提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
201話 碧い航路の果ての彼方は
「……皆…よく頑張った…」
「お疲れ様…指揮官…」
ズラッと皆が並ぶ。
傷ついた者に肩を貸す仲間達。
「…ふーん?画面で見るより…いい男?」
と、エリザベスが言う。
「当たり前よ…」
桜赤城が言う。
「…お前達はこれから…どうする?」
「…我らはもう帰れない」
「そうそう!私達はこの世界に居るしかないし?会いたかったし?!たくさん話したいこともあるのよ…」
「指揮官が居るところが…私達の母港だから…」
そか…なら鎮守府も拡張しなければな…
さて…帰ろ…
ドカァァァアン
「は?」
ザッ…ザーと通信が入る。
麗ちゃんからだった。
[逃げて!!皆狙われてる!!]
「早く逃げてッ!!きゃああ!]
住み慣れた鎮守府が崩れ行く。
「嘘だ…」
「神崎イイ!!」
大艦隊を引き連れてやって来たのは……
「お前は…神通の提督…!?何で!!」
「全て貴様のせいだっ!!」
「貴様さえ居なければ…神通も死ななかった!!」
悪魔は囁いたのだ…。
悪魔の布石…。
人と人との争い…。
『神崎 救は他世界からの転生者である』
『神崎 救が深海棲艦、とは異なった敵セイレーンを呼び込んだ。
罪のない艦娘を沈めた原因を作った…』
お前がooを殺したんだ!!
お前が…お前が…お前がお前が
艦隊の中にいるのはそんな提督達らしい。
「何言ってんだ!お前達…!」
「そんな事…大本営が…!!」
「大本営…?
「現刻をもって…新帝国海軍の設立を行う。旧海軍元帥並びに副元帥、舞鶴、呉、猛武鎮守府の解任…他、神崎に与する者を…」
「我ら…帝国海軍は貴様らを海軍とは認めないッ!!」
「即刻…鎮守府から出て行ってもらおうッ!!」
「復讐…これは復讐だ!!」
思い出の詰まった鎮守府が…崩れ落ちる。
「嘘よッ!!あいつらッ!!殺してやるッ!!!!」
桜赤城達が向かおうとする。
「やめろ!!下手に手を出すと…巌さん達の情報がない今…何が起こるかわからない!!」
「でも…アレ!!」
皆で食事した食堂も
入渠するお風呂も
思い出たくさんの部屋も…全て
瓦礫と炎の中に…沈んで行く。
なのにそれでも彼らは砲撃を止めない。
「…やめてくれえええ!!」
その声は届かず……。
「さて…」
と、こちらに砲門を向ける。
[救君…間宮さん達は無事だから…今から言うポイントまで来て!]
[提督!あなた!私達は無事です!だから…どうか皆生きて…来てください!]
「麗ちゃん…!?間宮!?」
「……皆!撤退だッ!明石!夕張ッ!ありったけの…煙幕弾と油と火撒きながら行くぞ!!」
涙が出るのは…
煙幕の煙が滲みるからじゃない。
あの大切なものも全て…全て壊されている気がして……
私達は逃げながら鎮守府が…思い出が潰れて行くのを横目にただ航路を進むしかなかった…
「!提督!海上が燃えており、また、煙幕で視界も悪く…これ以上の追跡は困難です!」
「……仕方ないだろう」
「まあ…鎮守府も無い、大本営からの支援もない奴らは野垂れ死ぬしか無い……だが!奴はこの手で殺す」
「帰るぞ……あの鎮守府は徹底的に爆撃しておけ!」
「他の奴らは?!」
「同じく逃亡を許しております…申し訳ありません…」
「…無能どもめ…」
地図にない島
その周辺は広く海流が年中荒れており大昔から誰も近寄らない海域となっていた。
指定のポイントに向かっていたところを深海夏姫達に案内された。
とある航路だけがその島に辿り着けるらしい。
辿り着いた島は…
西波島と同じくらいの島だった。
麗ちゃんが手招きする。
「何で麗ちゃんが…?」
「私がお呼びしました…」
大本営の大淀だった。
「…クーデターです」
「…聞いてしまったんです。あの神通の提督…林提督は…あなたが全ての元凶だと閣下に訴えに来ました」
「…もちろん閣下は否定しました」
「でも…彼は言ったのです」
「しかし奴が神通を殺したのは事実だ…と」
「そして…絶対に潰す…と宣言して帰って行きました…そして彼が周囲と不穏な動きを見せていたと報告があり…麗さんや京極さんにも伝達をしたのです」
「その…神崎さんは…作戦中だったので連絡がつかず、間宮さん達に伝達しました。鎮守府には猛武鎮守府のメンバーが向かうとの事で…」
その時…背後から声がした。
「京極だ!元帥閣下と姉貴も居る!無事だ!」
「…何名かは犠牲になったが……くそっ…」
「…俺のせいか…」
「俺がこの世界に来なければ…。奴らが来なければ…あの時神通達を助けて居られれば…こんな事には…」
「大ちゃん達の艦娘達も死なずに…済んだのに」
「……俺は…間違っていたのかなあ…」
「提督…」
「指揮官様…」
「馬鹿野郎!!」
京極に殴られた救。
「救ちゃん…いや!神崎 救ッ!!お前は大馬鹿者だッ!!」
「奴等のどこに正義がある!?お前はお前のできる全てを出して来ただろう!転生して来た?だから何だ!お前達がこの国の平和にどれだけ貢献して来たと思っている!」
「確かに奴らも含めて仲間が何名か犠牲になった…でもお前はいつだって…何かの為に頑張って来たじゃないか!なのに…自分を否定したら…奴らが浮かばれないじゃないか」
「だから…自分を否定するな…前を向け!お前には仲間も俺達もいるだろう」
「…ごめん」
「それに…クーデター及び仲間への砲撃を敢行した奴等こそ…今後…人の敵になる可能性もある…」
桜が言う。
「しっかりここで体制を立て直す必要もあるよ」
麗も言う。
「安心しろ…ここにいる皆はお前の味方だ…」
皆の心の傷は思ったよりも深かった。
帝国海軍発足の話は瞬く間に全土に広がった。
新体制の中心として林が据えられるようになった。
この日を境に海軍の在り方が大きく変わろうとしていた。
深海棲艦との戦い
異世界のセイレーンとの戦い
次なるは
人との戦いとなります。
ありがちな流れかと思いますが…何卒よろしくお願いします。
そんな中でも甘い話は続けますよー!
林というキャラクターは何話か前に名前無しで出て来てますね。
彼には彼なりの正義がありますが
どう転ぶか…
少しでもお楽しみ頂けたら幸いと思います!
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