提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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つ…続き…です


172話 明石と夕張の工廠話 ② だってそれが…

今日は久しぶりの…秘書艦…

昨日の事があるから…少し恥ずかしいけど…頑張れ鈴谷!負けるな鈴谷!!

 

「お…おはようございます…提督」

 

「おはよう」

 

「おはようございます」

大淀が言う。

 

「おはようございます、鈴谷様」

ベルファストが言う。

 

「おはよう…」

 

 

「さて今日は何からやるの?」

と、提督の隣の秘書艦席に座ろうとした時だった。

 

 

 

「鈴谷様?お願いがございます」

ベルファストが言う。

 

 

「え?何?」

 

「街のショップに…備品のお紅茶が手違いで届いてしまったようなので…取りに行って頂けませんか?」

 

「え……?」

 

…久しぶりの秘書艦の時間なのにまた提督さんとの時間が減るじゃない………うう…

 

……

「わかったわ、行ってくるね?」

 

 

店の場所を聞き私は準備して向かう。

お昼のランチは…間に合わないかも…下手したら…お茶会も…

 

 

 

 

港で船を待つ。

 

「…ちぇっ……寂しいなあ」

鈴谷はポツリといった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて…ご主人様?…街へ女性1人で行かせるのは…やや不安が残ります」

 

 

「ベルファスト…?」

 

「これは仕事でございます!早く行ってくださいませ」

 

「え?」

 

「くれぐれも…寄り道などしないように…誘惑も多いので見守り役としてお願いします」

 

「ここはお任せください!鈴谷さんが迷子になったりお店を間違えたら大変です」

と、大淀も言う。

 

「わ、わかった!任せたぞ?」

 

 

???と救は思いながら鈴谷を追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴谷ー!」

 

「え?」

 

提督さんだ。

忘れ物かな?それとも…

おつかいの追加?

 

「て…提督さん?!見送り?」

追加の仕事だけは勘弁して!

寂しすぎるよぉ…。

 

 

「いや、俺も行くよ」

 

 

「え?」

どう言う事?!

 

「そりゃ…嬉しいけど」

ううん!とても嬉しい…。

 

 

「…よし、決まり!」

 

「え…あの、えと…仕事はいいの?」

 

「ん?ああ…ベルファストが心配だから行けって…皆優秀だしね」

 

「…何かあったの?」

 

「いーや?仕事だから寄り道するなよーーだってさ」

「ただ…確かに昨日…鈴谷の話を聞いて申し訳ないとは思った。ごめんな…鈴谷がそんな思いをしてるとは思わなかったから」

 

「…同情…?」

 

「…心が痛んだかなあ…」

「だから今からプチデートだ!」

 

 

ぎゅっと手を繋いでくれた。

 

「あ……」

 

 

 

 

 

「久しぶりに2人きりだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに2人で過ごす…。

 

船を待つ時間も…船の上も…

1人で買い物に行く時みたいに退屈じゃ無い。

 

だって…

隣にあなたがいるから。

 

初めて2人で外にデート…。

ちょっとズルイかもだけど……たまには良いよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ…お2人とも…みっちり働いてもらいますよ?」

 

「「はい!」」

 

ベルファストの目の前には…

救達と入れ替わりに入ってきた明石と夕張の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日の夜のことだった。

 

『…コレは一体?何でございますか?明石様、夕張様』

 

 

目の前には土下座の姿勢の二人組

何か企んでるか…もしくは何かやらかしたか?

 

 

 

しかし…彼女達が発した言葉は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どんな仕事でもやります!』

『なので…どんな理由でも良いです!!』

 

『『鈴谷に…提督との2人の時間をあげてください』』

 

 

『何故でございますか?』

 

『理由は聞かないでください』

だって…あなた達が負い目を感じたらダメだから…

 

『理由が言えない…とは』

 

『『お願いします!!』』

 

 

 

『…しかし…』

 

『『お願いします!!どんなキツイ仕事でも…汚れる仕事でも喜んでやります!イタズラとか悪ふざけなんかじゃ有りません!ただ…友達に…少しでも時間をあげたいんです』』

 

 

『友達…?鈴谷様ですか?』

 

 

 

 

 

 

『正直に言ってくれるなら…』

大淀が言う。

 

『え?』

 

『正直に言ってくれるなら…ベルファストさん…いいじゃないですか?』

 

『大淀様!?』

 

パァーッと2人の表情が明るくなる。

そして2人は

なかなか人が来ない工廠にいつも差し入れをしてくれること

例え油まみれだろうと…それでも変わらず来てくれること

2人きりの時間が中々なくて鈴谷が寂しそうにしてること

それをポツリと言ったことを正直に話した。

 

『お2人が悪いとかそんなんでは無いんです!』

『でも…私達には物を作ったり直したり…しか何もできないので、秘書艦をやる事も役割柄…あまり無いので……これくらいしかできないので…』

 

 

『『お願いします!!』』

2人はずっと頭を擦り付けてお願いしている。

 

 

『……友達想いの2人じゃないですか』

 

 

『大淀さん…』

 

 

 

『畏まりました…仕方がありません……お顔を上げてください……そのかわり…みっちり働いてもらいますからね』

 

 

『『あ…ありがとうございます!!』』

 

 

 

 

 

 

 

(わかっておりますとも……薬の件は…別ですけどね)

 

 

工廠組は…満足そうに出発する2人を執務室から見送る。

 

「…少しでも楽しんできてね…鈴谷」

 

 

 

 

「さあ!どんな仕事でも…任せてください!!」

明石が言う。

 

 

「…お優しいのですね」

 

「そうでしょうか?」

 

 

だって…

いつも貰ってばかりだと…

あんな顔見せられたら…

 

友達として…何かしたいって思うじゃん!!

 

 

「友達の為です!ばっちこい!!!」

 

「……では」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…腕組んで良い?」

 

 

「良いよ」

 

「えへへ…ありがとー」

 

「なあ?鈴谷?」

 

「何?」

 

「2人でパフェ…食べに行かないか?」

 

「え?でも…」

 

「少しくらい…な?」

 

 

前は…当たり前だった仕事終わりのパフェ…。

2人きりのあの時間が…いつも楽しみだった。

 

ニコニコ笑いながら…のあの感じが大好きだった。

 

皆で笑いながら…お茶会するのも好きだけど

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり

 

 

 

 

2人で向かい合って食べる

このひと時が……

 

 

 

たまらなく愛おしい。

 

 

 

「うん!!」

「でも…怒られる時は2人でね?」

 

 

 

 

「美味しいね」

だって…あなたが居るから。

 

 

 

「そだなあ!この店気になってたんだ…鈴谷と来れて良かったよ」

 

「私も…嬉しいな」

 

 

 

 

 

ねえ?

今日は…もう一つだけ…わがまま…いいかなあ?

 

 

 

「ついでに…来て?」

 

 

 

と提督さんを呼んで行く先は…

ゲーセンのプリクラコーナー。

 

 

パシャリ…と

少しの思い出を撮る。

 

自分でもわかるくらいの…笑顔。

えへへ…宝ものだなあ…。

 

 

 

 

 

 

束の間の2人きりの時間…。

悪戯っぽく2人で寄り道できたのが嬉しかった。

 

 

 

 

紅茶を買って帰り道のことだった。

 

 

「ねえ?提督さん?」

 

「ん?」

 

「昨日のことなんだけどね?」

 

「ああ」

 

「〜〜き……だから」

 

「ん?」

 

「私ね!提督さんの事…大好きだから!!」

 

そう言って…鈴谷は

「…大好きだから……」

と顔を近づけて……そして…

 

 

 

「今の…私の初めて…なんだからね?……私も皆に負けないから!!」

 

だから…

次の記念日…楽しみに待つから…たくさん2人で思い出作ろうね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさいませご主人様、鈴谷様」

 

「寄り道は楽しかったですか?」

 

「「えっ!?!?」」

 

「…全く……目撃情報がございましたよ」

「お2人でパフェを楽しんでいらっしゃったとか……」

 

 

「……あぁ…すまん…俺が誘惑に勝てなかったんだ」

 

「ううん!私も…行こうって言ったから!ごめんなさい!」

 

「……よろしいです。今日は業務は終わっておりますので…ご安心ください。束の間の休息になったのなら…幸いです」

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんの少しだけ仕事のまとめを行う。

その帰りの事だった。

 

「……鈴谷様?」

 

「何?」

 

 

「良いお友達をお持ちで…」

ベルファストはニコリと笑う。

 

 

「??」

 

 

「紅茶菓子の差し入れはいつでも歓迎でございます…ぜひ、私ともお話しましょう?」

 

 

「……?わかった」

???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベルファストさん…役に徹するんですね?」

 

「ああでも言っておかないと…ある意味示しがつかないですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後…

 

 

「聞いて聞いて!!明石、夕張!!」

「この前のね!秘書艦の時にね!!」

 

小走りで工廠にやって来た鈴谷が喋る。

 

 

「デートできたんだあ!…寄り道して2人で怒られたけどね」

 

と、満面の笑みで話す鈴谷。

 

 

「本当ですか!?」

 

「へえ!それは良かったじゃん!!」

 

でね?でね?

と幸せそうな表情で話す彼女。

 

 

 

 

 

 

 

 

その笑顔だけで…

報われる。

 

ても…

彼女達は言わない。

無論ベルファストも大淀も言わない。

 

だって

 

友達ってそういうもんでしょ?

 

 

 

よいしょ…と立ち上がる鈴谷。

その手にはお菓子がまだあった。

 

「ん?どこかいくの?」

 

「ええ!お菓子を持って執務室に行くの!提督さんやベルファスト達とお茶会するんだ」

 

 

「そうか〜良かった!行ってらっしゃい」

「楽しんできてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴谷が戻ってきた。

 

 

「ベルファストが2人も来て!だってさ!」

 

「…わかった!」

「行くね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 

 

『何の仕事を……?』

 

『私達のお茶会の相手をしてください』

 

『仕事は…?』

『『え?』』

 

『理由が理由なので…そんな事させられる程鬼じゃ有りませんよ?』

 

 

『そして…私も…その友達に加えて頂きたく思いますので』

ベルファストが言い、大淀がクスリと笑う。

 

『私は…前の世界から行っている私の役割を全うしているので……確かにズルいと言われてしまえば…そうなんですが…私も…皆と上手くやって行きたいのでございます』

 

『なので…時々、メイド教育とかをやってるのですよ?』

 

 

 

『あなた方の友達を思う気持ち…物凄く羨ましいく思います。なので…ぜひ私とも……』

 

 

 

『でも…私達…こんな…油まみれで…みなさんとは……』

 

ベルファストは2人の手を握る。

 

『汚れますよ!!』

『ああ!』

 

 

 

『手袋は換えれば良いのでございます、床は仰る通り掃除をすれば良いのでございます』

『あなた方のこの手は…お友達思いの優しさは…換えの効かないものでございます』

 

 

『あなた方のお陰で工廠は成り立っております。私達にはそんな技術はありません。お2人にしか出来ません。そんな凄い手を……そして…友達の為にここまで出来るお2人を……どうしてこの尽くす手を油で汚れているからという理由で…握る事を拒みましょうか?そして…友達のためにという、その輝かしいお願いをどうして無碍にできましょうか?』

 

 

『そこまで言われる鈴谷様が羨ましいです…なので私も加えて頂きたく思うのです』

 

 

『どうでしょうか?』

ニコリと…ベルファストは言う。

 

 

 

『『…は、はい!!』』

明石と夕張はうるうるしながら返事をする…。

 

 

 

『あ…でも薬の件は別ですからね?』

『反省文です』

 

『『喜んで書きます!!』』

 

『喜ぶことでは無いですよ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

()()()()()()!私達まで呼んでもらって…ありがとう!」

と明石が言う。

 

「ふふ…始めましょうか」

 

 

3人を加えた午後休憩のお茶会は…一際賑やかだったそうな…。

 

 

 

 

 

 

 

「あ!!2人とも!薬の事なんだがなあ!!!」

 

「「あっ!!」」

青ざめる2人、ニコリと笑う救。

 

そこに…

「ご主人様?」

 

「え?」

 

「反省文を書かせてありますので…何卒…2人をご容赦頂けませんか?」

そこには何枚にも及ぶ反省文が。

そして頭を下げるベルファスト…。

 

「……わかったよ…。」

 

 

2人は明るい表情でベルファストを見る。

 

ベルファストはニコリと笑い…人差し指を口に持っていった後……口パクで言う。

 

[だってそれが友達…でしょ?]

 

 

 

 

 

 

「ダーリン?マダ話は終わってないデース…」

 

 

「ダーリン?あの子は…榛名とダーリンの愛の結晶ですよね?」

 

「げっ!金剛!榛名!」

 

 

 

始まる逃走劇

姉妹戦争…第二次は勃発していた

 

 

 

そして笑う艦娘達。

 

 

 

「今回俺は被害者だよおおおお!!」

 

響く提督の悲鳴

 

 

 

そして…

 

「こっちよ!提督さん!」

と、手を引く鈴谷。

 

 

「SU ZU YAaaaaa!!!」

 

 

「あああああ!鈴谷さあん!!」

 

 

今日の逃走劇は少し…鈴谷が生き生きしてたとか…。




主役は…誰でしょうか?
工廠シリーズなので明石達がメインのはずが…
視点がコロコロ変わるのも…この小説の…何か…特色とでも言ってもらえたら…うん…。



少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!



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