提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

129 / 453
125話  星に手を伸ばす者へ ① 私はあなたを提督とは呼ばない

ただ、あの頃を取り戻したかった。

笑顔に溢れ、仲良く過ごせたあの日に…。

 

なのに…いつしかこの手は血に染まり汚れた。

 

もう手を伸ばしても届かないあの日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は鬼怒。

 

数日前に大本営からこの鎮守府に所属となった

 

「よろしくお願いします神崎さん」

 

「もっと気楽に提督とかで良いよ?」

 

「……はぁ…しかし…私は死神と呼ばれていますので」

 

「私もそう呼ばれていたわ?」

秘書艦のアークロイヤルが答えた。

 

「戦争だしなあ…生き死には仕方ないと言えば仕方ないが…。死神と言われてると言っても俺はそうは思わないよ」

 

 

何だこの人は…?

 

「前の鎮守府の事とか…まあやり難いとこもあると思うけど遠慮なく言ってよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日から鬼怒が仲間入りだー皆、仲良くするように」

 

「「「「「はーい!」」」」

 

 

何だこの鎮守府は…?

腑抜けすぎでしょう…。

 

 

艦娘もえらくフランクで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分たちの置かれている状況も分かってないくせに…

 

 

 

 

 

 

 

私はこの人を提督とは呼ばない。

 

 

 

 

 

 

 

 

私の提督は既に死んだ。

私が…姉が…この手で…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の目的は監視。

 

 

 

 

敵、深海棲艦ト内通ノ恐レ有リ

軍旗違反ノ恐レ有リ

上記ヲ確認次第、処分ス。

 

 

 

 

とある元帥補佐達が言い始めた事だ。

 

 

 

鉄底海峡を攻略し、前例のない大侵攻を食い止め、海軍トップクラスの

鎮守府に対しても勝利を収めた鎮守府が己らの脅威となりないはずがない。

 

ましてや…元帥閣下の()()()()()とあらば目をつけられない筈がない。

 

 

そう、全てはデタラメ。

出る杭を打つように…彼らはこの神崎さんを潰すのだ。

普通なら懐柔しようとするだろう。

しかし、元帥閣下の息がかかっているとあらば話は別なのだ。

 

 

 

 

私には関係ないが…死にたくないから仕事はやる。

私が言うことを聞かないとお姉ちゃんは処分されてしまう。

 

私はそうやって幾つもの鎮守府の提督を…。

 

 

お姉ちゃん…由良はナントカ計画ってのに連れて行かれてからおかしくなった。

笑わなくなった、泣かなくなった、

 

私の事も忘れてしまった。

私の事を欠陥品と呼ぶ…。

 

 

私がしっかりと仕事をすればお姉ちゃんは戻ってくるらしい。

あの頃のお姉ちゃんと生活を取り戻したい。

 

 

 

だからやり遂げる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある報告書

 

西波島鎮守府についての報告

今の所特に問題となる行動はない。

地元民にも歓迎されており、良好な関係を築けている様子。

神崎と艦娘の関係も良好な様子

 

 

 

一部住民が、駆逐艦の霞、曙に対して

霞様ぁぁあ!

曙様ァァ!!罵ってくださいと叫んでおり、地元民に対する何かしらの懐柔…もしくは洗脳の可能性も否定できないので引き続き調査を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう

…何も出てこない。

怪しいところも…。

 

 

 

 

色仕掛けも軽くあしらわれてしまう。

と言うか周りの艦娘が邪魔をする。

 

そんなに魅力ないのかしら…。

今まではコレで上手くいったのに……。

 

 

それどころか…皆の雰囲気からしても…居心地が良いとすら感じてしまう。

 

 

 

 

 

焦る

 

 

 

 

 

 

が、焦れば焦るほどにコイツらの良いところが浮き上がってくる。

 

 

 

「鬼怒!出掛けようぜ!美味しいスイーツの店案内するよ!」

 

「ヘーイ!鬼怒〜!ティータイムしませんカー?」

 

「…一緒に出撃、はらしょー」

 

「女子会トークするわよ!レディの嗜みよ!」

 

 

秘書艦をすれば色々と話もしてくれる。

金剛やベルファスト…?が淹れた紅茶は美味しい。

大淀も真面目だと思っていたが割と砕けた艦娘だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ…はい…もう少し…はい…いえ!そんなわけでは…はい」

 

クソッ…時間が…

 

 

「おーい!鬼怒どうかしたかー?」

 

まずい!!

 

「あっ!神崎さん!いえ!考え事をしてました!」

 

「…神崎さんか……そう?神妙な顔だったよ?」

この人は少し寂しそうに言った。

 

 

「……」

言いたい。

助けて欲しい。

こんな事やりたくない…。

何故だか…きっとこの人なら助けてくれるだろう…そんな気がする。

 

でもダメだ!

私だけが助かるなんてダメだ。

私はお姉ちゃんを助けるんだ。

私も死にたくない。

 

「…実は最近ご飯が美味しくて2kg程太ってしまったんです」

作り笑いの嘘…

 

 

 

 

 

 

「嘘だなッ!!」

 

 

 

 

 

 

「!?」

馬鹿な…私はどこで間違いを…

 

「俺は知っている…」

 

…覚悟を決めるしかないか……。

殺すしか…ないのかな…最悪、お姉ちゃんだけでも助かるなら…。

 

 

 

 

「よく…わかりましたね…。一体いつから?」

 

「先週だな…」

 

 

上の人達の存在がバレるわけにはいかない…殺すしかない……。

やるしかない。

後ろを向いている今がチャンス!!

 

 

 

 

「夜食にカップ麺を食べて居たな!!」

救はクルリと振り向いて言う。

 

 

 

「!?」

 

 

そっちですか!!!!!!

 

危なかった!殺すところだった!

 

 

ポカンとする私に笑う神崎さん。

 

「バレましたか…内緒でお願いしますね?」

 

なんて馬鹿なことをやって居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてついに見つけた。

深海棲艦

姫、鬼クラスの2人が鎮守府を歩いて居た。

 

「深海棲艦!?」

 

「あー!紹介するよ!鬼ちゃんと姫ちゃん!2人とも敵じゃないよ。仲良くしてね」

 

「あら?新入りさん?可愛いわね。よろしくね?」

 

「よろしくねえ〜」

 

 

本当だったのか…?

深海棲艦と繋がりがあるなんて…

これは大問題だ…。

即刻処分すべき……なのか?

 

 

わからない。

 

何故ならその深海棲艦とティータイムをしている。

 

話した感じではフツーーの女の子…。

むしろ…提督大好きッ♡とか言ってる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悩むな…私。

失敗したら私は解体され…お姉ちゃんも…処分される。

 

決めたんだ!どんなに汚れても…私は生きると。

幸せになれなくても……生きるんだ。

 

 

 

 

そもそも、大本営でも管理していないベルファストとか赤城とか言う艦娘?が居る時点でアウトなんだから…。

 

 

 

 

 

 

連絡を入れる。

相手はもちろんあの人。

 

 

 

「ええ…はい…お願いします」

 

『よくやった…明日にはソイツを捕らえるぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 




お気に入りが…450…??ですと?
ありがとうございます(´;ω;`)



夏の塩分補給!
甘い話から少し離れて…ね。


この先の話は胸糞悪い展開等あります。



お楽しみいただけたなら幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。