提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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297話 鏡開き ②

鏡餅(特大)は綺麗に割れた。

 

 

 

 

 

「……フッ……」

「やはり私にかかれば餅は容易かったな!」

 

 

歓声と拍手が沸き起こる。

にこやかにクールに手を振りながらこちらへとやってくる武蔵。

 

 

 

そして…

 

「痛いよお…相棒ぉ…」

小さく右手をすりすりしながら涙目で言う武蔵。

 

よく頑張った…と言いたかったが、申し訳ない話…武蔵には言ってないことがある…。

 

「相棒?」

 

意を決して武蔵にその言葉を言おうとする。

 

「まさか…」

武蔵も何かを察したのか…神妙な表情になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鏡餅…もう一個あんのよ…」

 

言ってしまった!

悪魔的な

 

「なっ……えっ……おまっ」

みるみると動揺が体全体に広がる武蔵。そりゃそうだわな…深海棲艦殴っても痛い言わないのにねぇ…

 

 

「アドミラル……?モチとは何故こんなに強いの?」

強い…と言う表現は今の武蔵を見てのものだろう…が疑問を持ったアークロイヤルが聞いてきたので…俺はアークロイヤルの肩を持って言う。

 

「正月…いや、日本で最強の食材は餅だ…」

 

「そんなに?可愛らしいイメージがあるのだけれど…」

 

「餅を無礼る(ナメる)なよ?恐らく年末年始には1番人の命を奪う…」

 

 

「え?!」ゾッ…

「そんな物を…食べるの?JAPANはクレイジーね…」

 

「喉に詰まったりしたら……」

 

「……ッ!!」

そこを想像して更に青ざめるアークちゃん。

 

 

「まあ本当に命取りになるから食べる時は小さくね」

「よーく噛んで食べましょう」

 

 

「で?それがこの鏡餅の硬さとは…どう繋がりが?」

 

 

 

 

 

 

「ない」

 

「ないの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ!武蔵ちゃん!もういっこ!」

 

「有給を申請します」

 

「当日は認められない」

 

「なら、早退します」

 

「健康そのものである、問題ない」

 

「………ッ泣」

 

 

「仕方ない…我がやろう」

 

「桜三笠さん……」

地獄に仏とはこう言うものか。

キラキラ輝く目で桜三笠を見つめる武蔵。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「むッッさし〜の良いとこ!またまたみたぁあい!」」」」

ピュリっち、清霜、桜赤城などなどの面々がノリノリで叫ぶ。

それに反応して…おお、なら仕方ない…と桜三笠が捲った袖を戻したのを見て武蔵が涙目でこちらを見た。

 

「……神崎氏…私を本当に愛してるなら…」

未だかつてあろうか?ハイライトをオフにして笑う武蔵の姿は?

 

まあ…流石にこれ以上は可哀想と思ったのでノリノリで酒を飲む長門を指名しようとした時…

 

 

 

「私がやりむひゅ…」

と…出てきた間宮(酔)が一撃で餅を割ったところで場内は静まり返った。

そして思う…もう、間宮には逆らわないでおこう…と。

 

 

 

あんぐりと口をあけたピュリっち…。

 

「…アレで補給艦?嘘でしょ?戦艦より強い補給艦?頭おかしいよ」

 

「敵さんは苦労してアンタ達を乗り越えてやってきた鎮守府には最強の非戦闘要員が居ました…とか…怖すぎる…」

と、ガクガク震えるピュリっちが居る。

 

そこに耳打ちする。

「その上捕まったら…蒼ポートランドの料理(NEW!!)と比叡のカレー(オリジン再現)が待ってるぜ…」

「熱々のおでんが可愛く思えるぜぇ…」

 

「…やばくない?この鎮守府」

 

「今更?」

 

「……だよねえ!」

 

 

 

 

「まあ…私は敵対意志はないよ。ピュリっちはピュリっちだけど…ピュリっち達のやり方は酷いと思うもん。もし…()()()()()()されたら…容赦なく壊していいよ」

 

と、ピュリっちは言う。

 

「そうならない事を祈るよ」

 

 

 

 

 

 

「はーい!出来ましたよー」

鳳翔達が持ってきた雑煮、あべかわ餅、ぜんざい、みたらし餅…etc

 

うひょーい!と飛び付く面々。

「…おいしー!ピュリっち感激」

 

「んー!みたらし最高〜」

 

 

 

「はいどうぞ、あなた♡」

 

「ん、ありがとう……あら、餅がハート型」

 

「私からの愛です」

 

「食べちゃう訳なんだけれども…」

 

 

 

 

 

「司令官!見ててね!」

と、暁達がハート型のお餅をストーブの上の網で焼き始めた。

 

 

「私の司令官への愛が…膨れるよ!大きくなるよ!」

 

なるほど…表現としては面白い……が

 

ぷくーーっと膨れた餅は……?

 

ポフーーッと割れて萎んで行く。

 

 

 

 

「割れたぁ!?!」

「焦げたぁ!?」

 

底は焦げるし、膨らんだ愛はぷしゅーと破れるし…暁達は泣き始めるし…。

 

「……わ、私の愛はお餅じゃあ受け止めきれないようね」

 

と、涙目で言う暁の餅はしっかり食べました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一息つこうと思って外に出たらピュリっちが居た。

 

「ん?指揮官ちゃんジャーん!」

 

「なあ…ピュリファイアー…」

 

「もー!ピュリっちって呼んで欲しいゾ!」

 

「ぴ…ピュリっち…」

 

「んー!OK!なになにー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どうやって来た?ここに」

 

「あはは〜聞くよねえ…ソレ…」

 

「お前が来たって事は…奴等も来る可能性があるってことだよな?」

 

「……送られたんだよね。一応アンタの味方のヤツにね」

「どこから見てもこの世界…いや…君は面白すぎる。駒のはずなのに駒じゃない…」

「複数世界に存在する…存在」

 

「…そして君は助けるんだろう」

 

「何を…?」

 

「君やKAN-SEN達の居ない世界は…どうなる?」

「ゲームとはいえ…私達には現実だ。そこの主人公が居て…初めてストーリーはエンディングへと向かうんだ」

「今…私達の世界もブルーオースの世界もその主人公や仲間が居ない状況なんだ」

 

 

 

「いつか君はその世界を越えて世界を救うんだろう…」

 

「……やっぱり無視は出来ないよなあ」

 

「…勘づいていたの?」

 

「まあ…バランスは悪くなったかなあ…くらいに…あまり直視しようとはしなかったよ」

 

「…でも、いつかはそのツケ…現実を目にする日がくるよ」

 

「…それはいつ?」

 

「わかんないよ」

 

「でも…その度に乗り越えるさ」

 

「なら安心だね⭐︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、戻ろうか…と

会場へ戻る彼の背を見て呟く。

 

 

「…ピュリっちにはよく分からないケド……あんなに幸せそうな顔が出来るなら…きっと乗り越えられるよ」

 

 

 

 

「………その瞬間に私も立ち会えたら…面白いのかな」

私だって駒の1つ。

その駒の役割は何となくわかる…。

 

 

でも

でも…もし、叶うなら…

可能性を超えて行く人の元で私の新しい可能性を見てみたいなあ…

 

 

艦娘も深海棲艦も

KAN-SENも戦姫も…愛してくれる指揮官なら…

私も愛してくれたりするのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってよー!指揮官ちゃんー!ピュリっちを放置しちゃ…ダメだぞー」

 

 

 

 

 

「もー!ピュリっちー!どこ行ってたのー?!」

 

「あー!鈴っち!ごめんごめんー!」

 

 

 

 

でも今は…今を楽しもう…

 

 

餅おいしーー!

 

 

 

 




餅…うめぇ…



少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!

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