提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「あんみつ…」
ポツリと桜赤城が言った。
あんみつは…彼女がめっちゃ好きなデザートの一つだ。
ならば…いいとこ見せなくてはなッ!!
「いいね!買ってくる!!少し待ってて」
「いえ!指揮官様?私が……」
「いいから!行ってくるよ!待ってて!」
と、指揮官様は行ってしまいます。
……暑いから日陰で待っててなんて…優しいのですね。
はぁ…ただひたすらに好きですわあ…
ただ…ひたすらに愛していますわあ…
「お姉さん?1人?」
「?」
(なんぱ…とか言うものかしら?)
「良かったらさ…俺らと遊ばない?」
「(面倒ですわ)結構です…目障りなので消えてくれません?」
「ひゅー!クールだねえ!相手いないんでしょ?」
「結婚しています」
と指輪を見せる。
「ププー!ダメだよ〜?嘘は…?」
「結婚指輪は左手だものー!!」
「……」
あぁ…そうか…右手の結婚指輪は…意味がないのよね…
「……」
「ん?どしたの?結婚とかしてないでしょ?え?彼氏居るの?」
「そんなのより…俺らと」
は?
ソンナノ?
私の愛する指揮官様を…ソンナノ?
桜赤城の中で黒い感情が渦巻いた時だった。
「なんだよ反応悪いな…ツマンネえ女だなあ」
「そんなこと言うなって!いいから行こうぜ!!楽しいからよー!!!」
と彼女に手を伸ばした手を誰かが掴む。
「いでっ!!」
「俺の嫁に何か用で?」
「し、指揮官様…?」
「あ」
「え?」
「だから俺の嫁に何か用か?つってんの」
ギリギリと彼は力を込めて言う。
「え…でも…このひと指輪も…」
「あん?指輪してなかったら独り身か?仕事柄できないとかも考えないのか?」
「あ…いや…」
「右手に…でもあんた…も右手かよ……」
「!?」
指揮官様…?
「誰がつまんねえ女だ?」
救の目は殺意に満ちていた。
「俺の大切な人を侮辱するな…俺の愛する人を…バカにするなッ!!!」
「は、はい!すみません!!」
馬鹿どもは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
「申し訳ありません…指揮官様…私が…不甲斐ないばかりに」
ぽんぽん…と頭を撫でられる。
「怖かったな」
怖かった…?
何がですか?
あんなゴミ共…何の恐怖もありませんわ?
私が否定されるのもそうですが
あなたを…バカにされるのが…そして嫁と言い切れない自分が…悔しかった。
でも…
指揮官様は…私をただ1人の普通の女性として見てくれているのだ。
「もう一つ…ごめん…順番待ち抜け出してきたから…もう一回並ぶね」
「良いのです!あんみつが無くとも…私は…こんなにも嬉しいのですから」
その時だった。
「お兄さん!カッコ良かったッス!」
「いきなり走って行ったからびっくりしたけど…奥さんを助ける為だったのですね。奥さんも災難でしたね。」
どうやら近くに並んでいた人達らしい。
「何か…感動したっす!」
「今から並ぶのも大変でしょうから…コレ…買っておきましたよ!」
とあんみつを差し出される。
「え?…良いんですか?」
「ええ!もちろんっす!心があったかくなったす!受け取って欲しいっす!」
「ありがとうございます」
あんみつを受け取る桜赤城。
「じゃ…お幸せに!お二人さん!」
「こんなこともあるんだねぇ」
「ご厚意に甘えましょう」
「…甘くて…ひんやりして…美味ひいですわあ」
「本当に桜赤城は和スイーツ大好きだよねえ」
「最近はコーヒーも飲めるようになってきましたのよ?」
そう…本当は嫌いなコーヒーも俺に合わせて飲むようになってきた。
そういう健気なところ…本当に可愛いんだよなあ…。
「ほい!コレあげるよ白玉」
「いいのですか?ふふふ…嬉しい」
「はい、あーーん」
「…あーん♡」
……幸せだ。
他人から貰う小さな事も幸せに感じる。
何より…指揮官様が…並ぶ事も投げ捨てて来てくださったことが嬉しかったから。
帰り道すら…
一歩一歩が愛おしい。
なので帰りの私の艦もゆーーーっくり進ませます♡
ならば…この幸せを伝えなくては…
「私は…指揮官様を愛していますわ」
「俺もだぞ?」
「だからさ…コレを君に」
と差し出されるのは……私も持つ…
でも…皆とは違う…約束の証。
そして…他の艦娘の方とも少し違う形…のようですが。
「え…指揮官様…?」
でもこれをもらうと言うことは…この右手のは……?
あなた様から貰った…この指輪は…
「その指輪少し借りるね」
指揮官様が私の右手を握って指輪を外そうとします。
いや…嫌…
「お願いです!指揮官様!この右手の指輪だけは…」
「ん?」
「お願いします!これだけは…他なら何でもいいので…これだけは…」
「これやるから…それは外せなんて言わないよ?」
「え?」
「この指輪を合わせて左手につけてもらう…だけ」
「お前がコレを大切にしてくれてるのは知ってるから」
前に桜赤城の部屋に行った時
ちょうど彼女がおにぎり作って来ますね?
と言ってくれた事があった。
その時彼女は指輪を外して
写真立てのついた指輪ケースの中に大切そうにしまったのを見た。
聞けば
時折り、それを眺めてニコニコしてるとか…。
彼は…それを私の右手から外して…
用意したリングと合わせて
私の左手の薬指に付け直してくれた…。
「んー…どう?向こうの指輪と合うように作り直したのを合わせてみたんだけど」
「……」
「良いのでしょうか?」
「え?」
「こんなに幸せで良いのでしょうか?」
確かに左手に欲しいと言った。
でもこの右手のも…本当に結婚指輪だから
この世界に来て皆が羨ましいと思ったけれども…一度とて外して左手につけようと思った事は無かった。
なぜなら
指揮官様がくれた…この世に一つの宝物だから。
私は怖い。
この幸せが…もし偽物だったら
長く見てる夢だったら…と。
「いいと思う!」
指揮官様は強く言います。
そして
「愛している!桜赤城…君を愛してる」
そう笑顔で言ってくれた。
そして…私はこう答える。
「私も…です」
「あ…つけ直さなくちゃ…」
と指揮官様は右手につけた指輪を外します。
「…私の為に…わざわざ右手につけたのですか?」
「桜赤城が馬鹿にされるの嫌だったからさ…馬鹿にされるなら2人で…って思ってね」
「……その指輪貸してくださりますか?」
「ん?いいよ?」
私は…その指輪を受け取りキュッと握りしめる
ありがとうございます…指揮官様。
本当に…ありがとうございます。
こんな私を愛してくれて…
作り物の私ですが…この命尽きるまで…あなた様と…
そして
指揮官様の左手を取り…そっと指輪を…。
「桜赤城?」
「はい」
「お前はお前だ…メンタルキューブから生まれたとて…俺にとって桜赤城はお前だけだ。…そして…コレは夢なんかじゃ無い」
「それだけは確かだ…」
「だから…愛してる」
「……」
「愛してます!!!」
ぎゅっと抱きつきキスの嵐!
「え?!ちょ!さっきまでのお淑やかさは!?あの空気は!?」
「好き!好きですわ!!」
「あと半日もせず終わるので…今ここで!愛を!!」
「邪魔する虫も居ませんわ!!!!|
「あら?皆さん…お揃いで…」
「楽しかったか………何だ?その幸せそうな顔は…」
「はあう!?」
桜大鳳が驚く
「どうした!?」
「な、無いッ!み、みみ…右手の…指輪がッ…」
「そ、そそそそその左手は…!?まさかッ」
「はい…」
「頂戴いたしました♡」
「指揮官様ぁぁぁああ!!!!!」
好き好き!と言いながら狂人ではない桜赤城。
…あれ?
どこからが狂人なのかな?
わかんねえ…
えーと…次回は
えーと……スルーしてた問題を解決します。
さーせん…甘い話したかったのでスルーしてたの…