提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
思い出とは面倒なものだ。
長ければ長い程に深く
深ければ深い程に愛おしく
愛おしければ愛おしい程に忘れ難く
忘れ難ければ忘れ難い程に…憎しみが強くなる。
最初はただの部下だった。
彼女達の、存在はよくわからない。
なぜ女の子なのか…?
あの大戦の名前を冠した彼女達は…
何故戦うのか?
突然海からやって来た、深海棲艦と戦う彼女達。
いくら傷つこうとも、倒れようとも。
不器用ながらも直向きに頑張る彼女が目に留まる。
いつしか…
朝の挨拶も
その日の仕事の説明も
時間ごとのちょっとした話も
昼ごはんも
休憩中の姉妹の話も
彼女達を見送った。
行ってらっしゃい…と。
哨戒作戦だった。
他の鎮守府からも何名か参加しているらしい。
最近は正体不明、所属不明の敵性勢力も確認されているらしい。
戦争とは言え…今以上に敵が増えるのは面倒だなと思う。
まあ…あいつらなら…何の問題も無く終わらせて帰ってくるだろう…。
夜食でも作って待ってるかな…
それから彼女達は戻ってこなかった。
敵性化したので
元に戻す方法も無く…仕方なく…?
艦娘のまま沈めて…か…。
とある男が頭を下げに来た。
最近、副元帥になったとか言う…奴だったかな?
彼から…指輪が返ってきた。
本当に申し訳ありませんと涙ながらに謝ってくれた。
いや…
彼女が敵になって誰かを傷つけるなら…そうなってほしくないから。
ありがとうございました…と彼に礼を言う。
戦争だから仕方ない…
その悲しみを無くすために僕たちは戦っている。
執務室が広く感じる。
未だに思う。
「ただいま!帰りましたよ!提督!」
と、その扉を開けて帰ってくるのじゃないか?と思う。
目が覚めたら
「おはようございます!」
と、起こしに来てくれた彼女が居るんじゃ無いか?と思う。
しかし
その扉を開けるのはいつでも…別の艦娘だった。
わかっている…これが現実なんだと
わかっている…これが戦争なんだと
でもあんまりじゃないか!!
彼女に渡したはずの、持ち主の居ない指輪は… 手元にあって…それでも今も輝きを放っている。
私なんかで…いいのですか?と震える手で受け取り…
あんなに嬉しそうに泣いてくれた彼女はもう居ない!!
あの笑顔も!
あの怒った顔も!
あの寂しそうな顔も!
あの2人だけの時に見せてくれる顔も!!
もう見られない!!
あぁ…
寂しい…。
会いたい。
彼女に会いたい!!
あぁ…
悪魔が囁いてくる…。
え?
彼女に会える?
ほ、本当か?
本当に会えるのか?
会わせてくれるのか?
お前は何だ?
神様…なのか?
悪魔が囁く
くすくすと笑いながら…囁く。
「悪いのは…誰?」