ウマ娘を背中に乗せて走りたいだけの人生だった 作:観測者と語り部
騎乗という行為がある。
世の中には動物のゾウに乗ったりすることがそうだと言われているけれど、古くはウマ娘に背負われて遠くまで駆け抜けたという逸話から来たとも言われているんだよ。古い時代に怪我をした人とかを背負って、治療院まで運んだりしたからなんだってさ。
あとは足が悪い人を助けたりとか。いろいろと逸話があるんだけど。忘れちゃった。
そういうの、マーベラスサンデーが詳しいんだけどね。
だけど、本当の意味で言うなら、それは『馬』という生き物の背中に乗った時なんだと思う。
最近だと100年くらい前の話になるのかな。
有名な当時の肖像画が残されているんだ。
その昔、国の代表として走ったウマ娘の傍らで、当時導入されたばかりの優勝レイを代わりに巻いている『馬』の姿が描かれているんだよ。
馬とウマ娘は常に一緒にいるなんて云われてるくらい。彼らは決してレースに出ようとしないけれど、一緒に走ったり、競争するウマ娘を昔から見守ってきたなんて言われてる。
それから、その国の代表として走ったウマ娘を背中に乗せて、レース場でターフの上を掛けている絵画なんかも残されてる。ウイニングライブならぬウイニングランってやつだね。昔話にマックイーンが教えてくれた。
だから、昔から『馬』は三女神さまがもたらした神聖な生き物であると同時に、その背に人を乗せて走る事が出来ることも伝わっていたんだ。
で、なんで、こんな事をボクが話しているのかというと。
「ほら、ヘータロー。もっとはやく、はやく~~!!」
"ヒヒン!"
ヘータロー用に作られた専用のトラックの上で、ヘータローに騎乗して走っているからなのでした~~!!
◇ ◇ ◇
当然だけどヘータローだって、いつまでも厩舎でのんびりしている訳じゃない。
むしろ、毎日の様に連れ出されて、世話係のウマ娘と一緒にターフの上を走ってるんだ。
時には坂路を使ったり、専用のプールで泳ぐことともあるみたい。
だけど、基本的にはボクたちと同じように芝の上。たまに気分次第でダートコースを走る事もあるんだよ。
運動なんて、放牧させてればいいじゃんって思うかもしれないけど。それだと『馬』の気分次第になっちゃうから、一緒に運動してあげるんだってさ。ヘータローってば意外と寂しがり屋だし。
それで、ボクも最初見たときは驚いたんだけど、ヘータローってば走る時に馬具っていう道具を着けるんだ。
そうだね。ヘータローたちにとっての勝負服。
この馬具には幾つか種類があるんだけど。まず、ヘータローに騎乗するときはハミって呼ばれる道具を噛ませるんだよ。
こう、ちょうど前歯と奥歯の間にある隙間に入れる感じで噛ませるの。
確か、マックイーンが歯槽間縁って言ってたかな?
それで噛ませるハミの種類は、一般的には水勒って呼ばれる種類を使ってるんだって。
それから、頭絡って呼ばれる細幅の革紐を頭に付けてあげれば、騎手と意思疎通を図るための準備が整うんだよ。
ここから伸びる手綱を通して、ヘータローみたいな『馬』にどの方向に曲がるのかとか、行き過ぎないようにとか抑えなきゃだめだよ、とか。そういう走るための意志を伝えるんだって。
あとは厩舎の外で、ボク達ウマ娘を背中に乗せるための鞍とか、色々と備え付けたら準備完了。
蹄鉄のチェックとかは毎日してるから問題なし。
こういう所は蹄鉄職人ゴルシ様々だよね~~。ホント、なんであんなに多彩なんだろう。鞍も頭絡のつけ方も全部知ってるんだもん。
ゴルシは『誘導馬』として鍛えられてるからだ~~って言うけれど。それってレース前に、ボクたちが迷子にならないようにパドックから先導してくれるウマ娘の事だよね? 最初に聞いたときはそういう所も似てるんだな~~ってちょっと感心しちゃった。
やっぱり、ヘータローを見てると不思議な感じがするよね。
どこかで見たことあるような気がするっていうかさ。
全然他人のような気がしないんだ。
まあ、それはそれとして。ゴルシの話。
ゴールドシップってば、『ヘータローはハミを素直に噛んでくれるし、馬具を付ける時も大人しくしてくれるから苦労はないんだZE☆』とか言ってたけど、絶対照れ隠しだと思うんだよね~~。意外とマックイーンと似てる所もあるし。
だって、ヘータローにすり寄られると、ゴルシってば乙女というか、淑女になるんだもん。
『もう、ダメですのよ。ヘータローさん、わたくしだって一人のウマ娘なのですから』
『そんなに言い寄られては胸がときめいてしまいますわ』
『貴方のような美しい牡馬なんて見たら、乙女として見惚れぬわけには参りませんの』
とか、そんな感じで反応してたし。
まあ、マックイーンの真似なんだけどって、本人はいうんだけど。
ゴルシは時々、どこまでが本当で、どこまでが冗談なのか分からないときがあるから、本当のことなんて誰にも分からないよね~~。
おっと、話が逸れちゃった。
で、この馬具なんだけど、これの装着を嫌がる子もいるらしいんだ。
何だか窮屈そうだもんね。
ボクも何で蹄鉄とか頭絡を付けるのか、最初は全然わかんなかったし。
そういう時って、蹄鉄以外は無理に付けないんだってさ。
でも、トレセン学園とかに現れる子たちは、何でか知らないけど、誰かを背中に乗せることに慣れてる子が多いみたいなんだ。だから、大抵は背中に乗せてくれるんだって。
ヘータローも結構、背中に乗せてくれる子。それどころか、乗っている子を『落馬』しないように気遣ってくれる。
だから、『乗馬』に慣れてない子が乗ったりするときは無闇に走ったりしないんだ。それどころかすごく大人しいんだよ。
この前もライスシャワーを背中に乗せて、トラックをゆっくりと一周してきてさ。いつも泣き虫な、あの子が笑顔になるくらい優雅に歩いてた。
尾花栗毛っていうのかな? ヘータローは、ゴールドシチーみたいにすごく綺麗なたてがみとウマ尻尾を持ってるんだけど。それが夕日にきらめいて、とても美しかったのを今も覚えてる。
まあ、その後でヘータローのファンクラブに青いバラのお姫様と栗毛の王子様って写真が出回って、ライスシャワーってば、すごく恥ずかしそうにしてたんだけどね。
ライスの勝負服はおとぎ話のお姫様みたいな格好だから。すごく映える絵になっただろうし。
もちろん、ボクが勝負服を着て乗ったら負けないくらいにカッコイイよ?
まあ、一番はカイチョーだけど。なんたって皇帝だし。
きっと、すっごくカッコイイんだろうなぁ。
えっと、どこまで話したっけ。
そうそう、馬具の話だったね。
ヘータローに騎乗用の馬具一式を着け終わったら、いよいよトラックで運動する時間。
まず、最初にやることが頭絡に付いている革紐を握りながらの引き運動なんだ。
皮紐を引っ張る感じで『馬』と一緒に軽快に走るというか、そんな感じ。
ボクたちウマ娘としてはそれが苦じゃないんだけど、人間だったらマラソンみたいな速さで『馬』と一緒にコースを走らなきゃいけないから、トレーナーがやると大変なんだって。
これでも、『馬』にとっては準備運動にしかならないし。気分は散歩してるだけなんだけどね。
で、それが終わったら勝手に走り回らないように騎乗して、好きにターフの上を走らせるんだよ。
ヘータローは、すごく素直で走らせやすいって言うだけあって、乗馬初心者でも乗りこなせるくらい優しく走ってくれる。足のバネが軽いっていうかさ。乗ってる時の反動みたいなのを全然感じないんだ。まるで、飛んでるみたいだって。
ボクもそう思うくらい、ヘータローは乗りやすい。
あと、ヘータローはトレーニング中に一緒に走る事もあるかなぁ。
やっぱり、すごく頭が良いって言われるだけあって、まるでボク達のことを見守る感じで一緒に走ってくれるんだ。
しかも、一緒に走った子は何だかんだで、走り方のコツを思い出すんだ。まるで、在りし日の風景の様に、自分の得意な走り方が何となく分かるんだって。不思議な感覚だよね。
ボクも一緒に走ったことがあるけどさ。ボクは、まだそういうの分かんないや。
あと、ヘータローは後ろから追いかけてきたりとか、絶対にそういうことはしない。
必ずボク達の隣か少し前を行く。
たぶん、何かあったときに踏んだりしないようにって気を遣ってくれてるんだろうね。
意外とヘータローってば体力もあるから、トラックを何週もするボクたちの動きに付いて来れるし。これはこれで、良い運動になるんだ。
まっ、全力だったらボクの方が速いけどね。
迫力はまあ……ヘータローのほうが上かもしれないけど。
でも、速さだけは負けたくないんだ。それこそ会長にだって。
どんなレースだって、勝つのはこのボクなんだから!!
でっ、準備運動が終わったらいよいよ騎乗。少しだけアイシングして、息を整えたら。ひょいって感じで、へーたろーの上に飛び乗るの。
それで手綱を握って、それからヘータローにとっての"本当の走り込み"を始めるんだ。
これがすごく気持ち良いんだよ。自分でコースを走っている時とは、また違った楽しさがあるんだ。
高くなった視点から眺める景色。通り過ぎていくトレセン学園の風景。
風が身体を突き抜けていく心地よい感覚。
力強い踏み込みだってすごくて、芝もダートも軽快に走りぬいちゃうんだよ。
それに、蹄鉄が地面を叩く音っていうか、ボクたちウマ娘では出せないような蹄の音がすごく心地よいんだ。
そして。
何よりもボク自身の感覚が、覚えてる。
なぜか知らないけど、どうすればヘータローを速く走らせるのかが分かる。
どんな風にすれば意思疎通出来て、どんなふうに手綱を引けばいいのかも全部わかる。
まるで、『馬』と一体になったかのような不思議な感覚なんだけど。
だけど、決して悪い感じじゃないんだ。
すごくリラックスできる。
「ヘータロー、いっくよ~~~!!」
手綱を握るボクの声を受けてか、ヘータローの軽快な走りが力強いものに変わったのが分かる。
ボクも騎乗姿勢を整えて、ヘータローの負担にならないように体勢を整える。
足を掛けている鐙からしっかりと身体を支えて。
こう、お尻を上げる感じの姿勢で、そのままにするんだ。
ボクとヘータローのウマ耳が、風でぺたんと伏せてるのが分かる。ボクとヘータローのウマ尻尾が揺れている。
ごうごう鳴る風の音が物凄くて。だけど、視界が一切ぶれることはない。ヘータローの軟らかい身体と、それに負けないくらいの軟らかい足が反動を吸収してくれてる。
何よりもカイチョーからも褒められたボクの体幹の良さや、優れたバランス感覚が姿勢のブレを許してないんだ。乗馬中にバランスが崩れると乗ってるウマ娘にも、乗せてる『馬』にも非常に負担になる。それに騎乗中の『落馬』はとっても危険。
だから、ボクみたいな天才的な騎乗センスを持ってたり、ヘータローに乗り馴れていて乗馬経験もあるような子じゃないと、こういう
だから、こうしてターフの上を一緒になって駆けるのは、ヘータローに認められたウマ娘だけに許された特権。
移りゆく視界の中で、駆け抜けるターフの上で、ボクは頭の中で実際にレースに出ている時のような風景を思い描く。
外枠からの出走。好スタートからの中団待機。他の『馬』に囲まれないように足運びをしつつ、最後に抜け出せるように準備をしておく。逃げる先頭をいつでも捉えられるように、三番手から四番手。走るスタイルはボクと同じ先行。ボクがもっとも得意とする作戦で。
最終コーナーを抜けて、最後の直線。ボクとヘータローはコーナーを抜ける手前で、スーパークリークさんみたいに上手に息を入れて。
タイミングは……此処だあっ!!
乗馬用の鞭なんて入れなくても、ヘータローなら分かってくれる。ボクとヘータロー息遣いが一つになってしまうんじゃないかってくらいのタイミング。息の入れ方。そして力強い駆け出し方!! ここで、最後にラストスパートするんだ!!
誰もボクたちに追い付ける存在なんていない。ターフを踏み抜く蹄鉄の力強い音が、勢いよく駆けていることをボクに教えてくれる。
競り合いなんてしない。一バ身。二バ身。他の相手をどんどん突き放していく。
そうして、ここでゴール!!
トウカイテイオー選手! 見事な手綱捌きで、今ゴールインしました。
勝ったのはヘリオスタロウ。力強い走りでコースを駆け抜けました。
なんてね♪
"ぶるるっ、ぶるるっ"
「よしよし、ヘータロー。よく頑張ったね」
「あとで、我輩じきじきにおやつのリンゴをあげようではないか」
"ヒヒン♪"
頑張って走ったヘータローの首筋を撫でて、褒めてあげる。
よく『馬』ってニンジンが好きとか言われるけど、実は甘いものも大好きなんだ。
そう、甘いものの食べ過ぎで太り気味になったマックイーンのようにね。
"もうっ、テイオー!! わたくしは太ってなんかいません。ただ、レースに向けて減量中なだけですわ!!"
な~んて、マックイーンの幻聴が聞こえてきそうだよ。あはは。
うん、ちょっとこの話題はやめておこう。
変にマックイーンに察知されて、怒られたら怖いし。
「精が出るな。テイオー」
「あっ、カイチョーー!」
全力で駆け抜けて、熱くなった馬体を休ませるように、ターフの上を歩いているボクたち。
そんな風にゆっくりとコースを回っていたボクたちに話しかけてくれたのは、なんと憧れのシンボリルドルフ会長。
ええ~~、見ててくれたのなら、声を掛けてくれたっていいじゃんか~~って思っちゃった。
「ふふ、すまないな。あまりにもテイオーとヘータローが楽しそうに駆けているものだから。思わず声を掛けるのを忘れてしまった」
そんなにはしゃいでたかな?
ちょっと、恥ずかしいや。
「ほら、ヘータロー。カイチョーの所までいくよ~~」
"ヒン"
ボクの声を受けて、ゆっくりと歩いていたヘータローが、カイチョーの傍まで歩み寄ってくれた。
やっぱり、ウマ娘の言葉が分かってる?
「ヘータローも息災なようで何よりだ」
"ひひ~~ん"
「先の追い切りは見事だった。まさに、鞍上人なく、鞍下馬なしだな。ウマ娘だけに。あっはっはっはっ!!」
"ひひ~~んっ!!"
うわ、出ちゃったよ。カイチョーのギャグ。
こればっかりは何が良いのかボクにもさっぱりだよ~~……どこかで、エアグルーヴのやる気も下がったみたいだし。
ヘータローも機嫌良さそうに嘶いて、もしかして笑ってる? ううん、コイツ、カイチョーに首筋を撫でられて嬉しそうにしてるだけっぽい。
でも、ヘータローってば、カイチョーにだけは、すごく畏まった態度を取るんだよね。親しげなんだけど、どこかこう尊敬してるというか。
ボクとカイチョー、何が違うんだろうね。
「さて、テイオー」
「もうすぐ新しいトゥインクルシリーズが始まる訳だが、まだチームに所属していないと聞いた」
「やはり、トレーナーからのスカウトを受けないつもりなのか?」
うぅ、その話をされると恥ずかしいなぁ。
かんっ、ぜんにボクのワガママなんだけどね。
どうしても、良い感じのトレーナーが見つからないんだ。
「こんなことカイチョーに言うのも何だけどさ」
「誰もがボクの才能に目を掛けるばかりで。全然、ボクのことを。ボク自身のことを見てくれてる気がしないんだ」
「もちろん良いトレーナーもいると思うし、失礼なことを言ってるのも分かってる。けど、やっぱりね……」
ボクの言葉にカイチョーは少しだけ眉尻を下げて困ったように笑った。
ごめんね。カイチョー。迷惑かけちゃってさ。
「ふむ――」
「キミにそう思わせてしまったことは、トレセン学園の運営に関わるものとして不甲斐ない限りだ」
「すまない。テイオー」
「そんな、別にカイチョーが悪いわけじゃ……」
思わずヘータローの上で、両手で待っての仕草をするボクだけど。それをカイチョーが顔の前で指を立てることで制した。
まるで、ヒミツだぞって伝えるみたいに。
「だが、このままでは、キミのような才能あるウマ娘がレースに出られないのも事実だ」
「もう、次のトゥインクルシリーズまで時間が無いだろう?」
「だから、特例的に、トレーナーの名義だけを貸すことにした」
えっと、それって……もしかして!!
「か、カイチョー!? というか、ルドルフさん!? そんな事したら、カイチョーの立場が……」
思わずってカンジで、慌てたように声を掛けてしまったボクに、カイチョーは言うんだ。
大丈夫だって、さ。
本当に、カイチョーには頭が上がらないよ。
「既に学園の殆どのトレーナーが承諾済みだ」
「何人かの手の空いたトレーナーがキミの走りを見てくれるし、何ならレースに向けてサポートしてくれる」
「それくらいキミの走りは期待されているんだよ。テイオー」
「私のような凄くて、カッコイイ。そんなウマ娘になるんだろう?」
そういうカイチョーはどこか大人っぽくて、すごくかっこよく見えた。
何だかいつもと違う気がする。そう、憧れとは別の、ちょっとだけ大人になったような気がするような。そんな気持ち。
もちろん、カイチョーには秘密なんだけどね。
ボクをトゥインクルシリーズに出してくれる為に、いろいろと便宜を図ってくれるカイチョーは続けて言う。
「もちろん、何処かのチームに所属することが望ましい」
「だから、テイオーが一人でトゥインクルシリーズに出るのは最終手段になる」
「テイオー」
「いつか、キミにとっての素敵なトレーナーに会えることを祈っているよ」
頑張れ。
そう言って、カイチョーはターフを去っていったんだ。
ヘータローに乗ったまま、どこか唖然とするボクを置いて。
ボク、ほんとにトゥインクルシリーズに出ていいの。あんなにわがままばっかり言ってたのに?
「よ~~~し」
「見ててよ、ヘータロー!!」
「ボクが一番強くて、最強のウマ娘になるところ!!」
"ヒヒンっ"
ボクの力強い言葉に、ヘータローも応援するように嘶いてくれて。
それで。
って、あれ? この遠くから聞こえるメロディーって、もしかしてうまぴょい伝説……?
誰か、何処かのチームが外でダンスの練習でもしてるのかな――
てっ、うわあっ!!?
「うぇえええっ!? ヘータロー!!?」
「急にどうしたのさって」
「ノリノリで、ステップ踏まないでよ~~~!?」
「ていうか、ボクのお尻がぽんぽんされてるっ!!」
「ちょっ、おろしてってば~~~」
このあと、おもいっきりうまぴょいステップされたんだ……
ボクを背中に乗せたまま、ずっとだよ?
「ううぅ、お尻が痛いよ~~~」
「もお~~~、ヘータローのあんぽんたん~~~~!!」
“ヒヒン♪”
体力が30下がった。
根性が50上がった。
スキルpt50入手。
注目の踊り子のヒントが最大まであがった。
テイオーの史実補正on
在りし日のヘータローくん。
某、宝塚記念での出来事。
「やっぱり、ヘータローってばすげえぜ。嫌がるゴールドシップをこうも簡単にゲート入りさせるなんて」
「これで夢の宝塚三連覇、だ……?」
『おおおおっと、立ち上がったゴールドシップ!! 出ない出ない!』
『あああああああ~~~~~っ!!!!!』
『そして、6万大観衆からどよめき~~~!!』
「あ……あっ……」
「ゴールドシップが……俺のゴールド……」
その時、誘導馬を務めていたヘリオスタロウは、大きく出遅れて走り去るゴールドシップを見つめて。それから、唖然とするゲート員の人々に振り返って。
そして、彼はすまなそうに首を振ったという。それは、それは、とてもすまなそうに。
あらゆる気性難の馬を落ち着かせ、放馬した馬を追いかけてから、宥め落ち着かせてきたベテラン。
伸し掛かろうとしたス○イゴールドを逆に返り討ちにし、ナカヤマフェスタをひと睨みでビビらせ、某騎手を振り落とそうとしたオ○フェーヴルを窘めたこともある存在。
そんな彼でもゴールドシップだけは最後までいう事を聞かせられなかったそうな。
後のウマペディアにはこう書かれている。
歴史は変えられなかったよ、と。
ちなみに世話係の子はハッピーブランという。白毛ウマ娘。
幼名はトウカイホワイトで、事実上のテイオーの妹。
高速型のステイヤー気質。全力で走り続けることが出来るが、脚が丈夫じゃないので末脚は苦手。
現在は逆ゴルシ現象を起こして、キタちゃんと同世代の幼女になっているそうな。
競走馬時代は兄妹そろって有馬記念の優勝を飾ったが、望んでいたライスシャワーとの有馬記念出走は遂に叶わなかった。
桜花賞ではニシノフラワーと競い合って負けたりもしている。
ライスシャワーと走ると、必ず五着以内に入って、ライスの後ろに続くため仲良しなんて揶揄された。
当時の桐生院アオイの騎乗馬。そして、ハッピーミークの○○である。