提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
298話も投下してますのでご注意下さいー!
てな訳でね
吹雪と過ごすのだけれども…
「司令官ー!どうですかー!?」
吹雪が振り返って言う。
彼女と海にいる……。
彼女に引っ張られてイカダで海の上です。
イカダに体育座りしてるよ。
初めてですよ…こんなクッソシュールな状況は…
ただの散歩……
しかし、彼女の目指す先が何となくわかる。
ここには意味がある。
ここは…
「司令官?覚えてますか?」
「……もちろんだとも」
解る…。
俺はそれを直接目にしては居ないが…分かる。
ここは
鎮守府正面海域
通称…1-1だ。
彼女達の頑張りのおかげか…
今となっては平和そのものの海域…
かなりごく稀に深海棲艦が来るくらい…の。
その静かな海を前に彼女は目を閉じる…。
そう…
初期艦を選んで着任した提督が最初に挑む
俺と吹雪のスタート地点。
全ては…ここから始まった。
『あなたが…司令官…』
私の…司令官…。
画面の向こうのあなたに出会った。
私の声は届かないけれども…あなたは私を選んでくれた…。
『出撃します!!』
私の初出撃…きっと活躍します!
『きゃあ!!』
「まずいな…中破しまった…」
『ま、まだ行けます!司令官!』
しかし…その声は…届かない。
「…ボスマスを考えても、撤退か…」
ポチリと撤退ボタンを押す。
そんな…と私は思っていたが、すぐさま入渠させてもらった時に
「少しずつ強くなろう」
と、声をかけられて嬉しかった…。
そこから何日も何回もかけて…演習でボコボコにされながら練度を上げて装備を整えて…
そして…
『やった…やりました!司令官!私…やりました!』
例え声は届かなくともきっと気持ちは一緒なはず…。
「やったな!吹雪!俺達2人の勝利だ!」
きっと彼は私に言ってくれてるんだ…。
胸の奥がきゅんとした…。
ずっと…この人の所で戦いたいって思った。
その後…初めて建造して…来たのが金剛さん。
戦艦は強かった…。
一撃で敵を倒してすごく頼りになった…。
そして次は鳳翔さん…。
初の航空戦は圧巻だった。
加賀さん、雷ちゃん…時雨ちゃんと増えていった。
途中で赤城さんも合理した。
私は…第一艦隊の旗艦。
それが誇りだった。
決して強くないけれども…
初期艦という色眼鏡だったとしても…
あなたに必要とされているのが嬉しかった…。
だから…第二艦隊が解放されてそっちの旗艦になっても頑張れた…
華じゃないけれども…
それでも幸せだった。
例え…あなたの最初のケッコン相手が…金剛さんでも…
いつか…いつか、私ともしてくれる!って
「…吹雪…お待たせ…」
「俺の初期艦…吹雪にコレを……」
『…司令官?嘘!?本当!?』
その時が来た時は嬉しかった。
あなたには見えてないと思いますが…嬉しくて…嬉しくてずっと泣いてました。
金剛さんも「良かったデース」と、優しく抱きしめてくれて…他の娘も、羨ましいと言いつつおめでとうと祝ってくれた…。
あなたが来なくなってから…真っ暗な日々が続いた。
捨てられたのかな?必要とされなくなったのかな?と、耐える数年だった。
そんな時にあなたは来た。
ごめんなさい…司令官。
後であなたが死んでこっちに来たと知った時…私…悲しむべきなのに…それでも出会えて良かったと思ってしまったんです。
だって…
最初からずっと…ずっと好きでした。
金剛さんも生まれた時から…って言ってました。
なら、私は…金剛さんよりも数日長く好きでいるんです。
これは…誰にも負けません…。
ふと、思い出に浸る吹雪達の前に珍客がやってきた。
「あ…イ級とロ級…」
迷い込んだか…2体がこちらに向かってやって来た。
「……もう…」
吹雪は戦闘態勢に入る。
救の方を見て…ニヤリと笑って
「敵機発見ッ!!司令官の指示を求めます!!」
彼も不敵に笑う。
「よし!吹雪…2人での戦闘だ!!」
「魚雷発射からの主砲で攻撃だ!!」
…あの時は私1人での戦いだった。
無論、あなたは近くで遠くに感じてました。
あの頃の私が見える。
不安で…縮こまって…それでも一生懸命頑張ってた私が…。
『やっつけちゃうんだから!』
ぼろぼろになっても、何回やり直しても頑張ったあなたに教えたい。
きっと絶望する。
きっと悲しむ…
でも!!
きつくても…辛くても…止まない雨も…晴れない雲も…明けない夜もないんだって!!!
「はい!」
「第一艦隊!旗艦…吹雪……いきます!!」
「…吹雪?」
「…司令官?」
「ん?」
「愛しています!司令官を…ずっと…初期艦に選んで貰ったあの日からずっと…ずーっと!愛しています!」
「…吹雪…」
彼女はいつの間にか泣いていた。
「…えへへ…昔を思い出してました」
「辛いことも…幸せなことも…悔しいことも…嬉しいことも…悲しいこともです」
「…私は今、凄く幸せなんです」
「こうやってあなたと一緒に居られて‥時間を共にできて」
「ずっとこうやってはっきりと、伝えたかったんです」
吹雪は…
その誇りを胸にずっと頑張って来たんだ。
金剛に…加賀に、鳳翔に…例え戦力で敵うことなくとも
俺に選んで貰ったと言うか細い誇りを胸に刻んで…
「…ありがとう」
1日波に揺られていた。
吹雪とイカダで2人で…
吹雪が作った弁当を食べて…寄り添って…。
たくさん話をした。
俺が居ない時や…俺と出会ってからの事…
彼女はいつになく…饒舌に喋った。
その吹雪が愛しくて…ずっと隣で話していた。
そろそろ…帰らなきゃですね…という吹雪にもう少し…と、ギリギリまで一緒に2人きりの静かな海を楽しんだ。
俺は…そんな吹雪に何を返せただろうか?
…いや、そんなのではない…。
俺は…もう、決めているんだから…。
夜に…
「吹雪?」
「はい?」
「指輪貸して?」
「え?あ、はい」
彼女から指輪を受け取ってクロスで磨く。
「いっつも綺麗に手入れしてますよ♪」
えっへん!と、吹雪が得意げに語る。
なるほど、たしかにピカピカだ。
なら…と、それを箱に入れてまた、差し出した。
「…ッ!!」,
その意味は彼女がよく知っている筈だ。
遅くなってごめん…と俺は彼女に言う。
「改めて…受け取ってくれるか?」
脳が現実に追いついた頃に、それは喜びの涙という形で彼女を満たした。
彼女は両手で顔を覆い、コクコクと頷いた。
声にならない声は嗚咽となって両の手から漏れる。
震える左手を差し出して…ぐしゃぐしゃの泣き笑顔をこちらに向ける。
「ありがどゔ…ございばず」
優しく丁寧に薬指に指輪をはめて…キスをしに行く。
「司令官…ダメです涙でやばいんで…」
「構うもんか」
と、そのまま涙の味のキスをした。
「……愛してる」
「私も…愛してます」
暫く、キスをして抱き合って居た。
「幸せ…です」
「でも…怖いなあ…」
「明日…目が覚めたら司令官が居なかったらどうしようって」
「この指輪も消えてたらどうしよう…って」
「……吹雪?」
「はい?」
「君を貰うよ」
「…ッ!………はい」
「…おはよう」
「おはよう…ございます…」
「いるだろう?」
「…はい」
吹雪はやはり、涙目で頷いた。
「この温もりも…痛みも…本物です」
彼女はニコリと微笑んだ。
「あれ?吹雪…何だか雰囲気かわったかしら?」
陸奥や赤城達に囲まれた吹雪。
「そうですか?いつもと同じですよ?」
「…うーん…何か…違うよーな…」
「はっ…まさか!?」
と、加賀が勘づいた。
「あ、あなた……」
「え?あっ!?え!?」
焦る吹雪。
「……おめでとう」
加賀は優しく言った。
「……え?」
「あなたはずっと…誰よりも努力した」
「それをあの人は見ていたのよ」
「だから…それはあなたが受けるべき愛よ」
それに…と、続けて彼女は言う。
「私も…愛では負けませんから」
「…吹雪さん?」
「指揮官様の匂いが…」
ズイズイっとやってきた桜赤城に桜大鳳に桜ベルファスト。
恐らく一瞬で理解したのか…司令官の部屋に直行して行きました。
「え!?何!?君達…って…いやぁぁぁあ!!」
「けだものおおおお!やめっ…本当やめてえええ!!」
聞こえる司令官の叫び声。
恐らく身包み剥がされてるんだろうな…と思いながら助けに向かう吹雪だった。
吹雪ー!
意外と真面目でした。
イカダで行くってのも少し意味があって…
彼がこの世界に着任した時はイカダにのってました。
簡素に何もないところからのスタートの意味がありました。
ただ浮かぶだけで流されるだけで…という。
所謂、この世界での彼のスタートラインはそこなんですね。
初期艦の吹雪と一緒ってのもそういう意味で
改めて2人で行く1-1という意味があります。
少しでもお楽しみ頂けたら幸いです!
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