提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ!!

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21話 提督 大本営ニ行ク

…大本営かー

あまり、行きたくないよねーーーー。

本社に呼び出されるようなもの!てかそのもの!

 

うーーん…。

まあそりゃそーだよね!

提督が拉致られて全艦での交戦…とありゃあ。

しかもね…

アイアンボトムサウンド…攻略ってことになったからねぇ…。

 

何言われる事か… ぐちぐちと詰められるんだろなあ

ジジイは助けてくれるかなあ…

 

 

   西波島鎮守府 提督   神崎中佐 

コノ度ノ事件ニツイテ、貴官ニハ報告ノ場ヲ用意ス

故ニ大本営マデ来ラレタリ

マタ、貴官ダケデナク艦娘カラモ事情ヲ聞キタク思フ

当作戦ノ指揮ニ当タッタ艦娘モ同行サレタシ 

 

               元帥 御蔵 源治

 

えーと あの時は確か長門か…。

 

 

 

「提督!お呼びだろうか!」

入室から敬礼まで本当に綺麗な所作だ。

 

「ああ、実は大本営に行くことになってな…」

 

「む?まさか出世か!?なるほど!おめでたい事だ!さすがは提督た!アイアンボトムサウンドを攻略したとなれば大本営も黙っているはずがない!これは正当な出世だ!この長門提督の下にある事を誇りに思う!……はっ!?しかし!提督のその手腕を欲しがり大本営は提督を別の所に配置するつもりじゃ… こんな果ての鎮守府よりもっと要となるところがあるからな……くっ、大本営めぇ…この長門!声を大にして言うぞ!私の提督は!大本営なぞに渡すものか!…と」

 

面白そうだから黙ってたらこうなったw

聞かれたら確実に懲罰もののセリフだよw

 

「あー…長門?」

 

「しかしっ!それが提督の為なら…涙を飲むしかないのか…でもせめてこの長門はお供させていただきたい!

だって私は提督の事が…!別に陸奥だけケッコンカッコカリしてるのが寂しいとか悔しいってわけではないんだぞ!

…え? 事後報告に行くだけ?? 私も指揮の当事者として同行を?

2人で?大本営に?…実質デートというわけだな!!」

 

 

どうやらウチのビッグセブンは色々とビッグらしい。

 

 

「ボク達はお留守番かい?」

「あはは!気をつけて行くんだよ?」

 

「任せろ!この長門がいる限り!提督には指一本触れさせん!」

 

「おぉー」

と駆逐艦達が拍手し目を輝かせている

 

「あんたといる方が不安だよ」

と誰かが漏らした。

 

 

 

 

長門と2人で何かをするというのは多分初めてだろう。

ゲーム内でも陸奥の方が来るのが早かった。

 

長門は悪く言えば堅物、良く言えば公正な奴だった。

確かにそうだろう…ぱっと出の提督なぞ信用できんだろう。

根っからの軍人気質なんだろうな。

 

ある日のことだった…か。

長門が大破、俺が帰投を命令して作戦を中断させた。

あと一歩だったんだと、長門はおれに抗議をした。

「なぜ止める!あと少しで奴らを倒せた!」

 

「気持ちはわかるがお前が沈んでしまう可能性もあるわけだ。それは承認できない。私は言ったはずだ大破進軍、轟沈はさせないと」

 

 

「それは理想論だ!理想だけで戦争に勝てると提督はお思いか!?」「例え、私が沈もうと 意志を継ぐ他の艦娘が…」

 

「何だと?」

提督は静かにキレた。その圧は他の艦娘ですら 

「ひっ」と声を漏らす程だった。

 

「もう一度言ってみろ」

 

「…事実だろう!戦争に犠牲は付き物だ!甘ったるい考えなぞ…」

 

 

「残されたものはどうなる!陸奥は?他の皆は?貴様は残された者が背負う悲しみの重さを知っているのか?」

 

長門は見た。

怒りの表情でなく、提督の悲しげな…今にも崩れそうな表情を。

 

 

「確かにお前が轟沈しても他の皆がいる。建造でまたお前に会えるやも知れん。でもそれはお前ではないんだ。俺は今目の前にいる長門と共に戦い、勝ち、思い出を刻んでいきたいんだ…確かに理想だろう。

甘ったるい理想論だろう!それでもその理想を叶えたいからこそ戦えない俺は作戦を立てるんだ」

「頼む…長門。そんな悲しいこと言わないでくれ…俺はお前が大破しないように、もっと良い戦法を考えるから…すまなかった」

 

提督は頭を下げたのだ。この長門に、すまないと…。

皆が居るだろうに、そんなのも気にせず。この鎮守府の頭が、反発しているこの1人に頭を下げているのだ。自分の作戦が悪かったんだと…。

 

「て…提督」

言葉にならなかった。

 

 

長門は自分を恥じた。

そこまで艦娘を思ってくれる提督が居るのかと。

ならば私はそれに応えなくて…何がビッグセブンかと。

 

 

「て…提督!顔を上げてくれ!違う!私の方こそすまなかった!やめてくれ!何があっても沈まないと約束するから」

 

 

 

 

 

 

「画面の向こう側の提督も、あの時の提督も変わらないんだな」

「提督は残される悲しみを知っているから真剣に私に向き合ってくれたんだろう?」

 

「んー? どうだったかな?」

 

「むっ…」

 

とにかく今の長門は俺にデレている、かつ過保護気味になっている。

俺が蚊に喰われたと痒がれば…

「この私の提督に何たる事を!」と言いながら部屋を焼き払い、

「提督の負傷はこの長門の責任!」と懲罰を求めるだろう

そして…それを嗜めると、

「ならこの長門が命を掛けて提督をお守りする!」

と、俺を抱きしめて寝るか夜通しで寝ずの番をするだろう。

 

蚊が相手としても…

 

 

 

 

 

長門がそっと近付いてきて俺の肩に頭を寄り掛かる。

今は結構2人の時にはデレるもので、そこが結構可愛い…。

「提督…何があっても傍に居るからな」

 

 

 

「だから陸奥だけでなく私ともケッコンカッコカリしてくれ!!」

それが本音だった…

 

 

 

 

 

大本営に到着

 

 

大本営とやらは来るのは2回目となる。

大本営の大淀が出迎えてくれる。

「長旅お疲れ様でした!」

と敬礼してくれる。

 

「わざわざ出迎えありがとうございます!」

とこちらも敬礼で返す。

挨拶は大事!古事記にもそう書かれてあるらしい?

 

「閣下がお待ちです、こちらへどうぞ」

 

 

「お久しぶりです!神崎、到着しました!!」

 

「久しぶりだな。神崎君…あぁ楽にしたまえ、君と私は同じ境遇の者だ、そう畏まらなくても良い」

 

「そーですか…今回は強制連行や投獄やドナドナはないですよね?」

 

「むっ」

おーい長門!おちつけ!相手は元帥だぞーーと目配せをする。

 

 

「う…根に持っていたか」

「冗談ですよ」

 

「むう…年寄りを揶揄うもんじゃない……してこの度の報告を頼む」

 

 

「はっ」

俺は今回前任提督の行った襲撃事件

自分が拉致されたこと、艦娘が全艦出撃しての鉄底海峡での総力戦になったこと…。

深海提督との闘い

艦娘との全てを思い出したことを語った。

 

「ふむ…長門から支援を要請されてな…留守の間はこちらから派兵して鎮守府近海の防衛には努めたが… まさかそんなことがな」

 

「奴は…どうなった?」

 

「大将殿は沈んだ昔の艦娘に看取られながら海に還って行きました」

 

「そうか…大石は逝ったか…。奴も優秀な提督だったがな、自分の艦体を轟沈させてからは人が変わってな…ワシもそれを止めることができなんだ……すまない」

 

「彼のしたことは最低でしたが…戦争です。戦争は人を変えてしまうのだと思います、それに今は安らかに皆と眠っていることでしょう」

 

「うむ…で長門よ 提督不在の間は君が指揮を行ったそうだが、それについて教えてほしい」

 

「はっ! 全機での出撃は相手からの条件だったのでやむなしと判断しました!大破した大淀と鈴谷、工廠にて2人を看護する明石、夕張と補給艦の2人、を残し出撃しました!私が指揮を取ったのは…すみません?私がせねばならないと思ったからであります!」

 

「いや、責めているわけではない。逆に良くやってくれた」

 

 

 

 

して…と元帥は言う。

「君達は図らずも、この海軍から出た深海提督が他に被害を生む前にそれを阻止、長い期間往生していた立つ底海峡の攻略を行ってくれた…軍としてはそれを静観するわけには行かん」

故に

「本日を以て 神崎 救を昇進させる。いや元に戻すと言ったほうが早いかな?昔の君は大将だったな? 」

 

「確か…ゲーム内では…そうだったと」

 

「大石と同じ大将に再任命する」

 

「え…え!はっ!この神崎!謹んでお受けする所存であります!」

 

制服が大淀から手渡され隣の部屋で着替えた。

 

「ふふふ やはり良く似合っているぞ!おめでとう!これからもこの長門は提督に命を掛けてついて行こう!」

 

「ほっほっ 良い関係を築いておるようじゃな 

 

 

さて…これで終わりじゃ。昼食にでもしよう。ここまで何か気になることは有るか?」

 

 

「あっ!一つあります!」

 

「あるか?よし言ってみろ」

 

「支給された指輪が消えましたのでもう一つ…いや結構な個数が欲しいのですが」

 

「な…何じゃと!?なくしたのか!?」

 

「いえ…金剛に渡したのですが 皆が記憶を取り戻す前だったので彼女は元々私が渡していたのを気付かずに渡したら…その…指輪が消えちゃって」

 

「そんなことがあるのか…ならもう一つ支給しよう…ーん?いくつかと言ったか?」

 

「ええ、出来るならどんどん重婚をしたいと。すでに何人かとはケッコンカッコカリをしてますし…」

 

ポカンとする元帥と大淀…

そんな顔すんのねあんたら。

 

「ま…まあ他の鎮守府で指輪の争奪戦になったり、提督に良いところを見せようとして鬼神の如く戦う艦娘に怖がった深海静観艦が形を潜めているなんてのもあるくらいだしな…艦娘の士気も上がるんだろう」

 

「装備の形とネーミングがダメですよね」

 

「それ以上はいけません!大将殿」

 

「まあ…一つは約束通り支給する。それ以降は自腹で買ってもらうぞ。結構制作費用かかるんじゃよ…」

こんくらい…とコソコソと耳打ちしてくれる

 

「そっ…そんなにするんですか…」

 

「ご利用は計画的に…じゃ」

 

今日からもやし生活かな…。

ゲームの課金は本当に優しい金額だったんだなあ…。

 

 

「ついに!ついに!私もっ」

渡すなんて一言も言ってないのに隣で長門がキラキラした目でこちらを見ていた。




大本営出頭編でした
やや、長門回ですね 
アニメのあのデレた長門に私は轟沈しました

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