提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「…馬鹿な!そんな馬鹿な話があるはずが無い!」
「きりしま?」
「120年もの前の存在が…?あの激戦を戦い抜いた艦娘が居るなんて!」
「あなたも…その提督の生まれ変わりだとでも!?ありえません」
「目の前にいるのは?狂言役者とでも?」
「どんな絵空事でも…目の前にしたら、それはすでに真実よ?」
と、龍鳳は返しながら言う。
「にしても…あなた…提督そっくりね?面影と言うか…写真で見た…ずーっと昔の提督に…」
「いや…本人だけど…?」
「「「「「は?」」」」」
「…気が付いたら海にいたァ!?」
「前の日までは艦娘達と過ごしていた?」
「正直状況が飲み込めてない?」
「…まじですか?」
「昨日までクリスマスパーリィやってた?」
「明石が…床の落下装置作ってくれて…ボーナスを…」
「…その時はまだ私は居ませんね」
「あなたに会うのは…ずっと先。でも…私提督からちゃんと指輪も貰ってますよ?」
と、彼女はきらりと光る指輪をみせる。
直接では無いけど…とボソリと言った気がした。
「みんなは…?」
「……金剛さんもそこにいるじゃないですか」
「私は護衛艦のこんごうです。恐らくあなた方の言う金剛ではないですよ」
「……そうです…か…」
「…皆は提督の意志を継いで戦い続けてました。麗さんもこの世を去りましたが…」
「中には退役して天寿を全うした娘も多かったですよ」
「少なくとも…今この世に存在する中でのあなたを知るのは私だけです」
「しかし、何故神崎さんはここにきたんでしょうか?」
と、ちょうかいが言った。
もっともな疑問だ…というか、俺もその疑問を持った。
「……ごめんなさい」
龍鳳は頭を下げた。
「わ、私のせいかも…しれません」
「…つまり?」
「龍鳳さんは提督の約束に従ってずーっと待ってて、彼にに会いたくて会いたくて120年間待ち続けたと」
「会いたいとずっと思ってたら会えた…と?」
「はい」
「それはないでしょう」
バッサリと斬るこんごう。
「思うだけで現実になるなんて…あり得ないよ」
そうそう、と続く妙高。
「というか…本当に神崎さんなら…女性を一世紀以上待たせるなんて…引きます」
「俺に言うな…でも…まあ…何が真実かは今は分からないけども、俺がここに来た意味がある筈なんだ」
「それを探さなきゃな」
「あの!」
「ご、ご一緒してもいいですか!?」
龍鳳が大きな声で聞いて来た。
その目は必死に懇願する目そのものだった。
「君は俺の艦娘なんだろう?聞く必要もないさ」
「しかし…アレだな…俺の知る艦娘とは装備も全然違うなあ…」
「やはり現代艦だからか?艤装は縮小されてんのね」
「まあ…金剛が魚雷をぶっ放すのは驚いた」
と、金剛の演習中の写真をみせる。
「…以前に資料で見た事はあります。これだけの装備が有れば…戦いも有利でしょう…」
時代の流れ…なのだろうか?
深海棲艦も見た目はスマートになっていた気はする。
そういう流れなのか…?
「と言うか!お姉様!とりあえず私達は帰投しないと!」
「…あなた達も一緒に!!」
龍鳳の背中に乗って揺られること数時間…。
なんか見覚えのある…鎮守府が見えてきた。
「司令官!ただいま戻りました!!」
「はい、お疲れ様」
「で?やっぱり罠だった?」
「それが…」
「……?」
「どうも…助けられました…神田です」
「神崎さん…偽名を使わないでください」
「途中合流しました…龍鳳です」
「………どゆこと?」
女性提督は頭を捻った。
「あー…時の旅人です」
その言葉にピクリと反応した気がした。
「……神崎さん…だっけ?」
「奇遇ですね、私も神崎って名前なんです」
「………」
こんごう達は黙っている。
「………!?!?」
「……神崎…救です…」
「て、提督!お待ちください!その前に精神鑑定…いや!精密検査をさせるべきです!」
こんごう達は事のあらましを説明する。
「ですから…深海棲艦との繋がりも捨てきれない可能性として…「…まあ…事実でしょう」
神崎と名乗った提督は言葉を遮って言った。
「は?」
「……目の前にすると…不思議とわかるものですね」
神崎と名乗った提督はニヤリと…面影のある顔で笑った。
「この人は…私の数代前のお爺ちゃんになる人ですね」
「「「「「「は!?」」」」」」
朱音ちゃんでは無いです。
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