提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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206話 西波島鎮守府の再建

目が覚めた新堂達は自分達の姿がどうなっているのかを知る。

 

 

 

「覚悟は出来ているんだろ?」

神崎 救の声が聞こえる。どうやら後ろにいるらしい。

縛られてなければ…その姿も見れるのに。

 

 

 

「……お前達は踏み込んではならない領分に土足で踏み込んだんだ」

 

 

「お前が悪いんだろう!!」

「お前がウチの千歳を雷撃処分したから!!」

 

 

「…だが、それが守るべき人達の命を脅かす理由になるのか?」

 

「…ッ」

 

「同じ鎮守府を…艦娘を…攻撃して!挙げ句の果てに何の罪も関係もない住民を攻撃する理由になるのかッ!!!」

 

 

「説明ならいくらでもしよう!文句もあるだろう…俺だって嫌だったさ!まだ、意識もあった彼女達を沈めるなんか…」

「だが…俺がやらなきゃいけなかったんだ!!敵として誰かを傷つけるくらいなら…そんな姿見たくもないんだよ!」

 

「……でも…」

 

 

 

「そんなの知るかと言うだろう…。だが…お前らには責任を取ってもらう」

「艦娘も含めて…クーデターを起こして人々を殺めかけたんだ」

 

 

 

「な!?や、やめろよ!処刑なんてやめろよ!」

 

「…いえ、提督…私達は大人しくここで逝きましょう」

抵抗する新堂に扶桑が言った。

 

「……私達は…道を違えたのですから」

 

 

 

 

「お前がそんなことをしなければこんな事にはならなかったんじゃないのかよ!」

 

 

 

「ならお前は…敵になった元の仲間を殺せるか!!?」

 

「誰かがやらなきゃならなくなるんだ…耐えられるか!?共に過ごした…想いあった仲間が守るべき人を殺すのを見て耐えられるか!?」

 

「彼女達はこの世界を…生きる命を…死んだ者の誇りを守る為に戦ってるんだ!!だから俺にできる事は…あれしか無かったんだ!」

 

「彼女達を彼女達のまま…逝かせてやることくらいしか出来ないんだ!!お前にわかるか!俺の無力がどれたけ自分を苦しめるか!」

 

「お前にわかるか!!どれほどに悔しくて辛いか!」

「わかるか!?仲間と思ってた奴らに住む家を…命を奪われる気持ちを」

 

 

 

「俺は正義の味方でもねえ…守れるもんなんか知れてる…。だからいつでも全力でやるんだよ!いつだって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新堂…首を狙うと言う事は…死んでも良い覚悟があった訳だな?」

 

「…」

 

そうだ…その覚悟もないのに命のやり取りをしてはいけないなあ…

 

 

 

 

「……」

 

「…神崎……千歳は何て言ってた?最後に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう…ごめんなさい…だ」

 

 

 

 

 

 

『一緒に平和を取り戻しましょう!』

 

『あーーー!!私のお菓子食べましたね!?』

 

『提督さん!大好きです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かにアイツなら…自分が自分じゃなくなる前にどうにかしてと言うだろう…。

 

 

欲と怨みに駆られて…俺は…

 

 

 

 

「そか……あの世であいつに謝らなくちゃな」

 

 

 

 

「そうだな」

 

 

 

 

「…すまねえ神崎…許される事は無いだろうが…俺の命でコイツらは助けてやってくれねえか?」

 

「そんな!提督!ダメです!」

 

「私達の命で…お願いします!提督を失うのは軍にとっても痛手なはずです!」

 

 

 

 

 

 

「……構え…」

 

チャキ…と音が聞こえる。

 

 

「……遅かったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

 

 

 

 

「撃たないさ…」

 

 

「「え?」」

 

「だってお前達は…彼女達が守りたかった人達なんだから…」

「彼女達が命を賭してでも…守り抜きたかった人なんだ。俺はあの命令を下した時に決めたんだ。皆の命を背負うって…」

 

「だからお前達を撃たない」

 

 

 

 

「神崎…」

 

 

 

「俺はな…」

俺は…彼らの目の前に座って自分達の歩んできた道のりを話せる限りで話した。

 

 

 

元の世界での事

この世界での事

出会って別れた人達

元帥閣下との戦い

鏡の海域での事

 

 

 

信じてもらえないと分かっていても…

せめて分かろうとしてくれたら歩み寄れるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

新堂達は黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「だからさ…せめて…恥じぬ生き方をしてほしい。俺が言えた義理ではないが…」

 

「結局のところ林達との争いは避けられないなら俺は此処で全てを受けるつもりだし、場合によってはこちらから行く」

 

「神通達の件以外にも何か隠れてそうだし…関係のない人達が傷つくところなんて見たくない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達を解放する」

「帰るなりして欲しい」

 

 

 

 

そう言って救は仮設した部屋に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々…色々あり過ぎた。

 

セイレーンの登場から本当にキツかった。

 

嫌な事は少なからずあったけど…ここまで精神的にキツイことが続いた事は無かった。

 

 

 

 

 

 

「……当面の事は…」

 

鎮守府と街の再建…

 

海軍との……

 

 

皆のケア…

 

 

 

 

皆も大分参っている筈だ。

 

 

 

いくら入渠しようともメンタル面はどうにもならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは俺も同じ訳で…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか寝てたらしい

 

 

 

「ハーイ♡ダーリンお目覚めデス?」

 

金剛が目の前に居た。

どうやら彼女に膝枕をしてもらっていたようだ。

 

 

何だろうか…いつぶりかに良く寝れたかも知れない。

 

 

 

「ダーリン?」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

「逃げてもいいんデスヨ?」

「2人でも…皆とでも逃げて平和を探しても良いんデス」

 

「今のダーリンは…潰れかけの…本当に火が消える前の蝋燭と同じデース」

 

 

「逃げないさ…そう決めたから」

 

 

「なら…たまには泣いてください」

 

 

 

金剛は髪を解いて俺に顔を近付ける。

長い髪は周りから見たら俺の顔を隠しているだろう。

 

…今までの事を思い出すと涙が出てきた。

 

 

頑張った筈なんだ。

だけど…その度に救えない命が出てくる。

 

分かってるんだ。

救えないものもあるって…。

 

でも…でも考えてしまうんだ。

俺にもっと力があれば…って。

 

 

 

金剛はうん、うん、と聞いてくれている。

 

今回だって同じだ。

俺は…俺…は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダーリンは凄いデス」

 

 

 

 

 

 

「私が普通の人なら逃げマス。でもあなたは逃げない。ずっとずっと…今までもこれからも頑張るんですよね。だから凄いデス…。さすが…私の愛するダーリンデース」

「でも…」

 

 

 

「折角なら…皆でその気持ちも分かち合いたいデース」

 

 

「わかって「でもあなたはずっと1人で苦しんでマス」

 

「…ッ」

 

 

「女の子には苦労かけられない…デスか?」

「言っときますケド…ダーリンとずっと居るんです!分かりマース!そして…私達も強いんデスヨ」

 

 

ぽたぽたと顔に涙が落ちてくる。

 

 

 

「私は…この世で1番あなたを愛しています。愛だけじゃなくて…あなたの苦しみも…悔しさも辛さも…幸せも…全部下さい」

 

 

「……辛い戦いになるぞ?」

 

「…覚悟してマス…皆も出来てます」

 

「…逃げ場は無いぞ?」

 

「いざとなったら世界を超えてにげまショ」

 

「……金剛?」

 

「はい?」

 

 

「その……キスしてくんない?」

 

「…喜んで」

 

 

 

涙のせいか塩っぱい…。

 

 

 

「えへへ…ダーリンから求められまシタ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は立ち上がって顔を叩きました。

 

「よし!」

 

 

 

 

 

「…西波島鎮守府再建だ!!」

 




後…2話くらいで明るい話に戻りますから!



少しでもお楽しみ頂けたら嬉しいです!

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