提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
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今回は大淀目線のお話です
コメント、要望等、お待ちしております(๑╹ω╹๑ )よろしくお願いします!
提督が新しくなってから少し後のお話。
「はあ…」
秘書艦代表の大淀は頭を抱えていた。
現在の鎮守府は資材も資金も雀の涙ほどしかないのである。
前提督が私服を肥やす為に使っていたのだ。
資材は横流し、資金は着服…故にだ。
新提督着任に伴い建て替えとなった鎮守府への充当分を差し引くとそれ程しか残らなかったのだ。
何も全部一斉掃射して壊さなくてもいいじゃないですか。
その分の補給で余計に資材の消費に拍車がかかった。……嫌な思い出の詰まる鎮守府を粉々にできたのはスッキリしましたけど…。
あの日は本当に野宿だった。お腹も減っていたし、なかなか寝れなかった。でも何故か嫌ではなかった。
提督はずっと起きていた 一人一人に「ごめんなあ」と声を掛けながら…魘されている娘が居ればそっと、手をとってあげていた。
翌朝には鎮守府の宿舎部分が完成していた。馬鹿な!と、みんなが思った。今後に増えるであろう艦娘のことも考え、結構大きな作りになっていた
最低限の家具も備え付けられていた。もう皆で冷たい床で身を寄せ合って寝なくても大丈夫なんだ…。
「お布団で寝れるっぽい? 嬉しいっぽいー!!」
「嬉しいな!龍田!ありがとよ!提督」
「ええ〜本当にそうねえ〜」
新設された入渠施設では大破の艦娘から優先して入渠させてくれたうえに、バケツも惜しげもなく使ってくれた。小破にも満たない艦娘にですら…。
「提督!もったいないです!そんな事しなくても私達は…:」
「構わん!一秒でも早くそんな傷は癒して欲しいんだ」
早く嫌なことは忘れよう…だとか。
艦娘の毎食のご飯代が新たに帳簿に加わった。
これに関しては素直に嬉しい。補給のみしか許されていなかったのだから…。
「何んだと?!まともに飯も食ったことはない?じゃあ何だコレ?」
提督は普段皆にだされるボーキサイトバーをかじった…。
「…うえええ…!!これじゃあダメだわ…間宮さんと伊良胡はいないのか?」
よくボーキサイトなんかかじりましたね…。
おずおずと2人が出てくる。
「2人には台所を任せる!新しく建設されたキッチンを確認しといてくれ。食品配送は船便になるから在庫と納期に注意してくれ。月の食費もきっちり管理して大淀に報告を!毎食以外の料理の注文への価格設定は任せる!そして人員が足りない場合は遠慮せずに言ってくれ。当番制の中に組み込むから」
「良いんですか?料理をつくっても」
2人は泣いていた。
当たり前の事だった。
今までのこの鎮守府では一切の料理を禁じられていた。
そんな暇があるなら訓練に参加しろと言うことだ。
兵器は補給で十分だと…。それでもと2人が内緒で試行錯誤をしてボーキサイトをバーに改良していたのだ。
「何を言う!2人の料理には人を元気にする力がある!最悪のケースに備えた訓練は必要になるかもしれないが君たちの戦場はここだ!君たちの料理がその日と明日の活力となるんだ!大変かもしれないが、期待しているぞ!みんなであったかい飯を食おう!」
みんなが入渠している間に提督がカレーを作ってくれていたらしい。
新設された食堂で泣きながら皆で食べた。これが手作りの温かい料理の味なんだ…。
寝ずに起きていてくれていた上にこんなことまで…。
「ごめんなあ…材料がそれしか残ってなかったんだ」
「ぐすっ… 美味しいです。塩っぱいけど美味しいです!」
「泣きながら食べるからですよ赤城さん… ぐすっ。…おかわりを所望します」
「これは…幸せですわあ…ぐすっ」
「……ぐすっ」
「こんな幸せを知ってしまったらテートクから離れられなくなるネー」
「このクソ提督…美味しいじゃない…うぅ」
「私は大人のれでぃーだから泣かないわ 」ぽろぽろ
「ひゃあ!べっこうあめだあ!!これでまたがんばれるー」
あの不知火や長門ですら涙を流しながら食事をしている。
私達はこの味をずっと忘れないだろう。
そして艦娘への給料の項目。
給料とはなにっぽい?
え?お金って?食べれんの?
と、言う声が聞こえた時は提督は膝から崩れ落ちていた。
今は財政が厳しいのでほんの少ししか渡せないが許して欲しいと、1人ずつに渡して行った。間宮、伊良胡のとこで使って欲しい、街に出て買い物に使ってもいいと。
その前にお金について教育しないとね…。
翌日には鎮守府全体が完成をした。
工廠施設を見た妖精と明石が抱き合って喜んだいた
「提督!ありがとうございます!これで頑張れます!これでなんでも作れます!ーーーえ?ガ○ダム?なんですかそれ?」
執務室も完成した。前みたいにクマの毛皮絨毯や不気味な肖像画もない。提督がデスクに座り引き出し周りを見ている?一瞬表情が変わったような?
「どうかしましたか?」
「いや…なんでも」
それから2週間ほどたった。半数以上が鎮守府内で迷子になることが減って行った。最初は泣きながら自分の部屋を探す駆逐艦や潜水艦が絶えず、長門やら金剛達が見回っていたそうだ。
各部屋もそれなりに生活感が出るようになってきたらしい。
個人に必要なものを聞いて周り、リストを作り私に発注を依頼してきた。
こんな稟議書が通るはずがありません!と私は言ったが…
提督が上手く上に掛け合ってくれていたそうだ。
そして今、私は驚きで言葉が出ない。
秘書艦の当番である天龍と提督についてきた妖精と一緒に提督の私室にまだ起きていないであろう提督を起こしにきたのだが。
うっかりドアを開けてしまったのだ…。
あまり立ち入らないでくれと言われていたのに。
「何だよコレは…何で」
「まるで物置じゃないですか…」
「まもる…」
何もないのだ。
そう、布団とミニ机の代わりらしき段ボールとボロいスタンドライト。
数着の服と制服とゴミ袋に隠すように入れられた簡易食糧の袋以外…何もないのだ。
上に掛け合って予算取りをしたなら何かしらの家具はあるはずだ。
それが何もない。
「何だこの紙は?」
「まさか…」
そこには…
特別赴任ニアタリ、特別給金、簡易型食糧ヲ支給スル。
と、元帥の名前で指令書があった。
「何だったんだ??」
結果として提督が言っていた手回しをしたとされる予算なんかははなかった。
提督は上に手回しなぞして無かったのだ。提督が支給された給金から出していたと言うことになる。
そうだった。カレーを食べた日も提督は見るだけで食べていなかった。
次の日からも、皆が気を遣うからと食堂には姿を現さなかった。
提督は1人でここで隠れるようにコソコソとこの簡易食糧を食べていたのだろうか?
私たちに少しでも多く食べてもらうために?
提督がいたら見栄を張って食べない娘がいるから?
「…っ!!!!クソッタレ!!」
2人は走り出した。
「天龍ちゃん〜?提督なら起きて食堂にいるわよ〜って あらぁ〜?どうしたの2人とも………走って行っちゃってーー?」
バァン!!と食堂のドアを勢いよく開ける天龍…でなく私だ。
ガヤガヤとしていた食堂内は一気にシンと静まり返った。
「ん?大淀と天龍か?まってくれ。献立表を貼り替えたら執務しつ…「どう言うことですか!!!!」
私は提督の肩を掴み大声を張り上げていた。
「え?!?すまん!遅刻か?!すまん!時間をよく見ていなかった」
違います!
あなたは…。
「なぜ言ってくれなかったのですか!資金の出所も食事のことも!!」
「なっ?何のことだ?!」
「この紙です…今までの家具等の資金は提督の私財じゃないですか!」
「えっ? 」
「な…に?」
「…うっ、お前たち、私の私室に………」
「どうしてなんですか!提督!答えてください!!」
「お、おい大淀…」
あまりの私の形相に天龍が止めてくるが私は止まらない。
私は思いの丈を提督にぶつけた。
「何で、そこまで私達に…出会ったばかりの私達にそこまでするの?
自分を犠牲にしてまで!寝る時間も削って食べるものも我慢して!
気丈に振る舞って…なぜ!なぜ!!なぜ頼ってくれないんですか… 」と。
「一緒に歩もうって言ってくれたじゃないですか!!なのに何で!そんなに私達は頼りないですか?」
思わず泣いてしまう。
彼が執務の後も私室で1人書類を眺めながら寂しく1人でご飯を食べるのを想像してしまう.から..。
「……すまん、そう言うつもりでは…ないんだが」
「ではなんなんです?!……見てくださいよ提督」
提督が周りを見渡すと申し訳なさそうにする艦娘がほとんどだった。
「提督…ごめんなさい」
「提督に我慢させてたの?」
「いや!そういうつもりじゃ……やめてくれ!」
「提督… みんな同じなんです、提督一緒に頑張ろうって言ってくれたから、財政が…物資が厳しくても頑張れるんです…だって…こんなに心が暖かい生活ができてるのだから…だから1人で抱え込まないでくださいよ…」
「大淀…皆… すまない」
…
……
提督はしこたま怒られた。
でも、仕方ないでしょう?
それ以来提督はちゃんと秘書艦を頼り、食堂でご飯を食べるようになった。
間宮さんにも簡易食糧の方がいいのですかー?としっかりと正座で怒られていた。間宮さん怖い。
そして何故か私も怒らせてはいけない認定をくらったのは納得がいかない。
その後、艦娘たちからコレ使ってください!といくつかの家具を無理やり押し付けられ提督の部屋が乙女チックになってしまったのは別の話…。
そして、
「資材確保のため、北東海域に遠征を行う!」
本格的に鎮守府が始動し始めた。
……憎い 艦娘たちが あの、クソガキが憎イ
男は1人復讐心を燃やしながら独房の中に居た…