提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
オリジナル要素が少し出ます。
もし、本当に神様が居るなら……
私の願いを聞いてください。
久しぶりの建造さ!
「てててて提督!」
「はははやく!早くうううう!」
目がラリった
からのバーナーじゃぁぁあい!!!
「炙れゃぁぁあああ!!!!」
「ひゃっほおおおおおお!」
おっ!妖精さんも久しぶりの登場だな!忘れてたわけではないよ?うん!色々とね…大人の事情ってのがね…うん。
建造完了…さて…さて?
バァン!
「指揮官様ッ!女の子をまた増やすのですかぁ!!」
おや?桜大鳳に阿賀野じゃないか。
もうすぐ出てくるから待っててね?
「誰が出るかな!誰が出るかな!!」
「提督、貴方に会えて……良かった。 一緒に頑張っていきましょう!」
「………」
迅鯨…のはずなんだが…何だろう?この感じは…。
「あなた…」
と阿賀野がこっそりと迅鯨に話しかける。
「内緒にしてください…今は…」
迅鯨はそう答えた。
「あなたがそう言うなら…黙るけど…」
「……?」
私は迅鯨………秋穂だったもの。
その記憶を持っている。
艦娘でありながら前世の記憶を深く…強く持っている。
かつては多くを奪われた。
大切な人も命も…。
私は願った。
もし、神様が居るのなら…生まれ変わってもあなたに会いたいと。
そして、目が覚めたら私は艦娘になっていた。
またあなたに会えて嬉しい…。
でも私の存在は………これは心の奥に閉じ込めておきましょう…。
迅鯨が鎮守府に馴染むまでにそこまで時間は掛からなかった。
「あなたは…何だろう、中身が……」
「桜赤城さん…」
「ええ、その通りよ…本来の私は人間…」
私は身の上話を桜赤城にした。
自分は元は救と同じ世界でいた事、ホワイトデーの事件は私の関わりだという事、気がついたら艦娘として建造された事。
「…素敵な話じゃない。指揮官様を連れ込もうとしたのは頂けないけど…ロマンあふれる話だわ」
「指揮官様には言わないの…?」
「ええ…今はその時でないと…いえ、私が言うと彼が混乱しそうで…」
「まあ…私は何も言わないわ…」
大丈夫…うまくやれるわ。
何日かして、私が秘書艦になる日が来た。
「提督…よろしくお願いします」
「うん、よろしくね」
「……迅鯨?」
「…!はいっ!」
「どうかした?」
「いえ!ごめんね?…ぼーっとしてたから…いえ!すみません!ぼーっとしてたもので…」
「お?おう…」
何だろう…?今の感じ…懐かしかったような…
迅鯨は面倒見が良く、すぐに皆の輪の中に入った。
料理にしても裁縫にしても得意らしく、特に駆逐艦や潜水艦組に人気だった。
子供の面倒は見慣れてると言わんばかりに。
そして、初の旗艦としての戦いのことだった。
さすがと言うべきか…指揮はしっかりしていた。
ある時までは…
「アナタハ…ニセモノヨ」
「なっ…」
「ソノ魂ハ…ニセモノ…艦娘ニナリキレナイニセモノ」
「そんな事…ないっ!私は…私はッ!」
「ナラ、ナンナノ?」
「ーッ!」
答えられない…。
私は…秋穂なのか…迅鯨なのか…
偽物なの?私は……どちらにもなりきれないの?
「クク…シズメッ」
敵からの砲撃ー
「迅鯨さん!!!」
吹雪が叫ぶ
ーーーが、回避は間に合わない。
「はっ… きゃぁぁあ!!」
被弾…大破…。
「くっ…まだまだ……うぐっ」
乱れる艦隊、傷を負う仲間達…。
ダメ…。
私のせいだ…。
私が…こんなのだから…。
…戦果は最悪だった。
旗艦の私をはじめ…吹雪、比叡、天龍、川内が大破。
他の艦娘も中破や小破となった。
「大丈夫…ですか…?」
と、同じく入渠する吹雪が問いかける。
「ええ…大丈夫よ」
「なにかあったのですか?」
「いえ…なかったわ…私の力不足よ…」
「大丈夫か!?迅鯨!」
「提督…すみません…」
「気にするな…生きて帰ってくれて良かった」
揺らぎそうになる…艦娘としてあなたを守ると決めたのに…
ニセモノだから…
でも…秋穂としては?
…ダメだろうな…どちらにしてもニセモノ…。
「何かあったのか…?」
「いえ…」
助けて…と言いたい…。
きっとあなたはどうにかしようとしてくれるでしょう…。
でもそれじゃあ…。
どうしたら…いいの?
ねえ…私は…。
思えば思うほどに…自分が歯痒い。
「あなた…大丈夫かしら?」
「桜赤城さん…ええ…」
「指揮官様は受け入れてくれると思うけど…後悔しないの?」
「大丈夫…守って散れるならそれでもいい…決めたことだから」
平和な日…
提督とご飯を食べる…。
「一緒に飯を食べるのは初めてだなー」
残念でした、初めてではないよ?
何年ぶりかな?
思わず笑みが溢れる。
「ん?どした?迅鯨」
「いいえ…何だか楽しくて」
「そう?なら良かった」
彼は好きなものを最後まで少し残すクセがあった。
「卵焼き…食べないんですか?」
どんな返事が返ってくるかは分かっている。
そう…
「好きだから後のお楽しみに……」
やっぱり変わってないね
「可愛らしいですね」
うーーん…と彼が唸る。
「昔からの癖でさ…よく言われたよ…」
知ってますよ?私ですから。
「その味がさ…好きでさ……また食べたかったなあ…」
「誰かの卵焼きですか?」
「あー…うん。卵焼きに限らず…姉さんの作る料理が食べたかったんだ」
「………そのお姉さんは?」
「…少し前に会ったんだけどね。料理お願いするの忘れてた」
と、笑う提督。
ごめんね…目の前に居るのに………。
ダメだ…言いたい…私だよっ!て。
それで…手料理でも何でもしてあげたい。
この手で…抱きしめたい。
でも…できない。
ある日の事だった。
激しい戦闘を中破で終えた私たちは入渠していた…。
その時…
ウーーーと警報のサイレンが鳴り響いた
他の艦娘が遠征中の侵攻…
残存兵力の少ない中での戦闘を行わなければならない。
「出撃するよっ!!!」
「くっ!ここは通さないよ!!」
中破の川内が水雷戦隊で出撃する。
「私と踊りましょう?」
小破の夕立も逆方面を迎撃に出撃した。
「くそっ…こんな時に!!!」
私も…出なくちゃ。……私は守る為に居るんだ。
この時のために生まれたんだ…。
決めたじゃない…命を犠牲にでも守るからと…。
「私も出ます!」
「しかし迅鯨!お前はまだ…入渠時間が短いじゃないか」
「私に早さで勝てる?」
と、夕立が海を滑るように走りながら敵を撃ち倒して行く。
「くらうっぽいー!!」
夕立が敵を魚雷で薙ぎ倒して行く。
川内が、響が敵を進めさせない為に奮闘するー
が
数体がすり抜けて鎮守府へと向かう。
「フン…」
「ごめん!そっちに何体か流れたっぽい!!お願い!!」
その夕立の声を聞いて…。
頭にイメージが浮かんだ…。
崩れ行く鎮守府に………彼の亡骸。
泣き崩れる艦娘達…。
立ち尽くす私。
ダメ…
「救君ッ…!私が今度こそ守るからッ!!」
「え?」
私は執務室の窓から飛び出して戦場に向かった。
「迅鯨…?いや…今の感じは…」
「うわぁぁぁあっ!!」
守るんだ…。
私が守るんだ!!!
ガムシャラに突っ込む。
彼に…この鎮守府に傷一つ負わせてたまるか!!
「……迅鯨さん…あなた!!」
執務室へ残る桜赤城に通信を飛ばす。
「桜赤城さん、19ちゃん!…後は…お願いします!!」
命と引き換えでも彼女は戦うつもりだ。
でも…そんなの…
「桜赤城…アイツは…迅鯨は…?」
指揮官様…。
……ッ!
「指揮官様…一緒に来てください!19ちゃんも!」
桜赤城が言った。
私らしくない……でも。
とにかくガムシャラに戦った。
守るんだ!
敵を沈めた!ヨシ!これで……!
ドォン!!と遠くから聞こえた。
「きゃあ!!」
体が痛い…っ。
痛いよ…。
いつのまにか…囲まれてた?! …ッ!これ以上の損害は……
……くそっ…なら…少しでも道連れに!!
「ええええええい!!」
命を削って戦うーーー。
空から攻め……くっ!!
艦載機が……撃ち落とされて…くそっ!
本当は正体を明かしたかった。
またあの頃みたいに…一緒に居られると思った。
でも、このまま救君を守ると決めたから…
私は…ニセモノだから。
あの人を守って逝けるなら‥
例えあなたが私の事をわからないままでも…それでもいいや。
そう思っていた。そう自分に言い聞かせて来た。
ごめんね…さよなら…。
「ここは通さないッ…一緒に…沈みましょう?」
敵をガシッと掴む。
「バカナッ!コイツ!ハナセ!!」
離すわけないじゃない…。
既に飛んでいる機体に命令を下し、
自分もろとも私は周囲を爆撃し、何隻もの深海棲艦を巻き込み…
「迅鯨!!」
と、川内が叫ぶ。
「ダメだぁぁぁあ!!!!」
その声は…爆音に掻き消されて…。
私は沈んだ。
「迅鯨が…秋姉さん…?」
「そうです…その秋何とかさんかはわかりませんが…少なくともあなたを知る人だったはずです。」
「あのバカは命を犠牲にでも貴方を守ろうとしています…正体を隠したまま!」
「そんな!」
「ですから…指揮官様…行きましょう!死に急ぎの所へ!この鎮守府の艦娘のあり方を教えに参りましょう!!」
私は指揮官様の手を取った。
どこかで見た話の続き…。
少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです(๑╹ω╹๑ )