提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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189話 桜大鳳と……1日夫婦

 

 

「えー…桜大鳳?」

 

 

 

 

 

 

 

執務も終わり、部屋には桜大鳳がいる中で…

 

 

 

 

 

 

「はい?なんでしょう?」

 

 

「問題です。この合鍵は…何本目でしょうか?」

 

「……えと…確か…今月では3本目…トータルですと…180本目くらいでしょうか?」

 

「うーーん!正解ッ!!」

 

「ほら…これ君の合鍵コレクションね?今日で記念すべき180本目だ」

 

「……ちょっと何言ってるかわからないですね」

 

「わかんだろ!分かるだろ!メイドイン桜大鳳だろうが!!」

 

「愛故にです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…指揮官様……お辛くないですか?」

 

 

「…辛いとこはあるけど……非情にならなければならないのかな…とか考えたりするよ」

 

 

「指揮官様はそのままでいいのですよ」

 

「ありがとうな」

 

「…私こそ…お役に立てるなら何でもします」

 

「うーーん…」

 

 

「明日から何したい?」

 

 

 

「あなた様のお側で…2人きりで過ごしたいのですが…」

 

「そんなんで良いの?」

 

 

 

 

 

「…あなた様の…お側で少しでも心の支えになれたらと…」

 

「…ありがとう」

「でも、折角なんだから君のしたい事を教えて欲しいな」

 

 

 

「でしたら…あの……また、デートに…」

 

 

「ん!行こうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう御座います、指揮官様」

「朝ごはんのご用意が出来ていますよ」

 

 

 

おずおずと朝食を出してくれる桜大鳳。

 

メニューは慣れないであろうサンドイッチだった。

曰く、少しでも気分が変われば…との事だった。

 

 

俺が落ち込んで…また前みたいならないか心配で

きっと気を遣ってくれてるんだな…

 

 

「ありがとうな…桜大鳳」

 

「い、いえ!指揮官様が喜んでくれるなら私は何でも…」

 

 

 

 

「「「行ってらっしゃい!!」」」

 

皆に見送られて鎮守府を出る。

桜赤城先輩からも指揮官様の事…お願いねと言われた。

 

 

 

 

前のデート以来の2人きり。

 

パスタを食べながら気絶した事は覚えている。

 

「どこに行く?」

 

「ホームセンター…に…」

 

「合鍵の道具仕入れか?」

 

「‥……違いますよ?」

 

「今の間は何だ!?」

 

「ペットコーナーでも見られては如何ですか?」

 

「……あからさますぎだろ?」

 

「……」ひゅー ひゅー

 

「口笛吹けてねえし!てか何買う予定さ?r

 

「……アルミ板…?」

 

「電子ロックの鍵に変えるか」

 

 

「そんな!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

桜大鳳はぎこちなくついてくる。

 

ごめんな。

理由は分かってるんだ。

 

 

 

「ごめんな…」

 

「え?何がですか?」

焦ったように取り乱す桜大鳳。

 

「ずっと昨日から…いや、その前から俺に気を遣ってくれているのに…表情も硬くて」

 

「…」

オロオロとする彼女。

 

「…お前達にあの判断を下させる訳にはいかなかった。俺がしないとダメだったんだ…でも、あれで良かったのか?もう少し何か出来たんじゃないか?俺にもっと力があれば!あの娘達を救えたんじゃないのかと考えてな…」

 

 

「今まで色んな困難も乗り越えられたのに…弱いんだなあって。しっかり在ろうとするんだけどなあ…」

 

 

 

 

 

 

「し、指揮官様!!」

「御無礼な言葉…お許しください」

意を決したように涙目の桜大鳳は言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全てを救えるなど…傲慢な考えです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事はあり得ません…無理です!救えない事もあります!」

 

「閣下も…元帥代理閣下も…です。あの方々は悪だから救わなくて良かった…のですか?」

 

「深海棲艦だって……そうじゃないですか!!」

 

「今この瞬間も…戦う艦娘や傷つく艦娘は居ます…私達の世界でも…」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()() 。それは指揮官様が1番分かってらっしゃる事じゃないですか」

 

 

「………」

図星だ。

確かにそうだ。

 

深海棲艦…御蔵のジーサン達…今も戦う艦娘達…

全てを救える訳じゃない。

 

 

 

 

 

 

「私も…指揮官様も…ちっぽけな存在なのです。この両手の届く範囲でしか…力の及ぶ範囲でしか救うことは出来ないのですから」

 

 

「だから全てあなたの手だけでは掬えきれないんです!!ですから私達が居ます!あなた様の手のその先に手を伸ばせるように!でも…それでも届かないものも有るのです!!ならば…その時は一緒に泣きます!悔しがります!強くなろうと思います!」

 

「だから!!」

 

 

「1人で全部全部抱え込まないで下さい!その小さな体に…心に載せ切れないだけの重荷を詰め込まないで下さい!載せるのなら…私達にも分けてください!!!」

 

 

「あなたのために戦うのはそう言う事なんです!私もきっとお役に立ちますから!」

 

 

 

 

 

 

「それに…あのまま…彼女達を見捨てるよりも…指揮官様の判断で彼女達は…艦娘のまま逝く事が出来たのです」

 

「どうかそれだけは忘れないで下さい!悔いないで下さい!」

 

 

 

恨みの言葉でなかった。

ありがとうございます

ごめんなさいだった。

 

彼女達は…艦娘のまま行く事ができたのだから…

 

 

 

 

「不躾な態度…申し訳ありません…罰ならば何なりとお受けします」

頭を下げる桜大鳳。

相当な勇気が必要な言葉だったろう。

肩は震えてポタポタと涙を流しているようだ。

 

 

 

 

 

 

「罰する訳ないだろう。逆だ。ありがとう…そうだな…うん。君の言う通りだ」

 

「ありがとう…一緒に考えてくれて…どこかで俺は全てどうにかなると思っていた。でも無理だった…前の金剛達や、今回の神通達で痛感したよ…。俺は無力だ…うん…何もできやしない…ありがとう…何度もすまない…」

 

 

 

 

何故か涙が溢れてきた…いや、理由は分かる。

 

 

 

彼女の暖かさだ。

俺が指揮官なんだ…提督なんだと思ってた。

その責任すら…思いすら一緒に背負うと言ってくれた彼女の暖かさに。

 

 

 

 

 

 

2人で泣いた。

ぐすっ…と泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとしきり泣いたらお腹が空いてきた。

 

「泣いたらお腹空いたなあ…」

 

 

「…あのパンケーキというものを食べてみたいのですが…」

 

「ん?いいね!行こうか」

 

 

パンケーキ屋に行き、注文する。

店員か「あ?何こいつら喧嘩明け?」みたいな顔で見てきたがスルー。

 

到着したのは…焼きたてふわふわのパンケーキ

桜大鳳にとっては未知との遭遇である。

 

 

 

これが…パンケーキ…一口……はむ。

 

んー!?甘くて…幸せで…

思わず顔がほころびます…。

 

 

 

え…?指揮官様のも一口…いいのですか?

 

あーんですか!?

 

あ…ぁーーん…

……おいひいです。

 

え?コレも食べてみたい…ですか?

 

 

はい…あーんしてください…。

 

美味しいですか?

うふふ、良かったです。

 

 

 

なにより…あなた様とこうやって過ごせる事が何よりも嬉しくて…

 

 

 

 

 

 

「美味しいな!うん!パンケーキで良かった!」

 

「うふふ、こんな私ですか、お役に立てたなら嬉しいです」

 

 

 

 

 

 




重い話が続きましたので
少しずつ…伏線になりきってない伏線は回収して参ります。



彼は極々普通の人間です。
全てどうにかできるわけではありません。

ただ、少し違うのは彼の側には…艦娘やKAN-SENと言った存在が居るという事です。



少しでもお楽しみ頂けたなら嬉しいです!


感想等頂けると嬉しいですー!





微熱は続いてますー。
陰性しかでませんー何なんだろう…
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