提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
とあるお昼の執務室。
「ガジガジ」
「…あの」
「ぐるるる」
「夕立さん?頭を齧るのをやめて貰ってもいいかな?」
そう…俺は今、夕立に噛みつかれてます。
「夕立は怒ってます」
「何に?」
「わからないっぽい!?」
「うん……」
「嫁回遅くない?最初から出てるのに遅くない?」
「忘れられてるのかと思っちゃうっぽい!!」
「艦これったら私でしょ?」
「メタはやめましょうね?」
「
「だからメタはやめて下さいッ!!」
「ともかく!今日の夜と明日はたくさん構って欲しい…な」
「急にしおらしくなった…だと!?」
夕立は犬…それも子供っぽい感じ。
気がつくと近くに居る。
地雷原への言葉の誘導も夕立が60%ではあるが、改ニ以降は少し大人びたというか…少し落ち着いた気がする。
その夕立はモジモジとしながらではなく、気まずそうに言った。
「でも、その前に……ねえ?提督さん?」
「ん?」
「ずっと謝りたかった事があるの」
「何だい?お菓子勝手に食べた?ジュースかな?」
「う…それもだけど…」
「ユウダチとの闘いの時…私1人くらい居なくたって明日はやってくるって言った事……」
以前に夕立は、ユウダチと決着…いや、彼女を救うべく自らの命を省みずに出撃しようとして俺と口論になった。
先ほどのセリフはその時に彼女から出た言葉だった。
「……ぽいい…」
「ごめんなさい!…提督さんの気持ちを考えずにあんなこと言って……ごめんなさい!」
彼女はやっと言えた…とばかりに安堵から涙を流す。
だが…その涙は不安の涙に変わる。
もし…許してくれなかったら?
幻滅されていたら?
夕立は怖くて顔を上げられなかった。
「…夕立?」
呼び掛けてもプルプルと肩を震わせて頭を下げている。
ずっとで思い詰めて居たのだろうか?
日に日に大きくなる不安は、後悔はきっと彼女に重くのしかかっていたのだろう…。
どれだけ明るく振る舞おうとも、どれだけ見てみぬふりをしようとも…ソレは背中から離れない。
罪悪感は一度抱いたらずっと…離れない。
「夕立…」
トン…と肩に手を置く。
ビクン…と体がはねる。
「……」
キュッと瞑った目を開きたくても開けない。
怖くて怖くて仕方ない。
大好きな提督さん。
私の為に怒ってくれた提督さん…。
時雨を虐める大石提督に縋りついていた私を助けてくれた…大好きな人。
本当に大好きなんだ…。
あなたの為なら…死ぬ事だって怖くない。
あなたの居ない明日の方が怖い。
なのに言ってしまった。
アレは嘘ですなんて言わない、本心だった。
……
肩に手が置かれた…。
ビクンと体が跳ねてしまった。
怖い…何を言われるのか…怖い…。
抱き締められた。
「気にしてないぞ?」
「まあ…寂しかったけど…その後ちゃんと分かってくれたし…」
「怒ってない」
「作戦で指輪を渡した訳でもない」
「俺の意思で渡したんだ」
「…………」
「君の事を…愛してるから」
「提督さん…」
「ありがとう…っぽい」
「ただ…お菓子やジュースの件は別だがな…」
提督さんの目が怪しく光ります。
「あ…」
「無くなってたんだよなあ…プリンが……」
「ひゅーひゅー」
「口笛も吹けてないぞう?」
「お、美味しそうだったので…つい」
「つい?」
「つい…」
「で…4つも?食べちゃう?」
「美味しくて……あう…ぽぃ」
「ギルティ〜〜」
「ひえっ!?」
逃げ出そうとする夕立であるが…無理だ。
なぜなら抱き締められてるから…。
「ぽ…ぽぃぃ……暴力は反対…ぽぃ…」
「大丈夫……」
「暴力ではないから…」
「ぽ!?!?ぽいいいいい!!!!!!!」
それはそれは口に出すことも憚れる罰。
夕立の断末魔が響いたそうな。
「もう…お嫁に行けないっぽい」
「あ!でもケッコンしてるから問題ないっぽい」
「まだ元気だな?」
夕立回です!
少しでもお楽しみ頂けたら幸いです!
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