提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「桜オイゲンと指揮官…」
「あらー?指揮官様に虫がついてますねえ…」
桜赤城か…
大方…指揮官様成分が枯渇して補給に来たのだろうが…
私の邪魔はさせないわ…
「お!桜赤城に桜ビスマルク」
「はい!あなた様の桜赤城でございます」
「えぇ、街に視察に行って…昼食帰りなの」
むっ…と
指揮官の腕を掴む力を少し強めてみる。
「俺達は今着いたところだから…昼飯に行くよ」
「……次の私の秘書艦の時には2人で一緒に食べましょう」
「ん?おぉ」
「さあ、桜赤城…行きますよ」
「え!?ちょ…」
ズルズルと桜赤城は引き摺られていった。
……グッジョブよ!桜ビスマルク!
「もう…寂しくはないか?」
昼食を食べながら指揮官が聞く。
「え?何のことかしら?」
「…本当の孤独ってのは、誰からも理解されない…理解しようとすらされないことだと思う」
「そして…自分も理解されようとも…しようとも思わない事」
「……」
「俺は…うん、お前達の気持ちは分からないこともあるけど…少しでも歩み寄り合えたらなと思うよ」
「…桜オイゲンが1人にしないわと言ってくれたように…俺も君を1人にはしないし…ここには皆が居るから」
「ええ…そうね」
……
ありがとう…。
「ねえ?何で私に最初の指輪をくれたの?」
私は…ずっと聞きたかった事を聞いた。
「あ…え?」
指揮官の顔が赤くなる。
「……」
私は驚いた。
きっと中々見ることは出来ない貌なのだろう。
「……秘密」
「言ってよ」
「どうしても?」
「ええどうしても…私も食らいついたら離さないタイプだから…」
「…………から」
「え?」
「…一目見てさ…可愛かったしさあ……好きよって冗談でも言われてさ…」
「何か…ね……それが嬉しくてさ」
「……」
あぁ…
きっと今の私は凄く変な顔をしているだろう。
「……… Vielen Dank」
「……」
「…恥ずかしいわ」
「俺もだよ…」
「指輪…借りていいか」
「……いいわよ」
「お…拒否らない」
「…指揮官の事を信じてるからね」
「ん…」
これは…
初めて渡した指輪。
母港で駆け出しの指揮官を始めたあの時も
彼女には本当に助けられた。
高レア…だけでなく火力面でも。
そしてあの状況で…君たちが来てくれた事…。
その感謝も…しっかり伝えたい。
「ありがとう…」
「……何のことかしら?」
いたずらに笑う桜オイゲン。
「まって…指揮官」
指輪を渡そうとする俺を止めた桜オイゲン。
「ん?お?お?」
「……あなたが居るから…もう寂しくはないわ。仲間も…たくさん。
指揮官もきっと色んな辛いことがあったはずよ…。でも、これからは私達もそれを一緒に背負うわ」
「…前にも言ったけど…あなたのいる所が…私達にとって母港であり…居場所なの」
「愛してるわ…指揮官…」
「だから……あなたのそばに…ずっといてもいいかしら?」
「いいなら…その指輪を…ちょうだい?」
と右手を差し出す桜オイゲン。
指揮官は……優しく私の手を持って
私の右手を下げさせた。
「……あ…」
そう……
もう…いい人が出来たのかしら?
私…より頼りになって…強い娘がいるのね?
ううん
諦めろっても…無理だけど…
きっとまた…あなたを振り向かせ………
彼は私の左手を取った。
「…え?」
そして…
私の左手の薬指へと……その指輪を…
「し、指揮官!?」
「…好きな娘にはてやっぱりここにつけて欲しいな」
景色が歪む…。
目頭が熱い。
頭が沸騰しそうだ…。
涙…そう、これは涙。
嬉しくて…嬉しくて。
「……その先も……期待していいのかしら?」
ぽろぽろと涙を流しながら聞いてみる。
いつものように…からかうように。
「……愛してる」
その言葉と共に…私の唇にー…
「……ぁ…」
「おっ…やっとそんな顔見れた」
指揮官が笑う。
涙で濡れて…恥ずかしくて嬉しくて…
今の私はどんな顔をしてるのだろうか?
でも…そんなこと
そんな些細なこと…今はいいの…
「…あ…愛してる…わ…ぐすっ…指揮官」
精一杯の頑張りで伝えたい本当の気持ちを伝える。
どんな顔をしてようと
どんな返事が返ってこようと
どんな明日になろうと…
今伝えなくてはならない言葉…気持ち。
明日じゃダメなの
今じゃなきゃ…ダメなの。
「私に…居場所をくれて…ぐずっ…
「…あなたが居てくれたから…今も生きていられる」
「もう…あなた無しでは…生きて行けないから……どうか……ずっとこの手を離さないで」
「離すもんか…俺も愛してる…一緒に歩んで行こう」
「…他の娘にも負けないからね」
きっと私は…今
心の底から…笑ってるのだろう。
氷のような心も
鉄のような心も…あなたに溶かされたから。
その温かさ無しでは…もう…
だから…ずっとその温かさを頂戴?
かわりに…あなたが冷めてしまわないように…ずっと隣にいるから。
クレープを食べながら帰る。
指揮官は甘いものが大好きらしい。
今度…チョコでも作ろうかしら?
「今日は…隣で寝ていい?」
「いいよ」
「おかげで安眠できそうだわ」
ウトウトとする彼を見る。
……きっと彼は安心してくれてるのだろう。
寝る彼の頬を撫でる。
「う…ん」と言う彼。
あぁ…幸せよ…指揮官。
怖いくらいに幸せ。
目が覚めたら…夢だった…なんて事になるんじゃ無いかと思う程に…
…それが少し怖くて……
思い切り彼に包まれながら……彼を感じる。
うん
耳に伝わる鼓動も…吐息も
頬に伝わる彼の体温も…
匂いも…感触も…
本物……
…愛してる……わ…
眠って朝目が覚めた……。
目の前に…
指揮官は居なかった。
ごめんなさい。
正確には私の後ろに居たわ…。
私を抱きしめるように…
あなたが居ることがこんなにも幸せだなんて…。
ありがとう…指揮官。
愛してるわ。
おはようの挨拶から1日が始まる。
ええ。
分かってる…
いつもに戻るのよね?
でも…幸せだから…
また来年も…同じように2人でいられるように…
精一杯今を生きるわ!
「…愛してるわ…指揮官?今日も頑張りましょう?」
ニコリと微笑む彼女はトントンと彼の肩を叩いた。
間に合った…?
ツンデレもなぁ…
デレが多いのもええもんやあ…
少しでも
ええわあ…と思って頂けたなら幸いです!
思ってほすぃ…。
感想などありましたらぜひぜひお願いします!(๑╹ω╹๑ )