提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
今日の0時にも更新されてますのでご注意下さい!
勤労感謝と言うことですが彼の戦いは続いています…
今更ですけれども
ものっそいオリジナル要素が出ます。
普通の何の変哲もない奴だからこそ
起きたんだ…それは
「提督!?」
「指揮官ッ!?」
「指揮官様ッ!!」
誰もが目を疑った。
彼は立った。
両手を広げて彼女達の前に立った。
『フン』
林が放った攻撃が頬を掠める。
それでも彼は微動だにしなかった。
馬鹿でもわかる。
人の身で守ろうとしている。
「だ、ダーリン…今立つカラ…」
金剛が震える膝を叩いて立ち上がろうとする。
「…指揮官様ッ……」
桜赤城も…
「指揮官…待って…やめて」
蒼オークランドも。
『ほう…泣かせるな…貴様は最後まで誰かの為に誰かの前に立つのだな』
『だが…人の身で何が出来るッ!?弾除けにすらならんぞ』
「例え何だろうと…決めたんだ。俺は彼女達と共に在ると」
「ならば…ここに立つのは当たり前だろう」
「やめて…ダーリン…」
「くっ…動きなさいッ私ッ!!」
「…動いてよおお!!」
『美しい…なぁ…ならそのまま死ねぇぇえッ!!』
放たれた砲撃––––
彼は振り返って笑顔で言う。
絶対に守るからと。
そして砲撃に向き合い…
「守ってみせるさ…」
「負けるなぁあ!救くううううん!!!!」
麗や桜は叫んだ。
滑稽な話なのだ。
人が艦隊に勝てることなど無いのに…
今、まさに砲撃が彼に辿り着こうとするのに…
それでも彼女達は叫んだ。
ズドォォン!!!
救に直撃した砲弾は大爆発を起こす。
絶句する面々
絶望に染まる皆の顔。
「いやっ!ダーリンっ!!嘘ネ!!」
「指揮官…様ッ…」
「指揮官…?」
炎炎と立ち登る炎。
ぱたぱたと自分に飛びかかる水飛沫。
『クハハハハ!死んだ!死んだぞぅ!』
ゲラゲラと笑う林。
『蒸発したか?弾け飛んだか?どちらにせよ…これで…奴を消し去ったッ!!俺の時代だぁぁ!!!』
『ハハハハハ–––––––は?』
いや
爆発する方がおかしい。
人なんだ。
弾け飛んで…後ろの艦娘に当たるはずだ。
『全く……本物の馬鹿なんだなあ…』
『でも……こんなにも…心が震えるなんて』
『後輩君…私もあいつに借りを返したい』
『ええ…そうですね』
決して起こり得ないから奇跡。
あなたには覚えていて欲しい。
艦娘と共に…
KAN-SENと共に
戦姫と共に
深海棲艦と共に戦った…
馬鹿で真っ直ぐな男が起こした
最初で最後の本当の奇跡を
世界を超えて…
我が物にしようと、振り下ろされんとする悪の刃を打ち壊し
暁の水平線に…勝利を刻まんとする男の姿を…。
今、目にしているのは今後にはどう足掻いても起こり得ない二度と見られない奇跡。
「提督……!!」
清霜は思い出す。
『俺は1発の弾丸も撃てない』
『皆を守ることも…盾になることすら』
出来るなら彼は迷わず身を挺して守るだろう。
最前線で戦うだろう。
幾度思った事か
夢見た事か
泣きながら語り合った思い。
清霜は武蔵の艤装を背負って戦艦級の駆逐艦として戦った。
それは武蔵達の助力があったから。
なら彼は?
彼には誰が手を貸す?
それは『縁』
彼が…彼等が紡いできた魂の絆。
『馬鹿じゃのぅ……』
『だが…そんな馬鹿だから…支えたくなるんだ!』
『私の力を使ってくださいなのです!』
とある電が言った。
『行け!小僧!あんなカスに負けるんじゃねえ!!』
とある提督が言った。
『後輩君…私も力を貸すから…奴に1発ぶちかまさせて!』
とある先輩が言った。
『あなたなら超えて行ける!私も認めた提督さんなんだから』
とある先輩の能代が言った。
『力を貸しマース!ダーリンなら乗り越えられマース!』
とある鏡の金剛が言った。
『指揮官様…私の力を…』
とある鏡の桜赤城が言った。
『ぽーい!使ってぽーい!』
とある妹の夕立が言った。
『私も…力を…』
とある姉の白露が言った。
『提督よ!共に勝利を刻むのだッ』
とある孤独だった長門が叫んだ。
『お願い!仇を…敵の私の言葉だけど…お願い!』
とある縁の陸奥が言う。
私達も…もしかしたらこちら側に在られたのかな。
彼女達は思う。
幾多の艦娘を材料に
魂のデータを取り付けて作り出されたコピー。
その中には理想の姿、武装…信念がある。
しかし…彼女達の素は…西波島の艦娘達。
平和が好きで
仲間の事が大好きで
提督の事が大好きな……偽物。
彼女達は知っていた。
自分達が何であるか…
本物になりたい…
そうすれば…
でもそれは叶わない夢物語。
だって…本物には勝てないから
偽物はどうやっても、本物には勝てないから
だって…あんなに皆は輝いて……
でも…どれだけ偽物でも…
あなたへの思いは変わらないから…それだけは!本物だから!
お願い…コレで終わってもいい…
だから…コレは私達にできる…最初で最後のあなたへの恩返し。
最後に…少しでもあなたの力になりたいの
[愛してるわ…提督]
[もっと…あなたに触れたかったなあ]
[でも…あなたの力になれるなら…]
[あなたを守る事が出来るのなら]
[あなたの未来を切り拓けるのなら!]
[私達は…喜んで日陰から力を貸すわ]
当たり前でしょう?
だって私達は…あなたの艦娘なのですから
[私の力…使いなよ]
名も知らぬ艦娘が…
[今回だけ…今回だけはあなたに力を貸すわ]
名も知らぬ者達が…
『馬鹿な…何だこれは…』
林は狼狽た。
海から…彼に集まる温かな光。
『行け…神崎!ワシを超えて行った男よ…』
『…お前はお前の行く道を突き進めッ!!』
とある元帥が…彼の背を押した。
「……救…君」
「凄いな…私らの大将は……世界すら味方につけるのか?」
そう…この物語は
…神崎 救が…救い、救われるお話。
沢山の艦娘やKAN-SENや戦姫や…皆に救われてきた。
皆の支えとなった。
皆の救いとなった。
「……叶えたんだ…提督も…」
それは彼が抱いて…夢見て…その果てに叶えたひとつの夢
きっと後に夢だったんじゃ?と言われるほどの夢
数多の…幾多の想いが形となって彼に力を貸す。
彼は立っていた。
海の上に立っていた。
形を成さぬ光は…皆にも艤装のように見えた…。
彼の思いに呼応したそのギソウは…
この世界…いや…世界すら超えた想い。
彼は守った。
人でありながら…砲撃から仲間を守った。
「ダーリン……?」
あぁ…夢じゃない。
夢に見た景色は…ここだったんだ…。
奇跡は…
彼女達を守ること…彼女達の為に…戦うこと!
何故奴は…
またもや俺の邪魔をしようとするッ?!
『殺せ!奴を殺せえええ!!』
向かい来る深海棲艦。
「………」
彼から
砲撃…副砲やら魚雷のようなものが発射される。
ズドン!
ズドォン!!
ズドオオン!!!
轟音と共に深海棲艦を圧倒する。
「なっ……凄い…」
「すげぇ…」
唖然とするメンバー達。
彼は主砲らしきものを構える。
1発……それでいい!
「……」
彼は構える。
その光は…形を成して行く。
…それは、かの大戦艦大和型よりも大きな主砲を形取る。
彼は狙う。
そのギソウを支えるように彼女達が手を添える。
ニコリと金剛が笑った。
彼女達を守りたい。
共に明日を一緒に歩みたい。
生きていて欲しいから。
一緒に生きたいから。
「…やっぱり…指揮官様は…本当に凄い…」
桜赤城が涙を浮かべて言う。
「まさか指揮官と一緒に戦えるなんて…!!でも指揮官と戦えたこと…誇りに思うよ!さあ!やっちゃおう!激射の時間だよ!」
蒼オークランドが笑う。
「ダーリン……力抜いて…私達も…居るカラ!!」
信じられるか?
人が海の上に立って戦ってるんだ…
そしてそれは…紛れもない
私達の提督なんだぞ?
こんなにも…
こんなにも心が震えることはあるか?
「……け」
誰かがポツリと言った。
羽黒だった。
「羽黒?どうしたの?」
足柄が心配そうに声をかける。
「いけえええ!提督うう!!
羽黒が叫んだ。
力の限り叫んだ。
驚く足柄達…。
それは羽黒が大声を出したことだけではない。
羽黒の体から何かがスッと光が出てくる。
その光は救へと伸びて行く。
それは…彼女の願いや想い。
「やっちゃえええ!!」
「頑張れええ!!」
「「「「「突き進めえええ!!」」」」
彼女達は叫んだ。
麗達も…皆。
「麗!?お、お前の体が!光ってるぞ!?!」
「さ、桜さんからも!?」
全ての想いが彼に集まる。
彼が放つのは…想い、愛、喜び、希望…。
彼は1人なんかじゃない。
皆の想いを背負った提督の…一撃。
理想を現実は超えられない。
だが…吹雪達はそれを超えた。
人としてある意味理想的な強さである林は…
提督…つまり救や麗達にとっての理想の形。
仲間を守れる強さのある理想。
彼は…その理想すら超えて行こうとしている。
「「「「ばぁにんぐゥ…」」」」
「「「「ラァブッ!!!」」」」
放たれた砲撃。
空を割いてまっすぐに相手に向かう。
『こんなもの…!?!?』
対峙する姿勢を取ろうとした林に纏わりつく…何か
[責任…取ってくださいね?]
[私達優しいから…あの世までお世話してあげます]
『くそっ!離せ!離せ!!!』
放たれた砲撃はレーザーのように一直線に深海へと向かう。
負のエネルギーが深海棲艦となり、人がその力で深海提督となるなら
正のエネルギーが艦娘となって絆が力を与えるなら…
『ぬおおおおおおおっ!負けるかッ!負けるかァァア!!』
砲撃をする事叶わず、林はその砲撃を受け止めようとした。
虹…
キラキラと輝く虹が見えた。
それは…
彼のギソウから見えた羽のような虹色の光
地平線…水平線の彼方まで伸びるようなその光は…
林の艤装から出る黒いモヤと対の光を放つように…
押され…返される…
『くくく…ハハハ!やれる!やはり運命は…俺に味方しているんだッ!カスのゴミ共が集まったところで…俺は負けん!!』
「指揮官くぅん?力が必要かしら〜」
「あ、朝日さん」
蒼オークランドは目を丸くした。
「あ、朝日だとッ?!」
桜三笠が反応する。
「あら?…そう…別の世界の三笠が居るのね?おばあちゃん…なのに…」
「マイネリーベ!!」
オイゲンが
「主殿ー!」
赤城が
「ボスー!!」
ポートランドが
「何かわかんないけど…力が必要なのよね?」
クイーン・エリザベスが
「みんなぁ!!指揮官に力を貸して!!」
オークランドが叫ぶ。
周りを見て理解した。
何をすれば良いか!
よーし…と
皆は言う。
「「「「頑張れ!指揮官ッ!!」」」
彼女達は力を送る。
ばかな…
数分前に来た別の世界の為如きに力を貸せる?
いや…何故世界を超えられる?
何の為に…?
いや…
何故奴はここまで愛される?
「お前が理想ってなら…俺は超えて行く…!!」
「俺が欲しいのは…自分勝手な世界でもない!皆と共に歩む明日なんだ!今なんだ!!」
「だから負けられない!」
「お前なんかに…奪われてたまるか!」
「「「「「「「「俺達だって…」」」」」」」」
「「「「「「「「負けるもんかぁぁぁあああああああ」」」」」」」」
『わかった!お前を殺すのも狙うのもやめるッ!!この攻撃をやめてくれ!!』
彼は叫んだ。
だが…救は横に首を振る。
『理想なのだぞ!誰にとっても…理想なのだぞ!』
「そんな理想要らない。好き勝手する理想だって要らない!!辛くても…大好きな皆と進めるならそれでいい!!」
「そんなお前の…自分勝手な理想なんぞ…ぶち壊してやる!」
「うおおおおおおお!!」
「コレで……」
終わりだぁぁあああああ!!!
「全艦…照準合わせッ」
長門が叫ぶ。
驚く皆が長門を見つめる。
「私達も…殴ってやりましょう!」
大淀が叫んだ。
「そうだね」
「やってやろう!」
皆が構える。
目標は唯一つ… だ!!
3つの世界の不思議な子達が構える。
「豪華絢爛…だな」
「釣りは要らん!」
世界すら超えた砲雷撃戦を見よ!!
「提督!」
「指揮官!」
「司令官!!」
さあ…全てを終わらせましょう!
あなたの手であなたのしがらみも…全てを超えて行きましょう!
「てぇえええええ!!!」
轟音!
大轟音!!
まるで降り注ぐ大流星の如く…
放たれた感情は真っ直ぐに奴の元へと向かう。
「お前は消えろッ!!暗闇に…還れええええええッ!!」