提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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293話 秋雲と青葉 ④ 青葉と1日夫婦

「…恐縮です」

苦笑いを浮かべながら前に立つのは青葉。

 

 

「ん、明日からよろしくな?」

 

 

だが…

この青葉は複雑な心境に居る。

 

 

青葉は救に良く思われてないと思っている。

 

 

 

胸に手を当てて考えても…

盗撮したり、パンツ脱がそうとしたり……碌なことしてねえ…と。

 

トドメはこの前の秋雲の事…?

 

 

 

写真部は解体されて…秋雲の画材やらが運び込まれた。

 

笑顔で秋雲が絵を描くのは嬉しいけど……

何か少し悲しくなった。

 

 

 

提督が私の為に作ってくれた場所は…もう無いんだ…って…。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜…。

 

「失礼します……」

 

青葉は彼の私室にやって来た。

 

 

 

「青葉…座ってくれないか?」

 

彼はそう言う。

 

ドキりとした。

指輪……?

 

 

彼女は高鳴る胸を抑えて彼の正面に座った。

 

 

「……この前の件もそうだが…やりすぎはダメだぞ?」

 

 

 

 

 

説教…?

 

 

え?何で?

愛してるとかじゃないんですか?

 

 

やっぱり私は…嫌いなんですね?

あの場所がなくなったのも…本当は嫌いだから…

 

 

 

「………」

 

 

「青葉?聞いてる……か?」

 

 

「いいです」

 

「ん?」

 

 

「もういいです!!」

 

「やっぱり提督は私の事嫌いなんですよ!」

 

 

「何のことだ…?」

 

「だからこうやって2人きりで喜ばせといて説教なんですよ!」

 

 

 

 

 

「辞めますよ!写真なんか!!」

 

彼女は首からかけたカメラを投げ捨てた。

 

 

「ちょ…おまっ!!」

彼はそのカメラを飛んでキャッチした。

 

 

ガンッ!

 

「ぐっ!」

 

 

 

 

 

だが…家具の角に頭をぶつけたらしい。

立ち上がった彼は額から血が出ていた。

 

 

「あ…ごめ…」

 

 

 

 

「おい!大切なカメラを投げるなよ……」

 

 

 

 

 

「何の音ですか!?」

と入ってきた艦娘達の前で言ってしまった。

 

 

 

「大切…?そのカメラを提督がお金を出して買ったからでしょ!?」

「そんなに嫌いなら……そんなことしなきゃ良かったんだ!!」

「私の場所もない!!」

「挙句の果てに説教…!」

 

 

「もういいです!」

 

 

 

 

 

「…お姉ちゃんッ!!!」

「なんて事を!!」

 

 

 

「衣笠まで…」

 

 

 

 

 

 

「みんな大っ嫌いだああ!!」

 

 

 

彼女を止めようとする彼の手を振り切って彼女は飛び出していった。

 

 

 

追いかけようとするが、ズキッと頭が痛んだ。

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

 

「……俺が悪い」

 

「いえ…提督は…」

 

「気付くべきだったんだ…俺は…もっと配慮するべきだと…」

 

「それより…傷の手当てを…」

 

「いや…そんな事より俺は青葉を探しに行くよ」

 

「外は夜で雨ですよ!?無茶です」

 

「だとしても…行かなきゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

簡単な手当を受けて彼は彼女を探して飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある場所に彼女は居た。

 

 

 

「…わ、私なんてことを…なんて事を……」

 

 

違うのに…

違うのに…

 

そんな事をやりたくて言いたかった訳じゃないのに…

 

秋雲が羨ましくて…

自分が情けなくて…

 

 

 

 

「青葉……」

誰かが呼んだ。提督かな?と一瞬喜んだ私はきっと卑怯者だ。

でも…

そこに居たのは秋雲だった。

 

「笑いに来たの?」

 

違う…そんな言葉じゃ無いのに

 

「何でそうなるの?」

 

 

 

「なら何よッ!!」

「アンタに何が分かるのよッ!!」

 

 

「わかんないよ!!

「なんで青葉がそうなったかわかんないよ!!」

 

「…ッ」

 

 

 

 

 

「アンタのせいよ!!アンタは良いよね…あんなことになっても怒られずに…愛されて!大切にされてさあ!」

 

「私の唯一の新聞部(居場所)も無くなったんだ!!」

「なのに…私は説教されるだけ!!」

 

 

「私なんか…大切にされてないよッ!おめでとう!指輪も貰えてさあ!!!笑いなよ!笑えよおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…馬鹿じゃないの?」

 

 

それは秋雲とは思えない声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…何よ!アンタも説教!?」

 

 

「結局自分が幸せならそれでいいんでしょ!?」

「私の事なんか大切にしてくれないんだよ!あの人は!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの人が…大切にしてない奴の新聞をずっとスクラップ帳にして置いておくもんかッ!!」

 

 

「大切にしてない奴を…怪我ン中…雨の中飛び出して探し回ったりするもんかぁぁあ!!」

 

 

 

「え?」

 

「提督は…自分が買ったから守ったんじゃない!」

 

 

 

 

 

「毎日幸せそうにファインダーを覗いてさ!無駄にずーーっと磨いてさ!寝るときなんか…ミニ座布団の上に置いてさ!」

 

「絶対に離さない…パートナーなんでしょ?それを1番知ってて微笑んでるのはあの人なんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督は…アンタの魂を守ったんだよぉ!!!」

彼女は泣きながら私に叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私の絵…えへへ…』

『ん…?これは?青葉の新聞…?』

 

 

『お…見たかったか……内緒な?』

そう言った彼の顔はニヤけていた。

 

『アイツさ…バカばっかりやるけど…ほんといい写真撮るんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私だってダメな時あるよ…でも…コレで終わりじゃないんだよ……」

「一緒に帰ろうよ…」

 

 

 

「何わかった風に…」

 

「さっきも言ったけど分かんないよ!でも解りたいんだ!友達だもん!」

 

 

 

「お調子で…周りを振り回して…バカばっかりして皆に絞められてるけど……」

 

 

 

それでも…!!

 

 

 

 

 

 

「あのクリスマスに写真部を貰って…初めて作ったあなたの新聞は…みんなを笑顔にしてたじゃない!!」

 

 

「あんたの写真は…新聞は…皆を笑顔にするんだからッ!!」

 

「それは確かなんだ!私が証明する!」

 

 

 

彼女は泣きながら言う。

 

 

青葉はハッとした。

 

「……何で提督は…私の写真部を潰したの…」

 

 

「違うよお!1人で黙々とするよりも皆でやった方が楽しいからだよ!」

 

「…でも!」

 

「あなただってわかってるでしょ!!自分が暴走する事くらい!それだって止められるんだ!!みんなで謝れるんだ」

 

 

 

 

「いい加減に…子供みたいなことやらずに認めろばかやろお!!」

 

 

 

 

秋雲はわんわん泣きながら私に飛びついてポカポカと叩く。

 

「…あなたは私と同じだと思ってたんだ!魂込めて作品作りやってると思ってたんだ」

 

「なら…その魂を投げるなよお!提督さんからもらった魂なんだよお!」

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

そうだ…

何で私は馬鹿なのか…。

 

どれだけ愛されていたのか…見失っていた…。

 

私に写真の道を教えてくれたのもあの人なのに…

私はそれを否定した。

 

 

 

 

 

私が悪いのを棚に上げていたんだ。

 

皆の前で締め上げようとすれば出来たのに…彼は2人きりの時に言おうとしてくれた。

 

秋雲も…こんな中追いかけてくれて…

 

提督も…

 

 

 

「……ごめん…秋雲」

 

 

 

 

 

「謝るなら…提督にだよ…」

「でも…ごめんて言ってくれた…」

 

 

 

2人でまた泣いた。

私は後悔した。

そうだ…私は…自分の魂を投げ捨てたんだ…そんな事をしたんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人で抱き合って泣いているところに彼は来た。

びしょ濡れの彼は凄い形相で目の前に居た。

 

 

「て、提督…」

 

「待って!提督!青葉は…」

 

 




お気に入りが700人…。
ありがとうございます…。
本当にありがとうございます(´;ω;`)
もう少しで300話です…お付き合いください!



嫉妬や情動は時に人の行動を大きく変えるそうです。
コミュニケーションは難しい
すれ違うこともあるんです。ほんの少し苦いお話
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