提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「……すまなかった」
猛武蔵は素直に頭を下げた。
そうだ、3人が桜三笠を見る間に少なくとも1人はやられていた。
「…こう言っては何だが…2人でいいのか?」
「「全然」」
「ならやろうか!!」
「よし!!」と猛武蔵が構えた瞬間だった。
既に金剛の拳が顔面に突き刺さっていた。
「ガッ…」
「貰いマース!!」
は、早すぎるッ!!
以前よりも何倍も速く…鋭くなっているッ!!
が!!
「私とて…ただ座っていた訳では…ないッ!!」
喰らいながらも渾身のストレートを見舞う。
ガン!!と、鈍い音がする。
ズキッ…
「ーッ!!」
金剛の頭は硬かった。
「金剛は伊達じゃないデース」
「石頭…か…」
「なら…やれ!猛天龍ッ!!!!」
「よっしゃぁあ!!行くぜぇ!金剛さん!!」
猛天龍が刀を構えて突っ込んで来る。
「むっ…これは…マズいデース」
が、逃れられないッ!
「逃さんッ!!」
猛武蔵が両手をグッと掴んで離さない。
「貰ったぞ!金ごー…」
猛武蔵は見る。
ニヤリと笑った金剛を!!
「ちぇぇりぁぁぁあああ!!」
ガツン…!!
と、頭に鈍痛が走る。
頭突き……!?
刀を振り翳した相手を背にしながら…!?
「……なっ!?」
猛武蔵はその手を離してしまった…そして!それを見逃す金剛ではない。
「こおおおれでも!喰らえええええ!!」
猛武蔵を掴んで猛天龍目掛けて投げ飛ばす。
「…うおおおお!–って!?猛武蔵サン!?ぐわああっ!」
猛天龍は飛んできた彼女を躱すことも斬ることも出来ず、激突する。
「デタラメじゃないか…」
立ち上がりながら2人が呟く。
「これが…西波島最強の艦娘…」
「はっ!猛金剛は!?」
「…くう……」
「何よ…あの力は」
いてて…と体勢を立て直す蒼オークランド。
『…代わるか?』
と、話し掛ける赤…だが、「まだ大丈夫…!私が頑張るんだ!」と、笑う蒼オークランド。
「まだ…まだぁあ!!」
魚雷を放ちながら副砲を片手に駆ける蒼オークランド。
「…くっ!素早い…ですね!」
どれも防ぐつもりの猛金剛。
ドカン!ドカン!ガキキキキキキキン!魚雷を撃ち爆ぜさせて、装甲の硬い部分で副砲を受ける。
「まだまだ…私はいけます!」
だが!!そのどれもがブラフだった!
「…ッ!?オークランドが…居ない!?」
一瞬の隙…それを彼女は狙った。
姿を視認できない…それがどれほどの致命傷かは先程味わった…
2回目の致命傷ッ!
「くらえええ!!!」
ズドォン!!と、蒼オークランドの主砲が猛金剛にブチ当る!!
「…ぐっ!!」
だが!!まだ終わらない!
「まだまだぁぁ!!!」
そのまま…回し蹴りをブチ込む!!
ドゴッ…!
「ぐうううっ!!」
が!!
「…それじゃ…私は倒れません!倒れる訳には行かないッ!!」
「ッ!!?」
ゼロ距離ーからの主砲での一撃!!
ズドオオオオオン!!!!!
「………」
シュウウウ…と言う音と共に白目を剥いた蒼オークランドが膝をつく。
『相手の実力を見誤ったな…』
「うう…行けると思ったのに…」
『奴は強いな……』
「悔しいなあ……指揮官に勝利を…捧げたかったなあ…」
『……』
『なら立て!弱者には…何も語る資格なぞないぞ!』
『大破だからなんだ!まだ終わっていないッ』
『立て!』
『立て!』
立てと言う。
立たなきゃ!
「…ぐっ…まだァ……だ」
「…!?」
猛金剛は戦慄した。
確実に仕留めた!重巡や戦艦なら仕留めきれないとしても…
それでも…確実に仕留めた筈なんだッ!!
なのに目の前のソレは…フラフラと立ち上がったのだ。
「指揮…官に……勝利を…」
指揮官に勝利を!
指揮官に…勝利をッ!!!
ギン…と彼女の目に炎が宿った。
「負けない…!」
一歩…
「負けないッ!!」
一歩…
「…ッ!!」
体が動かないッ!!
恐怖?!この震えも…恐怖してると言うの!?
一歩ずつこちらに向かう蒼オークランドに凄みやら恐怖やらを感じたが…
蒼オークランドは動かなくなった…。
「………」
「恐ろしかった…アレは…ゾクッと…?まだ鳥肌がおさまらない…??」
『代われッ!オークランド!』
「…うん、お願い…」
ドバッ…と蒼オークランドが赤いオーラを纏って赤と入れ替わる。
『…ラウンド2だ…』
「…!!」
鳥肌の正体は…この子!?
禍々しい艤装に漂うオーラ。
『指揮官ッ!!やはり刀…使うぞ!!』
『全力で挑ませろッ!!』
「そうだな…全力でないと失礼だよな!!行けッ!!赤!!」
『ふっ…頼れ…』
「オー…赤…共闘は初めてデース?」
『ふむ…そうだな?センパイよ…共にあの3人を倒そうではないか!』
「…」
わかる…あの2人は…ヤバい!
3人は感じる。何とも言えない底の見えない感じ…。
『行くぞッ!!おもちゃみたいだが…侮るなよ!』
赤が艦爆を発艦させる。
到底、皆が見る艦載機には見えないが…れっきとしたものである。
「姿が変わったら…空まで扱うのかよッ!!」
『そらそら!魚雷もレーザーもあるぞ!!』
異質…である。
艦載機で攻撃して魚雷を放つ軽巡…。
赤ならではである故に1人でも強大な戦力となる。
「チィっ!!なら!接近なら!!」
と、猛天龍が近一気に付く!!
『遅いっッ!!』
音もなかった。
もう天龍は一閃の下に下された。
「なっ……一撃で……轟沈反対…だと…」
「バーニング……」
「ラァブッ!!!!」
「負けるかァッ!!」
ドゴッ…
両者の拳がぶつかり合う…!
「「ぬおあああああぁぁぁあああッ!!!」」
「ぬううううっッ!!」
「うおおおおッ!!」
メキメキと音がする。
それでも拳を引かない。
「「負けるもんか」」
ただ、それだけの為にッ!!
「おおおおおおおおおッ!!」
「バーニング…」
「ラァブッ!!!」
金剛は拳を引いた…。
「ぬうっ!?」
ズルリと前のめりになる猛武蔵…。
「もっかい…」
「ばぁぁあにん…」
「らぁぁぁぁああぶッッ!!!」
ドゴォォッ!!
金剛のアッパーが猛武蔵の顎を捕らえた。
「ぶぅぅぅうううううあああああああッ!!!」
そして…そのまま勝利のポーズのように拳を上に振り抜いた。
「…………」
負けるのか…?体が動かない…
いや!まだだッ!!まだ…まだ
「まだだァァァア!!!」
カッと目を見開く猛武蔵。
目の前に金剛が居た。
右手を大きく振りかぶって居た。
合わせて飛んできたのだ。
「猛武蔵は強いデース…でも私も負けられないデース!…この渾身の一撃で…フィニッシュよー!!」
遠い…
コレが…最強と言われる鎮守府の…
ドゴォォオオオオオ!!!
金剛の拳は猛武蔵を海面まで叩きつけた。
「そこまでーーー!!!」
赤がチラリと金剛達の方を見る。
『……ふむ…金剛が勝ったか…』
「…私達の負けですか……」
『あぁ…そうだ。だが…蒼オークランドはお前に負けた…』
『猛金剛…蒼オークランドは次はお前に勝つ…』
「…確かに…彼女の最後の立ち上がりには…私も恐怖したわ…」
『アイツもアイツであの男の為に戦ったんだ…』
桜加賀 桜三笠 赤 小破未満
金剛 小破
吹雪 大破 続行不可
蒼オークランド 大破、半轟沈判定
陸奥 大破轟沈判定
猛武蔵 中破
猛武蔵 猛天龍 猛長門
猛響 猛電 猛リシュリュー 轟沈判定
演習は終わった。
西波島は3名の大破、轟沈の判定だった。
「……お疲れ様」
「…みんなあ…お疲れ様」
皆で演習組を迎えに行く。
「どうだった?皆、猛武は?」
「…強かった…」
「…悔しい…次は…勝つよ」
陸奥や蒼オークランドが言う。
余程悔しかったのだろう…その気持ちが彼女達をより強くするだろう。
「どうだった?救君の艦隊は」
「…強かった…」
「でも!」
「…もっと強くなる…」
「…次は負けんっ」
悔しそうな顔をしている者も
嬉しそうな顔をしている者も…
彼女達は精一杯やったんだ。
皆がニコリと笑いながらこちらを見るのが見えた。
「麗ちゃん…」
「なあに?」
「皆いい顔してんな」
「うん…」
さて…終わった後は?
何する?
はい、今回は西波島に軍配が上がりました。
もう、三笠1人でもいいんじゃね?なんて思う今日。
次回はまたまた別のお話。
ぜひ…お楽しみにお願いします(๑╹ω╹๑ )