提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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252話 想い願いの果てに ⑨ 神崎 救

真っ白な世界に包まれた。

 

 

 

目の前には…林が居て…

え?…敵であったウチの艦娘達が…居て…

 

 

 

 

こちらには…皆が居て…。

 

 

 

 

『提督さん……あなたはあなたの道を行ってください』

 

『きっと未来は明るいですから』

 

 

『自慢してくださいね?誇ってくださいね?』

 

 

 

 

私達(あなた達)は……私達に勝ったんですから』

『そんな強い艦娘達の提督なんですから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……』

王国が…俺の理想郷が…消えてゆく

 

作り出したはずなんだ…理想を…あと少しなのに

 

 

何故奴らは理想に屈しなかった?

 

全てを超えた理想に…ちっぽけな現実が勝ったんだ?

 

 

 

 

 

 

認められたかった。

1番でありたかった。

 

人生なんぞちっぽけで…短くて

その中で何ができる?

何が残せる?

 

 

そんな奴は一握りの砂を捨てて…その手を払って、それでも手の上に残っている砂粒程なんだ。

 

 

ならば俺は…払い落とされる数多の砂粒(有象無象)でなく、手の皺の中に残る程にしつこい砂粒(唯一)になりたいのだ。

 

 

 

その為に色んなものを犠牲にした!

大切と言う家族とやらも!先輩後輩上司部下!全てっ!!

 

 

なのに何故叶わない?敵わない?

 

 

 

 

この世界でもだめなのか?

 

 

 

 

 

 

 

「……林さん」

「入社した時はお世話になりました。バリバリ働いて…結果も出して…人望もあった林さんが憧れでした。こんな人になりたいと思ってました」

 

「でもあなたのした事は許せない」

 

 

 

お前の憧れが…俺だったのか…

 

『お前も…』

 

現実(神崎)が…理想()を超えて行くのか…』

 

 

 

 

パァン…と林の頬を打った人が居た。

 

 

「先輩…!?」

 

「……スッキリした!」

「後輩君がやってくれたし……私は満足」

「理想の上司だったんですよ?」

加奈江が言う。

 

『………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[行きましょう?提督?]

 

俺を迎えにきたのは…俺の艦娘達。

 

俺の野望の為に俺は彼女達を犠牲にした…。

 

[目が覚めましたか?]

[ずっと居たんですよ?私達は]

 

 

何故だ?

俺はお前達を犠牲にして…この世も乗っ取ろうとしたんだぞ?

 

 

[はい、それでも…この世界の為に戦ってくれてたじゃないですか…それは真実じゃないですか]

 

[私達が大好きな提督さんですから…]

 

 

好きだから…それでも彼女達は自分に協力してくれた。

皮肉なことに…欲しかったものは、自分で壊してしまったのに…。

彼女達は例え魂だけに…肉体が滅びようとも信じてくれていた。

 

 

 

 

 

 

あぁ……なんだ

既にあったのか…俺の理想郷は…

 

 

 

 

 

 

 

……ここで一緒に居てくれるのか?俺を認めてくれるのか?

 

 

–––はい!もちろん!

 

 

…そうか

 

 

–––ゆっくり休んでください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい…神崎。

 

つーわけだ…

ここに貴様の居場所はねえ

 

こここそが俺の理想郷らしい…

テメェは…邪魔だ帰んな…

 

 

 

 

 

ただ

俺は謝らねえ

 

俺は俺が正しいと思った道を行ったまでだ!

 

その影で誰かが泣こうと…突き進んだんだ!

 

お前だってそうだろう?

 

 

 

 

 

 

神崎 救

 

 

全て俺の逆を行く奴…。

 

1人じゃなくて

仲間をひたすら愛して

現実…いや、普通の奴で

ひたすらもがく奴

 

 

 

俺は

1人でよかった。

仲間もいらなかった。

理想となりたかった。

流れを作る奴だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッとする…。

 

前を見る。

 

 

 

満足そうに微笑む林が砕けて行く。

 

 

 

 

 

「悲しい人なんデスネ」

 

「わかるのか?金剛」

 

「皆、見えてました。ダーリンと繋がってたカラ」

 

 

 

 

 

「ありがとう…皆」

俺に力を貸してくれて…

俺を信じてくれて…

 

 

フッ…とそのギソウは消えた。

海に沈みそうになる救を彼女達は受け止める。

 

 

「指揮官様ッ!指揮官様!!」

桜赤城は物凄い力で抱き締めてくる。

 

 

 

 

 

「指揮官?どうだった?夢を叶えた瞬間は…」

蒼オークランドが聞く。

 

「…重かった!」

彼はニヤリと笑って答えた。

 

 

 

 

夕焼けに差し掛かる海は…静かに…そして綺麗に輝いていた。

 

 

 

 

 

 




次回長いシリアスも終わります。


少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。

感想などお待ちしています!
ぜひよろしくお願いします。
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