英雄伝説リリカルREBORN! 炎の軌跡   作:蒼空の魔導書

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いよいよ(クロ)の軌跡発売予定日まで残り二ヶ月を切りましたね。

最近で新たに出てきた公式の情報だと、何やら新主人公のヴァンが《魔装鬼(グレンデル)》という変身ヒーローみたいな形体へ変身できるパワーアップシステムが出てくるらしいとの事で、軌跡シリーズの新章のストーリーへの期待が益々アガットして参りました!

う~んそれにしても神氣合一(髪色変色パワーアップ)騎神(スパロボ)に続いて、魔装鬼(変身ヒーロー)まで出てきたか……シリーズが進む毎にヒーロー要素を盛り込んでくるとは、さすが、英雄伝説(THE LEGEND OF HEROES)のシリーズタイトルは伊達じゃないな。

他にもジンさんやフィー、ヴァルターの参戦決定や、新たな《剣聖》シズナ・レム・ミスルギと新登場の執行者《黄金蝶》ルクレツィア・イスレの詳細情報解禁などなど、最近黎の軌跡のワクワクする新情報が盛り沢山に公開されて、9月30日の発売日が待ち遠しくて仕方がありませんよ~。

てか《黄金蝶》のCVが植田佳奈さんで、しかもなんとエセ関西弁キャラですとぉぉっ!? こいつはやべぇ。 メッチャこの作品の本編に出したい。 そして彼女と同じ佳奈様ヴォイスのエセ関西弁キャラであるタヌキ娘とどっかで絡ませたい!

???「ちょい待ちぃ! 誰がタヌキ娘やねん!? て言うかもう五話目なんやし。 ええ加減に私の名前、早う本編に出してぇな~(泣)」





繋がる世界

なのは達の絶体絶命の危機にリィン・シュバルツァーと沢田綱吉が数名の仲間達と共に馳せ参じ、三世界の若き英雄達が運命の邂逅を果たしていた丁度その時。 彼等が乗って居るミッドナイト軍主力艦隊司令母艦《ガラハッド》の浮かぶ遥か真下の地上部隊本部屋上ヘリポート近空では、なのは達六名を先行させてガラハッドに向かわせる為に、強敵の人型戦闘兵器《オーバル・モスカ》の足止めに此処に残った機動六課前線部隊のスターズ・ライトニング両分隊副隊長のヴィータとシグナムが今も奮闘を続けていた。

 

「うおおおおっ! いい加減にブッ壊れちまいやがれええええぇぇーーーッ!!」

 

『ギガントフォルム!』

 

ヴィータは小さな全身を火傷塗れにして、決死の闘志を激しく燃やしていた。 上空に浮かぶ敵軍の司令母艦へ先に向かわせた頼りの戦友(なのはとフェイト)部下達(FW陣)の背中を、この強敵に追わせる訳には絶対にいかない。 両脚の推進装置(ブースター)噴射口から赤い炎をジェット噴射させ、猛スピードで突撃して来るオーバル・モスカに対して彼女は自身の持つ最大破壊規模の必殺戦技(Sクラフト)で、真っ向勝負で迎え撃った。

 

「轟天爆砕ギガントシュラァァァァアアーーークッ!!」

 

瞬間増幅魔力薬莢(カートリッジ)を四発使用して、小さな両手に血が濃く滲む程キツく握り締めた相棒の戦槌(グラーフアイゼン)を自分の身の丈の十倍以上に巨大化させ、相手の巨体を遥かに上回った超重質量のハンマーヘッドを豪快に上から振り下ろすように、射程圏内(クロスレンジ)に突っ込んで来た鉄機人の頭上へと叩き付けた。 それは直撃と同時に台風の如き衝撃波が発生して近空を飛んでいたシグナムが数十メートル程遠くに吹き飛ばされる程の威力を発揮していた。

 

……だがしかし、オーバル・モスカはあろう事かこの威力を全く意に介さず巨木のように太い右腕でヴィータのギガントシュラークを軽々と一薙ぎで打ち払ったのだった。 自身が渾身で繰り出した必殺戦技(Sクラフト)をいとも簡単に敵に無力化された光景を前に、ヴィータは大きな双眸が引き千切れる程に見開かせて戦慄の驚愕を露わにする。

 

──そんな嘘だろ!? コノ鉄人形ヤロー、渾身で振るったアタシの最大破壊技(ギガントシュラーク)をまるで飛ぶ蝿を手で追っ払うみてぇに簡単に払い退けやがった!

 

「危ないヴィータ、避けろ!」

 

──ダメだ。 デカイ質量と威力の大技(ギガントシュラーク)を繰り出した直後にきた身体への反動がキツ過ぎて動けねぇ。

 

「ここまでかよ、チクショォォオオオオーーー!」

 

そのままオーバル・モスカが岩石のように硬く大きい両手の拳を握って旅客機が追突してくるレベルの推進エネルギーを加算させた威力を乗せ、両腕を正面目前に迫ったヴィータに向けて突き出してくる。 シグナムがカバーに入ろうとするが距離が離れていて両者の衝突までに間に合わない。 これで万事休すかと諦めかけたヴィータが悔しさのあまりに目を強く瞑って絶望を叫んだ……その刹那──

 

「大地の盾よ彼の者を傷付けんとする災厄から護れ──《アダマスシールド》!」

 

突然、何処からかヴィータにもシグナムにも全く聞き覚えのない女性の声が聴こえてくる。 その瞬間、今まさに自分の幼い全身よりも巨大な質量を持ったオーバル・モスカの双鉄拳が突当たる寸前だったヴィータの前に()()()()()()()()()()が顕れ、彼女の眼前へ迫った双鉄拳を阻む。 そしてそれに連接する巨木のように太い両腕をもへし折る勢いで弾き返した。 その反動を受けてオーバル・モスカの巨体が大きく仰け反って後退し、ヴィータから若干離されたその瞬間、今度はまた別の彼女達が知らない男性の雄々しい声が空高くより鳴り響いた。

 

「カラミティ……ホーーーークッ!!」

 

直後、正体所属不明の青年が十字穂を持つ槍を手に、狙いをつけた地上の獲物を仕留めに上空から急降下していく鷹さながらに、オーバル・モスカの頭上へと落雷の如く落下した。 オーバル・モスカの脳天に槍の穂先から長い柄の半分以上まで貫き通して深々と突き刺したと同時に青年の長い健脚でその後頭部を凹ませる程の強い衝撃で踏み落とされ、両者そのまま真下に見える半壊した地上部隊本部屋上ヘリポートへと墜落していく。

 

「……アレ?」

 

ド派手な衝撃音が鳴り響いたその直後になって、ヴィータはいつまでもオーバル・モスカの鉄拳に殴られる痛みがやって来ない事に違和感がして目を開き、漸く急変した状況に気が付いた。 突然一体何が起きたのかと恐る恐る衝撃音が鳴って来た地上部隊本部屋上ヘリポートを見下ろしてみると、其処には先程シグナムが敵の火炎放射によって一度墜とされた際に出来た中央の大孔、その側に蜘蛛の巣状のクレーターを造って全身の所々の箇所から放電火花を上げさせながら腹這いに倒れ伏したオーバル・モスカと、その鋼鉄の大きな背中の上に立って足下の頭部に突き刺さった十字槍を引っこ抜く謎の青年の高く幅広い背中が眺められた。

 

「突然いったい何が起こったってんだシグナム?」

 

「私にも分からん。 何者だあの男? 不意打ちだったとは言え、我らヴォルケンリッターが二人掛かりでも苦戦していた人型ガジェットを一撃で突き墜とすなど、到底只者の腕ではないぞ……」

 

ヴィータとシグナムが並んで困惑の表情を浮かべながら、倒れ伏したオーバル・モスカの上から十字槍を持って降りた謎の長身の青年に警戒の目を向ける。 年齢は目測で凡そ二十歳前後だろう。 離れた空中から観ても190は余裕で超えていると判る高い背丈、雄大な大地を連想させる褐色の肌と広い肩幅、茶髪の短い三つ編みを一房背中に下ろし、渓谷に吹く風のように清涼な顔付きと雰囲気に反し、どこか神聖さを感じさせる土色の外套を身に纏って自身の長身をも上回る長さの柄を持つ十字槍を携えて立つ姿は鷹のように鋭い覇気を漂わせていた。

 

 

七耀教会星杯騎士団──守護騎士(ドミニオン)第八位≪絶空鳳翼≫ガイウス・ウォーゼル CV:細谷佳正

 

 

「エマ、取り敢えず暴れていた【人形兵器】は沈黙させた。 襲われていた二人の安全確保を頼む」

 

オーバル・モスカが起き上がる気配を見せない事を目視確認した長身の青年──ガイウスがそう呟いた直後に未だ彼への警戒を解かないヴィータとシグナムの側の宙に敷かれるように、二人の全く見覚えが無い形式の模様が描かれた魔法陣が出現。 そしてその上に薄紫色の魔力光が睡蓮の花弁状に開き、その中からガイウスと同年代ぐらいの若い女性が姿を現した。

 

「そこのお二方、御怪我はありませんでしょうか?」

 

現れた女性はヴィータとシグナムへ恭しい丁寧な口調で話し掛けてきた。 彼女の外見は一応時空管理局所属の魔法使いとして名が通っているヴィータとシグナムよりもずっと“魔法使い”っぽい格好と雰囲気を放っていた。 シグナムのものにも勝るとも劣らない程に豊満な胸元の前で両手に握り締めている、この世界の魔導師の持つデバイスにも似通った機械仕掛けの錫杖とその先端上部分の円輪状金属フレームの中心に取り付けられている球体部分から発せられている、溢れんばかりに膨大な薄紫色の魔力を使って足下に敷かれた魔法陣の足場を維持しているのを認めるに、この女性も相当な使い手だろう。 それも次元世界トップクラスの実力を持つ魔導師として知られるなのはやフェイトにも匹敵出来る程の……。

 

「……気遣い感謝する。 しかし少々(?)の火傷は負ったが命に別状はないから心配は無用だ」

 

「それよりも、お前等はいったい何所の何モンなんだよ? 視たところお前は魔導師のようだが、足下のその魔法術式はこの世界で一般的に使われている【ミッド式】でも【ベルカ式】でもねぇようだし……それにアタシとシグナムが二人掛かりで苦戦していたあの人型ガジェットを一撃で墜としやがったあそこの褐色ノッポの優男に至っては、なんだか()()()()()()()()()()()()()をビリビリと漂わせて来やがる」

 

「お前達……もしやこの世界の人間ではないな?」

 

「あはは……やっぱり、此処って《ゼムリア大陸》ではないのですね……」

 

警戒の色を濃くして問い詰めてくる魔導騎士の二人に対して魔法使い風の女性は苦笑交じりに自らが置かれている状況を確認するかのような事を口から漏らした。 左肩側に垂らした薄紅毛の長太い三つ編みが彼女の今の微妙に困った心境を代弁するかのように一瞬萎れたように見えた。

 

 

魔女の眷属(ヘクセンブリード)≫エマ・ミルスティン CV:早見沙織

 

 

「取り敢えず、まずはお互いに自己紹介を交わしましょうか。 私はエマといいます。 下に居るのは私の仲間のガイウスさんです」

 

「時空管理局、古代遺物管理部機動六課所属、ライトニング分隊副隊長を務めるシグナムという。 それとこっちが──」

 

「同じく、機動六課のスターズ分隊副隊長のヴィータだ」

 

「えっ? ヴィータ……」

 

薄紅毛の魔法使い風の女性──エマがヴィータの名前を聞いて一瞬何故だか驚いたような反応を顔に浮かべる。 その反応を見て若干気を害したヴィータがエマにいちゃもんを付けてくる。

 

「んだよ、人の名前に何か文句でもあんのかテメェ?」

 

「あ、ご、ごめんね。 別に悪気は無いの。 ただちょっと君の名前が私のn──「油断するなガイウスとやら! 彼奴はまだ倒せていないようだぞ!!」」

 

ヴィータに失礼を言ってしまった事を弁解しようとしたエマの声をシグナムが横から遮って倒したと思ったオーバル・モスカがガイウスの背後でゆっくりと上体を起こす挙動をしているのに気付き、緊迫した声でガイウスに警戒を呼び掛けた。 ガイウスが咄嗟に踵を返して背後に振り向くと、頭部天辺に大きく空けられた槍の貫通孔から黒い煙を上げて全身から電光火花(スパーク)を放ちつつ、ぎこちなく立ちながらも顔面のガスマスク越しに冷徹殺伐とした眼光(レンズアイ)で彼を睨み付ける殺戮の鉄機人(キリングマシーン)が其処に居た。

 

『──ピピピッ、敵ノ新タナ増援ヲ確認。 次元世界内ノ高位戦闘能力保有者記録保存領域(データベース)接続(アクセス)……照合解析……記録名簿(リストアップ)ニ該当者無シ。 シカシ増援敵性戦力ノ保有シテイル戦闘能力ハ未知数(UNKNOWN)ト推定。 ヨッテ敵ノ総合戦力脅威度認識ヲSSランク以上ニ引キ上ゲマス』

 

「エマ、すまない。 どうやら打ち損じたようだ。 こっちに来て手を貸してくれないか」

 

「分かりました、すぐに行きます……そういう訳で話は後にしましょう。 視た所御二人共、相当腕の立つ魔導師のようですし。 怪我に支障が無いのなら、後方援護をお願いしますね!」

 

「あっ!? 待て、民間人が勝手に戦うんじゃねぇ!」

 

ヴィータの慌てた制止は届かず、エマが薄紫色の魔力光の中に姿を消し、その瞬間に足下に敷かれた魔法陣の足場も『パシュゥゥン!』という効果音を鳴らして消滅する。 それと同時に真下の地上本部屋上でオーバル・モスカと対峙しているガイウスの隣位置に、たった今ヴィータ達の目の前でエマと共に消えたのと同じ術式の魔法陣が顕れ、その上に光の睡蓮が花開く。 すると其処に勇ましく錫杖を構えた姿のエマが再出現する。 どうやら彼女は瞬間移動か転移系の魔術を使用したようだ。

 

そして、臨戦態勢の二人の間に謎の光の線(ライン)が接続された。 床面を伝って両者の足下を繋ぐようにして顕れたその不可思議な事象を、ヴィータとシグナムは唖然とした眼で見下ろし、珍紛漢紛(ちんぷんかんぷん)と戸惑いを浮かべた。

 

()()()()()()()()()()()()()!? しかも発動速度が恐ろしく早い……ッ」

 

「それに何なんだアイツらの間に繋がれた(ライン)はよ!? 次から次へと訳分かんねぇ。 マジ何モンだ、あの二人はよ!」

 

「とにかく、このまま無関係な部外者に戦いを任せて引き下がっては次元世界の法と秩序の守護を務める時空管理局員、ひいては古今無双の誇り高き古代ベルカの騎士の名折れだ。 呆けていないで我らも直ちに加勢するぞヴィータ!」

 

「当たり前だッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミュゼ。 この人達全員の回復を頼めるか?」

 

「もちろんです。 わたしの愛しいリィン教官の頼みならば、お任せを♡」

 

「「「え? “わたしの愛しい”って……」」」

 

「この子の戯れだから、三人共彼女の言葉を真に受けないでくれ……」

 

リィンや綱吉達の来襲によってラコフの操る魔煌機兵スクルドを中破させて一時的に怯ませ、ガラハッドの甲板上に展開されていた機械兵器──リィン達の呼称では《人形兵器》という、自律駆動兵器ユニットの大群の内の半数以上を機能停止させた事によって、なのは達機動六課の絶体絶命の危機が救われた。

 

敵の大将が動けず、リィンと綱吉の仲間達が生き残っている人形兵器達を牽制している隙に、酷くダメージを受けている機動六課最前線攻略部隊の六人を回復させようとして、リィンがこの場に居る自分の仲間の内で最も回復の術に長けているミント髪の美少女に呼び掛ける。

 

彼女はリィンからの頼みを快く聞き入れるが、それと一緒にあざとい笑顔をリィンと彼の側に居る三人(綱吉、なのは、スバル)に向けて、他人を勘違いさせるような発言を(強調して)どさくさに言葉の間に挟みつつ返事をしてきたものだから、リィンの側に居る三人が目を丸くしてリィンとミント髪の美少女を交互に疑惑の視線を行き来させる。 明らかにミント髪の美少女が確信犯でリィンを困らせる発言をしたのが判る為、直ぐにリィンはこちらにジト目を集めている三人の誤解を解くようにフォローの言葉を淡々と慣れた口で言って注意すると、目線確認(アイコンタクト)で早く怪我人を回復するようにとミント髪の美少女へ促した。

 

 

トールズ士官学院第Ⅱ分校≪Ⅶ組特務科≫ミュゼ・イーグレット CV:小清水亜美

 

 

「あらあら、ごめんなさいね。 教官の困った御顔は何時見ても可愛いらしいので、つい♪」

 

「いいから、早くやってくれ」

 

──あ、あざとい……。

 

──にゃはは……なんだかこの子、リンディさんと会ったら意気投合しそう……。

 

「うふふ、それでは戯れはこれぐらいにしておいて、怪我人の皆様を回復します。 ……《ARCUS(アークス)》駆動──」

 

戦闘再開する前にリィンの精神を疲弊させるような事を言ってくる、あざとい性格のミュゼに底知れぬ手強さを覚えて戦慄を禁じ得ないように片眉を小刻みにピクピクとさせるスバルと、性格相性的に彼女と組み会わせて手の付けられない程の化学反応を起こすだろうと思う知り合いを思い浮かべて苦笑を浮かべるなのは。

 

その直後にミュゼが身に着けている動きやすさを追求した作りの青い学院生服のミニスカートの脇ポケットから携帯電話と酷似した形をしている謎の端末機を取り出した。 学院生服と同色の背面カバーには学院章であろう“有角の獅子”が描かれている。 それを彼女が片手に掲げると、彼女の全身を丸ごと覆うようにして黄金色に光る球形の術式方陣が展開され、それを目の当たりにしたなのはとスバルが目を見開いて驚愕を露わにする。

 

「……えっ!?」

 

「この詠唱は……ミッドナイト軍の機械兵器も使ってきたやつだ!」

 

「──聖浄なる熾天使の環よ、悪しき刃によって深く傷付けられし者達の身体を癒せ──《セラフィムリング》!」

 

ミュゼが駆動詠唱を唱えきると彼女を囲っていた術式方陣が弾け、直後に空属性最高位の全体回復導力魔法(アーツ)が発動した。 全長約300m以上の規格を誇っている司令母艦ガラハッドの周囲を取り囲むようにして光の輪のような現象が顕れると、それが艦の中心に聳え立つ艦橋(ブリッジ)のミラービルより上の位置まで高速回転しながら浮かび上がり、煌めくように弾ぜて光輝く天使の羽が無数に甲板上全体に降り注いだ。 するとまるでその天使の羽が徳を持つ善人を選別するかのように、悪しき者である紫焔の武士と人形兵器達を透過して、善なる若き英雄達を癒しの光に包んで全員の負傷と体力を完全回復させたのだった。

 

「綺麗……それに──」

 

「あれだけ敵に酷くやられたあたし達全員のダメージと負傷が全部治ってるし、底を尽きていた体力も全快になってる……凄い!」

 

──これは“死ぬ気の炎”と完全に違う力みたいだな。 この女の人達と周りに倒れていた彼女等の仲間らしい人達だけじゃなく、此処にやって来る前“あの男”に付けられていたオレと獄寺君達の傷痕まで全部完治させている……なるほど、大した力だ……。

 

ミュゼの使った導力魔法(アーツ)が発揮した驚異の回復力になのはとスバル、それに先程から敵ユニットを近寄らせないように周囲を見張っていて会話から外れていた綱吉すらも舌を巻いた。

 

──だけどどうしてミッドナイト軍の機械兵器達が使用して来ていた異世界の魔法を、突然上空から落下してきた人間が使えるのだろうか……いや、そもそもミッドナイト軍の艦隊が陣を敷いているこの空域より上空にはただ何もない夕焼け空が広がっているだけで、人が降って来るなんてどう考えても不自然だね。 もしかして彼等は──

 

「君、立てるか? 良ければ手を貸す」

 

「あ……ありがと」

 

リィン達空から現れた謎の助っ人等の正体を掴みかけて思案に耽っていたなのはは、不意に隣で床に倒れ伏せたままの体勢だったスバルを気遣って助け起こそうと彼女に手を差し伸べていた綱吉の呼び掛け声を耳に入れ、ふと我に返る。 たどたどしく伸ばされたスバルの腕を優しく取りなるべく負担を掛けないようにして彼女を引っ張り立ち上がらせた、茶髪の少年の顔付きは淡々と凛々しいが思春期特有の幼さも入り混じっていて、15歳のスバルと同年代か少し歳下ぐらいの年齢だと思える。 そして何故が髪を燃やさずに彼の額に灯り続ける謎の橙色(オレンジ)の炎からはラコフの駆る魔煌機兵スクルドが得物の機関砲剣で無限に乱射してきた紫色(バイオレット)の炎の弾丸やオーバル・モスカが放つ森羅万象の何もかもを()()してきた赤色(レッド)の炎と紛れも無く同じ系統のエネルギーであると思われるが、スバルにはそれの内から伝わってくるものに()()()()()()()()()()が感じられた。

 

──グローブ越しなのにこの人の手からとても暖かい気持ちが伝わってくる……見た目は冷淡で怖そうな雰囲気だけど、こうしてあたしの事を気遣ってくれるし。 この人、本当は凄く優しいんだ……それに何だかクールイケメンに見えて、実際こうして間近で見てみるとなんだかカワイイ顔しているなぁ……ヤバイッ、なんか母性が目覚めそう。 今直ぐ抱き寄せて頭をナデナデしたい──

 

「……スバル、アンタ大丈夫なの?」

 

「──っは!? ……ティア? それにフェイトさん達も、みんな何時の間にこっちに集まって?」

 

スバルが如何わしい感じにニヤけさせた顔をして口から涎を垂らしただらしない表情で我に返ると、彼女の視界には既に見惚れて(?)いた綱吉の顔は離れていて、入れ替わりに先程ミュゼのセラフィムリングで瀕死の重傷から完全回復したティアナやフェイト達機動六課最前線攻略部隊メンバーが周りからこの場へ集結し勢揃いを果たしていたのだった。 いやらしく指をワキワキさせて伸ばしかけていたスバルの両手の目前には、頭が変な他人を見るかのように冷ややかなジト目で呆れ果てるように彼女の顔を覗き込んでいるティアナ……その発育途中のやや大きめの丸みを主張している胸元の肉まんが二つ……。

 

「……イタダキニャス!」

 

ひゃうん♥ ──って、何すんのよバカッッ!!」

 

「ぶがっ!」

 

丁度伸ばせば掴める位置にそれがあったので、取りあえず某蒼を巡るストーリー格ゲーに登場する食いしん坊キャラの口真似をしながら二つともムニュン♥ と鷲掴んだら、顔が真っ赤になった目の前の親友の少女に右手に持った銃底で思いっ切り殴り飛ばされた。 自業自得にも再び床に倒されて垂れ流れる鼻血を手で押さえつつ悶絶しながらのたうち回るスバルを見下ろして、ティアナは胸元を両腕で隠す格好をしてセクハラを受けた羞恥と頭の惚けた相棒の醜態という二つの恥ずかしさに大変赤面しており、その熱がどうにも冷めやらず怒りを通り越して何だかとても情けなく感じ、忽ち落胆の様相を呈した。

 

「まったく、寝ぼけてんじゃないわよ。 こんなアンポンタンなんかを心配する必要は少しもなかったわ……」

 

「ま、まあまあティアナさん。 スバルさんが大変無事なようでよかったじゃないですか」

 

「あらあら、うふふ。 皆様は随分と仲良しなんですね♡」

 

「ミュゼ、あまり茶化してやるなよ。 ……それよりも、クルト達が威嚇してくれているとはいえ、よく人形兵器達の網を掻い潜って、彼女達を集めてくれたな。 ユウナ、アルティナ」

 

スバル達機動六課FW陣が四人全員集まって互いの身の無事を喜び合うその様子をミュゼが側で他愛無さそうに眺めて口許に手を添えながら悪戯っぽく微笑しているのを、リィンは一言軽く戒めて溜息を漏らす。 その背後へ、明朗快活そうなピンクブロンドのショートポニーテールをした美少女と、精巧な御人形(ビクスドール)のように綺麗に整った鼻目立ちをしている銀髪の美少女がやって来て、リィンは振り向いて二人に労いの言葉を掛けてやる。 何を隠そう、この二人は密かにリィンの指示を受けてまだまだ敵軍ユニットが数多く展開する甲板上全体を駆け回って、バラバラに散っていたティアナ達機動六課最前線攻略部隊メンバー全員を一苦労してこの場に掻き集めたのだ。

 

敬慕する教官に褒められて、成人前の少女の平均以上に大きく実らせて健康的な丸みを持った美乳を張って隠そうとせず素直に得意気な鼻を鳴らすショートポニーテールの美少女。 銀髪の美少女も希薄だが満更では無く嬉しがっている様子が見て取れる。 銀髪の美少女は先程まで黒い案山子のような機械兵器と合体して防御力より機能性に特化したような武装軽鎧を身に纏っていたが、少し前に合体は解除したようであり、ショートポニーテールの美少女共々ミュゼが着ている学院生服と同じものを身に着けている。

 

 

トールズ士官学院第Ⅱ分校≪Ⅶ組特務科≫ユウナ・クロフォード CV:東山奈央

 

 

トールズ士官学院第Ⅱ分校≪Ⅶ組特務科≫アルティナ・オライオン CV:水瀬いのり

 

 

「フフン! この程度あたし達なら朝飯前ですよリィン教官。 伊達にあの《黄昏》と《逆しまのバベル》での死線の数々を乗り越えてきてはいませんよ! ねっ、アル?」

 

「そうですね。 少なくとも【黒の工房】に囚われたリィン教官を取り戻しに行った時のよりはずっと低難易度のミッションでしたしね……」

 

「ハハハ……あの後から何度もしつこく言って、皆いい加減にしろと思っているだろうけれど。 改めて、あの時の事は俺の所為で皆に散々迷惑を掛けてしまって、すまなかった。 深く反省しているよ」

 

「本当にそうですよもう。 あの救出作戦の時は【朱のロスヴァイセ】にされたアンゼリカさんや【鋼のゲオルグ】を演じていたジョルジュさんや暴走して我を失っていた教官、挙句の果てには無茶苦茶強い宰相さんと聖女さんの最強コンビとの休み無しの連戦を強いられて、あたし達新旧Ⅶ組全員が死ぬ程苦労したんですからね!」

 

「……」

 

そんな風に褒めた筈のユウナとアルティナからそれぞれ意地悪いニヤけ面と皮肉を訴えるジト目を向けられてきて、リィンが苦笑して片頬を人差し指で掻きながらタジタジに参った様子を見せ、その近くで綱吉が周囲を見張りながら三人の話を興味深そうに盗み聞きしていると、その四人に向けて不意に外野から女性の訊ねる声が掛けられてくる。

 

「あの~、皆さんちょっとよろしいでしょうか?」

 

話の最中に急に割り込んで来た事を申し訳なさそうにして訊ねてきた女性はフェイトであった。 その隣にはなのはも伴って来ている。 二人とも先程のミュゼの回復導力魔法(アーツ)のお蔭で身体の傷はスッキリ……特にただでさえ元々病み上がりで身体に大きな不調があったなのははリィン達が救援に現れる直前に敵の猛威に抗おうと己の命を燃やして限界突破のパワーアップを行う【リミットブレイク】を使おうとした未遂にその負荷の影響を受けて全身の血管を破裂させる程の瀕死状態だったのだが、それも今は身体に傷一つ無く完全回復されている。

 

「貴女方は……確かあそこの四人(スバル達)と一緒に人形兵器達に襲われていた……」

 

「どうも初めまして。 私は時空管理局、機動六課のフェイト・T・ハラオウンと申します」

 

「同じく、高町なのはといいます」

 

──うっわ~、凄く綺麗な人達……それも下手をしたらクレアさんレベルの美人度まで行くかも♡

 

──しかし、タカマチと名乗った方の女性からは何故だか()()()()()()()()()()()()がしてきますね。 おまけにこの魔性と言える程にいい声質、何所かで聴き覚えのあるような……。

 

「……それで、何か用でもあるのか?」

 

二人の姿を見てリィンが思い出すような言い回しで相手に素性を確認し、それに応えてフェイトとなのはが背筋を伸ばしてビシッと右手を額に上げる敬礼を見せて所属組織と共に毅然と名乗りを上げる。 そんな二人の立派で凛々しく美しい容姿に見惚れるユウナと、なのはの放つ性質の気配と声質に何故か既視感を覚えて拳を己の白い小ぶりな顎に添えて思案顔を作るアルティナ。 そんな彼女達の脇に立っていた綱吉が相変わらず淡々とした口調でフェイトとなのはに用件は何事なのかを聞いてくる。 するとなのはが一歩前に出て感謝の気持ちを表すかのようにリィン達四人に深々と頭を下げた。

 

「あの……さっきは大変危なかったところを助けてくれて、どうもありがとうございます! 貴方方の救援のお蔭でわたし達機動六課最前線攻略部隊は全員九死に一生を得られました!」

 

なのは(私の友人)の重傷と私や部下達の負傷までこうしてわざわざ治して頂いて、何とお礼を言ったらいいのか──」

 

「いや、そんなに畏まって頭を下げなくてもいい。 そこで転げ回っている青い髪の女の人に傷だらけで助けを求められたから咄嗟に助けに入ったってだけで、特に礼を言われるような事はしていないからな……」

 

「ああ、そうだな。 当然の事をしたまで。 困った時はお互い様さ。 ……それに見たところ、君達は俺達と歳が近いみたいだし、硬い言葉も必要ない。 出来れば普通に話してくれないか?」

 

畏まった敬語を使って命を救われた事への御礼の意とその恩を伝えてきた二人の熱心さに、綱吉とリィンはそこまで大袈裟に持ち上げられる程立派な事はしていないから無理に遜った態度で接するのは止して欲しいと頼む。 初対面とはいえ、ほぼ同年代……それもなのはやフェイトのような美人秀麗の女性にずいずいと謙虚にされるのは流石に彼等も少々こそばゆいらしく、平静を装った己の面の前に右の掌を翳して軽く二三度振る素振りをしたり、蟀谷を人差し指で掻きながら苦笑を浮かべたりして、勘弁してくれという意志表示を見せている。 それは確かにとなのは達も同意を示して一度頭を上げ、肩の力を抜いた自然体になって、改めて砕けた口調に直し「どうもありがとう」と一言の御礼をリィン達へ伝えた。

 

「それにしても、いったい何所なんだ此処は? 【時空管理局】や【機動六課】なんて名前のファミリーは聞いた覚えがない。 それと、今オレ達が乗っている空飛ぶ船はRPGとかに出てくる飛空艇か? 此処周辺の空にもこれと同じような空飛ぶ船が浮かんでいるし。 さっき機動六課(彼女達)の救援に入った時に不意打ちし怯ませて動きを止めた其処の巨大ロボットの中に乗っている奴からは微弱だけど“雲属性の炎”の熱気を感じ取れる。 此処から遥か下の方からも強力な“嵐属性の炎”の熱気が漂ってきている。 それに、遠目で今山本と戦っている、今までオレ達が見た事もないモスカは何なんだ?」

 

「それに、何故こんな場所で“結社”が保有している【人形兵器】や【魔煌機兵】が運用されていて、それがどういう訳で機動六課(君ら)と戦っているんだ? 君らの持っている【魔導杖(オーバル・スタッフ)】だってエプスタイン財団やRF(ラインフォルト)グループのものとは全く違う型式(タイプ)のもののようだし。 いったい何故……?」

 

なのはとフェイトと軽く握手を交わしたリィンと綱吉は敵の牽制へ戻って行くユウナを見送ると周囲一帯に広がっている異様な光景を見渡して、現在自分達が置かれている場を不可解に思い、思案に耽り出す。

 

この(ガラハッド)の甲板上全体に戦闘展開している仲間達(たった今スバル達機動六課FW陣も戦線復帰してユウナ達の加勢に加わった)と未だに百を超える数が居る敵の人形兵器群による激しい交戦(ドンパチ)の影響によって濛々と立ち込める硝煙。 その隙間から覗ける物々しいミッドナイト軍の主力航空艦隊。 その遥か先の夕焼け空の中で熾烈な空中格闘戦(ドッグファイト)を繰り広げている空戦魔導師と魔煌機兵の大群。 黄昏で黄金色の光を放ち天上から見下ろしている二つの円月。 甲板上の人形兵器に一体混じり黒髪長身の少年剣士が振るう刀と巨木のような鉄腕で鍔競り合いを演じているオーバル・モスカ……。

 

その何から何まで、リィンと綱吉の中の常識にとっては既知と未知の要素がごちゃごちゃに入り混じった混沌の絵面であった。 理解の範疇を超え過ぎて、頭の中の情報の整理が追い付かない。 これが全て未知のモノばかりなら二人共そういう経験は豊富である為に直ぐに適応してみせるのだろうが、よく知るモノやそれと酷似しているモノが未知のモノと混沌(ダンス)を踊っているとなると、神秘や異能が係わる事件や戦いを幾度となく乗り越えてきた百戦錬磨の若き英雄達も流石に頭を抱えるというものだ。

 

──この次元世界全体の治安維持を執り行っている時空管理局を全然知らない素振りをしているうえ、今回ミッドナイト軍が持ち出してきた異世界の異端技術を知る風なその口振りは……。

 

「もしかして、貴方達は次元漂r──」

 

彼等の話の内容から推測してフェイトは半信半疑リィンや綱吉達の素性に当たりを付け、彼等に確認を取ろうとする。 しかしその刹那、リィンと綱吉が何かの動きを察知して振り向き、鬼気迫る声でその近くの仲間に叫んだ。

 

「アッシュ!」

 

「獄寺君!」

 

「「今すぐその魔煌機兵(ロボット)から離れろ──ッ!!」」

 

「何だとッ!?」

 

「十代目、それはどういう──ッ!!」

 

それぞれのリーダーに注意を呼び掛けられた金混じりの茶髪の少年と銀髪の少年は反射的に注意の意図を理解するのが一瞬遅れる。 それが二人の致命的なミスとなってしまった。

 

丁度その時、彼等は迫り来る人形兵器の部隊に包囲されぬように、先程リィンと綱吉が落下同時攻撃で一時的に沈黙させた魔煌機兵スクルドを背にして迎撃していたところであった。 それが急に動き出して床に着けていた膝を上げ出したのをリィンと綱吉はそれぞれが持つ敏感な空間認識スキルをもって察知したのだったが、危険が迫る仲間に彼等が振り向いた時にはもうスクルドは二人の同時攻撃を受けて深々と陥没していた首部分を自身の巨大な右手で鷲掴み万力クレーンのように引っ張って強引に元の状態に戻して、丁度眼前に無防備な背中を曝していた二人の不良少年を確認し、好機とばかりに大木のような重質量の左腕を大きく振り被っていたのだった。 その光景を目の当たりにしてリィンと綱吉が、危機迫った仲間の金茶髪の少年と銀髪の少年に向かって背後のスクルドから早急に距離を取るように緊急指示を飛ばしたのは良かったが、二人がその指示を拾って内容に一瞬の疑問を抱いた為に意図を把握し行動を実行するまでの工程(アクション)に僅かな遅延が生じてしまい──

 

『ヴァーーカメッ! くらえぇぇいッ!!』

 

「「ぐああああああーーーッ!!」」

 

水平一閃に薙ぎ払ってきたスクルドの左腕を不良少年二人は背中に受け、胸をこれまでもかと大きく張った()()()に仰け反らされた体勢になってリィン達の許まで突風の如く豪快に吹っ飛ばされた。

 

「アッシュ!」

 

「獄寺君ッ!」

 

咄嗟の高速反応でリィンは金茶髪の少年、綱吉は銀髪の少年を全身で受け止める。 その瞬間に大砲から放たれてきた鉛弾のように凄まじく重い衝撃と反動がリィンと綱吉を襲った。 しかし、リィンは受け止めた瞬間に腰のバネと足の位置取りを置き換える事によって、その衝撃を柔軟に左足から床に流して後方に押し飛ばされる勢いをその場で殺しきる。 一方、綱吉は少しばかり押し退かされはしたものの、右手のグローブを背後に向けて翳し、額に灯している橙色(オレンジ)の炎と同じ色をしていながらもそれよりずっと大きな熱量をその手から放出して、生じさせた推進力で勢いを相殺し、靴底を床の摩擦で擦り減らす程度に止まった。

 

「アッシュ、大丈夫か!?」

 

「ゲホッ!……悪ィ。 俺とした事が、少しドジッちまったぜ……」

 

 

トールズ士官学院第Ⅱ分校≪Ⅶ組特務科≫アッシュ・カーバイド CV:前野智沼

 

 

「お手を煩わせてしまって……申し訳ありません……十代目の的確な指示を……オレは……」

 

「あの一瞬じゃあ仕方がなかったさ、自分を責めないでくれ」

 

 

十代目ボンゴレファミリー≪嵐の守護者≫獄寺隼人 CV:市瀬秀和

 

 

「バリアジャケットを纏っていない生身であの質量の攻撃をまともに受けたにも関わらず二人共五体満足だなんて……相当鍛えられているようだね」

 

「でもさすがに受けたダメージが大きい。 回復させないと戦闘継続は危険だと思う」

 

「なら今度は私が回復します。 《クラウ=ソラス》──」

 

それぞれのリーダーに抱き留められたまま朦朧とした意識の獄寺とアッシュの許に颯爽と近づいたアルティナがそう言って右手を天に掲げる。 すると光学迷彩(ステルス)を解くようにして彼女の頭上に、先程まで彼女と合体して《アルカディアス・ギア》という軽鎧になっていた黒い案山子のような形状の自律型人形兵器──《戦術殻》のクラウ=ソラスが顕現される。

 

──ふえぇぇっ、何コレェェーー!?

 

──これって……カカシ?

 

「──《アルティウムヒール》!」

 

不意に顕れたクラウ=ソラスを見てなのはとフェイトが内心で仰天している間に、手を上げたままアルティナが戦技(クラフト)名を言い放つ。 するとクラウ=ソラスが癒しの効力が秘められた光の鱗粉を撒き散らし、それを身に浴びた獄寺とアッシュのダメージがみるみる回復していく。

 

だが此処は高度な戦術性能を持つ人形兵器が展開する戦場のど真ん中だ。 案の定、その無防備な隙を狙って中型二足歩行ユニット(ファランクス)が二体、両端に持つ重機関砲でリィン達の死角から密集している彼等に狙いを定めようとしていた。 だがしかし、百戦錬磨の若き英雄達がそのような素人以下の凡ミスなど果たして犯すというのだろうか? ……否、そんな事など有り得ない。 何故なら彼等はこの戦場に居る仲間を信頼しているからだ。

 

中型二足歩行ユニット(ファランクス)二体の重機関砲のドンキーミサイルが無防備な姿を曝しているリィン達へ向けて全弾一斉に撃ち放たれようとしたその刹那の一瞬、その合計四丁の重機関砲全てに斜め一閃の斬線が同時に走り、発射される寸前だったドンキーミサイルごとズルズルと真っ二つに滑り崩れてそのまま暴発した。

 

「油断大敵ってな♪」

 

「アッシュ、無事か!」

 

自らが持つ重機関砲の暴発に本体も巻き添えになり黒い煙を上げてスクラップと化した中型二足歩行ユニット(ファランクス)二体それぞれの陰からリィン達の目の前に歩み出てきたのは、刀身の根元あたりの腹に燕の彫刻が施されている両刃刀を悠々と肩に担ぐ長身黒髪の少年と双剣を軽やかに振るい下げて両手に携える蒼髪の美少年であった。 前者は白い歯をちらつかせて楽天的に得意顔を浮かべて嫌味気を全く含まない軽口を獄寺に向けて言い、後者は真剣な顔付きでアッシュの負傷を心配してきている。 どうやらドンキーミサイルが発射されようとしていた重機関砲四丁を寸前で斬り落としたのはこの二人のようだ。 仲間達が敵に狙われている様子を察知して冷静に狙撃手の背後へと回り、火を噴く前に鋼鉄の重機関砲二丁ずつを剣二閃で同時に切断してみせた、判断力と技量の高さから視ても、二人共相当な剣の使い手だという事が見て取れる。

 

 

十代目ボンゴレファミリー≪雨の守護者≫山本武 CV:井上優

 

 

トールズ士官学院第Ⅱ分校≪Ⅶ組特務科≫クルト・ヴァンダール CV:江口拓也

 

 

「チッ、野球バカが……だが、オレが不甲斐無く足引っ張った所為で身動き取れなかった十代目を守った事は、取り敢えず褒めておいてやるよ……」

 

「ま、フォローの礼は言っておくぜクルト。 チビ兎も回復サンクスな」

 

獄寺とアッシュがそれぞれのリーダーに支えられていた身体の自由を解放されながら、敵の不意打ちからフォローしてくれたそれぞれの戦友(ライバル)に向かって悪態やぶっきらぼうな態度が混じりながらも感謝の言葉を伝える。 山本はいつも通り自分に対して嫌味たらしい獄寺の様子に「その減らず口なら全然大丈夫そうなのな。 ナハハハ!」と調子よく笑い、クルトとアルティナは無事の様子のアッシュに不敵な笑みで言われた礼に「まったく、助けてもらった礼を言う時ぐらい、少しは謙遜できないのか君は……」「まあ、いつものアッシュさんらしいくて、いいじゃないですか。 身体と精神に全く問題が無い証左ですね」と肩を竦めて安堵を示した。

 

『フフッ。 どうやら彼等は少なくとも悪い人間じゃあ無いみたいだね。 使用している異端の能力やその知識からミッドナイト軍との関与を一瞬疑ったけれど、目の前の助け合う彼等の姿からはラコフのような下衆には決して真似できない高潔さが感じられる』

 

『にゃはは。 それに何でだか、わたし、この人達とはとても心から通じ合える気がするの。 彼等の醸し出す雰囲気が機動六課(わたし達)のに近い気がするからというか、どうも他人の気がしないというか……』

 

リィン達の尊い信頼関係を真後ろから垣間見ていたフェイトとなのはも微笑ましく念話で彼等を信用できそうである事を交信してその旨を確認し合っていた。 仲間で助け合う精神は機動六課(自分達)にも通じるものを感じられると思い、彼等となら共に並んで戦えるという気持ちが無意識に二人の胸の奥から沸々と湧き上がっていた。

 

「なのはさん! フェイトさん!」

 

「リィン教官やみんなも休んでいられる場合じゃないわ! アッシュ達を回復させたのなら早く手を貸して! あたし達だけじゃ、そろそろ持ち堪えられそうにないわ!」

 

そんな時、前衛から下がった山本とクルトをフォローする為に入れ替わり前に出てスクルドと人形兵器達を引き付けて攪乱攻撃を行っていたスバル達機動六課FW陣とユウナから要警戒の声が後衛の全員に呼び掛けられてきた。 前衛に目を向けると、陥没させられていた頭部をすっかり治した巨いなる紫焔の武士が他人の目に憤怒の形相を錯覚させるように脳天を凹まされたままでいた三角兜の頭部下から覗く三つ目のレーザーアイレンズを灼熱のように真っ赤に激光させて、巨大な全身を覆う甲冑装甲の表面全体に“紫色(バイオレット)の炎”の衣を纏い、機関砲剣から紫色の炎の弾丸を当てずっぽうに乱射しまくって周囲の敵味方を無差別に巻き込みながら暴れ狂う様子が映った。

 

射撃の出来るユウナとティアナとキャロが遠距離から、異世界の鉄鉱素材である【強化レディアントスチール】で造られた実弾と魔力弾で暴れるスクルドの足下を狙い撃って進撃を足止めし、スバルとエリオと成長竜体のフリードが機動力を活かしたヒット&アウェイでもって翻弄する事で、後衛で取り込み中の仲間達にスクルドを接近させないようになんとか今のところは踏ん張れている。 だが周辺に展開している人形兵器達による絶妙に計算された妨害射撃や、スクルドの中に乗って操縦しているラコフが怒りのあまりに我を忘れて機体に搭載された【畜炎体循環出力増幅機関】を限界以上に酷使しスクルドの性能出力を天上を越えて上昇し続け暴走させている、等々の要素が重なって、ユウナ達だけでは段々と手が付けられなくなってきている様子だった。

 

 

畜炎体循環出力増幅機関、最大出力強化モード──紫焔大将軍≪スクルド≫

 

 

『このッ、部外者のガキ共風情がァァァアアアアーーーッ!! よくもよくも次元世界の真の支配者であるこの吾輩の顔にィィーー! その薄汚い“炎”で傷を付けてくれやがったなナアアアァァーーーッ! もう謝っても絶対に許してやんないもん! 忌々しい機動六課のエース共諸共、吾輩が持つ“雲属性の炎”の炎鎧を纏った、この無敵の《柴焔大将軍スクルド》で燃やし尽くしてくれるわああぁぁあぁああああああああッ!!!』

 

《紫焔大将軍》と為ったスクルドは機体も怒気(ボルテージ)も盛大に大炎上させながら周りを鬱陶しく動き回りネチネチと針を刺してくる塵蟲ども(ユウナ達)を今すぐ駆除してやると言わんばかりに喚き散らしながら無差別に殺虫剤スプレーを散布するかのように紫色の炎──先程の綱吉が言っていた“雲属性の炎”を撃って撃って撃ちまくって、自軍の司令母艦であるガラハッドの艦上をお構いなしに紫の炎の海に変えていく。 中のラコフ(殿様)は、それはもう、御怒りだった。

 

その様子を見兼ねたリィンは同じくして両手のグローブに覚悟の熱量を秘めた橙色(オレンジ)の炎を纏わせて隣に立った綱吉から、信頼する教官(じぶん)と共にどこまでも戦うという強固な意志を見せているクルトらトールズⅦ組特務科の大事な教え子達へと目を配らせて頷き合い、そしてその阿吽の呼吸で意志を共有するような遣り取りをキョトンとした視線で眺めていたなのはとフェイトへと目を移す。

 

「……そこの二人。 フェイトと……タカマチって言ったか?」

 

「え~っと……わたしの産まれた国では上の名が家名で下の名が名前なんだ。 だから出来たら“なのは”って呼んで欲しいかな~」

 

──“高町なのは”って名前の雰囲気はどことなく東方風の感じがしてくるが、国民が家名が上に来る名前を名乗る国なんて俺の知る限りでは《西ゼムリア大陸》の何所にも存在していない。 じゃあやっぱり此処は()()()()()()()()()()()なのか?

 

「そうか……それなら、なのは、フェイト、君達との話は後だ。 今はこの場を収めるのに、力を貸してくれないか?」

 

「う……うんっ!」

 

「それは勿論だよ。 次元世界の秩序と平和を守るのは管理局の魔導師である私達の使命だからね!」

 

「よし。 じゃあ行くぞ、みんなッ!!」

 

「「「「「「「応ッ!」」」」」」」

 

今此処に、共に肩を並べて戦い、目の前の“壁”を乗り越える意志と覚悟を示し合わせた“Ⅶの輪の絆で繋がりし有角の獅子の子ら”と“アサリ貝の家族達”、そして“数多の海を守護する戦乙女達”……産まれた世界は違えども、大切なものをこの手で護りたいという思いは彼ら皆同じだった。 その為にはこの場に居る全員が力を合わせる必要があるという事も、それぞれが培って来た経験と本能で理解した。

 

そしてリィンと綱吉が先頭に立ち、若き英雄達は怒り狂う紫焔大将軍と相対する。 敵は(おお)きく、夜闇に沈みかけている夕陽よりも轟々と凄まじい熱気を放ってきている。 だがしかし、希望の明日を掴む為なら、彼らの勇気(ヒカリ)は何処までも強い輝きを放つのだ。

 

強大な敵を眼前に、勇壮な面持ちで共に並び立ったリィンと綱吉。

 

「ところで、さっきから君に聞きたいと思ってたんだが、いいかな?」

 

「奇遇だな。 オレもアンタに聞きたい事があった……」

 

そう言って二人は妙な遣り取りを交わすと互いに視線を見合わせて、同時に聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……いったい君(アンタ)達は、何所の誰なんだ……?」」

 

それは自然に、さっきから気掛かりだったと言う風に首を傾げた二人の口から全く同じ内容の問いが飛び出した。……直後、二人の背後でそれを聴いていたなのはとフェイトの時が一瞬の間氷結し、解凍されたと同時にこれまで以上にない程の驚愕を孕んだ絶叫が、夜の帳を下ろし始める首都クラナガンの空全体へと響き渡った。

 

「「ええぇえええぇぇええええええええええ────ッッ!!?」」

 

長年共に戦場を駆け抜けてきた戦友同志のように並んでおいて、君達も初対面同士だったのかいッ! と……。

 

 

 

 

 




あとがきコーナー『リリカルマジカル復活(リボーン)! 超絶最強ヒロイン、アリサちゃんの“炎の軌跡”講座!』第2回


※「」はセリフ、[]は内心の呟きになります。


アリサちゃん「イエーイ☆ 前話の第一回に続けて連続掲載、【アリサちゃんの“炎の軌跡”講座】! 今年の夏は暑いけど、気合いを入れてやるわよー、グナちゃん!」

グナちゃん「ナツハヤッパエダマメニカギルナー(もきゅもきゅ)」

リィン[このね◯どろいど、人形なのに枝豆食ってる……確かルーファスさんが連れていたローゼンベルク人形のラピスも食事ができていたし、最近の人形技術は恐ろしいな……]

アリサちゃん「ご飯中を邪魔したりしたらグナちゃんは怒って爆発しちゃうので、勝手に進めるわよ。 今回はこの作品のW主人公の片方であるリィンを紹介するわね」

リィン「爆発するのかコレッ!?」

アリサちゃん「今、深海魚がギョッとしたようなリアクションをした残念黒髪イケメンこそが、我らが《英雄伝説 閃の軌跡シリーズ》の主人公(ムジカクテンネンタラシノフラチモノ)の“リィン・シュバルツァー”よ! 昨年に発売された軌跡シリーズのターニングポイントストーリーだった《(はじまり)の軌跡》の三ルートの内の【英雄】ルートの主人公もやったから、計五作品連続に渡って最近の軌跡シリーズの主人公を務め続けさせて貰った超絶リア充野郎なのッ!!」

リィン「本人の前で堂々と悪意と嫌味まみれの紹介!?」

アリサちゃん「そんなリィンは今や《八葉一刀(はちよういっとう)流》というゼムリア大陸有数の剣術流派の免許奧伝なんてものを持っている剣の達人で、エレボニア帝国随一の由緒ある名門校である《トールズ士官学院第Ⅱ分校》で指導教官の職に就き、《灰色の騎士》という二つ名で帝国に名声を馳せる時の英雄であるという、完璧な勝ち組の地位を得ているわ! チッ、妬ましい……

リィン「しっかりと聞こえているぞ、舌打ちが」

アリサちゃん「だけど、リィンがこれ程までにVIPな立場を得るまでに辿ってきた道筋ときたら、それはもう悲惨で災難だらけだったわね。 『後に帝国宰相となる父が持つ家に生まれるも間もなく猟兵の襲撃を受けて実母を亡くし、赤ちゃんだったリィンも心臓が串刺しにされて死にかける』『それからあれやこれやで実父から心臓移植されたおかげで辛くも命を繋いだはいいが、その後に極寒の雪が降る帝国の辺境に棄てられる』『悪運良くその辺境を治めていたシュバルツァー男爵家に拾われて養子になるが、実父から移植された心臓は呪われていた』『時が経って帝国随一の名門校であるトールズ士官学院に入学し、特科クラスⅦ組の中で大勢の絆を育むが、仲間の一人に裏切られて内戦勃発』『内戦の最中あれやこれやと襲い来る試練や死闘の連続を乗り越えて、一度裏切った仲間と決闘の末にようやく和解できたものの、直後の決戦で和解できた仲間が致命傷を受けて死亡。 しかも直後に出てきた黒幕の宰相の正体が自分の実父であった事が判明する』『再会して変わり果てた実父によって内戦の英雄に祀り上げられて、その重い立場を背負わされた苦悩によって日に日にストレスを蓄積させながら、一年の時が経過』それから──」

リィン「いや、もうそこまでで十分だってば! 閃シリーズの内容を半分もネタバレしてしまっているし、これ以上は原作ゲーム未プレイの読者達に配慮してくれないか」

アリサちゃん「え~、これはまだ序の口なのにィ~。 ぶーぶー!」

リィン「序の口って……はぁ。 今思い返すと俺の人生、産まれてからこれまで本当に波乱万丈の連続だったんだなぁ……まあでも、アリサ達トールズⅦ組の掛け替えのない仲間達をはじめ、ゼムリア大陸の大勢の人達が力を貸してくれたから、俺はそれらの艱難辛苦を乗り越えて来られたんだ。 俺は、これからも皆と共に力を合わせて──」

アリサちゃん(リィンにコブラツイスト)「それはいいけどリィン。 あなたの教え子である新Ⅶ組の子達は仕方がないとしても、閃の軌跡シリーズの超ヒロインであるこの私を差し置いて、何でガイウスとエマが先に本編に出ているのよおおぉぉぉーーーッ!!」

リィン「──って、ぎゃああああーーーっ!? ギブ、ギブウウゥゥーーー!!」

グナちゃん(ミニレバ剣装備)「ウルサイ。 シデンイッセン!」

アリサちゃん&リィン「「うぼぁーー!」」

グナちゃん「コンカイノコーナーハココマデダ。 タベタラネムクナッタ」

アリサちゃん&リィン(ボロ雑巾状態)[[ぼ、暴君だーー!]]

グナちゃん「デハ……サラダバー!」


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