提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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あの日…私を救ってくれた…あの…カレー。


どれだけのカレーを食べようと…それには敵わなかった…。
























148話 提督 赤城ト1日夫婦 ② 幸せの…あの味

「…カレー?」 

 

どんな料理がお願いされるのかと思いきや…カレーだった。

 

 

 

 

「はい」

「カレーが食べたいのです」

 

「なんでまた…?」

「そうか…今日は金曜日ではないからか?」

「メニューの変更をお願い…か?」

 

 

「少し違います」

 

「どう言う意味だ?」

 

「それは…私は…間宮さんや…鳳翔さんの料理もとてもとても大好きなのですが…。カレーは…皆の料理より私に深く刻まれている料理なんです」

 

「赤城の…心に……?」

 

「はい。私は…料理は活力となるもの…楽しみ…色々な捉え方をしてきましたが……"料理に救われる"…そう思えた料理があったのです」

 

「料理に…救われる?」

一体なんだ…?なんでカレーが赤城を救ったと言うのか?

 

 

「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの日に提督の作ってくれた…カレーです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?!?」

 

 

「提督は…余り思うところは無いと思いますが…私にとっては…闇の中に射したひとすじの光のように感じました」

 

「ご存知の通り…あの日までの私達は、暗闇の中を悲しみに耐えて生きてきました」

 

「あなたが来てから…全てが変わりました。まるでヒーローがピンチの仲間を助けにくる映画のワンシーンの様に…」

 

「初めての日は…皆で野宿しましたね」

「その次の日に…」

 

そうだ。

旧舎をぶち壊して…野宿したなあ…。

 

 

 

「ずっと…ここにいるメンバーは覚えているでしょう?知らない方に関しては置いてきぼりですみません………それでも想像できるはずです」

 

「あの日…新しい提督が来て…野宿をした次の日に…この食堂が出来たばかりの日に…久しぶりの入渠が終わった時に…鼻から頭に駆け抜けたカレーの匂いを…」

 

「お帰り…と笑顔で一人一人に、その温かいものをよそってくれたことを…」

 

「震える手でお皿とスプーンを持ったことを…」

 

「味と匂いと…なんとも言えない気持ちが…自分をめちゃくちゃにしたことを…」

 

「初めての味は…涙でしょっぱかったこと…」

 

 

 

「皆で泣きながら食べたことを…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「物凄く…生きててよかった…幸せだと思えたこと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督が作ってくれたカレー…涙で塩っぱかったですけど…今迄の艦生の中で…あのカレーを超える温かみに溢れた…私を救ってくれた料理はありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…あの時の…俺が作ったカレー…。

 

 

 

たまたま…カレーだったのだ。

たまたま材料があったから…。

何か特別なことを考えて作った訳でも無い。

 

 

 

ただ、そこにあったのは…

 

 

 

君達の力になりたい…。

どうにか…あの地獄を少しでも忘れられる、安らぎを…。

守りたい…と言った気持ちだったのだ。

 

 

 

 

なのに彼女は…それが私を救ってくれた…と言う。

間宮や鳳翔や伊良胡を差し置いて…それ以上に出会ったことがない…とまで言う。

 

 

 

「赤城…」

 

 

「だから…あなたのカレーを…食べさせてくれませんか?」

 

 

 

 

 

 

皆も…儚げな表情で俺を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…食べたいっぽい」

 

 

 

 

 

 

誰かが…ポツリと言った。

 

 

 

その声に続くように…

 

 

「食べたいです…提督のカレー」

その日を思い出すように…潤んだ目で言う。

 

「食べたい…」

「私も…」

「ウチも…」

「俺も…」

 

 

 

 

 

 

「食べてみたいですわ…指揮官様のカレー…」

 

その時を知らない組も…言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「救君…そっか…カレーは得意だったもんね」

 

「迅鯨…?」

 

「私も覚えているわ。あなたが…孤児院の家族皆の為に作ってくれた…カレー」

「そのカレーは…ここでも皆を幸せにしていたのね」

 

迅鯨(秋姉さん)はニコリと笑っていた。

 

 

 

 

いつの間にか…赤城を先頭に、艦娘がコチラを見るようになっていた。

間宮や伊良胡まで…

 

「たまには…お仕事休みでも…いいかなあ」

「そういえばカレーの材料が…あまってたような」

 

「…確かにあのカレーを超える料理は…作れる気がしません」

「あのカレーになら負けても…いいです」

 

鳳翔が言う。

「あなたのカレー…忘れられないんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…作るよ!」

 

「久しぶりに…下手かもだけど…作るよ!」

 

 

皆の表情が明るくなる。

 

 

 

 

 

 

 

ご飯は…水を吸わせる。

 

野菜は一口サイズに……あの時と同じように。

 

隠し味は………チョコレート。

 

 

 

 

 

何故だろう…こんなに嬉しいのは。

 

 

カレーを混ぜる手が…幸せだ。

 

 

 

ただ違うのは…あの時は……皆は入渠していた。

 

今は…皆が…まるで子供のような表情で俺を見つめている。

そこには…昔を知る艦娘も…そうでない艦娘もなかった。

ただただ、その幸福(カレー)を今か今かと待ち望んでいた。

 

 

 

 

 

段々とあの匂いが漂ってくる。

 

頭の底から呼び起こされるあの光景。

 

 

 

 

 

 

「…でき…た」

 

 

 

 

 

 

「あぁ……あの時と同じ…」

 

 

 

赤城には…いや、皆には見えた。

 

ボロボロのまま居た彼女達にどんな傷でも高速修復剤を手渡して入渠へ行かせてくれた…あの人。

 

実は…罠じゃないのか…?と思いながら入渠し…

出てきた時に食堂から漂った…カレーの匂い。

皆が自然と…足を運んだ。

 

 

見える…。

 

あの時の自分が見える…。

 

色んなことがありすぎて…ただでさえ情報過多で頭がパンクしそうな時だった。

提督から皿を受け取り…座って…。

 

 

その過去(幻影)が…見える。

 

 

 

 

「あぁ…」

吹雪達もきっと見てるのだろう

 

 

「…これは…」

桜大鳳達も…きっと。

 

 

何名かが配膳を手伝ってくれる。

 

 

 

 

 

 

皆は…その幻に着いて行くように…あの時と同じ席へ行く。

 

 

 

違うのは…記憶があること

違うのは…仲間が増えたこと

同じなのは…変わってないのは…今も昔も変わらない愛情を向けてくれる…あの人。

 

 

 

 

 

––––頂きます–––

 

私は…目を閉じてそう言った。

スプーンにひと掬いした…金色に輝く幸せ(提督のカレー)

 

この匂い…。

 

やっぱりスプーンを持つ手が震えてる。

 

 

それを口へと運ぶ。

 

口の中に広がるのは……これもまた…幸せな思い出の味(あの時と同じ…味)

 

 

涙が…自然に流れる。

 

どんな宝石も…金銀財宝も…このカレーの前では無意味なもの…と言ってもいい。

 

 

 

 

思い起こされるのは…暗闇から差し伸ばされた温かい手。

もう…これ無しじゃ生きていられない程の…温もり。

 

 

「やっぱり…美味しいなあ…これ」

「う、うん…わがるよお…」

 

 

 

「あの味だぁ……」

 

 

「…ううっ…ぐすっ」

 

 

 

 

「…ッ?」

違う世界の…ベルファスト達が

 

「…」

海外艦のアークロイヤルが

 

「…うん」

彼を知る…迅鯨が

 

「………」

何故だかいつの間にか居る麗や武蔵までもが

 

 

 

言っていないソレを感じ取るように涙を流す。

 

 

 

 

 

ふと…周りを見る。

 

 

『美味しいね』

あの日の私達が…語りかけてきた。

 

 

その顔は…とても優しくて…笑顔だった。

あの加賀も、霞も…金剛も…。

 

 

「はい!とても…美味しいです」

私達は…そう答えた。

 

 

 

その過去とも言える幻は…笑みを浮かべながら…消えた。

 

 

 

「ありがとう…提督。私は…もう一度救われました」

 

 

違うんだ赤城…皆。

救われているのは…俺なんだ。

 

 

俺は今日…またお前達に教えてもらった…。

俺にも…もっとできることがあると。

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

 

「おかわり…ありますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろん…

あr「「「「「「おかわり!!!」」」」」」

 

 

 

 

「大盛りでッ!!」

 

「私もっ!!!」

 

目の色を変えてカレーを食べる艦娘。

 

 

 

え?さっきまでの気品?

…知らない子ですね。

 

提督カレーは一瞬にして無くなった。

 

「うわぁぁあ!!カレーが!!カレーがぁあ!!」

膝から崩れ落ちるのは葉月、文月。

 

「私のを分けて…あ」

私のを分けてあげようと言ってしまった長門カレーは一瞬で消え去った。

 

 

「…天使の笑顔を…見られたなら…」ギリッ…

 

 

 

鍋は空になり…

むしろピカピカになるほどに取り尽くされた鍋。

 

響く阿鼻叫喚。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

「追加のカレー…もってき……」

全視線が提督の手元に集まる。

「どうした?足りんだろうと思って…」

 

 

「「「「神!私らを救う神!!」」」」

 

 

「大袈裟だなあ……」

と言いながら周りを見る。

 

膝から崩れ落ちていた長門やその他を見る。

希望の眼差しでコチラを見る夕立(犬)、時雨(犬)

響き渡る熱狂の提督カレーコール。

「……間違ってないかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後片付けを赤城と行う。

 

 

 

「フフ…ありがとうございました」

 

「いえいえ…こちらこそ」

 

 

「提督?」

 

「ん?」

 

「愛しています」

 

「俺もだ…」

 

赤城が…隣へ寄ってくる。

「…えへへ」

 

「いいものだな」

 

 

赤城が…ちゅっ と俺の唇に触れる。

 

 

「愛しています!」

 

 

 

 

 

 

 

片付けを終えた…。

 

 

 

「さて……」

 

 

「どうしたのですか?」

 

「俺も自分の分のカレーを実はおかわりで取ってあるんだ…それを食べようと思ってな」

 

「なるほど…なら私もお茶をお出ししますね」

 

 

ブーーンとレンジの音が聞こえる。

私はお茶を注いでテーブルに座っています。

 

一口くらいなら…くれるかな?とか思ったり。

 

 

 

そして提督が持ってきたカレーは2皿だった。

 

「え?これ…は…あ…お皿も」

今日買ったお皿だった。

 

「ん?後で夫婦2人水入らずで食べようと思ってな」

「箸は使えないけど…お皿は使えるだろ?お腹いっぱいか?」

 

 

「いいえ!そんな事はありません!頂きます!」

 

 

「えへへ…さっきより美味しいです」

 

「提督」

 

「ん?」

 

「あーんして下さい…食べさせて下さい」

 

 

「あーーん」

 

 

「あーん……ん、おいひぃです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督?」

 

「ん?また、あーんか?」

 

 

 

 

 

「愛しています!!」

 

 

 

 

赤城の幸せそうな顔がそこにはあった。

 

 

 

「あーー!2人ともずるい!!」

「本当だ!!」

 

「赤城…さん?そのカレーは…」

加賀が愕然としていた。

 

 

 

「これは譲れません!」

赤城は笑いながら言った。

 

夜の食堂は少しだけ騒がしくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後全員が来てめっちゃ騒がしくなったけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片隅からあの日の影が…のぞいた。

笑顔溢れる未来の自分達を見つめていた。

 

幸せ…。

ありがとう…提督。

 

またそれは…ふっと消えた。

 

食堂の風鈴が…チリンと鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少し消えてたとこがあったので修正してますー、



思い出の味ってありますか?
昔よく行ってた…閉店したお店の味とか。
親の料理の味とか。


少ししんみり…するはずだったんですが
だったんですが…
耐えられなかった…すまねえ赤城さん…
俺ぁ…少しでもクスッとしてもらえたなら幸せだあ…。

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