちゃんの“炎の軌跡”講座】、はっじまるよー!!」

リボーン(顔部分が出るように切り抜かれたガ○ャピンのキグルミ姿)「ちゃおす。 オレの名前はリボーン、このコーナーの新レギュラーだ。 よろしくたのむぞ」

はやて(上に同じく○ックのキグルミ姿)「どもどもー、《夜天の主》“八神はやて”どぇーす! 九話ぶりの軌跡講座、みんな楽しんでってなー♪」

グナちゃん(幼稚園児服)「──ッテ、ナンカタヌキガマギレコンドルー!?」

アリサちゃん「今回の特別ゲストに『リリカルなのはシリーズ』の三大主人公(ヒロイン)のその一人である、はやてさんをお招きしたわ♪ 何でフェイトさんじゃないかというと、ゲスト当人が先に出たいと御希望したからよ」

はやて(グナちゃんを高い高い抱っこしてあげる)「おおー、この子が噂の動いておしゃべりするシグナム人形かいな? ホンマ()んまいくて、かわええわー♪」

グナちゃん(はやてにほっぺスリスリやられて嫌そう)「ヤ、ヤメロー! タスケロシンイリ!!」

リボーン「さぁて、今回の講義テーマは《時空管理局》についてだったな?」

グナちゃん(身体の小ささを使ってはやての手からスッポン逃れた)「オイ、シカトシテカッテニススメヨウトスンナ!」

はやて「管理局の事なら私に任せとき。 本編でも丁度私がその事を説明する場面で切られた事やし、この場で話しとけば手間が省けるさかい♪」

アリサちゃん「それ、小説的に考えて、アリなのかしら?」

はやて「こまけぇ事はええんやよッ!(グ○ンラ○ン調に) 【管理世界】【管理外世界】【無人世界】【侵入禁止指定世界】【未到達世界】の全部を合わせて《次元世界》と呼ばれとる事は前回の講座でもう話しとったな? 《時空管理局》は通称“管理局”或いは“法の船”と呼称されておってな。 簡単に言えば、定められた時空管理法の下に従い次元空間航行と魔法の技術をもって次元世界中の秩序と平和を守る、デッカイ司法機関といったところやな」

リボーン「司法かぁ。 裏社会の天敵だからチョイ苦手になる部類なんだが……まあいい。 そんで、時空管理局の組織概要は?」

はやて「次元世界中を四六時中監視して、古代魔導遺物(ロストロギア)の暴走などが原因で発生する次元災害への対処や、違法の次元渡航手段を所持しながら次元世界を渡り歩いて悪事を働く広域次元犯罪者・組織の取り締まり、等々が主な仕事になるわな。 他にも、各管理世界における文化管理、大規模災害に対する魔法を使った収束と巻き込まれた人命への救助活動、時空管理法の制定とそれに基づく法廷での政治・裁判を執行、次元航行艦を用いた次元空間の巡回警備(パトロール)や各管理世界の軍事防衛配備、その他にも色んな事やって次元世界を管理しとるんや。 要するに、次元世界の警察と軍隊と裁判所を一つに合併したものと考えるとええで」

グナちゃん「“サンケンブンリツセイ”ッテシットルノカ?」

はやて「う~ん、言いたい事は解るんやがな。 魔法を知りそれを日常生活に取り入れている管理世界と、魔法は神秘や幻想などの想像の産物としか認識されとらん地球などの管理外世界とでは、価値観がまるでちゃうんやろな」

アリサちゃん「まあ、管理局では九歳や十歳といった幼少期の子供でも魔法使いの才能を持っていれば引く手数多の場所で高級取りに働けるくらいだものね……」

はやて「ハハハ……それでも一応、一箇所に実権を集めて独裁体制というわけではあらへんよ? 管理局の内部は主に【海】【空】【陸】という三つの組織体制に分かれとるんや。 【海】は次元世界を渡航する時に通る“次元空間”の別称で、その中を次元間航行艦船の艦隊を組んで巡回(パトロール)し、星の数程在る次元世界を監視しつつ危険なロストロギアの回収や管理外世界にまで渡って其処の文化や秩序を破壊するような悪事を働く広域次元犯罪者の追跡などを幅広く執り行って、次元世界全体の平和を守っとる《次元航行部隊》。 【空】は局内でも最精鋭の高位ランク空戦魔導師が大勢居るエリート集団で、管理世界各地を飛び回って戦争や凶悪な次元犯罪組織を鎮圧したり、各世界の支部に駐留して防衛強化を行ったりしとる《航空武装隊》。 【陸】は管理世界の中心で管理局発祥の地である第一管理世界ミッドチルダを“地上”とし、首都クラナガンに本部を置いて管理世界の政治や経済の重要な中枢である地上の守備と警備に専念する《地上部隊》。 これら三つがそれぞれ管理局内部における組織運営と発言権を持つ事によってお互いに巨大な力と支配が集中しないようにしとるといった感じやな」

リボーン「だが、それだと活動範囲のデカさと難易度の高さからして、金と戦力は【海】の方にかなり偏るんじゃねーか? オレの予想では、聴いた限り規模が小っさくて運用経費と主戦力の殆どを他に取られてるだろうと思われる【陸】とはメチャクチャ仲悪いだろ?」

はやて「耳が痛い話やが、大当たりや……。 更に補足を入れると【海】と【空】の二つは事実上、管理局の本局の下に属しとる。 せやから規模の大きい二つの戦力が本局に集められる形になってしもうて、反動的に【陸】へ回す戦力と経費は少なくなってもうとる。 せやから本局と地上部隊の間には深い軋轢が出来てしもうて、両者は表では同じ管理局の組織として協力しとっても水面下で政治的対立(ケンカ)をしとるんやな、困った事に……」

アリサちゃん「それで、前回の講座で私が説明したような、上層部や局の御偉い様が汚職やら裏で真っ黒な研究やらして、挙げ句にそのマッチポンプで次元世界の色様々な有力者や独立勢力から反抗される場合も多いらしいのよね。 『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の原作アニメ劇中では機動六課(はやてさん達)の宿敵だったジェイル・スカリエッティの正体は管理局本局の実質的トップであった【最高評議会】によって管理局の正義を強固にする為に必要悪の役割を与えられながら生み出された先史時代の天才科学者を模倣した人造人間だったのだけど、制御しきれなくなった《無限の欲望(スカリエッティ)》に裏切られて、彼を生み出した業を背負った最高評議会と、地上の戦力を獲得しようとして彼の人造魔導師や戦闘機人の培養研究を裏支援していた地上本部統括【レジアス・ゲイズ】防衛長官が彼の造り出した戦闘機人(ドゥーエ)に暗殺されてしまってたわね」

グナちゃん「ソシキノハランナカ、マックロジャネーカヨ!」

リボーン「ボンゴレファミリーも歴代が血で血を洗うような事をやらかしてきたから人様の事は言えねーが、表の世界の平和を守ってる正義の司法の連中が不正やらかしやがるのは、ハッキリ言って大問題だぞ」

はやて「それについては誠に弁解の次第もございまへんわ……せやけどな、本作のプロローグ編でなのはちゃんがカッコよく啖呵切っとったやろ? 管理局は闇の部分ばかりやない、機動六課(この私ら)を中心として次元世界の真実の平和を願っておる数多くの善良な魔導師や局員達が日々邁進して組織の闇を祓おうと頑張っとるんや。 私自身も手柄を立てまくって組織の上へのし上がって、いずれ管理局全体のトップになって、管理局を変えてやらぁっ!(某七代目火影風に)」

ヒートアップしたはやては周りが見えなくなって、右手に乱回転する魔力球を出して大きく振りかぶった。

はやて「うおおおおっ! 管理局の闇は私がブッ壊す! くらえ、ラセンガン──ッ!!」

グナちゃん(命中)「ウボァー!」

はやて(しょうきにもどった)「ぁ……」

グナちゃん(ピカー!)「ヨクモヤッタナ……」

はやて(顔面真っ青)「ちょちょっ、ちょっと待って、今のはナシや!」

アリサちゃん(ぴゅーっととんずら)「それじゃあ読者のみんな。 今回の講座はここまでよ!」

リボーン(スタコラサッサと)「次回も死ぬ気で読めよ。 じゃーなー」

はやて(逃げ遅れたギャー!)「ってか、二人共逃げるの速っ!? ちょっと、私を置いていかへんでよーっ!!」

グナちゃん(もっとピカー!)「サラダバー!」

ちゅっどーん!!


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