提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

273 / 453
ほのぼの日常かいの続き。










267話  太陽ヲ探シテ…   ②

『ハッ…笑わせるな!どーせソイツは死んで仲間になる!無駄なんだよおお』

 

 

 

「…あた……ご、…いかないで…?」 

 

 

 

 

 

「いけえええ!!!愛宕おおお!!麻耶ッ!!鳥海ッ!!」

 

 

 

「許さないッ!!」

 

 

 

 

「「「お前だけは…絶対に許さないッ!!!」」」

 

 

ブチギレた3人の妹が奴を見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「愛宕…ッ!」

 

「お願い…提督ッ!私に力を…ありったけの力を!アイツを消し去るくらいの力を貸してッ!!」

 

 

 

 

腹立たしい!

自分の事のように!!

「あぁ…そんな奴…カケラも残さず消してやれッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛宕  改

 

 

 

足りるもんか!!

 

「もっと…もっとおお!!!!」

 

 

 

 

 

 

愛宕… 改  怒りの超高揚状態(オーバードライブ)

 

バチバチと周囲から音を立てる愛宕。

提督とのシンクロ…それも怒りの感情。

 

 

 

「絶対に…絶対に!!貴様だけは許さないッ!!」

 

 

 

『何だよ…偽「沈めええええ!!!」

 

バキイイイイ!!!!

力任せに殴りつける愛宕。

 

ここまで露骨に怒りを露にした愛宕が居たか?

いや、居ない。

 

そうだ…そりゃそうだ。

あんなこと聞いたら…もう止まらないッ!!

 

 

「アタシらも腹立った…」

 

「やってやりましょう…」

 

 

 

『グッ…舐めるなぁぁあ!!カスがああ!!』

 

ズドォン!!と砲撃が放たれる。

目標は…愛宕。

避ければ…高雄や提督に当たる。

 

 

 

「…………」

愛宕は避けない。

 

『馬鹿め!!死ねええ!!』

 

 

「愛宕!!…任せた!」

 

 

「ええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズン!!!

 

 

 

 

 

 

 

愛宕は砲撃を受け止めた…。それも片手で。

 

「舐めんな…?こっちのセリフよ…」

「その言葉もこの砲撃も…返すわッ!!!!」

 

力任せにそれを投げ返す愛宕。

 

『は?』

 

 

 

ズドオオオン!!!!

 

棲姫に直撃する。

まさか砲撃を片手で受け止めて投げ返すなんて荒技を見ることはあるか?

無いだろうさ。

 

 

 

ズンズンと愛宕が近付いて行く。

 

 

 

 

「…許さないッ!!お前は!!絶対に許さないッ!!!」

 

 

「もう眠って…!!沈んで!!」

「お前にあの人は笑わせないッ!!絶対にッ!!」

 

 

愛宕()(高雄)を思う。

故に負けられない。

愛宕にとっての姉を笑ったから!

全てを奪ったから!!

 

 

 

「…!!!」

高雄は見た。

奴へと進んで行く愛宕の後ろ姿を…。

 

キラ付けが、まるでオーラのように光る彼女。

太陽みたいに…日の光みたいに綺麗な金色の髪。

 

「…アァ…あなた…思い出した…私は…愛宕を……」

 

 

 

 

 

 

『ヒッ…!?』

逃げようとする重巡棲姫。

 

 

「逃さねえよ!」

麻耶が

 

「あなたは…許さない」

鳥海が

 

「絶対に!!」

高雄が

 

「「「くらええええ!!!!」」」

 

姉妹で放つ一撃。

 

 

バカバキバキっ!!!

『ぐぶッ…ガハッ……馬鹿な…!!こんな奴らに!?』

 

 

 

「覚えておきなさい!」

「アンタを倒したのは…高雄型の重巡…アンタが馬鹿にした…姉妹と同じ名前の姉妹よッ!!!!」

 

 

ガシッと奴の顔を掴む。

 

『は、離せぇ…』

 

「離すもんか…絶対に離すもんか!!」

 

 

 

ズドォン!

ゼロ距離で撃つ。

『が…やめ……て』

 

ズドォン!とまた放つ。

『し、死んじゃ………』

 

 

「あの子は死んだわよ」

更に放つ。

『ア……ガ…ッ』

 

 

ズドォン!!!

まだ放つ

ビクンと跳ねた。

 

ズドォン!!

動かなくなった。それでもやめない。

 

手を離して…

ズドォン!ズドォンズドォンズドォン

奴が消し炭になるまで続けた。

 

「うわぁぁあ!!!消えろッ!!消えろッ!消えろおおおおおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前で奴が壊れて行く。

私から全てを奪ったアイツが……

 

「ア…アァ………愛宕…ありがとう」

彼女は元の姿に…いや、深海化が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

「ううう!うわぁぁッ!!!」

それでも怒りが収まらない。

悔しいッ!!悔しくて悔しくて!!憎くて憎くて!!!

 

 

オーバードライブ…。

感情も何もかもが膨大に膨れ上がる。

彼女は無理矢理に改ニやその上の特改にも匹敵する力を使ったのだ…今の彼女は暴走手前でもある。

 

 

 

 

 

「…ダメよ…愛宕」

優しい声がした。

 

 

 

 

 

ハッとした。

振り返ると……高雄が這いながらこちらに手を伸ばしていた。

 

死にそうな自分より人の心配をする…ボロボロの体を引きずって必死に私に呼びかけて手を伸ばす彼女を見た…。

 

「…高雄……」

 

一気にその熱が冷まされた。

 

 

 

私は高雄に向かって走った。

身体中が痛くても知らない。

関係ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ってきた愛宕…。

「高雄…!!」

愛宕は高雄を抱き締めた。

「ごめんね…ごめんね」

 

「おかエり……アたご」

「いいの…仇とっテくれて…ありがとう……」

 

 

 

 

悔しかろう…口惜しかろう

何もできないのも…人に任せるしかないのも…

それでも彼女はありがとうと言った。

 

 

 

愛宕は泣いた。

その愛宕を高雄は崩れながらも…優しく撫でた。

「……思い出した…愛宕…探して……たの」

「もう…この世に居ないけど…」

 

 

 

西波島高雄を含めて…見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煌めくような…太陽のような黄色い髪のあなた。

いつも笑顔で…周りにたくさんの艦娘が居て、彼女達も笑顔で…。

 

やっと思いを伝えて貰った…今からって時に散ったあなた。

大好きなものも何もかもを残して死んだあなた。

 

 

人に全部押し付けて…身勝手に姉を置いて行っちゃったあなた。

 

私の好きな人は…好きな人を失った…。

 

 

 

今はもう居ないあなた。

私の可愛い…可愛い妹…。

 

好きな人も仲間も失った…変える場所も失った。

 

 

お姉ちゃんは頑張りました。

でも…無理だった。

 

謝りたかった…ごめんねと。

 

でも…仇は取ってくれたよ…見たことは無いかも知れないけど…妹2人と…私と同じ名前の子と……あなたと同じ…名前の優しい…

 

 

 

「愛宕ぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛宕は…ここに居ますよ」

 

一瞬…ハッと目を見開いて…ニッコリと笑う愛宕。

「……優しいのネ…アナタ…」

 

 

「…私は愛宕ですよ?高雄の妹です…ならあなたの妹でもあるんです」

 

 

 

「……ごめんね…愛宕…」

彼女は涙を浮かべる。

「あなたの守りたかったもの…守りきれなかったの」

 

「ずっと…ずっと謝りたくて……」

 

 

思い出した…、知っていた。

あなたは本当は…もう居ない事を。

でも…たった一つ、一言謝りたくて居ないあなたを探し続けていたの。

 

その苦労の中で髪が白くなろうと、化け物呼ばわりされようと…

ただ一言、ごめんなさいと言いたかった。

 

 

「大切なもの?」

 

 

高雄はグッと愛宕の服を掴む。

 

「あなたの愛した提督も、仲間も…帰る家も…」

「私は守りきれなかった!!」

 

「あなたの生きた証を…守りきれなかったのッ!!」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい」

ぽろぽろと泣きながら謝る高雄。

 

 

 

 

その手を優しく包んで彼女は言う。

「ずっと探し続けてくれたんですね。ありがとう」

「私は恨んでないわ?」

 

「……」

高雄が何を思うかわかる。

でも…それでも彼女は伝える。

 

「だって…私は愛宕だから」

 

探し続けてくれてありがとう。

恨んで無い…ですよ、と。

 

 

 

 

 

…その一言で救われた気がした。

ありがとう…。

ごめんね…。

 

そんなことさせて……

 

 

 

 

 

 

 

「どうかゆっくり休んでください」

  

 

 

 

 

 

彼女にいつもの陽気な感じは無かった。

ただ1人の彼女の為に。

愛宕は慈しむように彼女に膝を貸して頭を撫でる。

彼女の命の灯火が消えて海に還るその時まで…。

 

 

 

 

 

「…ねえ……愛宕?」

 

「なあに?」

 

「最期…に…眠りに落ちるまで…そばに居て?」

 

「うん、居るわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛宕?」

 

「ん?」

 

「どこにも行かないでね?」

 

「もちろんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉は妹を呼ぶ。

 

「愛宕?」

 

「なあに?」

 

「良かった…まだ居てくれるのね」

 

その存在を噛み締めるように確かめる。

 

「居るわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹は姉を呼ぶ。

 

「高雄?」

 

「……なあ…に?」

 

「呼んだだけ…」

 

懐かしい記憶に少しでも浸れるように。

 

「ふふっ…愛宕ら…しいや…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛宕……?」

 

「なあに?」

 

「何か言って…?」

 

「ぱんぱかぱーん!愛宕です♪」じわりじわりと涙が溢れてくる。

 

「…可愛いわね……愛宕は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あた…ご?」

 

「なあに?」

 

「好きな人は……居る?」

 

 

 

「ええ…」

 

「どんな人?」

 

彼女はチラリと横を見る。

「無茶ばかりする人なんだけど…優しくて…人の為に泣けて…」

「私達皆の事を愛してくれる…素敵な人」

 

「そう…」

と高雄は答えた。

 

「ふふ…きっと…素敵…な人でしょうね」

ええ、と愛宕は答える。

 

「…あなたなら守り抜けるわ…きっと」

「私みたいになっちゃダメよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あた…ご?」

 

「…なあに?」

 

「妹…大切にね?」

「それと………」

 

 

 

姉は言う。

妹へ向けてか…愛宕に向けてか…

それは彼女だけが知る事であるが、彼女は言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ありがとう」

 

「…提…督さんも…ありがと」

 

 

 

 

「…ッ!……いえいえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん」

 

「……」

 

「お姉ちゃん?」

 

「…………」

 

「……………」

 

 

「…ッ!愛宕?まさか……」

隣に居た。 救が声を掛ける…が、愛宕は人差し指を口に当ててシーっと言う。

少し涙を浮かべた笑顔で。

 

「だめよぉ…今から眠るところなんだから…」

「たくさん自分を責めて…辛い思いをして…きたんだから静かに寝させてあげて…」

声が震える。泣いちゃダメだ…ダメなのに…。

 

「ああ……」

 

「提督?…お願い、手を握ってあげて……」

 

「ん?ああ…」

 

 

救は手を握った。

 

悲しい生き方もしただろう。

たくさんの後悔の中で生きたのだろう。

それでも…ずっとずっと謝る為に居ない筈の妹を探し続けた

精一杯生きた高雄。

まだほんの少し温もりのある手は…微かにその手を握り返した気がした。

 

 

命の消える瞬間…。

それは慣れる事はない。

 

 

 

彼女は眠った。

その顔は…今まで見た中で1番安らいでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん…」

「おやすみ………」

 

 

 

『おやすみ…高雄』

どこかからか微かに声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

『ありがとう…愛宕』

そう言った気が…した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……2人でゆっくり休んでね」

 

 

 

すうっと…彼女は光になって消えてゆく。

その笑顔のまま…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お疲れ様…愛宕」

 

愛宕は飛び込んできた。

「…えぐっ…グスッ…うわぁあああ!!!」

「提督!提督ううう!!」

 

止めどなく出る涙が止まらない。

自分のやったことは正しかったのか?

他にできることはなかったか?

考えれば考える程に辛くなる。

 

 

 

 

 

違うと知っても私に謝った彼女。

ごめんなさい。

こちらこそごめんなさい。

 

 

 

「…あの安らかな顔見たらわかるよ…」

「君に出会えて良かったと思ってるはずさ」

 

 

「…優しいのね……提督」

 

「もう少しこのまま居るよ」

 

「ええ…お願い…」

彼女はずっと…その胸で泣き続けた。

姉を思って…の愛宕…として…。

先輩艦…として…か。

それでもその優しさはきっと伝わった筈なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お姉ちゃん…本当に…こんなになるまで…』

 

『来てくれたんだ…愛宕…ごめんなさい…私!!』

 

『ありがとう…お姉ちゃん…』

 

2人で抱き合う。

姉妹は泣きながら抱き合う。

肉体から解き放たれて…魂となってようやく巡り会えた2人。

 

 

『いい鎮守府に来られて良かったわね』

 

『ええ…本当にありがとう……』

 

 

『みんな待ってるよ…?』

 

 

『ああ…ああ!!』

 

皆…お待たせ……

やっと会えた…

やっと…旅が終わるんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛宕!あれ!」

西波島の高雄が愛宕に言う。

 

「………!!!」

 

光が天に昇る。

 

分かる…あの姉妹や仲間なんだろう。

会えたんだね?

言えたんだね?

伝わったんだね?

 

 

良かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高雄〜?」

 

「何?愛宕」

 

「大好きよ!!」

と、姉に抱きつく愛宕。

 

「……急にどうしたの!?」

 

「…伝えたくて」

 

「…私も大好きよ!太陽みたいな大きな妹ちゃん!」

 

 

「なっ!?大きい!?どこが!!」

 

「…全体的に?」

 

「はああああ!?」

愛宕は少し表情が豊かになった気はする。

 

「またやってら…」

麻耶が笑う。

 

「…まったく…」

と、鳥海も笑う。

 

 

2人も姉2人に飛び込んで行く。

楽しそうな姉妹。

私が太陽であるから…皆を温めるから

そんな日がずっと続きますようにと思う愛宕だった。

 




少しでも…
お楽しみ頂けたなら幸いです。


感想などお待ちしてます!
ぜひぜひ!お願い!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。