提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ!!

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トンデモ話です。
生暖かく見守ってください。








私は取り返す。
例えどんな結末が待っていても…


256話 時期外れの来訪者 ①

 

 

寒い季節ではあるが…

その冬の冷たい風はどうやら思いがけないものを一緒に運んで来るらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女の子に抱きしめられた。

「会いたかった!」

 

 

 

 

しかも泣きながら。

 

 

 

 

 

ん?迅鯨かな?

おや違うね…。

 

 

 

迅鯨…その包丁は仕舞おうか…

 

 

 

 

おやおや皆さんまで…。

 

皆様?ハイライトの落とし物はございませんでしたか?

え、ないの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あなたが神崎 救?」

 

いま聞くんかい!

 

「違ってたらやばいよね。で、えーと…どなた?」

 

こんな会話から始まる不思議なお話。

 

 

 

「…私は………私は…」

「か………アカネ…アカネって呼んで」

 

 

「ふむ…俺のデータベース上では知らないなあ…と言うわけで皆さん…その目をやめましょうね?」

 

 

 

「でもピンポイントで指揮官の所にきたし、名前知ってるし」

 

 

「また女の子を泣かしたのかと…」

 

「いや、泣かしてないから!君も引かないで!!」

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが1番すごいって…ママに聞いたから…」

 

「ほう…ママ…ねえ?」

 

「色ボケで…女の子大好きで……危険な奴?」

 

「おい、お母様をここに呼びなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?どんな助けが必要なのかな?」

 

「何で?」

 

 

 

 

「何となくさ」

 

 

 

アカネは暗い顔で言う。

 

「…数日の内に…とある海域に化け物が現れるの…それは今は弱いけど…大きくなったら…全てを壊す化け物になるの」

「止めたいけれど…どうしようもなくて……」

 

 

 

「…そんなに?」

 

「ああ…ええ、私の大切なものも奪われたから…」

 

 

 

「任せて下サーイ!私達にかかればあ…安心デース!」

 

 

「本当!?金剛さん!」

喜ぶアカネ。

 

「はい!困ってるなら…榛名も力になりますよ!」

.

「榛名さん…」

 

アカネは泣きそうな顔で喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?話をまとめると?」

 

「厄災とやらがこの世界に紛れ込んだ…と。ソイツは年月をかけて成長する…とね。君の大切な人も殺されたから…これ以上被害を増やさない為に……ソイツを倒すのを手伝って欲しいと?」

 

「うん」

 

「数日内に現れるけど…まだ力を使い果たして弱いからワンチャン倒せるかも…と?」

 

 

 

 

「アカネの世界では?どうだったの?」

 

「…色んな犠牲を払って倒した…ううん退けたかな…」

 

 

 

 

「厄災……ねえ?」

 

ちらっと蒼オークランドを見る。

 

「私じゃない!って言ってるよ?赤は」

 

「まあそうだよねえ…」

 

 

 

 

 

 

「そんなにヤバイ奴なんだ…。救君に頼りたくてきたんだね。そりゃ感極まって抱き着くよ」

 

「皆の目がヤバかったけど…ね」

 

 

 

 

 

とりあえず…

その日まではアカネは宿舎に住んでもらうことになった。

戦法、対策、作戦を練る為に色々と聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「海域調査も…範囲を広げるか…」

 

「とはいえ…ここら辺…とは教えてくれてるしな…信じてそこを重点的に監視しよう」

 

 

「しかし…あの子がねえ…」

救は窓からアカネを見る。

 

あんな子が…

そんなに辛い思いをして…世界を渡って…

御蔵のようにならないことを祈らないと…いや、俺達がそうさせないようにしないとな…と思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら!アカネちゃんだっけ?白玉パフェ…食べて行く?」

 

「あ……はい」

 

話しかけてくれたのは間宮さんだった。

 

 

 

 

 

「はいどうぞ♪」

目の前に出された白玉パフェ。

フルーツも使ったこじんまりとしたミニパフェだった。

 

「美味しい…」

 

 

「……美味しい。本当に昔から好きなんです…コレ」

 

 

「あらそう?あなたの国にもあったのね。コレは今日作ってみたやつなんだけど…でも、気に入ってくれて嬉しいわ」

間宮はニコリと笑った。

 

えへへ…とアカネは笑い返した。

 

 

 

 

 

 

 

「ヘーイ!アカネー!ティータイムしてかなーイ?」

 

「お姉様…まるでナンパですよ…」

 

「だって…」

金剛はアカネに抱き着く。

 

「こんなにキュートな子だものー!」

 

「こ、金剛さん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室の前でチラチラと中を覗くアカネ。

 

「…アカネ様…宜しければ執務室を見てみますか?」

 

「え?」

ドキッとした。

 

 

「ご一緒に協力される方の為人を見ておくのも宜しいかと…」

 

「は、はい!ぜひ!」

 

 

 

 

 

 

 

「ん?アカネか…いらっしゃい」

 

「あら、アカネちゃん」

鳳翔と提督さんだ。

 

 

「ご主人様?そろそろおやつタイムです」

 

「ん…アカネも一緒にどうだ?」

 

 

「え…いいの?」

 

「ああ!いいとも」

 

 

 

 

 

「君の居た世界はどんなところだったんだい?」

 

口の中のクッキーを飲み込んで…紅茶を一口飲んでから言う。

「私の居た世界もここと変わらないよ。海で戦う人がいて…怪物が居て…企む人がいて…」

 

「どの世界も変わらないんだな」

 

「うん…でも結局は殆どが死ぬんだけどね」

 

「その厄災ってのはそんなにか?」

 

「うん、私の大切な人達も死んだよ」

「守る為に…。命あってこそなのにね」

彼女は遠い目で答える。

 

 

「それだけ守りたいものがあったんじゃないか?皆」

 

 

「でも!!残される方は悲しいよ!!」

思わず声を荒げて立ち上がる。

唖然とする皆。

 

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 

「いや、俺の言い方も悪かった」

 

 

 

「まあ…何だ…命懸けで守ったって事は…どうしてもその命を繋ぎたかったんだと思う。その全てを君に託したんだと思う」

 

 

「託した…?」

 

「何を…ってのはわからないけどもね」

 

 

彼女は青ざめた。

「ご、ごめんなさい!私、やっぱり体調悪くて!」

 

 

途端にアカネは泣きながら部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「…大丈夫かな」

 

「その厄災というストレスは相当なのでしょう…」

「世界を渡ってまで……さぞお辛いと思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…最低だ…私。

あんなに優しい人達に…あんな態度…。

 

 

 

そして…私のやったことの重大さを思い出して私は潰されそうになっていた。

 

 

 

コンコン…

とノックが響いた。

 

 

 

「はい」

 

 

「俺だ」

 

 

「提督さん?」

 

 

 

救さんだった。

 

 

 

 

彼は部屋に入ると…

「ごめんな…」と言った。

 

私は…そんなことないよ!と返す。

そして…聞く。

 

「どうしてそこまでしてくれるのか?」と。

 

すると彼は答えた。

 

「ここに居る以上は俺の家族と同じだから…何かあったら頼ってくれ」

と、頭を撫でられた…。

 

 

 

ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。

 

 

「ごめん!?嫌だった!?嫌だよね!?ごめんね!?」

 

「ううん…嬉しくて…」

 

 

 

 

 

それからたくさん色んな話をした。

死にかけたことや死んだことや…たくさん。

あなたの方が苦労してるじゃん…って思った。

 

 

 

「…寝るまででいいからそばにいて欲しい…」

 

 

「何なら一緒に寝ようか?」

 

 

「…それなら安心して寝られるね」

 

「え……」

冗談のつもりだったのだけれども…と救は焦る。

 

「お願い…」

 

 

 

 

 

 

 

その日は2人で寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督さんは次の日に吊るされていた。

ギルティってみんな言ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日して…

楽しいと思い始めた頃に奴は来た。

 

 

 

「…某海域に反応!目視出来たそうです!!」

 

「目標…深海棲艦と接触………瞬殺です!?」

 

 

 

まずはル級とヲ級だった。

自分達に似通った雰囲気でも感じたのだろう。

近づいたところを一瞬だった。

 

 

次に厄災とやらに接近した駆逐艦棲姫らしきものも一瞬でやられた。

 

 

 

「え…?」

 

 

 

 

「なっ…」

私は焦った。

違う…弱ってなんかない!!

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ…このままじゃ!

 

 

 

「よし、引いてはこの世界の脅威にもなるやも知れん!ここで止めなくては!」

 

 

 

「主力部隊ッ!金剛!加賀!武蔵!鳳翔!榛名!初月!桜三笠!」

「直ちに出撃せよ!」

 

 

 

「残りのメンバーも…砲撃支援や補給支援…出撃せよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、私も連れて行って!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督さんと厄災のところへ向かう。

 

やっぱりそうだ…

私の知っているやつと…少し違う!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

厄災は私を見てニヤリと笑った。

 

コイツ…わかってる…。

私を分かってるッ!!

 

 

チラリと艦娘さん達の方を見てさらに笑う。

 

 

 

「この…!!帰って下サーイ!!」

 

 

 

ズドン!!

金剛の主砲が命中する。

 

グラリ…と厄災が傾いて倒れる。

 

 

 

 

 

 

「…いける?」

私がそうポツリと言った時だった。

 

 

「…手応えがないネー…」

金剛さんが言った。

 

 

 

 

 

 

厄災はぬるりと立ち上がった。

そして…

 

金剛めがけて砲撃を行った。

 

「ぐっ!?…こ、こいつ…武装しているデース!?」

 

「まるで艤装だな…」

 

「デカイ上に…武装なんて卑怯だぞ!!」

 

 

 

 

 

 

『……!』

厄災が武蔵を掴んで海に叩きつける。

 

 

「がっ………はぁッ!?」

 

 

 

 

 

「こりゃ…たしかにやべえ奴だな」

 

「武蔵ッ!金剛!大丈夫か!?」

 

「何とか…!!」

 

「くう…油断した」

 

 

 

「…このォ!!」

「くらいなさいッ!!」

 

加賀と桜三笠が攻撃を行う。

 

 

 

 

 

「…あまり効果ないのね」

 

「…悔しいな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…

厄災は大きな手で海をブッ叩いた!

 

ドパァン!!

 

大きな音と衝撃波と波が皆を襲う。

 

 

 

「指揮官様ッ!アカネちゃん!!」

咄嗟に桜赤城が艤装をメンタルモデル化してくれたお陰で何とか俺達は耐えられた。

 

 

 

 

奴の狙いは…他にあった。

 

 

 

ズドォォン!

ズドドドドド!!!

 

体勢を立て直す前に厄災から放たれる一斉掃射。

 

躱す術なく撃ち込まれる皆。

 

「きゃああっー!」

 

「うぐっ…」

 

「がはっ…」

 

 

 

 

 

 

 

「危ないッ!!」

流れ弾が飛んできたのか…

救はアカネを庇って怪我を負う。

 

「…!?提督さん!!」

 

「大丈夫…君が無事ならいいッ…」

 

 

 

 

 

 

 

アカネは立ち上がった。

その光景に絶句した。

まともな傷をつけられた訳ではない。

奴はピンピンしている。

 

 

 

「うそ…」

アカネは絶望の淵に立たされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも彼女達は立ち上がろうとする。

 

 

 

 

「やらせないよッ!!」

比較的に被害の少ない蒼オークランド達後衛がカバーに入る。

 

『……!!』

 

しかし、敵はそれすらも許してくれない。

 

 

ズドォォン!

 

「ぐぁっ…!」

「きゃあ!!」

被弾するメンバー達。

 

 

 

「嫌…勝てないの…?」

 

 

 

 

そんなアカネを尻目に…じわじわと距離を詰める厄災。

 

アカネは叫んだ。

 

 

 

 

 

「やめろおお!!」

 

 

 

「この…返せッ!!私の大切なものを返せッ!!」

 

 

 




お気に入りが670!
ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
のんびりやってきますのでよろしくお願いします!





別の世界から…
奴を追ってやってきたアカネ
そしてピンチのメンバー達。



さてどうなるか?





少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!


感想などお待ちしてます!
ぜひ!よろしくお願いします!

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