提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

218 / 453
213話 桜オイゲンと1日夫婦 ①

孤独…

 

それは誰しも抱えるものだろう

ふとした時に感じるもの…ずっと後ろから離れないもの…

 

誰にも知られない孤独…というのもある。

 

 

 

 

 

 

私は…生き残った。

 

過酷な戦場でも

 

 

 

 

大戦の終わりまで生き残った。

 

いや…()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

数多の敵味方が沈み行く中で…私は生き残ってしまった…

 

 

 

らしい。

私のカンレキはそうなってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸運だとか…素晴らしいだとか皆は言っただろう。

 

 

しかし、それは私には皮肉でしかない。

 

 

 

どうせなら…プリンツ・オイゲン()は沈んでいた方が気が楽だっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

皆の気持ちがわからない。

 

 

 

それが孤独感を強めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画面の向こうに彼が居た。

私の役目は新米の指揮官の下に着くこと。

そして…彼を勝利へと導くこと…。

 

 

 

 

なんか違和感…と彼は言った。

笑顔が何かぎこちないとか…

 

 

 

「笑顔…?…私を笑わせてみる?」

 

会話になんかならない筈なのに…彼はいつも私に話しかけてきた。

 

シャカイジン…ってのは大変らしい。

 

いつもヘトヘトになって帰ってくる彼は…それでもなお、私達に会いに来てくれた。

 

 

何だか可愛いこの人をからかいたくなった。

 

 

 

 

「好きよ…」

 

彼は…笑った。

本心からそう言われたら嬉しいなあ…ですって?

 

 

 

それからも毎日毎日話しかけてくれたわ。

 

赤城達は不貞腐れてたけどね。

 

 

 

私の何が良いのかしら?

 

 

 

 

少しずつ笑うようになったらしい。

ヒッパーやビスマルクもそう言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

それでも彼はずっと画面の奥の私達に話し掛けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつしか…

私の中によく分からない感情が芽生え始めた。

 

 

 

 

 

 

「Ich liebe dich」

 

からかいの言葉の筈なのに…ドキドキする自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…誓いの指輪……君に」

彼はニヤニヤしながら何かを差し出して来た。

 

 

 

何の服かしら……

 

 

 

 

え?指輪と…ドレス?

 

 

 

彼が…結婚指輪をくれた。

私が…初めてらしい。

 

赤城達は絶望していた…。

 

 

 

 

 

 

その時に赤城が言ったわ。

「あなたのその感情も…愛情よ。ちゃんと言ったら?好きって」

 

 

 

いつしか私の心は溶けていたらしい。

鋼鉄の心は…温かさを知った。

 

 

 

 

しばらくして何人も指輪を貰っていたけども…最初は私だから!

 

と、指輪を見るたびに思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が来なくなった。

 

それでも私は待ち続けられた。

…好きだから。

心の底から…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに彼が来た……けど、何かおかしい。

 

大切な人が亡くなったらしい。

 

…こういう時…なんて言えばいいのかしら…

でも…置いて行かれる気持ちは…何故だか痛いほど分かるわ…。

 

私は…そんな事経験した事ない筈なのに…

あの人の顔が…表情が…何故かよくわかった。

 

 

 

 

でも…私でも何かできる方があるかもしれない…。

と思ったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

私達の声は彼には届かない––

 

画面と言うのが…これ程に邪魔だと思ったことは無かった。

 

そりゃ…

会いたいけれども…画面越しでも嬉しかったし…

それが今は恨めしい。

 

 

 

何もできない。

 

 

 

 

何でこんな時にそばに居て…何か一つでも言葉をかける事すら叶わないのか?

何故…彼が画面の向こうにいる時は思うように…メッセージが彼に届かないのか…

 

 

 

悔しくて悲しくて泣いた。

でもきっとこんな私達を彼は知らない…

いや、知ることはないだろう。

 

 

 

 

そう思いながら私達は今日も画面の向こうのあなたを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、しばらくして…彼はずっと来なくなった。

 

 

 

 

 

待った……来なかった。

 

 

待った…来なかった。

 

 

 

 

彼が別の世界に生きていると聞いた時は辛かったけど嬉しかった。

 

 

 

 

 

桜赤城達が向こうへと行ってしまったのは…

運であるが…嫉妬した。

 

 

 

 

 

 

会えないのかとずっと思った。

もしかしたら…明日は…と思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼が…目の前に居た。

 

よく見た顔と敵と見たこともない指揮官の味方。

 

 

セイレーンを相手に……ムカつくけど桜赤城達を引き連れて…彼は必死で戦っていた。

一目見て分かった。

彼が…指揮官なんだって。

 

 

 

 

改めて思った。私のこの気持ちは…"愛してる"なんだって。

そして、やっと…面と向かって伝えられるんだ…

 

 

 

ただ……

あの時のシリアスにはいい所を持ってかれた感は否めない…。

 

何よ!「大変お待たせ致しました」って!

だから…エリザベスの仕事とってやったわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1日夫婦の仲で生活できるらしく…

今は指揮官が作ってくれた朝食を食べている。

 

 

 

 

 

「…ねえ?指揮官?」

 

 

「どうした?桜オイゲン」

 

 

ドキドキしながら…声に出す。

「Ich liebe dich」

 

「この意味は分かったかしら?」

 

 

「その笑顔見たら分かるよ」

「でも…よく笑うようになって嬉しいよ」

 

 

 

「何故笑うようになったかって…?」

「必死に頑張るあなたを見ていたら…何だか…胸がいっぱいになるの」

 

 

「会えなくてごめんな」

 

 

「寂しかったけど…耐えられたわ。だって…」

 

 

 

 

 

「あなたがくれた…この指輪があったから」

「あなたとの思い出があったから…」

 

 

 

ぎゅっと側に寄りかかる。

 

 

 

「ならよかった」

 

 

「でも…」

 

「でも?」

 

「あなたは大きなミスを…計算間違いをしたわ?」

 

 

「え!?なに?!」

焦る指揮官…いいわね。

 

 

「もう…画面の向こうじゃ…耐えられない」

 

「この世界で本物のあなたに触れたの…その温かさに。だから私はもう離れられないわ………離れる気持ちもないけれどもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食後もずっと向かい合って座っている。

 

 

 

 

 

「出掛けないのか?」

 

 

「ん?私はあなたをこうやってずっと見てるだけでも幸せよ?」

彼女はいたずらに笑う。

 

 

彼女はずっと俺を見ていた。

目線を俺から離さずにニコリとしながら…。

 

 

我ながら思う…飽きないの?と。

 

時々「指揮官?」と呼んでは

「呼んだだけよ…」と言ってみる。

 

このやりとりも愛おしい。

ああ…あなたが居るから…。

 

 

 

 

「でも…指揮官と2人きりで出掛けるのも…素敵でしょうね」

 

 

 

明るい日差しの中をあなたと歩きたい…。

 

なら行こうかとなって準備する。

 

 

 

 

 

途中で桜加賀と出会した。

あの女狐は居ないのか?と周りを見まして見る。

 

…居ない。

 

 

指揮官に桜加賀が耳打ちをする。

 

「…指揮官…桜赤城姉様も街に出てるから…遭遇したらうまく切り抜けろ」

桜加賀が物騒な事を言うけど…まあ大丈夫だろう。

 

 

 

 

「「「「行ってらっしゃい」」」」

と、見送られて2人で船着場へと向かった。




甘いというか…
何というか…

ログインで貰えるのでどうしても思い入れは深くなるキャラ…


少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!


コメントなどお待ちしています!
お気軽にお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。