提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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209話 川内と1日夫婦 ①

朝もまだ来ていない時間のキッチン。

 

 

そこに彼女の姿はあった。

 

 

 

「痛っ…」

 

川内が人差し指を咥える。

彼女の手にはいくつもの絆創膏が貼られてあった。

 

はぁ…とため息を吐きながら、それでも自分に頑張れと言い聞かせてから野菜を切る。

 

 

 

 

 

 

「えと…確か…猫の手だったよね」

 

 

 

「………綺麗にはいかないなあ…」

 

 

 

 

「ひゃっ!?焦げちゃう!どしよ!どうしよ!!」

 

 

「あちゃあ……少し焦げた」

 

 

 

 

「せめて目玉焼きくら……うそお!!」

 

「…卵焼きに……うう」

 

 

『良いですか?川内さん、料理はとにかく基本に忠実に…ですよ?』

 

『うう…苦手』

 

『あとは…とっておきの調味料があります』

 

 

『え?なになに?』

 

 

『愛情です♡』

 

『あいじょう…』

 

『本当ですよ?食べてくれる人に…愛情を加えるか加えないかで全然かわりますよ?』

 

 

『ほんとー?』

 

 

 

 

 

 

 

妹達は…凄い表情で……まぁまぁ…って言っていた料理…。

正直自信はない。

 

でも…あの人には美味しいって言って欲しい。

 

頑張るあの人の力になって欲しいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

完成した料理は…とてもじゃないけど自分でも良いとは言えなかった。

 

野菜の切り方はバラバラで豆腐もボロボロな味噌汁。

 

目玉焼きを失敗して…スクランブルエッグになりかけた卵焼き

 

焼けた…焦げた魚。

 

 

炊飯器は完璧だ。

ご飯だけは綺麗…。

 

 

 

 

 

うう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて…

 

 

「夜だよッ!!!」

 

と、いつもなら来るはずの川内が珍しく来ない。

 

とは言え、明日からは川内とお出掛けなので…

奴は下手すると駆逐艦勢よりも体力があるから…。

 

 

寝よう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝ッ!!

 

自然と目が覚める。

…隣を見ても誰も居ない。

 

 

ガチャとドアが開く。

 

 

「おはよう提督…朝だよ」

 

何だかいつもと雰囲気が違う大人びた川内にドキッとする。

 

 

 

「…マジで来なかったのか…夜」

 

「え?あ…うん」

 

意外すぎるッ!

 

 

「ご飯できてるよ」

なんて川内が言うからとりあえず支度をする。

 

 

 

 

ごはん、具材の大きさがバラバラな味噌汁

少し焦げた魚

恐らく目玉焼きを作ろう足して崩したのであろう卵焼き。

 

チラリと川内の方を見ると、少し涙目の川内が居た。

 

 

「ごめん…苦手で…あはは…魚なんか焦げちゃって…サ」

「ダメだな!下げるよ!間宮さんのとこに「頂きます」

 

「え…」

川内を遮り、ご飯を食べる。

 

 

 

 

 

「……美味しいよ」

 

 

「嘘だよ」

 

「本当だよ」

 

 

「……ごめんなさい……わ、わたしさ!料理下手でさ…似合わないよね」

…ぽろぽろと少しの涙を流す川内。

 

 

 

 

 

 

涙を拭う手には……ベタだが、絆創膏が見えた。

 

 

 

 

あぁ…だからか…。

 

「…あはは…少しでも提督を元気付けられないかな?と思ったんだけど……あはは」

 

 

 

 

「…幸せだぞ?」

 

「……」

 

「…俺のために苦手な料理を頑張ってくれたんだろ?」

 

「……」

 

「言わない方が良いかもしれないけど…言われせてくれ」

「…お前は…俺と居る時間を我慢してでも料理の練習をしたんだろ?」

 

「慣れない包丁の扱い…下処理に…料理」

「一生懸命頑張ってくれたんだろう?」

 

 

 

「……うん」

そうだ、私はここ数日の夜に、鳳翔さんに教えてもらいながら料理を頑張った。

皆は…神通や那珂も料理はできる。

私は苦手だ…。

でも、私も提督を元気付けたかった。

 

だから頑張って見たけど…不恰好な料理しか出来なかった。

鳳翔さんは頑張りましたよ!と言ってくれたけど…理想には程遠すぎた。

 

 

悔しかった。

いつも夜戦に付き合ってくれて…

こんなに大好きな人に何か出来ないかなと考えても…

私には取り柄はない。

 

 

 

 

でもこの人は

美味しいと言いながら食べてくれる。

 

 

 

 

「一生懸命作ってくれたんだなあ…。本当に嬉しいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の手にすら気づく。

 

何なのさ…本当に

 

 

 

「ご馳走様でした!」

 

「…お粗末様でした……」

 

 

 

よしよしと頭を撫でられる。

そしてそのまま抱き締められた。

「ひゃっ!?」

 

「川内が夜来なくてさ…意外だったんだ。絶対来るって思ってたから…」

 

「だから少し…寂しかったり…?」

と、イタズラっぽく聞いてみる。

 

 

「そだなあ…寂しかったかな」

「だから少しだけこうさせて…」

 

「わ、私も…料理に夢中だったからアレだけど…今思うと寂しいな…。私が夜に……うん…好きなだけ抱き締めて…?」

 

 

 

 

朝のひと時は少しずつ…過ぎて行った。





サバサバしてるようで繊細で
割とデレデレな…だといいなあ!!



少しでも いいっすわー!
も思って頂けたら幸いです!


感想などお待ちしています!(๑╹ω╹๑ )
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