提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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…私はあなたを描きたい。

あなたがずっと生き続けられるわけではないと知ってるから…。
そして私も…同じく…。


だから…あなたの笑顔も困り顔も…
全部残したいんだ。

あなたが生きた証も…
写真は青葉に…
私は絵であなたへの愛を残したい。

























291話 秋雲と青葉  ② 秋雲と1日夫婦  

 

 

「…少なくとも…俺のピーは原因にはならないと思うんだけど…」

 

「いくら友達の為とはいえ、やり過ぎは良くない。わかっただろう?青葉」

 

「はい…すみません…」

 

「…気まずっ……まあ…やるだけやってみるよ」

ぽんぽんと青葉と不知火の頭を撫でて行く提督。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン…

「はい…」

 

「…秋雲?」

 

「…提督!?」

 

「入っても?」

 

「は、はい!!ちょッ…ちょっとだけ待ってください!!」

ドアの隙間からにゅっと顔を出した秋雲はそう言って引っ込んだ。

 

 

ガサガサ…ドン! キャァア!!

 

ガラガラ!

 

ガサガサ ウワァァア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お待たせしましたぁ…」

 

 

 

 

 

 

「…お、おう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトリとお茶を出されて、ちゃぶ台を挟んで向かい合う。

 

 

 

 

「あの………ご迷惑をお掛けしました…」

「本当にすみません」

 

「青葉は私の為に…やってくれたんです」

 

「だから…だから……」

 

 

 

 

「秋雲は…何で俺の…その……何だ……」

自分で言うのはこの上なく恥ずかしい…

「…ピーーーを見たいんだ……」

 

「……あぅ…」

 

「………」

 

「…ぁの…その」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋雲」

 

「ひ、ひゃい!」

 

「明後日…デートしよう」

 

「へ!?」

 

「夫婦として過ごそう」

「俺だって君の全てを知ってる訳ではない、だから…お互いをもっと知ろう」

 

 

「…え……?」

 

 

なんで?

この人はもう私がしてる事を知ってる筈なのに…

 

 

 

 

 

 

「…提督?私の事嫌いじゃないんですか?」

 

「へ?何で?」

 

 

「わ…私…自分の描いた絵のことくらいわかります」

 

「青葉と姉達ですよね…」

「描いた絵がない事くらい分かります」

 

「皆に言われてきたんですよね」

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

「気持ち悪くてごめんなさい」

 

「こんなの全部…捨て「ありがとう」

 

頭を下げて謝ろうとした私の肩を止めて彼は言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう…恥ずかしいくらい嬉しいよ」

 

「そ、そんな嘘なんか…」

 

「嘘じゃないよ…」

 

「これでもですか?!!」

ガラリと机から大量の絵を出す秋雲。

 

それも…全部救の絵…。

 

「これも!これも!!これもッ!!」

「全部あなたの絵なんですッ!!ほら!この手を繋いで歩いてるのも!キスしてるのも!抱っこされてるのも!全部!全部っ!!!」

 

 

 

「…でも…」

 

 

 

「ダメなんですッ!!」

 

「私はあなたと手を繋いで歩いたこともない…キスも…えっちも…」

「だからわかんないんです…」

 

「それが悔しいッ!!」

 

「あなたの笑顔なら描けるのに…私があなたとこうなりたいってのには、体験がないからッ!!魂込めて描きたいのに描けないの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

顔色ひとつ変えずに一枚一枚を見る救。

 

「…私は…あなたが好きです…だから!描きたかったんです!そうなりたいって!気持ち悪いでしょう!?絵の中だけでヤることヤらせて!」

 

「……」

 

「陰気な女には……」

 

「…よく見てくれてるんだなあ」

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

「んにゃ…頬の傷とか…このクセとか…よく見てくれてるんだなあ…って」

 

「そ、そりゃあ…絵を描く上では大切で…」

 

「それくらい俺を見てくれてるんだろう?……ずっと」

 

「………」

 

 

 

 

 

「…はい」

 

「ありがとう」

「そこまで愛してくれてありがとう」

 

 

 

「気持ち悪くないんですか?ぐすん…」

 

 

 

「……来てくれ」

彼は私の手を引いて彼の部屋に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには彼に昔渡した絵が額縁に入れられて壁に飾られていた。

 

 

「この絵は…」

 

「皆の絵だね。こんな風に集まって写真なんか数回しか撮ったことない」

 

 

「写真にはない…生き生きした絵を描けるのは君の才能だと思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は昔から君の絵が好きだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

絵が好き

 

 

 

 

それは魂を込めて描く私にとって…

私を愛してると言ってくれるのと同じくらい嬉しい言葉。

 

私にとって…あなたを描く事は、皆が提督〜大好き〜と伝えてるのと同じなのだから…。

 

 

 

 

「わ、私……」

 

「あなたを描きたくて…」

 

 

「ずっと…ずっと色褪せない思い出を…」

 

「あなたの生きた証を残したくて」

 

 

 

 

 

 

 

 

「知ってるよ」

 

 

「え?」

 

 

「いや…何でもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は知っている。

 

何故か?

 

彼は見ている。

見慣れた絵柄がその先にあったことを。

 

 

彼の死後120年先で…誰も彼を直接知らない世界で…

とある鎮守府に飾られていた大きな一枚絵を…。

 

 

 

それは…

皆で集まって笑う絵。

 

中心に彼が居て…皆が居て…

 

それを大切に飾る彼の子孫が居て…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ともかく…気持ち悪くない」

「そんな事を言わないでくれ…」

 

 

 

 

「俺は君の絵が大好きだから」

 

 

 

 

 

 

「…はい」

嬉しかった。

ともかく嬉しかった。

 

否定されるのが怖かった…

避けられるのではないかと思った。

 

 

 

 

 

 

 

提督が帰った後…

 

原稿を抱き締めた。抱き締めて泣いた。

ぽたぽたと落ちる涙は止まらなかった。

 

「ふぐっ……うっ……」

 

 

 

「うわぁぁあ」

声を出して泣いた。

 

地味だとか暗いとか思われると思っていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋雲…」

青葉がやってきた。

 

 

「青葉…」

 

 

「ごめんね…」

彼女は謝った。

やりすぎたこと、絵を勝手に見せたこと、提督に相談したことを…。

 

 

 

「ううん…提督…私の絵好きだって。嫌ってないって…だからデートして…もっと深めよう…って…うっ…うわぁぁあん」

 

彼女の涙が安堵のものと知って…青葉も泣いた。

 

「うう…うわぁあん!よがっだあ!ごめんよおお」

 

 

 

2人で抱き合って泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

「ね?不知火ちゃん。大丈夫でしょ?」

 

「陽炎姉さん…」

 

「あのね、提督の私室に絵を飾った時にね?彼は言ってたの『俺は彼女の温かい絵が好きだ…少しずつ人が増えたら書き足してくれるかなあ?』ってね?」

 

「それに…あの人が誰かを否定して貶す事はないと思うの」

「青葉にはいい勉強になったかもね」

 

「……はい」

 

 

 

 

 

 

 

「…ぐすっ」

 

「ううっ」

 

2人で間宮さんにアイスをご馳走してもらってます。

おいしいよお…

 

「で?行くんでしょ?デート」

と、間宮がニコリと秋雲に言う。

 

「はい…」

 

「どこに行きたいか…決めなくちゃね」

 

「あ…」

 

そうだ。

私が提督と行きたい場所…

提督とどう過ごしたいか…

 

「はう…」

想像しただけで…恥ずかしいよ…。

 

「あなたの行きたいところ、やりたいことを素直に伝えるだけで大丈夫よ」

ゆっくり考えなさいね?と間宮さんは優しく言ってくれた。

 

 

 

 

 

そして……





秋雲のキャラが違う?

こんな秋雲…どうですか?



少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。

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