提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
………想定外という言葉がある。
自分の予測や想定を超えていること…。
例えば…自分が外の世界から来たこと。
あの日に見たのは…化け物…怪物だった。
その怪物は……
私の愛する人を目の前で……殺した。
そんなの認めない。
元に戻さなきゃ…
必要だったから
例え何度やり直そうと…
何を犠牲にしようと…
例えそれが…1つの世界だろうと…
幾万の魂や記憶だろうと…。
そこに救いたいものがあったから…。
「…じーさんが艦隊計画の黒幕ですよね」
楽しいスイーツタイムが終わった後の余韻すら吹き飛ばす救の言葉。
「救君!?」
「いくらなんでも…それは」
「ほ…??何故そうなる?元帥じゃからか?」
「ワシは…艦隊計画の事は知らんのじゃが…」
「以前にナガトと長門交戦の話をしたときに…俺はナガトの話しかしていないのにユウダチとシラツユの名前が出てきた事は何故ですか?」
「名前をお前が出しておったろう?」
「夕立の目の件があったので彼女達のことは伏せていましたよ」
「……」
「艦隊計画の話の時に……閣下は言ったですよね。真壁も大石も居ない…と。何故彼の名前が出たのか?」
「何故艦隊計画の事を知らない大石さんの名前が?」
「聞き間違いだろう」
御蔵は言う。
「いいえ…ご主人様。私も聞いておりました」
「そして…艦隊計画の実施の早さ」
「桜さんの情報によると…艦娘の存在が分かってから…約2ヶ月も掛からずに始まったそうですね」
「……世界をやり直したあなただからこそ出来るからじゃないですか?」
「……」
広い海で
何故元帥が海に出ていたのか?
真壁に囚われた時も…何故殺されなかったのか?
何故…何もしなかったのか…?
疑問は尽きないが…1番気になる事は…
「アンタの目的は…何だ?」
「何を…言っている?ワシは…ずっとこの世界と元の世界の為に!」
「元の世界ってのは俺達の世界…とは違いますよね」
「…何故そう思う?同じ日本じゃぞ……」
「明報堂と言うお菓子屋はねえよ…あるのは明治堂だね」
「…間違え「昔から愛用してるところを間違えるかなあ?」
「考えたくないんですけどね」
俺をあの鎮守府に飛ばしたのも…大石さんを俺が…引き剥がすと分かってたからじゃないですか?
この鎮守府から追い出された大石は…深海棲艦と手を組んで深海提督と化した。
つまり…理由ができるんですよね。
深海化する。
怨念が広がる時も
あなたは鎮守府に居た。
そして真壁の時も…
深海化しても何の驚きもなかった。
「俺はその相手として実験台にされてたんじゃないかな?いや、もしくは…俺たちに負けたのは想定外だった……と」
「ふ……まあ…そこまで考えられるなら…もういいか」
途端に無表情になる御蔵。
「いかにも……」
「艦隊計画も私が立案した」
「データ入力も秘匿と称して彼女達を沈めての深海化も…全て私がな」
そう御蔵は冷たく言い放った。
「何でそんな事を!!」
麗が問い詰める。
しかし彼は…平然と言った。
「私には…為すべきことがある…」
「なすべき事…?色んな人を犠牲にしてでもか!?」
フン…と鼻で笑う、お前にはわかるまい…とでも言わんばかりに
「少し…昔話をしてやろう」
私の居た世界は日本とそう変わらない所だった。
俺には…愛する人がいた。
決して裕福ではないが…幸せな生活を送っていたんだ。
だが…
ある日…怪物が現れた。
その怪物は…全てを奪っていった!!!!
「私の大切な家族も……友人も…全てだ!!」
「守ろうとした!!でも…何も出来なかった…出来る筈もなかった。」
それどころか…私も殺されたよ…。
そしてこの世界に転生した…。
無気力に生きたさ。
そして深海棲艦と怨念によって世界は巻き戻された。
だが…そこが私の分岐点だった!!
そう…そこで時が戻る事を知った…。
負の魂は…世界を渡ることもな!!
チャンスだと思った…
そして…誓ったんだ…
俺だって…過去に戻って…戻って…
あの怪物をブチ殺して…絶対に過去を変えて…助けると!!
だから…作り上げるしかない!
戦う…軍勢を!
私が戦う為の力を…。
例えこの世界を犠牲にしても!!
私には守りたいものがあるのだッ!!
私の居た世界をッ!!!
そして…何度も何度も繰り返したさ…。
誤算は1つ…
お前だ…神崎 救ッ!!
貴様が来てからが厄介だった!!
どんな困難も乗り越えやがって…
貴様らが一番邪魔だから…何かをけしかけるのに…いつも…。
真壁も…大石も……計画に必要な布石だったのに!!
艦隊計画
表向きは…艦娘の強化育成––
だが、
艦隊計画は強化ではない
最終目的は深海化にあった。
より凶暴さや非情さがある故に、兵器として重宝出来る……
というものが狙いだった。
そして…
その真髄は……
「そんな為に…?」
「お前に分かるか!!!」
「夢の中で…目の前で何度も何度も…殺されるんだ!!」
「それはこちらの世界も同じだろう!!何人も沈んだんだ!!」
「だからそれも役に立ててやろうと言うのだッ!!」
御蔵は何かを取り出した、
「何です?それ?」
「艦や艦娘…深海棲艦の想い…思い出…感情、記憶…それの…集まりだ所謂…魂だ!!見ろ…黒く…暗く…哀れな結晶だ」
「世界を何巡もして集めた…彼女達の実験の成果だ!!」
「海の記憶…全てとも言えるかな?コレがあれば…私は悲願を叶えられるのだ」
お前は海の怨念を覚えているか?
怨念は溢れると世界を超える。
そう…多すぎる負の気持ちは…世界すらも超えることを可能にするらしい!!
即ち、これがあれば…同じく世界を跨ぐことができる。
そう、過去の世界へも…。
俺は!!世界の理すら変える事ができる!!
深海化をする上でも
轟沈のような終わり方は…凄まじくその魂を、負の力で覆う。
竣工したての艦が沈んだとしても同様だ。
御蔵は集めに集めた。
沈んだ艦の"想い"も艦娘の"想い"も深海棲艦の"想い"も
恨みも魂も全て!!!
奴は…それだけの為に
艦娘をそうしてきたと言う。
どうすれば純度の濃い悪意を悲壮を得られるか…
「ふざけるな!!」
「まあ…バレては仕方ない…時期が少し早まっただけだ」
御蔵は…その魂の一部を取り込んだ。
そしてほんの少しを地面に撒いた…のか?
「ジジイ!何やっ…」
だが
御蔵の体に変化はない。
「私に馴染むまで時間がかかるか…」
撒いた所からは深海棲艦が現れる。
「くくく…なんという力か…コレなら…絶対に勝てる…負けぬ」
「頼むから邪魔をしてくれるな…」
彼はゲートを開いた。
「くく…頭の中で恨み辛みを吐く負け犬どもが煩いが…素晴らしい力だ!!こうも簡単に世界を渡れるのか!!!」
「おい!それ置いて行けよ…!それは彼女達の誇りや尊厳だろう!!お前がそうやって使って良いものじゃないだろう!!」
「…貴様は諦めるな…と言うらしいが…」
「藁にも縋らねばならぬ時だって有るのだ!!何かを犠牲にしなければ…叶えられぬ願いも有るのだッ」
「尊厳?バカを言え…負け犬どもをこうやって役に立ててるんだ…それが使い方と言うものなんだ!!」
「…もうこの世界に用はない」
「貴様らの相手はそいつらだ…」
御蔵はゲートを潜った。
目の前には少しずつ閉じるゲートがある。
やあ…後輩君!
君の前には
目の前にはゲートがある……。
さあ…選ぶといい
全ては君の選択次第だ…。
どうする?
行けば…
残酷な運命が待ってるかも知れない…
生きて帰れないかも知れない…
それでも…行くかい?
→ …世界を壊してでも守りたいもの…その彼を止めることは俺達には出来ない…。彼女達もいつかは…帰ってくるだろう…
御蔵を見逃す
→ …例え何の為でも…彼女達の魂を犠牲になんかしてたまるものか……俺達なら…超えて行けるかも知れない。
御蔵を止めに…彼女達の魂を取り戻しに行く。
それが…君の答えか!!
タイトル
164話 ?????????????? ① 世界を超えて
ある程度重いと思います。
舞台が異世界に変わります。
ご注意下さい。
はい。
艦隊計画編 終章
いつもとは、少し違う感じですね。
タイトルが無題なのは少しでも不気味さが欲しかったので。
少しでもお楽しみ頂けたらと思います。
お気に入り540ありがとうございます!!
雰囲気重視したいけど…これだけは……!!
あなたはどうする?
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覚悟は無い。門を潜らない。
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覚悟は有る。門を潜る