提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
吹雪達の決着…
それすらも気付かない戦闘を繰り広げる2人がいた。
猛長門と陸奥が対峙する。
砲撃に殴り合い。
鬼気迫るとしか言いようのない戦いが目の前にあった。
「ぬおおおおおおっ!!」
「はぁぁぁあッ!!」
猛長門の拳を受け流して顔面に拳をぶち込む陸奥。
メキッ…
「…ぐっ……このおおお!!!」
顔面に食らいながら踏ん張り、ボディーブローを叩き込む。
ドゴッ…
「ぐぅ…」
距離をとって砲撃戦に移行する。
「「うおお!!!」」
放たれる砲弾がぶつかり合い爆発を起こす。
「ぐっ!!」
「きゃあ!!」
爆風で仰反る2人。
体勢を立て直す猛長門。
「強い……だが!ー…なっ!?!?」
陸奥がその爆風を突き抜けて現れる。
「くっ!!」
猛長門が一瞬遅れて蹴りを繰り出す。
が、陸奥はしゃがみ込み回避する!そして…
「そこおおおおお!!!」
ボディに渾身のストレートを叩き込む!!
ドゴッ…メキメキメキ…
「ぐっ…耐えられない…だと?!…がはぁ!!!」
耐え忍ぶことも能わず、猛長門は吹き飛ばされる。
「ぐっ…がっ……がっ」
何度も海面に叩きつけられながら体勢を立て直す。
「…硬いな…陸奥…!」
「タフね…あなた…」
2人がニヤリと笑う。
砲撃を砲撃で迎撃し、拳を脚を受け止めて…
「やるな…陸奥ッ!!」
「猛武蔵も…ね!!」
「だが!私は負けられないッ!!」
「あの日からずっと後悔したんだ!!」
「負けられないッ!!」
猛長門は後悔していた。
あの日に自分の愚行で輝かしい名前に泥を塗った事を。
その自分で塗った泥を雪ぐべく努力した。
「私だって負けられないのよッ!!」
陸奥にも意地がある。
あの人に勝利を…!
他の艦娘達にも負けたくないッ!!
ズドォン!!
ズドォン!!!
両者の拳が頬に当たる。
「「がっ……」」
両者の実力はほぼ拮抗していた。
挟射からの…
着弾観測射撃ー!!
猛長門が渾身の一撃を放つ。
その時、挟射の際に陸奥に跳ねた水飛沫が目に飛んだ。
「ぐ…まずいわ!視界が…」
それが陸奥にとって最大の敵となった。
ズドォン!!
「きゃぁあ!!」
被弾する陸奥。
だが彼女は耐える。
「…そこだぁぁあ!!!」
チャンスを逃さない猛長門、一気に斉射で勝負を掛ける!!
「くっ…こんな…」
ヨロヨロとする陸奥…悔しいが、今はそんな事を言ってる場合ではない。
残りは?どこから?
いや!
躱せないと分かるなら…やる事は一つ!残りの弾薬が到達するまでに出来ること…。
それは!1発でも多く相手にブチ込むことッ!!!
相手に臨みながら倒れこみながら…一気に放つッ!!
「猛長門ッ!!食らいなさいッ!!ええええええい!!!!!!」
ズドン!ズドォン!ズドォン!!!
「しまっ……」
猛長門は焦る。
転びながら、受けの体勢よりも撃つ事を優先させたのに驚く。
反射的に手が出るはずなのだ!
だが、陸奥は己が海面に顔をつけることよりも…私を撃つ事を…!!
ズドォン!
「ぐっ!?あの状態からで?!ぐあ!?ぐああっ!!」ズドォン!!ズドォンーー!!
見事に猛長門に命中させた。
斉射しながら陸奥は考える。
「体勢を立て直して…さて…耐えられるかしら…」
ぐっと堪える体勢に入る陸奥…。
ズドォン!ドカン!ドカン!!
「ぐううううっ!!!」
陸奥…大破認定 続行不可
「轟沈では無いけれども……悔しいけど私の負け…ね」
目の前の長門は中破認定にとどまった。
「……」
ドン…と陸奥を気絶させる猛長門。
奴は強かった。
油断…だな…撃たれるはずがないと言う油断…。
「…強いな…リシュリューだったか?」
「軍神様だっけ?光栄だわ?あなたにそう言われると」
「私も居るぞ…」
見ると中破状態の猛長門。
「……これ以上は無理ね…ごめんなさい」
気が付いた陸奥が救護班に運ばれて行くのが見えた。
「ふむ…2人相手か……なら…よし…
「?」
艤装を外した桜三笠。
「艤装を外した…?」
次の瞬間
ドン
ドゴォォッ!
「か…はッ!?」
猛リシュリューも猛長門も何が起こったか理解するのに時間がかかった。
殴られたと気付いた時には猛武蔵は遥か後方に吹き飛ばされていたから。
単純な話だった。
桜三笠が猛長門を殴り飛ばしていた。
「ガッ……ぐっ……うっ」
何度も何度も…陸奥の時以上に海面を飛び石のように転げ回る猛長門。
「……が………は」
猛長門…轟沈判定。
ゾクリ…
猛リシュリューは戦慄した。
「一撃で…中破状態からとは言え…轟沈判定まで…のダメージだと?」
正直舐めていたところはある。
所詮は…前弩級型だと。
だが彼女は思い知る事となる、
その彼女が…何故あの鎮守府で総旗艦を担っていたか…。
飾りでは無い。
それだけの実力があるから。
確かに武装には心許ないものもある…だが!
彼女は被弾しない。
そして……それを補う強さがあった。
殴り合いなら金剛にも匹敵するその強さを…肌で感じる事になる。
戦場において武器を放棄することは即ち死を意味する。
故に彼女は極限までは艤装で戦う…筈だが
彼女はそれを置く。
何故なら…その方が強くて早いから。
「やはり…こっちの方が少ししっくりくるな…変な話だがな」
「私の拳は…痛いぞ?」
「くっ!」
当たらない。
当たらない!
当たらない!!!!
どれだけ攻撃を繰り出そうと当たらない。
私は猛武蔵と並ぶ強さなのに!!
こんな…手玉に取られるなんて!!
「……甘く見ない事だ…」
「海は広いんだ…お主よりも強い奴はごまんと居るッ!!」
「今のお主の目の前の我が…その1人だッ!!」
ドゴォッ!!!
リシュリューは思い出す。
あの時と同じ…。
猛武蔵と戦った時と同じ…!!
海面に叩きつけられ…上空に跳ねる。
………ッ!高い!猛武蔵の時よりも高くて…痛いッ!!
「おおおおおおおッ!!」
バキイイイイッ!!!!
そのまま…桜三笠はリシュリューを殴り抜いた。
ボッ!という音と共にリシュリューは飛ばされた。
「…行くぜ!金剛さん!!俺は強くなったんだ!もう負けね…」
西波島の金剛と蒼オークランドに対峙する3人のところにリシュリューが吹っ飛ばされて来た。
一斉に桜三笠を見る。
「ふむ…これで良いな?」と笑う桜三笠。
ゾワリ…と3人は悪寒を感じ取って構える。
「……」
だが、桜三笠は腕を組んだまま動かない。
「金剛ッ!!蒼オークランドッ!!」
「後はお前達だッ!!行け!」
猛武蔵はハッとする。
そうだ!目の前の敵に集中しなくては…!!
視線を戻すと、同じく腕組みをした2人が口を開く。
「今の間に…倒せてますヨ」
「うん、私たちが相手なんだから…」
続きます!
少しでもお楽しみ頂ければ幸いです!
感想など頂けたらとても嬉しいです(๑╹ω╹๑ )