提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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277話 夕立と1日夫婦 ②

朝ご飯の仕上げ前から考え込む…。

 

「………ぽぃ…」

朝からオムライスは…重くないだろうか?

 

あの人が好きだと言うオムライスを作った。

前にかなり褒められたので、それが嬉しくて嬉しくて…。

 

お昼はお出かけした先で食べたいし…。

夜は…あの人のカレーが食べたいとお願いしている。でも、やっぱりまた褒められたくて作ったオムライス。

 

「うーーーん…」

 

朝からオムライスは重いって言われるかな?

ううん、きっとそう思っても提督さんはそう言わないだろう。

捨てたカレーを食べるような人だ…ここで捨てても意味はない。

 

比叡さんも「重くない?」って言ってたケド…比叡さんも足柄さんも朝からカレーやらカツから出すもん。

 

 

日頃から提督さんには感謝している。

飛びついても怒らずによしよししてくれる。

少し辛い時には隣にずっと黙って座ってくれる。

 

私が…酷いこと言っても……優しく包んでくれる。

目の前に立って真っ向から叱ってくれる。

 

私は…そんな提督さんが大好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう…ぽい」

「ご飯…できてるよ」

 

 

「…おはよう…」

 

ドキドキする…

「今日の朝ご飯は……朝ご飯は……

 

「お?夕立のオムライスの匂いがするな?オムライスか?」

 

「…ぽい」

キツい?

私は…きっとバk「食べたかったんだ!ありがとう!」

 

 

「朝から重くない?」

 

 

「何を言うか!好きなものはいつでも食べられるぞ?!」

ニコリと言う提督さん。

「あ…でも……」

耳元でコソリと言う。

 

「あまり夜中に食べてると間宮達に怒られる…」

 

 

ニコニコと朝からオムライスを頬張る提督さん。

美味しそうに食べてくれるその姿はとても見ていて幸せになる。

 

「夕立のオムライスは美味いなあ…」

 

「ありがとう…」

少し照れながら返す。

その顔を見られるだけでとても嬉しいっぽい。

 

 

 

 

街に行く時も腕を組んで引っ付いて…。

 

それほどに好き?と聞かれたら迷わず、うんと答えられる。

 

 

スイーツも…買い物も…

姉妹や吹雪達と巡るのも大好き!

 

でも…どれだけ甘いスイーツの味すらも忘れるくらいに…

あなたとのこの時間がたまらなく愛しい…。

 

 

 

 

そんな時…

 

 

「んあ?チャラ男の提督さんじゃないっすか!」

 

「噂通り…女連れですかー?」

 

「公務もせずに…デートなんて…」

「早く海を取り戻してくださいよー?」

ケラケラと笑う馬鹿ども。

 

 

 

「行こう」と相手にしない提督さん。

何で?何で何も言わないの?

馬鹿にされるのが悔しくないの?

あなたはそんな事言われる人じゃないよ?

 

手を引っ張る提督さんに彼らはまだ言葉を投げつける。

 

 

「逃げんなよ腰抜け」

 

「女に戦わせて…自分は逃げんのかよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

我慢できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカにするな…ッ」

 

 

 

「夕立の提督さんをバカにするなッ!!!」

紅い目をギラつかせて睨みながら叫ぶ。

 

「この人がどれだけ辛い思いをしながら今日まで戦ってきたかも…何も知らないクセにッ…」

 

「一生懸命…私達の為に作戦を立ててくれてるんだ」

 

ダメだ…

泣いたら負けなのに…

 

「何も…ぐすっ…知らないくせに……ゆーだちの好きな人を…バカにするなぁ……」

 

 

悔しい…

こんな奴らすぐに倒せるのに…

何もできないのが悔しい…。

 

「あああああっ!!」

 

艤装を展開出来れば…

でもダメだ!!

それは提督さんに迷惑がかかる。

 

「泣いてムキになって…バカじゃねえの?」

ケラケラと笑う男。

 

 

 

 

 

「ありがとう」

提督さんは言います。

 

「でも…でも!」

 

 

「……お前ら…笑ったな?」

「俺の大切な人を馬鹿にして笑ったな?」

 

「…え?」

 

「俺の事は構わん!だが…彼女達の事なら話は別だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督さんはその男達を……のはずだったのだが…

 

「オウ…救ちゃんと夕立ちゃんに文句か?」

 

「俺らの街のヒーローに…イチャモンか?」

 

ぞろぞろと集まってくる市民達。

男でも「ヒッ…」とか言うのねと思った。

 

 

「提督ちゃん!こいつらはオレ達がシメとくからよ!デート楽しんできてくれや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督さん……」

 

「夕立?」

 

「何で黙ってるっぽい?!夕立は…悔しいよ」

「大好きな人が馬鹿にされるのは悔しいよ!あんな奴等…守るなんて……」

 

絶対に負けないのに…と言う言葉を飲み込む。

 

「ケンカしても負けないのに…てか?」

 

「……ぽい」

 

「でも俺の代わりに怒ってくれた…」

 

「そりゃ…愛してる人っぽい!泣くほど悔しくて仕方ないぽい!」

 

 

ぎゅっと抱き寄せられる。

 

「ありがとう…な」

 

「……」

 

「お前が怒ってくれたから…俺は嬉しいんだ」

ゆるしてくれないか?と提督さんは言う。

 

「ちぅ…してくれないと…許さないっぽい!ヘタレ提督さん…」

 

「……」

ヘタレ…ねえと呟きながら彼は私の肩に手を伸ばして…キスした。

 

 

 

 

 

「ありがとう…提督さん」

 

 

「あの時…私達を助けてくれてありがとう。ずっと側に居てくれてありがとう。支えてくれて、叱ってくれて…ずっと愛してくれてありがとう」

 

「どんな時でも…提督さんが居たから頑張れた。ずっと…ずーっと辛くても提督さんのおかげで雨も止んだの」

 

 

「提督さんの夕立で良かった…」

 

「もう…私の命は提督さんと共にあるから…」

 

「さみしい時には甘えさせてください」

「撫で撫でして欲しいけど…黙って側に居てくれるだけでもいいっぽい」

 

 

「不束者ですが…夕立を………幸せにしてください」

「今も幸せだけど……もっとあなたとの幸せを夕立にください」

 

暴力の冷たい手じゃない…。

愛情の温かい手…。

 

夕立は救の手を取り頬擦りする。

この手が…好き。

 

そして…

 

 

 

 

 

ガブリと噛み付いた。

 

 

「ホワッ!?」

驚く救。

ぽ犬に噛まれるとは!!

 

 

「ゆーだちのものっぽい!」

 

「マーキングなんて……後が怖いぞ…?」

 

「今は夕立が奥さんっぽい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カレー♪カレー♪ていっとくさんのっカレー♪」

 

「そんなに嬉しいか?」

 

「ぽい!」

 

「そう言われるとこっちも嬉しいな」

 

「頂きまぁす!」

「しあわせえ〜ぽい〜♡」

 

「提督さんは…旦那さんはそろそろ知るべきっぽい!いかにカレーが素晴らしいかを…」

一口一口が幸せを運んでくる。

この時のカレーだけは味が伝わってくる。

ドキドキと幸せと…の味。

 

 

「あのね?旦那さん」

私はゴソゴソとカバンを漁る。

 

「はい」

 

夕立が差し出した小さな箱。

 

「開けても?」

 

「…ぽい」

 

箱の中にはメッセージカードが…。

 

 

 

 

 

 

「大好き」

 

そう大きく、一言書かれたカードが。

 

 

 

 

 

そしてその下には…。

夕立とお揃いの花型のピンズ。

 

「…夕立…」

 

「は、恥ずかしいからあまり見ないで?」

「ピンはお揃い…ぽい…良かったら…ううん、是非つけて欲しいっぽい…」

 

 

「ありがとう…」

と、さっそく着ける。

 

「似合う?」

 

「可愛いっぽい!」

 

 

 

彼は知っていた…たまたま知っただけではあるが…

コツコツとお小遣い…もとい、給料を貯めていた事。

銀細工のお店に何度も通って作ったこと。

失敗を重ねても重ねても…何度も諦めずに、お金が掛かろうとも納得のいくお揃いを作ろうとしていたこと。

 

 

 

「俺もコレ…」

 

彼もまた、初めてやった手編みのマフラーを渡す。

鳳翔達に聞きながら一生懸命に編んだもの。

そんな彼女の為に寸暇を惜しんで作り上げたもの。

 

 

「ぽ…い」

 

お互いにお互いの愛情を確かめ合うように引っ付いた。

夕立は嬉しくて泣いた。

胸が張り裂けそうな程に嬉しかった。

首に巻いたマフラーは…どんな寒空の中でもきっとあったかいだろうと思った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?夕立ちゃん…どうしたの?そのマフラー」

鳳翔さんがニコニコと問いかけてくる。

無論、鳳翔はその出所を知っている。

 

「提督さんからのプレゼントっぽい!」

 

「良かったわね〜。とってもあったかそう」

 

 

彼女は満面の笑みで言う。

 

 

「ぽい!!」

 

 

 

 





夕立…



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