提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

162 / 453
156話 己であるが故に ② 想い濁流となりて

「帰還しました!!!」

 

 

副旗艦の比叡と神通が長門を抱えて帰投した。

 

 

 

長門は重症…即高速修復剤を使用しての入渠及び工廠での入院。

 

 

夕立も……特に夕立は目の前でシラツユが沈んだ。

入渠後も精神的に不安定だった。

 

 

とにかく錯乱していた。

 

暴れる夕立を抑えるのには苦労した。

 

俺も突き飛ばされた。

 

 

 

 

 

日が明けても、それは変わらなかった。

 

救は頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許せないッ!」

暴れる夕立。

 

「夕立!」

 

 

「何であの人達は!!!」

 

 

 

 

 

 

「シラツユや夕立をあんなにした奴らを…許せない」

…頭の中に浮かぶ…シラツユの最期

 

いや…仲間に沈められる瞬間

妹が姉を庇って沈んだ瞬間

 

 

艦隊計画の…末路。

 

「あんなことする人が…許せないッ!!」

…命を弄んで……何で!

私達は…皆の為に戦って居るのに!!!

 

 

 

 

「人が…そんな酷いことするんだ!!奴らの方が敵じゃないのか!!」

 

 

 

 

 

 

 

夕立は禁断の言葉を口にする。

 

「人なんて…皆ごろ…「すまん!」

 

 

提督が頭を下げて居る。

 

 

 

 

「それは俺たち軍人だ……すまない夕立」

 

 

 

「…提督?」

 

 

「頼む……その先の言葉は……言わないでくれ…お前に…その言葉を言わせたくない…」

 

 

 

 

 

 

 

"人を皆殺し……"

 

夕立にそんな言葉…言わせたくない。

言わせちゃいけない…。

 

 

 

「提督は何もしてない!悪くない!!!」

 

 

 

「いや……俺もその組織に属した奴だ…」

 

 

 

「でも…コンゴウ達を助けたっぽい!!」

 

 

「それは結果論だ…」

 

 

 

夕立は言葉にできなかった。

許せない…。人が正直憎い。

でも…麗や提督みたいな人も居る…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウダチを救わなきゃ…倒さなきゃ…例え命を賭けたとしても…。

 

 

じゃないと…シラツユが助けてくれた意味がない。

そうじゃないと助けられる価値なんか無いんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督!長門さんが目覚めました!」

 

「…う………私…は」

 

「長門!!」

 

 

 

「良かった!!」

 

「…!!!」

が、長門は救の胸ぐらを掴んで言った。

 

「提督!!人はどうしてそこまで残酷になれる!?」

「私達の誇りすら踏み躙ることが出来る!?」

 

長門の目は怒っていた。

 

「長門…?」

 

「私が…私が奴を沈めてやらなければ…運命に……」

 

 

「出るぞ!提督!私はッ!」

 

「ダメだ…」

「今行っても…無駄死にするだけだ」

 

「ならソレで良い!!同じ長門を救えるなら!!」

 

「何故お前が沈むことが…奴を救う事なのか?」

 

「奴を沈めてやらねば…せめて……この手で沈めてやらねばならないんだ!!」

 

 

 

 

「待て…とにかくお前達は今は待機だ…治療が完全に終わるまで待機だ!コレは提督命令だッ」

 

 

 

「…お前も…わかってはくれないのか…」

長門は呟いたが…俺はソレを無視した。

 

 

 

 

 

あの2人は…何かおかしい。

そう思いながら執務室へと向かう時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「提督!!鎮守府…正面海域の左右に…2体の反応が!!」

 

「…左側にユウダチ。離れて右側にナガト…ナガトは深海棲艦を引き連れています!!」

 

 

「何ッ!!」

 

「…両方とも出れる状態にない」

 

 

「両者…正門に近付いています」

 

 

 

 

 

だが…他の奴に出撃させても意味はない…いやむしろ…余計に事態が悪化しそうな気がした。

 

何故だろう…?わからないが…

胸騒ぎがした。

 

 

「俺が行く」

 

「ダメだ!提督!殺される!!」

時雨が制止する。

 

 

 

「いや…多分大丈夫だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は正門へ1人で向かった。

 

護衛を!と言っていたが、意味はないだろう。

逆に交渉しに行くんだから…1人の方が良い。

 

 

 

 

「む?提督ミズカラお出迎エカ?」

 

「…あぁそうだ」

 

「ヨクキタナ」

 

 

 

「サア!奴ラヲ出せ!!」

 

「無理だ…」

 

「何!?」

 

 

「戦える状況じゃない。特に長門はまだ回復しきってない」

 

「…戻ルマデ待つ…トイエバ?」

 

 

 

「その時は…万全のコンディションのアイツらが…お前らを明日へと導いてくれるだろう」

 

 

「明日?……フム?」

ナガトは考え込んだ。

 

 

「ククク……ハーッハハハハハハ!面白イ事ヲ言う!!アレダケヤラレテカ?!」

馬鹿にするユウダチ。

 

実際にボコボコにされているから…事実なのだが…

 

「そうだ」

彼はその表情を一つとして変えない。

 

 

 

 

 

 

「… 面倒ダロ!…ココデお前ヲ殺セバ……簡単ニオワルダロ?」

「夕立がシラツユを裏切ルヨウニシムケタ…イヤ、オマエカ!?人間!!」

 

ユウダチが武器を構えてくる…。

 

 

「……俺達は何もしていない…」

 

 

「…それと、俺を殺すのか?…提督が死んで弱体化した奴らを嬲り殺すのが趣味ならば…そうしろ…」

 

 

「何ダト!?ドウイウ意味ダ?」

 

本当にコイツは…艦娘としての記憶が無いのか…

 

 

 

 

「フム…ソレも一理アルナ……ワカッタ…待とウ…奴でナケレバ意味ハ無いカラナ…」

 

よし…やはりナガトが乗ってくれたか…。

 

 

 

 

「イクゾ…ユウダチ」

 

「何故ダ!?」

反論するユウダチ。

 

「……」

ナガトが、無言で睨む。

 

「……ワカッタ…」

 

引き下がる2人。

 

 

 

 

「待て…」

 

 

「何ダ?」

 

「お前達…アイツらに何かしたか?」

 

 

「……サア」

とナガトは笑いながら言う。

 

 

「オマエコソ…イヤ…オマエはシラツユの行動ノ意味が分カルか?」

 

「多分な…」

 

「……」

 

 

 

その言葉と共に2人は退がった。

ーとはいえ、鎮守府からほんの少し離れたところに移動しただけだが…。

 

 

 

 

「フーーーーー」

救は大きく息を吐いた。

 

 

 

ヤバい…緊張した!!

 

 

賭けだった。

 

艦娘の記憶を持ち…

更に…"長門"なら…堂々でないものを嫌う筈だから…。

やたらと運命と言うので…そこを突くしかない。

 

時間稼ぎとしてはそれに賭けるしかなかったのだ。

 

 

 

ある意味成功したが、問題は未だ残っている。

 

 

 

 

 

 

 

……まあどっちにしろ、今のままでは奴らには出撃許可を出せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐らく…同型艦のパスが繋がったのか…強い想いの引力に惹かれたのか…

何かされたのか…

 

思考が定まってないみたいだ。

 

夕立や長門発言を考えると…何かを見せられたのかもしれない。

頭にモヤが…とか言ってたな。

 

だからあんなに感情的に…?

己の命すら投げ出して良いとさえ考えて…か?

 

 

 

いや…

自分も同じ立場ならそう考えるかもしれない…。

 

 

 

 

だが、俺が思うに2人は根本的に分かっていない。

 

今の夕立は分かっていない。

奴が守られた意味を…。

 

 

 

今の長門は分かっていない。

ナガトを救うと言う本当の意味を…。

 

 

 

 

だが…押し付けだが、自分が死んでも良いなんて思いは持たないで欲しい。

 

 

 

 

 

だが、あの調子じゃあ…夕立とも長門とも平行線を辿るだろう…。

 

アレ以上の想いを…奴らにぶつけないとダメなのかも知れない。

 

……痛いかなあ…特に長門は。

 

 

 

 

 

 

艦隊計画…

 

本当に許さないのは

そんな馬鹿げた計画を進めた奴だ。

 

真壁は言った。データをサルベージしたもの…と。

 

以前のデータは破棄された筈。

 

 

いや…そもそも……

誰が始めた?

 

戦争初期の頃から…と言っていたな?

 

 

何故このタイミングで出てきた…?

もし、それが誰かの狙いだとしたら…?

 

 

 

まだ…真壁だけでこの件は終わってないのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

「提督!!」

 

執務室に夕立が飛び込んできた。

 

 

「夕立…?」

 

 

「私!行くっぽい!!」

 




はい!

引き続き…シリアスです!(๑╹ω╹๑ )


質問にお答えしますね!

好きな艦船擬人化は…?とのことで…。

艦これなら

金剛、鳳翔、加賀、時雨、不知火がほぼスタメンなくらいです!
勿論…旗艦は金剛…


アズレンなら
???、ベルファスト、赤城、オイゲン、大鳳
期間は…???ですね!



あと…別ゲーですがブルーオースでは
オークランド、金剛、オイゲン…サンファン……


…ぶっちゃけ…一部です。
好みに突き刺さったら基本的には弱くても育てて…何かしらの編成には組み込みますね!

ヤンデレ勢とか提督LOVE勢大好きです!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。