提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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107話 提督 不知火ト1日夫婦 ① 夢の私に

「…………」

 

「………」

 

「…不知火?」

 

「…只今より、よろしくお願い致します。」

 

「うん、よろしくね?」

 

 

 

 

「おはようございます。良いお目覚めですか?」

 

「朝食の用意が出来ています。簡素なものですが、お召し上がりください」

 

「衣服の用意も出来ております。こちらをお使い下さい」

 

 

 

実に淡々としているように思える。

ーーが、実の所はそうではない。

 

 

 

 

 

「おはようございます。良いお目覚めですか?」

実に、3時間前からベッドの横に居るのだ。

不知火にしては珍しい、優しい…慈しむような表情で愛しい人を見ている。

 

 

「朝食の用意が出来ています。簡素なものですが、お召し上がり下さい」

この日の為に伊良胡に頼み込み、料理の練習をしていた。

下処理や準備も念入りに行い作った自信作である。

 

 

「衣服の用意も出来ております。こちらをお使い下さい」

今日のデートの為に提督に用意した服である。

なぜサイズまでバッチリ知っているかは謎だが…彼女の着る系統に近しいデザインとなっている。

 

 

 

 

 

 

「んー!俺の好きな和食メニューだ…!」

ほっけの塩焼きに、青菜の卵とじ…味噌汁…。

素晴らしいじゃないか!!

 

 

「そうですか?まぁ、喜んで貰えたなら作った甲斐があります」

少し、ほんの少し顔を赤らめた不知火が居た。

 

「いただきます!!!」

 

「お召し上がりください」

 

 

「今日は何する?」

 

「提督のしたい事を…」

 

「不知火のしたい事は?」

 

「私は…提督と居られるだけで幸せです」

 

これも事実。

ただ、ゆっくりとこの人の隣で居たい。

座ってるだけでもいい。一緒にうたた寝するだけでもいい。

普段から大変な提督にしんどい思いをさせたく無い…どちらかというと少しでも休んでリラックスして貰えたら…。

ただ、この人と時間を共に出来れば…それ以上の幸せは無いのだ。

 

 

……

んー!間が持たん!

 

 

 

「提督?」

 

「不知火!出掛けよう」

 

私の手を引く提督。

 

 

「おっ!今日は不知火かぁ」

「不知火〜楽しんでおいでよー!」

 

「提督も頑張ってね〜」

 

「「「「行ってらっしゃい」」」」

 

いつもよりスムーズだね。

不知火は…大丈夫な艦娘認定されてるんだろなあ…。

 

 

 

 

「何だか不思議な気分ですね」

と、甲板に立った不知火が言う。

「そう?」

 

「普段は自分で海に立ちますからね…。その、自分のペースで無い動きに身を任せるのは…慣れてないと言いますか」

 

と、ベンチに座るので俺も横に座る。

 

「…ッ!」

 

難しい顔をする不知火。

 

「あ、嫌だった?ごめんよ」

と、距離を空ける。

 

 

 

「あ…」

思わず提督の袖をキュッと握る。

 

違うんです。

離れないでください。

恥ずかしいのです。

 

 

私は目つきも悪いですし、皆さんみたいに愛嬌がある訳ではありません。

提督にあまり好かれてないのではないかと思ってしまうのです。

 

 

「ん?どした?」

 

「い…いえ…何でも…」

 

 

本当ならば…手を繋いだり…抱きついたりしたい。

でも…。

怖い。

 

好きになればなる程…もし、離れた時が…辛い。

 

 

 

船から降りる。

提督の後ろをついて歩く。

 

「手…繋がないの?」

提督が聞く。

 

「え、あの……」

 

「甘えてもいいんだぞ?今日…だけでなくてもな」

 

「すみません…やっぱり不知火は…!!」

 

不知火は走って行ってしまった。

 

 

 

 

「不知火ー!どこだー!!」

 

不知火を探す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やってしまった…。

提督の好意も無駄にして…私は…。

 

 

そんな時、1人の男に声をかけられた。

「お前…艦娘か?」

 

 

「でしたら何か?」

 

そうであると認めた瞬間、男の表情は一変した!

 

「お前らのせいで…俺の家族は!!!!」

ナイフを取り出す男。

ひらりと躱す不知火。

「このっ!!」

 

この程度…造作もない!

 

しかし…。

「くっ…」

しまった…艤装は装備していない…。

脅しにもならない。

 

何より…民間人に手を出しては、提督が困る。

 

 

 

「あ…」

しまった…袋小路か…。

壁まで追い詰められる。

 

「逃さねえよ!!!」

男が迫る。

 

 

大丈夫…死なない程度なら…入渠したら直る…。

 

あぁ…きっとバチが当たったのね。

大事な提督にあんなことしたから…。

そう、これは天罰…素直になれない私に与えられるー。

 

ごめんなさい…提督。

 

ちゃんと言えばよかった。

甘えたいですと。

握ればよかった…。

あなたの手を。

 

 

 

ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュッと目を閉じる。 

 

痛く…ない?

え?私は…?

 

 

「ーッ!?」

 

 

「提督…?」

 

そこには左手でナイフを受け止める彼が居た。

 

「貴ッ様ぁぁッ!!」

 

1発

提督は右手で男の顔面を殴り抜いていた。

「へぶっ」

 

「俺の…俺の!大切な嫁に何してくれてんだッ!!」

 

「クソッ…お前何だよ!?」

 

「不知火の旦那だよ」

 

「は!?艦娘の旦那!?こんなバケモ…」

 

さらにもう1発

 

「ぶへぇ!!!」

 

男の胸ぐらを掴み提督は言う。

「お前らの方が化け物だろうが…貴様が深海棲艦と戦うか!?できるか!?…できないだろッ!お前等の代わりに戦ってるのが彼女なんだよ!!!いいか!?俺の事は構わん!しかし二度と…二度と彼女達を…不知火を穢す言葉を吐くんじゃないッ。俺の大切な人を…侮辱するなッッ!!」 

 

 

純然たる殺意。

男は震えていた。

提督のあんな目…言葉遣いは…あの演習以来だ。

「…ぁ…あ…わ、わかったよッ…お前も変人かよ!くそっ!」

と、男は逃げて行った。

 

くるりとこちらを向いて笑顔を見せる。

「大丈夫か?不知火ー」

「すまないッ」

 

「え?」

 

「怖かったろう…辛かったろう…危険な目に遭わせて…ごめん!」

 

ポタポタと血が垂れる左手を後ろに回し頭を下げる提督

 

 

「そんなことより!傷…早く手当てを!!」

 

「舐めときゃ治るだろ…」 ダバー

 

 

 

無理ですね。

 

無理だね。

 

 

 

 

 

病院から出てくる提督。

 

「思ったより深かった」

と、ヘラヘラ笑う提督。

 

 

「何故です?私の傷は入渠で直せます。でも、あなたの傷は…」

 

「痛いのには変わらないだろう?」

「すまなかった…怖い思いをさせた」

 

 

「何故ですか!!!何故あなたが謝るのですか!」

何故…あなたは…そんなに。

 

 

「俺がお前を危険な目に遭わせたからだ」

 

「それは私が勝手に……あなたから逃げたからッ…これは私の落ち度なのです!」

「あなたの左手こそ…痛いでしょう…?」ポロポロ

 

「こんなの…治る。お前が無事ならそれで良い!」

 

「何故ですか?…ひぐっ…私は逃げたんですよ…あなたの優しさから…うっ…」

 

「…追いかけるさ…待つさ…」

 

優しく右手で頭を撫でてくれる。

 

「うっ…うううっ…うわぁぁぁぁあ」

 

ごめんなさい!

私は目付きも態度も可愛くないから…

素直じゃないから…

怖いんです…あなたが…また居なくなったらって。

 

本当は…死ぬ程に大好きなんです。

 

 

 

 

提督が来てくれて良かった。

嫁を!って前で守ってくれたのが嬉しかった。

ごめんなさい…怪我をさせて。

 

 

 

「続き…行こうか」

 

「…はい!」

 

「手は繋げないから…腕組む?」

 

「……はい!喜んで!」




金剛のティータイムセット欲しかった…予約出来なかったのが悔やまれる……。

え?
休むんじゃなかったのか…?

何か…悲しくて…(´;ω;`)




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