提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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224話 響と1日夫婦 ① 思いの結晶

響…。

今の響は改ニの状態である。

 

 

 

改ニ……そう"響"のまま(不完全な改ニ)である。

ヴェールヌイではないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、提督。私だよ」

コンコンとノックをして入ってきてのは帽子を被った駆逐艦の響。

青い髪が可愛らしい娘である。

 

 

「いらっしゃい」

 

どうぞと部屋へと通す救。

 

「…電と雷はこういう感じだったのか…ドキドキするね」

ちょこんと座ってニコリと微笑む彼女。

 

「コーヒーと紅茶どっちにする?」

 

「んー…ココアで」

悪戯に笑う響。

 

「だろうと思ってココアを用意してるぜ!」

 

「ありゃ!やられた」

と、言いながら笑い合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まもるー」

そこに妖精さんが入ってくる。

 

「……やあ」

響が声をかける。

 

「……やあ」

妖精さんが返事をする。

 

 

「?」

少し不思議に思いながらも救は妖精に尋ねる。

「どしたの?」

 

 

「あ…資材の件で……」

どうやら工廠の資材関係の報告らしい。

武器建造では瑞雲と彗星が出来たらしいが…日向が瑞雲をとっていったとか!!

 

日向は後で反省文だね!と笑う響。

 

 

 

 

妖精さんを見送った後に響に聞いてみる。

「…なんかあったの?妖精さんと」

 

「んー……なんというか…少し難しいんだよね」

 

「まあ、深くは聞かないでおくよ」

 

「…いずれは言うから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わって…朝になる。

 

 

「起きて?」

と言う割には布団に潜り込んできて引っ付いてくるあたり…

ほんとに可愛い…

「あと少し…」

と、響を抱き締めて眠気に素直になってみるが…

 

 

「せっかく作ったご飯が冷めるよう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きますッ!!」

 

 

 

 

響が…作ってくれたご飯を冷ませるわけにはいかない!!

閃光の如き速さで支度をして食卓へと向かう。

きっと今のは島風ですら「はっやーーい!」って言うレベルだろう!世界すら狙えるレベルでしょうさ!

 

 

「…はやいね。提督」

 

「そりゃ…当たり前だよ」

 

「ありがとう♡」

 

 

 

響の作ってくれたのは

ベーコン、スクランブルドエッグ、サラダにトースト。そしてコーンポタージュ。

意外と洋食派なのねえ?

 

「たまには洋食もいいものだよ」

 

 

 

 

 

 

響の料理は少し薄めの優しい味だ。

その分ポタージュが少しだけ濃いめ。手作りなのだが、これがうまい。

今年は冷えるのが早いのか…少し寒めなので…あったまるよおおお…。

 

 

 

 

今日は響の希望に従い、街を歩く。

姉妹みたいだなと言われるけれども…この街の人もそろそろ理解し始める。

あぁ…奥さんね…と。

全部が全部好意的に捉えてる訳ではないが、大半の人は応援してくれている。

 

 

 

 

今回のお目当ては、冬用のコートである。

響としては

「やっぱり好きな人に選んでもらえると嬉しい」

との事で、数軒は店を探したが…なかなかグッと来るものがない。

「なかなかこだわってくれるんだね」

 

「当たり前だろう?!響に頼まれたってのもあるし、使い捨てじゃないんだからしっかり選ぶよ!」

 

 

 

 

 

私は…この提督の真剣な表情が好きだ。

普段は脱力しきったような感じの人が、スイッチが入った瞬間に凛々しく変わる。

ギャップ…というのかはさて置いて、手を顎近くに持っていって考える姿は大好きなんだ。

 

 

おお!これにしよう!

と、彼が選んでくれたのは濃紺カラーのロングコート。

凄くあったかそうで…カッコいい!はらしょーだ。

 

「俺からのプレゼントにさせてもらってもいいか?」

 

「はらしょー…それは一生大切にする」

 

「いいなあ…」

いつの間にか昨晩の妖精さんもいたようで驚いた。

 

「おお…君は…」

 

「だいじょーぶ!じゃまはしないよ」

とだけ言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

お昼を食べてから一休みする。

響はコートの入った紙袋を大事そうに抱えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ…」

響が話しかけてくる。

うん?と返すと彼女は少し俯きながら話しはじめた。

 

 

 

「気付いてると思うけど…私の改ニの事なんだけど」

 

「うん」

 

「受け入れられるかが怖いんだ…」

彼女はポツリと言った。

 

 

「受け入れられるかが…?」

 

 

 

 

「アレはね…」

と、会話を紡ごうとした時だった。

ウーーーーー!!と警報が鳴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海棲艦のはぐれ艦隊が近海に接近したらしい。

 

「行こう!提督」

響は言う。

確かに鎮守府からの到着を待っている間も勿体ない…

が、響は1人だ。

 

 

 

 

 

 

それでも…彼女には「待つ」と言う選択肢はない。

大好きな彼の守りたいものは彼女の守りたいものだったから。

 

「提督ッ!!先に海に行きます!」

 

 

俺はすぐさま大淀達に連絡を入れる。

鎮守府近海にも珍しく侵攻してきているらしく、何とかそっちに回すから少しだけ響には頑張って欲しいとのことだった。

 

 

 

「あっちにいるよ!」

妖精さんに連れられて響の元へ行き、指揮を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひびき……」

 

「響ッ!!」

 

多勢に無勢とは言ったもので、善戦はしているもののすぐにジリ貧になってきた。

 

「ぐっ…」

少しずつ傷つく響。

 

 

波止場近くに帰ってきた響に話しかける。

 

 

「響…やっぱり、改ニが不完全なのか!?」

 

「…そ、うだね…」

 

「どうすれば!」

 

「これは私の問題なんだ」

「…………怖いんだ」

 

 

「怖い?」

 

 

「私だけ違うようになってしまうんだ」

 

名前のことだろう…か。

 

「大鯨達だって…」

改で艦型が変わったり、名前が少し変わるのは全くない訳ではない。

 

 

 

「違うッ」

 

「私は…国すらも変わるんだ!!」

 

「ひび…」

 

「不安なんだ!皆にどう思われるか…避けられるんじゃないか!提督にも嫌われるんじゃないかって!!」

 

「もちろん、提督はそんなこと言う人じゃないと思ってる!でも…心の片隅で…私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

1発の砲撃がこちらに飛んできた。

 

 

 

体が勝手に動いた。

体が勝手に響と妖精さんを抱えて飛んでいた。

 

俺達は吹き飛ばされてしまった。

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