提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
朝ご飯を済ませてからお出掛けの準備を行う。
うーーん…やっぱりいつも通りの服でええかなあ?
「ん?鳳翔か?」
「龍驤ちゃん…あの人とデートよね」
そこにはにこやかに佇む鳳翔が居た。
「あーー…そーなんやけどなあ…やっぱりウチって…こんな見た目やん?」
「やからさあ…街に出ても…
「夫婦として…カップルとして見られるか?って事?」
「うんー…」
「周りなんか別にいいじゃないですか」
「周りが何と言おうと…どんな目で見ようと…龍驤ちゃんとあの人は1日夫婦なのですから」
「自信持って行ってくださいね?」
「せやなあ…」
「龍驤さん!行ってらっしゃいー!」
「楽しんでくるんじゃぞー!」
「「「「いってらっしゃーい!」」」」
皆に見送られて街へと行く。
この人は何も言わずに手を繋いでくれた。
それに応えるように手を握り返す。
その手をまた提督がぎゅっと握るので…またぎゅっと握り返す。
「あはは」
2人で顔を見合わせて笑う。
何や…幸せやん…。
街に出たものの…所謂のーぷらん!って奴やから…ふらふらと街を歩く。
意外とそれも楽しい!
まぁ…声かけられる度に
「お!お兄ちゃんと仲良いな!」
とか
「え?娘さん?」
とか
「親戚の子?」
とか
「え?誘拐…?ロリコン…?」
とか…
あー…アレや…
勢いで波動拳とか撃てそうやわ…本当…
しかし、その度に
「違いますよ!彼女は私の嫁ですよ!大人ですよ」
と、律儀に言い直してくれる。面倒やないんか?
さすがに多くなったので面倒やないか?と聞いてみると…
「…本当の事じゃないか!俺達は夫婦なんだからさ…?面倒だからって適当には流したくないなあ…」
「素敵な嫁なんだぜ?ちゃんと知ってもらいたいよ」
なんて言うんや…………アホ…。
んで…
「あーー?お前かー?ちびっ子を嫁とか言って連れてるのは?」
「ロリコン?ロリコン?」
「どー見てもガキじゃねえか」
ゲラゲラと笑う馬鹿ども…腹立つ…。
「行こう」
と、手を引く提督を奴等が引き止める。
「おいおい!無視すんなよォ…」
「な?」
と、ウチに触れようとしたクソガキに提督がキレた。
「オイ!龍驤に触れるな…」
「ああん!?カッコつけんなや!!!」
態度が気に食わないんだろう。1人が提督を殴りつけた。
それにウチはブチ切れた。
「オイ…クソガキ共…誰に何したんやッ!!!」
「あ?」
いきなりの怒声に一瞬びっくりするも、その声の出どころがウチとわかった途端に笑い出す。
「おーおー!少しビビったぞ?チビ助が!ギャハハハ」
ウチは…艤装を展開した。
コイツら……ちと痛い目に遭わせたるッ!!!
艦載機で馬鹿共の周りをブチ抜いた。
「ギャハハ………は?」
そこには鬼がいた。
軽空母と侮る勿れ。
彼女は戦場にては鬼のように駆け巡る空の覇者。
かの一航戦すらも…彼女達に師事を仰ぐ程に。
例え体が小さくとも…
そこには歴戦の思いや力が備わっている。
艦載機を操らせたら鎮守府でもトップクラスの実力の持ち主…
名の通りにその姿は龍が昇るかの如くの動きと味方に言わしめた。
それが先代は明治のコルベット龍驤から名を受け継いだ軽空母の龍驤である。
彼女の目は本気そのものだった。
一歩でも動けば撃ち抜かれる…。誰もがそう思っていた。
が、1人の男が両者の間に立った。
それは彼女の旦那である救だった。
彼は言う。
「龍驤は凄えんだぞ…」
「色んな戦いに出て……今でもそれは変わらないけど…思いやりもあって…厳しさもあって……」
「確かに見た目は小さい…」
「でもその体で!とてつも無い大きなものを守って来たんだ!」
「舐めるなッ!チビ助と呼ぶな!俺の嫁だ!!」
「そう言っていいのは…俺だけだ!!!」
1人の胸ぐらを掴んで言う。
「謝れッ!!彼女に謝れ」
「この!離せっ!」
殴りかかって来た他のメンバーをいとも簡単に殴り返す救。
ギラリと睨む救。怖気付くガキ共。
そりゃそうか…相手にしてるもんが違うもんなあ…。
素直に謝って来たので一言言った。
「人は見かけだけやないで」と。
「ごめんな龍驤」
の、一言にウチは耐えてたものが切れてしもうた。
ずっとそーなんや…
ウチがこんなやから…君に嫌な思いさせたんや
「なんで君が謝るんや…」
「ウチのせいであんな目にも遭ったんやで!?」
「ずっと言われて…恥ずかしかったやろ」
「でも龍驤は俺の為に怒ってくれた」
「何アホな事抜かしてんのや!そんなの当たり前やッ!!君はウチが1番大好きな人なんや!その人が傷付くとこなんて見たないっ!!」
「それは俺も同じだよ」
「あ……」
「大切な人が傷付くとこなんて見たくないよ」
「ニヘラと笑ってても…気にしてるのは知ってるし…それを肯定なんてしたく無い」
「だから、誰にでも何度でも言うさ」
「龍驤は俺の嫁ですよ…ってね」
「…バカや…君はホンマにバカやあ…」
嬉しかった。
「あと……コレを渡したくて…もっと早く渡しておけば良かったかな」
「…?」
差し出された箱は…ええ、わかるよ。
ウチが欲しくて欲しくて仕方ないもんや。
世界中の誰もが…いつかは欲しいと思うやろな。
特に…好きな人から貰いたいもんや。
ウチは幸せ者やなあ…
やって…
ホンマに好きな人から貰えたんやから…。
「……受け取ってくれるかな」
「当たり前や!もう返せ言っても返さへんで!」
「ウチを…1人の女として見てくれるんやな?」
彼は無言で彼女の左手を取り…薬指へとその証を贈る。
「それが返事なんやな?君の」
嬉し涙も止まらない。
「もちろん」
「愛しとるで…提督ぅ」
龍驤は目を閉じる。
彼女の言いたいことはわかる。
だから…
そっと抱きしめてキスをする。
「……さすがスイーツ好き…甘いなぁ…キスも」
「ええ?!そうかなあ?!」
「あとこれを…」
「ん?」
「冬に向けてのマフラー…?」
「…ありがとう……ホンマにありがとう…」
まだ季節には早いけど…それでも
巻いてみたら…こんなにも暖かい。
「ならね?ウチも君にあげたいものがあんねん」
「?」
「まあ…ウチも少し早いけど…コートや」
「わお…!!ありがとう!!着てみるよ」
少し早いけど…嬉しかった。
ウチが選んだ服を好きな人が着てくれてる…
2人で帰った。
片方はマフラー、片方はコート。
例え季節外れと言われようとも
例え笑われようとも
関係ない。
大切なのは2人の時間と気持ちだから
「あら!お似合いですよ!2人とも」
鳳翔達が出迎えてくれる
彼女達は何があっても笑わない、蔑まない。
何故なら彼女達は知っているから。
今のこの2人がとても幸せだと言うことを…。
そんな2人を見て幸せな気持ちになれることを。
「幸せや…ウチは幸せやわ」
「これからもずっとそうだよ」
「せやね!…愛しとるで!提督」
今日も仲良しな2人が鎮守府に居たらしい。
騒がしいけれども…楽しそうな2人が…
少しでも良いなと思っていただけたなら幸いです!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
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