提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
置いて行かれたくなくて…
必要とされたくて…
負けたくなくて…
大丈夫と言い聞かせて…頑張ってきた…
「…わ、私…?…そして赤城先輩…?」
目の前に居るのは…
同型艦なんてもんじゃない…これは…私自身?
なのに…なんかおかしい。
別の海域では…
「…ほう」
武蔵と清霜には武蔵が
「…何と……」
桜三笠には三笠が
「…チッ」
天龍には天龍と龍田が
「…不幸だわ」
山城には扶桑と山城が
『…そうよ?私は…作られた吹雪。でもニセモノじゃない…』
『お前を消せば…私は本物になる!』
『この感情も…記憶も私のもの!あなたに否定は出来ない!』
「砲雷撃戦!開始しますッ!」
偽吹雪が砲撃する。
「–––え?」
感じた違和感。
『にしても…あなたは昔から邪魔だったから…丁度いいわ!』
「え?」
ドキッとしてしまう…。
いや…違う。
この赤城は……私は…ニセモノだ!
「赤城さんは…そんな事言いません…ッ!絶対に!言わないっ」
『何故言い切れる?』
偽赤城の艦爆から放たれた攻撃が近くで爆発する。
「きゃぁあっ!!」
「ぐっ…うっ…」
「…負けない…」
『私は…赤城を基に作られたんだぞ?』
『私の思考は…赤城そのものだッ』
「吹雪さん!惑わされないで!!」
「赤城さん…」
『馬鹿なの?本心なんか言う訳ないでしょ?』
偽の赤城が言う。
『なぁ?そうでしょう?赤城…?』
「この…ッ!やめなさい!」
赤城も艦爆を発艦する。
が
ズドドドドドン!
『おー?焦ってるねぇ?赤城センパイ?図星だからですか?』
偽吹雪に撃墜される。
どんどんと攻撃に巻き込まれて行く吹雪。
『ほらほら…コレが
『
「なっ…私は…」
そう…
感じた違和感の正体は…艤装。
明らかに吹雪が装備できる範疇を超えていた。
軽巡…いや、それ以上のクラスが装備できるものだった。
それがあれば…私が欲しかった…ものが……
「そんなものがなくても…私はッ!」
『嘘だな』
「…ッ!!」
『言ったろう?私はお前なんだ…。今の私はお前の理想の姿』
『弱いもんなぁ…お前は』
『強く無いと…居場所が無いもんなァ…?他のメンバーに居場所を取られるもんなぁ!愛されないもんなぁ!!!」
「そんな事ッ!!」
「吹雪さん!耳を貸しちゃダメ!!」
赤城が叫ぶが…
『お前の相手は私だろう』
偽赤城が近付かせてくれない。
偽吹雪が吹雪の顔を掴んで言う。
『オマエは!期待されちゃいない!ただ…目の前にいたから選ばれただけの初期艦だッ!!提督からも本当に愛されちゃいない!仲間からも…本当に受け入れられてなんかいない!』
『私はお前だから分かるぞ!お前は…その劣等感を隠して…自分は愛されてると自分に言い聞かせて居るだけだッ!!』
『お前は…愛されてはいないッ』
「……」
ガクリ…と吹雪は膝をついてしまった。
ケラケラと笑う偽吹雪と偽赤城。
「吹雪さんッ!!」
赤城が艦攻を放ち2人を追い払う。
ふるふると震える吹雪に手を伸ばす。
「吹雪さ…「……やめてッ!」
パシン…と、赤城の出した手は…振り払われた。
「…吹雪さん……」
「わ、私…必死だったんです…」
「最初は2人で…何度も海域に挑んで…私が大破して…直して…挑んで…」
「やっとの思いでクリアした時は涙が出るほど嬉しかったんです」
「金剛さんが来て…鳳翔さんも来て…私の大破は少なくなりました」
「私より何倍も強い方達だったから!!」
「それでも…頑張ったんです!私!でも…でも…」
「誰にも愛されないならッ!!私はッ!」
「吹雪さん!落ち着いて!」
「赤城先輩も同じように思ってるんですよね!いいですよね!先輩は強くて!頼りになって!!」
「吹雪さん…ごめんなさい」
パシン
乾いた音が響いた。
「え…」
痛みがじわりとやってくる。
吹雪は頬を押さえた。
赤城にぶたれたのだ。
「や…やっぱり…あなたは…「聞きなさいッ!吹雪!!」
驚いた。
叩かれた事じゃない。
あの静かに燃えるような…赤城が…感情を露わにして怒鳴ったから。
初めて聞く赤城の怒号だった。
涙を流す赤城は…
「確かにあなたを軽んじて見ていた事はあるわ…」
でも…と彼女は続ける。
「吹雪さん…」
「私は…提督と合流した時には金剛さんも…鳳翔さんも…加賀さんも、あなたも居たわ」
「正直羨ましかった…
「確かに私達には一航戦の誇りがあったわ。確かに駆逐艦の子が旗艦なんて…って思った事もあったわ」
「でも…あなたはすぐに私のそんな愚かな考えを改めさせたわ!」
「私が…?」
「そう…あなたのその直向きさで」
「私はあなたが羨ましかった。眩しかった。ただ直向きに頑張るあなたが…あぁ…戦場にはこう言う子がきっと必要なんだなって」
「だから、あなたが私の随伴艦になるって言った時は信じて疑わなかったわ…あなたならやれるって!そして、あなたは本当にやり切ったわ」
「あなたは私の憧れなのよ」
「わた…しが?」
私が先輩の…憧れ?
「ええそうよ!」
「いつかあなたのように提督が安心して背中を預けられるパートナーになるって!艦種も関係なく胸を張ってこの場所に立つ為に!」
そして…と続ける赤城。
「あなたと共に…夜戦でも戦えるように」
赤城さんが…?
私と…夜戦でも戦えるように?
「立ちなさい!吹雪!」
「あなたは…愛されてるじゃない!!」
「あなたが1番知っているでしょう?!」
「あの人が同情や…ただの作業でそれを渡していないことを!!」
「あなたには有るでしょう?私達と同じ誇りが…あなたしか持っていない…いや!あなただけしか持てない誇りが…!!」
「誇り…?」
「初期艦の誇りはあなただけのものよ!」
「何人もいる中から…あの人はあなたを選んだのよ!」
「それは誰もが手を伸ばしても決して叶うことのない事なの!」
赤城は…吹雪の肩をもって真っ直ぐに彼女を見つめて叫んだ。
「そんな声に惑わされないで!駆逐艦でも旗艦になれる!第一線で指揮を取って戦える事を証明したのはあなたよ!」
「だから立ちなさい!!」
「わ、私は…」
いつの間にか総投稿が250話になってました。
お気に入りも650と…ありがとうございます。
嬉しすぎて泣けます(´;ω;`)
吹雪と赤城戦です。
彼女達の存在とは
少しでもお楽しみ頂けたら幸いです!
感想などお待ちしています!
ぜひ、よろしくお願いします!