提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
お昼に166話も更新してるのでご注意下さい!
信じられるだろうか?
幾多を犠牲にして
築き上げたものが…
それが全て…意味のない連鎖の一因だったなら
面倒な話だが
殺されたのが源治なら…
艦これの世界で救に会ったのは嫁で…結局は同じことをしていた…だけなのだ。
一言で言うなら
…呪い
深淵を見下ろす時深淵は自分を見上げているように
それが…
世界を売ろうとした男の運命
「ふぁいやーー!!」
金剛の砲撃が御蔵に直撃する。
辞めよう…だと…?
貴様に何が分かるッ!!
幸せそうな暮らしをする貴様らに…
「うるさいっ……!!!!」
「効いてないデース!?」
絆…力…
貴様らの言う馴れ合いも…
小賢しいわッ!!
「運命に、世界に裏切られた俺の気持ちが…分かるかっ!!」
「避けろ!!」
「手が大きく…!?」
ゴシャッ…
金剛に大きな手が振り下ろされる。
「ガ……ハッ」
金剛は地面に叩きつけられる!
強い。
圧倒的に強い。
「しねえええ!!!」
更に一撃を加えようとする御蔵。
「金剛ッ!!」
救は金剛に飛びかかる。
「無駄だぁぁあ!!!」
直撃は免れたが、救と金剛は吹き飛ばされる。
「ぐふっ…」
「うっ!!」
ズキッ…
起きあがろうとしたら腹が痛い…
腹部に…鋼材が刺さって……さっきの衝撃で?……くそっ
「おやぁ?…死にかけじゃないか?神崎くぅん…」
ニタリと笑う御蔵。
「ダーリン!?そんな…ごめんなさい、私のせいで…」
金剛は青ざめる。
「大丈夫だ!このくらい!お前が無事なら…良かった」
このままじゃ…
どうする…。
ここには鎮守府は無い
俺は着任すらできていない……まずい。
金剛も…ぼろぼろじゃないか…。
その時、頭に声が響いた。
『何故関係ない魂を助けようとするのです?』
『こんな世界まで追いかけてきて…死にかけて…』
「それは…彼女達の魂の尊厳を守るために決まってんだろ…」
『何の利にもなりませんよ?』
「そんなのどうでも良い!!」
「こんな事…彼女達は望んでないはずだから!!」
そうだ。
彼女達の真の願いは…
「だって…彼女達は」
「あの世界を守る為に生まれ…戦ったのだから!!」
世界の…平和な海を取り戻すことなんだから!!
「くううう!!」
金剛がまた吹き飛ばされた。
カラリ…と
髪飾りが落ちた。
「あ…」
髪飾り…
深海ダイヤの髪飾り…。
深海ダイヤは…海の底で作られるらしい。
海底から海流で巻き上げられたのが…たまたま世に出回るらしいが。
1日夫婦をした時に救が買ってくれたものだった。
「大切なものか?…」
御蔵はそれを踏み潰そうとする。
これだけ……は
大切な……もの……デス
金剛はそれを庇うように…ぎゅっと握りしめた。
金剛の手を踏む御蔵。
「そらそら!手が潰れるぞ!」
「これだけはやらせまセン!!私の…宝物なんデス!!」
何度も何度と…踏まれようと蹴られようと金剛はそれを離さなかった。
「ならそれごと…手を潰してやるッ!!」
御蔵は足を上げる。
深海ダイヤ
海の無い場所
海から来る魂は…海を求める。
しかし、ここに海はない。
故に近しいダイヤに集まる。
深海の中で生まれたダイヤは…海の記憶を持つ。
引き寄せられるように集められた魂は…
深海棲艦を倒した時に魂は髪飾りに集まった。
海を求めて…
大和や阿賀野が対峙し、倒した深海棲艦、武蔵が倒したムサシ…
それらは髪飾りから…
金剛に話しかけた。
『金剛…力が必要?』
(この声は……?)
『私達は彼を恨んでる…この力は…君を傷つけるかもしれない…』
『それでも…恨みを晴らしてくれるなら…力を貸す…負の…とてつもないエネルギーを…』
彼女達は金剛に力を流し込む。
頭に流れてくる負の感情。
悔しかったろう
悲しかったろう
冷たかったろう
寂しかったろう
無念だっただろう
殺したいくらいに
奴が
奴らが憎かったろう
「何!?」
御蔵が飛び退く!!
何かとてつもないモノを感じたからだ。
「…恨み晴らしではないデース…あなた達の誇りを取り戻すんデス!!」
ぬるりと金剛が立ち上がる…、
金剛から紫色のオーラが漂う。
「金剛!どうしたんだ…?」
禍々しいオーラに救いが尋ねる。
「すこし…イメチェンデース」
「金剛!!」
「……」
「大丈夫デース!!」
頭に声が響く…!!
『行け……やれ!!』と!
「行きマス!!!」
「コレは……皆の恨みだッ!!」
「皆…だと?…フン……死に損な…」
ドコッ!!!
「!ゴフッ………!??!な、なんだと!?」
ダメージが…通っただと!?何故だ!?
ゾクリとするほどの敵意が金剛の拳から伝わる。
まさか
まさか!
コイツは…魂の力を…使っているのか!?
「貴様…まさか」
「お前は…許さない…!!皆がお前を許さない」
頭の中の声は救に優しい声を向けた。
『わかったよ……見知らぬ提督さん』
『そんな人も居たんだね……』
『…そんな人に出会いたかったんだ………ありがとう』
『うん…いいよ』
『ほ、ほんとですか?!』
『うん……凄く興味のある人に出会ったから……私達は私達で…やるから…あなたも…能代もOKだって』
『はい…その力…受け取りました!!必ず…取り戻しますから』
とある艦娘の魂と艦の魂がやりとりをしていた。
『さあ…やりましょうか…!!』
その艦娘は…顔をパシンと叩いて言った。
ところ変わって麗、武蔵。
「くっ…多いな……」
「負けないッ!負けないッ!!」
ムサシを倒したと思ったのに…どんどんと…湧いてくる…。
これじゃあ…私達は…、
「よく耐えた!」
…聞いた声だった。
ところ変わって大和、阿賀野。
「大和さん!」
「阿賀野さん!!!まだやれますか?」
「は…はい!なんとか!」
「…ヤマトだけでなく…他のも…これじゃあジリ貧ですね」
「負けません!!」
「阿賀野さん…?」
阿賀野の目は死んでいない。
「絶対に…私達は!!諦めません!!」
『それでこそ…阿賀野よね』
「え?」
「き、京極さん!?」
夢か…幻か……。
「ああ!里仲さん!!説明は頭の中で受けた!!西波島のメンバーも一緒だ!!」
京極とブイン大和…そして
いつも見るメンバーがそこには居た。
「お待たせ!来たよ!!」
「能代!?」
「それに…提督!?」
能代と…松田提督がそこにはいた。
『……僕はショックだなあ…阿賀野も矢矧も乗り換え早くて…』
『え?私がいるじゃ無いですか…』ぎゅうううっ
能代、脅威の鯖おり抱きつき!!
『痛い!痛いよ!!』
『お!?阿賀野に矢矧じゃねえか!』
「天龍サン!?」
懐かしいメンバー…まで…
「なんで皆が!?」
『それはねえ…』
御蔵が使ったのは…
何順もした世界で集めた艦娘の魂や心…思い出も何もかも。
それが深海棲艦を作り出せるなら…。
彼女達はそれを利用した。
能代の艦の魂と会話をして…
彼女達はその魂を説き伏せて…取り込んで…作り出したのだ
一時の…仮初の体を。
『ご都合てやつかな?』
少しはぐらかすように能代は言う。
『さあ!やろうか!!』
松田が言う。
「え…でも…」
『皆で…乗り切るんだろ?』
「それでも足りぬか?麗に…武蔵…」
「なら……この長門達が力を貸そう!!!」
「私達もいるっぽい!!」
「海が無かったって…やります!?」
「行くよ!シラツユ!ユウダチ!!」
「さあ!ナガト!出番だ!!」
ズドドドドオン!!!!
耳をつんざく様な轟音と共に放たれた
一斉射!!!
「……ふっ…西波島には負けんぞ!!」
武蔵の士気が上がる。
「皆…来たんだな……」
向こうは…安心かな…
こっちは…
金剛が奮闘する中に…
くそっ!深海棲艦が沸きやがった!!
こっちにくるッ…。逃げ…ないと。
しけし、金剛は御蔵と…対峙し、交戦中。
俺は…血が出過ぎたのか?
フラフラする…
やばい逃げらんねえ…
その時だった。
「指揮官…汝は…逃げずとも良い!前だけを見なさい」
「そうだ!後ろには我らが居る!」
誰かの声が後ろから聞こえた。
そして
現れた
声と共に…俺に寄り添い…肩に手を置いた。
「此度は…妾も見るだけではない。指揮官…汝に今こそ…勝利を」
「各員!奮励努力せよ!!!」
「あ…アレは…?」
金剛は見た。
彼女は
金剛にとっても大先輩に当たる人だった。
英国は、ヴィッカース社より生まれ
敷島型4番艦にして
当時
世界最新、最強と言わしめた前弩級型戦艦
日露戦争にて
あの艦隊を破り
日本国を勝利へと導いた旗艦
今なお…軍神と語られる…
重桜所属
戦艦 三笠
「指揮官!!我が来たからには…そんな顔はさせぬぞ!」
「赤城!隼鷹!大鳳!そして…ベルファスト、エンタープライズ!!」
「すべての艦の魂の興廃…この一戦にあり!!全てがかかっている!!」
「全力を以って…金剛を援護しに行くぞ!!」
そして…
「まさか…アレは…夢で見た……あの子は…信濃?」
大和が言う。
大和の妹…別世界の……ではあるが…。
大和型3番艦
第二次世界大戦時、世界最大の空母と言われた。
その生涯はあまりにも短かったが…
今なお知られている大和、武蔵の姉妹。
その分彼女は…心だけで世界を渡り…見ることができた。
傍観者で在った。
だが…彼女は来た。
何の運命か
何の因果か…
「み…三笠!?信濃!?お前…え?何で!!」
「指揮官が望んだのだろう?フフフ…いつだって私は…指揮官の旗艦だったからね!それに…ショウワ生まればかりに良い格好はさせられないだろ?」
信濃の世界渡りはこの世界を捉えた。
傷つく指揮官が見えた。
その後の結末も……。
彼女は…傍観者であることをやめたいと願った。
「叶うなら…指揮官のお役に立ちたい」
そこに…ある艦の魂が反応した。
名も無き彼女は…あろうことか……本体の彼女と近くにいた三笠…桜赤城達を呼び寄せたのだ。
そう
それは信濃
艦としての信濃の魂だった。
10日ばかりの生であった…悲しみも大きかった。
しかし、見てしまった。
絶望に…悲しみに染まる魂は…見てしまった。
自分達と全く接点もない…1人の人間が…私達の尊厳や誇りを守る為に世界すらも超えて来た事を。
彼女は思った。
私も…役に立ちたい…と。
そして彼女は…桜信濃に託したのだ。
この世界と繋がった…信濃達が起こした奇跡だった。
『…好かれてるんですねえ…あの人は』
祈り、願い、
それは
信じ、願い続ける者へ
「ああ…この世界の…お姉様…お会いしたく思っていました」
「しかし今は…汝にかかる…雨雲を祓いましょう」
「…阿賀野型…砲撃を見せてやりましょう!!!」
阿賀野が言う!
『おー!久しぶりにやりますか!!』
皆が…ニヤリと笑う。
「目標…ヤマト及び、深海棲艦!!……主砲、用意……」
阿賀野が号令をかける!
「矢矧!完了です!」
『能代…角度調整…完了!!』
『酒匂…完了済みです!!』
「目標…撃てーーー!!!!」
ドォン!ドォン!!と矢矧や能代、酒匂と共に放たれる砲撃。
「オラァ!!天龍様も行くぜ!!!お前らも続けッ!!」
天龍を始め、英雄達全員での総攻撃!
ズダドドド!!!
ドォン!!
それは敵を容易く打ち破る業火だった!
「…!!」
ヤマトが体勢を崩した。
「はあぁあああ!!」
大和は飛び上がり……ヤマトに踵落としをお見舞いした!
「…グ!!」
「…同じ大和の名を冠する…あなた!」
「知っているはずです!この世は…憎しみだけじゃないことを!」
「通してください!私達の進む道は…ここなのですから!!」
大和はそのまま身体を捻り、回転を乗せて…アッパーでヤマトを砕く!!!
「…!!」
「……見せられてばかりではないぞ!行くぞ!大和!!」
京極が大和に指示を出す。
「はい!!」
大和は三式弾で敵を蹴散らして行く。
「麗ちゃん!休んでて!」
吹雪が声をかける。
「ううん!まだやれる!行こう!武蔵!!」
「ああ!」
「ならば…皆の物!!提督でないから癪ではあるだろうが…俺に続け!!」
京極が言う。
「全員…主砲用意!!!」
「…しゃーなしですよ!!」
「ぶーぶーー!!」
「こら!島風ちゃん!!」
ぶつくさ言いながらでも皆は主砲を用意する。
「「「完了です!!」」」
「てぇーーーーーーーーーーー!!!!」
ズドオオオン!!
空を裂く程の轟音!!!
それは星となって敵に降り注ぐ。
数多の敵を薙ぎ倒して行く!
「指揮官!!どうだ?我の力は!!」
「妾も居ますよ?」
「指揮官様に近づく悪い娘は……こうですわ!!」
桜赤城達が敵を焼き払う。
押されているものの金剛は、御蔵に食らい付いていった。
今の金剛の頭の中はめちゃくちゃだろう。
それでも彼女は戦う。
その彼女の元へ…皆が集まってくる。
「金剛ーー!!いけーー!」
「負けるなーー!!!」
「…もう…奴らを倒したのか……」
「……やはり…神崎よ…貴様が一番の障害になるのだな!」
「やはり…小賢しいわ!!!」
ズドン…。
何が起こったかわからなかった。
一つ言えたのは…御蔵の放った何かは…
私達を簡単に吹き飛ばしたのだ。
「………」
「……あぐっ…」
「ご、ご主人様…大丈夫で……か…?」
「…指……」
「指揮…様は…私……守りするはずなのに……」
「ハハハハハ!!!」
馴れ合いなぞするからだ!結局は皆死ぬ!
「やはり!運命なぞどうにでもできる!」
「貴様らの魂も回収し……」
そうなる筈だった。
しかし実際には…
金剛が先頭に立ち…其れを塞いだのだ。
「何故だ?」
「今見えた現実は…貴様らは沈んだ筈だ。死んだ筈だ!貴様…何をした!金剛!!!!」
「……よくわかりませン」
「でも一つだけわかるのは」
「頭の中で…お前に無念を晴らせと叫ぶ
「見えるんデス!あなたが…何をしたか!」
「皆…怒って泣いてマース!!」
倒された深海の魂が…
金剛の元へ集う。
「……アアアア!!」
更なる負のエネルギーが金剛に与えられる代わりに…
禍々しいオーラに身を包み…
彼女の中は…もはや金剛なのか?と言えるレベルでめちゃくちゃになっていた。
恨み…悲しみ
それらの感情を他人の分まで背負えるはずなどない。
だが…
その
あの日から…ずっと肌身離さず着けているそれは…
彼女達の温かさで…輝いていた。
付喪神…ではないが
物には…神が、想いが宿るなんて言葉がある。
その温かい想いは
金剛の正気を寸前のところで守っていた。
「こ、金剛…」
「な、何とか…大丈夫デース…」
そうか!
御蔵は気付いた。
艦の魂…奴らが金剛に力を貸しているというのか!?
帰ってくる魂が多いほどに金剛は強くなる。
故に金剛は無意識のうちに…
現実を無かったことにしたのか?
どうやって制御しているのだ?!
金剛が動くッ!!
「声を聞け!!私達は…私達は!!!!」
「お前の道具でも…オモチャでも…無いッ!全て…返せえええええええええ!」
金剛…いや、艦達の思いが…黒炎を纏った拳で
御蔵に突き刺さる
「ぐううううっ!!!」
今まで味わったどんな痛みよりも痛かった。
「まだだっ!!」
片膝を着く御蔵に金剛の左フックが炸裂する。
「ゴフッ…!!」
決して…地面に寝かせるか…と言わんばかりのラッシュ攻撃。
「ガッ……グッ…ガハッ…ぐあ……」
そして御蔵は感じ取る。
一撃毎に…自分から取り込んだ魂が剥がれていることを。
一撃毎に金剛の攻撃の威力が上がっていることを。
「ぬううううああああ!!!」
御蔵は全力で殴りかかった。
金剛の頬に拳が………。
しかし、金剛は微動だにしない。
全くノーダメージ…とでも言わんばかりに。
「効きません!!!」
金剛が構える!!!
怨念…喪失感、絶望感…悲壮感
全てを乗せた拳。
「返してもらうぞ!!おおおおお!!」
ドッゴオオオオ!!
パンチが炸裂した
––なあ、教えてくれ
–俺はどこで間違えた
––助けたかっただけなんだ
この世界を焼き尽くして……
今の私こそ
本当の怪物じゃないか
「これでッ……」
金剛は思い切り身体を捻る。
そのまま…振りかぶり……
ドォォォォオオオオオン!!!!!
一撃ッ!!!
金剛の一撃は彼の顔面部を殴り抜いた。
……怪物を倒す為に怪物となった
私は…
神崎 救!!貴様ならどうしていた!!
それでも諦めないと…抜かしていたか!!!
「そうならない為に努力した」
「そうできるなら…他の人の悲しみを糧にして得られるものなんか要らない」
「だって彼女達は…きっと力を貸してくれるはずだから」
誰も信用していなかったと言う御蔵。
大石、真壁、大淀…
この3人も所詮…礎だったと言う御蔵。
いや…
それでも彼は
元帥の御蔵 源治だった。
焼き尽くすには
彼はあの世界で思い出や後輩部下を作りすぎた。
例え…世界を越えようとも…
助けたい思いも…
大切な仲間だったことも…
この想いは変わらない
艦これの世界も…自分の世界も…破壊するつもりはないのだ。
「化け物……」
とある人が言った。
「やめてくださいッ!!」
救が叫ぶ。
「やめてください…」
「あなた達には…決してわからないでしょう…」
「彼が…奴が如何に…全てを犠牲にする覚悟があったか…。」
絶望の中で…見出した光
その光を求めて求めて…もがいたが…
ガラスの天井から見える…空だったから。
「……何の形とは言え……あんたを…化け物のままで終わらせたりはしない」
「イェース…」
「せめて…誇り高き元帥として……」
未だにそんな事を言う。
バカだ…
私には何もないのに
魂すら奴らに奪われて
怨嗟すら…金剛に負けた。
……
それでも尚…誇り高く…と言うのか
バカめ…
飛んだ甘ちゃんじゃないか…
奴は…一度たりとも奴らの前で私の名前を呼ばなかった。
私が御蔵 源治と知られるのを防いでくれた…
なら…
私はこの世界に現れた怪物として…最後を迎えるしかないのだ!
いいか神崎 救。
非情にならねばならぬ時が来る。
甘い考えを捨てなければならない時が来る。
思い描いた通りに進まぬこともあるッ。
良いか?
悪には…悪なりの散り方が有る。
矜持があるッ
何せ…化け物を倒す為に化け物になったんだ。
化け物は…化け物らしく倒されないといけないだろう?
貴様には貴様の
私には私の
「るぁあぁぁぁぁぁあ!!!!!」
真壁はその役割を貫いた。
その攻撃は……金剛や救へ向く
彼等は避けられない…
何故なら…後ろの方角には…御蔵が全てを失っても守ろうとした……守るべき人達が居るから!
「閣下……いや…じーさん?」
「避ければ…守るべきモノが死ぬぞ!!!」
「くそっ………!!」
「金剛ッ!!!!」
「うりゃぁぁぁあああああ!!!!」
御蔵渾身の砲撃は金剛によって弾かれる。
そして金剛は…笑みを浮かべる御蔵を殴り抜く!!
「眠れデース…。うおおおおおおお!!」
ズドォォォォオオオオオン
瞬間…御蔵は力を抜いた。
そのまま彼は吹き飛ばされ…
瓦礫と共に空中へと投げ出された。
金剛が弾いた弾は教会の鐘にあたり…その鐘は一際大きな音を鳴らす。
あぁ…君と……結婚式を挙げた…教会が見える…。
鐘が…なっているのか……?
はは…
この街の景色は…こうも…美しかったか…
何十年…いや…もっとか?
死ぬなら…この場所がよかったんだ。
何故俺は…転生なんかしたのか…。
ちらりと2人が見えた。
あぁ…
そういうことか…。
俺が…あんなことをしなければ…怪物は現れなかった…からか?
神崎の言う通り…
最初から正しく道を歩んでいたら…もしかしたら運命は変わっていたのかもな…
もう遅いが…
……まあ
愛する人を2度も…殺さなくて済んで良かった。
ありがとう…
いや…違うな…
らしくいかないとな……
「神崎ィィ!!!!」
お前なら…お前となら…できたのかもな
「貴様は甘いッ!!」
優しい…からな…前を見てるからな…
「いずれ…その優しさも貴様らを傷つける事になるッ!!」
ありがとう…
「忘れるなッ!世界は……悪で溢れているッ!!!」
お前が…世界を照らせ
「世界を…全てを犠牲にしようとする奴すら当たり前にいるんだ!!!」
男は…砕けて光となった。
光は魂に戻り…金剛の元へ。
ズモモモモモモモ…と
金剛の体から魂達が抜けて…
復讐を終えた魂は金剛から…また髪飾りへと戻って行く。
そして…彼のいた場所には…最後の彼の良心か
ゲートが現れた。
青年は見た。
化け物を…打ち倒す人を。
何故かはわからないが…女の人が戦っていた。
そして
「どうか…化け物なんて言わないでやって欲しい」
と言った。
「何故ですか?」
と、青年は聞いた。
「……それでも彼は…救いたいものがあったんです」
例え世界を超えても…何を犠牲に…礎にしようと
男には取り戻したいモノがあった。
強い思いがあった。
だか…それは報われる事もなく、叶う事もない悲しい物語。
鐘の音と共に終わりを告げる。
「はぁ…はぁ…サンキュー…皆……ゆっくり休んでネ」
金剛はキュッと髪飾りを握りしめて…髪に留めた。
「やったね!能代…!みん…な?」
阿賀野や矢矧が振り返ったときには
既に彼女達はそこには居なかった。
ただ、早く行きなさい…と声が響いた。
「せっかちだねえ…」
矢矧が言った。
「救君!!」
「救ちゃん!!」
「提督!」
と皆が集まってくる。
「感動の再会だけど…」
「早く!!ゲートから元の世界に!」
誰かの声だ。
向こうにゲートがある。
「お前達は早く戻れ!、俺も行く!!」
皆がそこを目指して走る。
天龍達を頭にどんどんと潜ってゆく。
「お前達も早く!!」
と天龍が叫ぶ。
全員…行ったか?
魂も…ここに残ることなく連れてるか?
「イエス!いきましョー」
帰ろう…
ゲートが閉じる。
金剛に抱えられながら走る。
腹が…痛い。
腹が…出血が……。
…このままじゃ……コイツまで……
じっと…金剛を見つめる。
「ダーリン!もうすぐネー!」
金剛が笑顔を向けてくる。
「ああ…」
金剛…お前…は本当によくやった。
あの日に最初に出会ったのが…お前で本当によかった
「榛名!!」
彼は叫んだ!!
「はい!榛名はここに居ます!!」
と、榛名がゲートの向こうから手を伸ばす。
よし…居るな…
ドン…
彼は愛する人を押した。
「え?」
意表を突いたそれに金剛は対応できず…前に押し出され…金剛は榛名に受け止められた。
そのまま彼はどしゃりとへたり込んだ。
彼は笑顔で言った。
「すまん、あとは頼んだ」
だめ
ダメ!!
「そんな…ダメデース!!」
「お姉様ッ!ゲートが閉じます!危ない!!」
「離して!!榛名!!」
「ダメです!お姉様が危ないです!ダーリンも早く」
「提督!!」
皆も口々にそう言う。
頼む!来てくれ!!
戻ってきてくれ!!と。
しかし、彼は動けない。
へたりこんで…腹を押さえている。
「……すま…ん、愛してるぞ…皆」
そして…ゆっくりとゲートが閉じる。
ダーーリン!!
ブツン…とゲートが閉じた。
めっちゃ文字量が多い…ですけど
場面転換もありまくりますが…お楽しみ頂けたでしょうか?
この流れは連載開始当初から予定していました。
信濃の話が感想で出た時はビビりました。
まさかピンポイントでくるとは…と。
前に書いた好きなアズレンキャラの??が三笠でした。
当初は小分けのつもりでしたが
シリアスは一話あたりを太くしようかなと思い増やしてみました。
残すところは数話ですが…最後までお付き合い頂きたく思います。
感想等お待ちしています!
めっちゃ嬉しいので…ぜひお待ちしていますー!
あなたはどうする?
-
覚悟は無い。門を潜らない。
-
覚悟は有る。門を潜る