提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
朝ご飯の仕上げ前から考え込む…。
「………ぽぃ…」
朝からオムライスは…重くないだろうか?
あの人が好きだと言うオムライスを作った。
前にかなり褒められたので、それが嬉しくて嬉しくて…。
お昼はお出かけした先で食べたいし…。
夜は…あの人のカレーが食べたいとお願いしている。でも、やっぱりまた褒められたくて作ったオムライス。
「うーーーん…」
朝からオムライスは重いって言われるかな?
ううん、きっとそう思っても提督さんはそう言わないだろう。
捨てたカレーを食べるような人だ…ここで捨てても意味はない。
比叡さんも「重くない?」って言ってたケド…比叡さんも足柄さんも朝からカレーやらカツから出すもん。
日頃から提督さんには感謝している。
飛びついても怒らずによしよししてくれる。
少し辛い時には隣にずっと黙って座ってくれる。
私が…酷いこと言っても……優しく包んでくれる。
目の前に立って真っ向から叱ってくれる。
私は…そんな提督さんが大好きだ。
「おはよう…ぽい」
「ご飯…できてるよ」
「…おはよう…」
ドキドキする…
「今日の朝ご飯は……朝ご飯は……
「お?夕立のオムライスの匂いがするな?オムライスか?」
「…ぽい」
キツい?
私は…きっとバk「食べたかったんだ!ありがとう!」
「朝から重くない?」
「何を言うか!好きなものはいつでも食べられるぞ?!」
ニコリと言う提督さん。
「あ…でも……」
耳元でコソリと言う。
「あまり夜中に食べてると間宮達に怒られる…」
ニコニコと朝からオムライスを頬張る提督さん。
美味しそうに食べてくれるその姿はとても見ていて幸せになる。
「夕立のオムライスは美味いなあ…」
「ありがとう…」
少し照れながら返す。
その顔を見られるだけでとても嬉しいっぽい。
街に行く時も腕を組んで引っ付いて…。
それほどに好き?と聞かれたら迷わず、うんと答えられる。
スイーツも…買い物も…
姉妹や吹雪達と巡るのも大好き!
でも…どれだけ甘いスイーツの味すらも忘れるくらいに…
あなたとのこの時間がたまらなく愛しい…。
そんな時…
「んあ?チャラ男の提督さんじゃないっすか!」
「噂通り…女連れですかー?」
「公務もせずに…デートなんて…」
「早く海を取り戻してくださいよー?」
ケラケラと笑う馬鹿ども。
「行こう」と相手にしない提督さん。
何で?何で何も言わないの?
馬鹿にされるのが悔しくないの?
あなたはそんな事言われる人じゃないよ?
手を引っ張る提督さんに彼らはまだ言葉を投げつける。
「逃げんなよ腰抜け」
「女に戦わせて…自分は逃げんのかよ」
我慢できなかった。
「バカにするな…ッ」
「夕立の提督さんをバカにするなッ!!!」
紅い目をギラつかせて睨みながら叫ぶ。
「この人がどれだけ辛い思いをしながら今日まで戦ってきたかも…何も知らないクセにッ…」
「一生懸命…私達の為に作戦を立ててくれてるんだ」
ダメだ…
泣いたら負けなのに…
「何も…ぐすっ…知らないくせに……ゆーだちの好きな人を…バカにするなぁ……」
悔しい…
こんな奴らすぐに倒せるのに…
何もできないのが悔しい…。
「あああああっ!!」
艤装を展開出来れば…
でもダメだ!!
それは提督さんに迷惑がかかる。
「泣いてムキになって…バカじゃねえの?」
ケラケラと笑う男。
「ありがとう」
提督さんは言います。
「でも…でも!」
「……お前ら…笑ったな?」
「俺の大切な人を馬鹿にして笑ったな?」
「…え?」
「俺の事は構わん!だが…彼女達の事なら話は別だ!」
提督さんはその男達を……のはずだったのだが…
「オウ…救ちゃんと夕立ちゃんに文句か?」
「俺らの街のヒーローに…イチャモンか?」
ぞろぞろと集まってくる市民達。
男でも「ヒッ…」とか言うのねと思った。
「提督ちゃん!こいつらはオレ達がシメとくからよ!デート楽しんできてくれや」
「提督さん……」
「夕立?」
「何で黙ってるっぽい?!夕立は…悔しいよ」
「大好きな人が馬鹿にされるのは悔しいよ!あんな奴等…守るなんて……」
絶対に負けないのに…と言う言葉を飲み込む。
「ケンカしても負けないのに…てか?」
「……ぽい」
「でも俺の代わりに怒ってくれた…」
「そりゃ…愛してる人っぽい!泣くほど悔しくて仕方ないぽい!」
ぎゅっと抱き寄せられる。
「ありがとう…な」
「……」
「お前が怒ってくれたから…俺は嬉しいんだ」
ゆるしてくれないか?と提督さんは言う。
「ちぅ…してくれないと…許さないっぽい!ヘタレ提督さん…」
「……」
ヘタレ…ねえと呟きながら彼は私の肩に手を伸ばして…キスした。
「ありがとう…提督さん」
「あの時…私達を助けてくれてありがとう。ずっと側に居てくれてありがとう。支えてくれて、叱ってくれて…ずっと愛してくれてありがとう」
「どんな時でも…提督さんが居たから頑張れた。ずっと…ずーっと辛くても提督さんのおかげで雨も止んだの」
「提督さんの夕立で良かった…」
「もう…私の命は提督さんと共にあるから…」
「さみしい時には甘えさせてください」
「撫で撫でして欲しいけど…黙って側に居てくれるだけでもいいっぽい」
「不束者ですが…夕立を………幸せにしてください」
「今も幸せだけど……もっとあなたとの幸せを夕立にください」
暴力の冷たい手じゃない…。
愛情の温かい手…。
夕立は救の手を取り頬擦りする。
この手が…好き。
そして…
ガブリと噛み付いた。
「ホワッ!?」
驚く救。
ぽ犬に噛まれるとは!!
「ゆーだちのものっぽい!」
「マーキングなんて……後が怖いぞ…?」
「今は夕立が奥さんっぽい」
「カレー♪カレー♪ていっとくさんのっカレー♪」
「そんなに嬉しいか?」
「ぽい!」
「そう言われるとこっちも嬉しいな」
「頂きまぁす!」
「しあわせえ〜ぽい〜♡」
「提督さんは…旦那さんはそろそろ知るべきっぽい!いかにカレーが素晴らしいかを…」
一口一口が幸せを運んでくる。
この時のカレーだけは味が伝わってくる。
ドキドキと幸せと…の味。
「あのね?旦那さん」
私はゴソゴソとカバンを漁る。
「はい」
夕立が差し出した小さな箱。
「開けても?」
「…ぽい」
箱の中にはメッセージカードが…。
「大好き」
そう大きく、一言書かれたカードが。
そしてその下には…。
夕立とお揃いの花型のピンズ。
「…夕立…」
「は、恥ずかしいからあまり見ないで?」
「ピンはお揃い…ぽい…良かったら…ううん、是非つけて欲しいっぽい…」
「ありがとう…」
と、さっそく着ける。
「似合う?」
「可愛いっぽい!」
彼は知っていた…たまたま知っただけではあるが…
コツコツとお小遣い…もとい、給料を貯めていた事。
銀細工のお店に何度も通って作ったこと。
失敗を重ねても重ねても…何度も諦めずに、お金が掛かろうとも納得のいくお揃いを作ろうとしていたこと。
「俺もコレ…」
彼もまた、初めてやった手編みのマフラーを渡す。
鳳翔達に聞きながら一生懸命に編んだもの。
そんな彼女の為に寸暇を惜しんで作り上げたもの。
「ぽ…い」
お互いにお互いの愛情を確かめ合うように引っ付いた。
夕立は嬉しくて泣いた。
胸が張り裂けそうな程に嬉しかった。
首に巻いたマフラーは…どんな寒空の中でもきっとあったかいだろうと思った…。
「あら?夕立ちゃん…どうしたの?そのマフラー」
鳳翔さんがニコニコと問いかけてくる。
無論、鳳翔はその出所を知っている。
「提督さんからのプレゼントっぽい!」
「良かったわね〜。とってもあったかそう」
彼女は満面の笑みで言う。
「ぽい!!」
夕立…
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