提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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ん?
何でこうなったかって?

そうなだなあ…アレはなあ…


ん?何でヒーローか…だって?


304話 兎は月の裏の夢を見るか?

ヒーローとは何か?

 

きっと…勇気のある奴を言うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………綺麗」

 

 

街の一軒の花屋だった。

彼女の目を惹くくらいに綺麗な花だった。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「あ……」

 

 

 

 

そこに居たのは…きっと違う道を辿った私。

 

「あなたは…卯月?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へー!花屋をやってるぴょん?」

 

「うん!そうなんだ!」

目の前の子も元卯月だった。

退役して、うづきと名乗っているようだ。喋り方も何とか頑張って直したらしい。

 

「海の近くだと大変じゃないぴょん?」

海風は花にとって悪そうなイメージがある。

 

「うーん…でも、やっぱり海が見えると少し安心するんだ」

 

あれだけ戦って…それでも海が嫌いにならないのが少し不思議に感じたけど…でも、私達が守る海をみると安心すると言ってくれたのは嬉しかった。

 

「お疲れ様です!ヒーローさん!いつも守ってくれてありがとう!」

と、笑顔と共に卯月に花とジュースを差し出す彼女。

 

 

 

「ありがとう…ぴょん」

 

 

 

「あ!花屋のねーちゃん!!」

 

「お!来たな!ボーズたち!」

 

街の子供達だろうか?ニコニコとうづきに近寄って来る。

「今度ねーちゃんの誕生日だから花選んで!」

 

「はいよ!わかったよ!」

 

「ん?あれ?このおねーちゃんは誰?」

 

「この人はねえ…艦娘さんだよ!皆の安全を守ってくれてる凄いお姉ちゃん達なんだぞ?」

うづきは子供の問いに得意げに答えた。

子供達は目を輝かせて「スゲェ!!」と言った。

 

「ねえ!武器見せて!」

「海の上を歩くってどんな感じ!?」

「いつも来てるにーちゃんのお嫁さん!?」

「うーちゃんはイタズラ好きって本当?」

 

わいのわいのと群がっては質問を投げかけて来る。

「う…武器は置いてきたぴょん!」

「海の上を滑るのは…うーん…きもちいいよ?」

「てーとくさんは…うん、そうだよ?……てかここでも有名人ぴょん…」

「うーちゃんはあんまり…」

 

「てか!そこのうづきちゃんも元艦娘だよ!?」

 

「「「え!?」」」

 

 

 

なんて会話をしてる時だった。

 

 

 

ゾクリ…と何かが感じた。

 

それは海の方からだった。

 

 

 

 

 

「ん?海がどうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見えた。

深海棲艦だ。

 

 

 

 

こっちに来ている…!?

抜けてきた!?どうやって!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて考えてる場合ではなかった。

 

「さあ!子供達よ!ウチヘ帰るぴょん!」

 

「え!?でも…まだ遊び…「街の端まで競争だぴょん!早かった子にはプレゼントをあげるぴょん!」

 

やった!!と言いながら走って行く子供達。

それを見送って…

「うづき…敵が来てるぴょん!皆を逃がして!!」

 

 

 

 

 

鎮守府へ連絡して、更に卯月達の指示で避難を始める街の人々。

 

「よし…これで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前にはうづきが居た。

「な、何で逃げないぴょん!?はやく逃げるぴょん!!」

 

「ダメ…」

 

「何で!!!」

 

「この花屋は…私の……たった一つの宝物なの」

 

「そんなこと言ってたら危ないぴょん!!」

 

「なら!あなたも逃げよう!?武器ないんでしょ!?仲間が来るんでしょ!?」

 

 

私の為にそう言ったのだ。

私が海に出るなら残るよ

一緒なら逃げるよ…と。

 

 

確かに武器はない。

でも…それは逃げる理由にはならない。

何故なら…

 

 

 

 

 

「この街の平和は…うーちゃん達が守るぴょん!」

「うーのお店も…街も!みんな!」

 

 

「でも!武器が!!」

 

 

「大丈夫ぴょん!!うーちゃんはヒーローだぴょん!あんな奴らに負けないぴょん!!」

 

 

「そんな嘘!!!」

 

「うーちゃんは…嘘つかないぴょん」

 

 

 

 

 

 

「艤装…展開ッ!!!」

 

 

 

彼女は海へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うーちゃんが守るんだ。

 

 

 

 

 

 

 

『…1人?舐められたもんだね』

 

『…』

 

「うーちゃんはヒーローだぴょん!ひとりで充分ぴょん」

「街も…みんな守るぴょん!!」

 

 

 

 

 

 

 

『一人で何が出来るッ!!』

片方の深海棲艦が、街へと砲撃を行おうとする。

武器は……ない!

卯月はそれに飛びついて軌道をずらした。

「させない!!」

 

 

 

『この!!』

 

 

 

ドボォン!

 

ドボォン!!

街近くで水柱が上がる。

 

 

うづきには見えた。

彼女が必死に食らいついて街を守ろうとしているのを…

「…やっぱり嘘じゃん!武器…ないのに!!」

何度弾かれても…投げられても彼女はずっと食らいついてはなさなかった。

 

魚雷には…艤装を投げつけてでも街への侵入を防いでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『待て…コイツ…武器がないぞ?』

 

『へぇ……』

 

 

 

 

 

 

 

彼女達は卯月を痛めつけ始めた。

 

「ぐっ!」

 

『邪魔なお前を…動かなくしてから!街を潰してやるよ』

 

『オラァ!!簡単にくたばんなよ!!』

 

「うあっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめて…」

「やめてえ!」

 

蘇る記憶。

散った仲間…守りたかった人。

蹂躙されて…散る命。

 

 

 

 

 

 

 

「やめてええええ!!!」

 

 

 

 

 

 

『あん?』

 

『おい、あの小せぇの…アイツ?』

『…邪魔だな…お前の友達か?…』

ニヤリと笑う2人。

 

『撃っちまおうぜ!!』

 

 

「やめるぴょん!!」

 

『うぜええ!!』

リ級が卯月を海面に叩きつけた。

重巡棲姫が…うづきを狙う。

 

 

 

 

 

「やめろおおおお!!」

 

 

『守れなかったな?…嘘つき!お前はヒーロー失格だ!』

『ヒーローってのはなあ!強え奴のことを言うんだぜ!』

 

 

 

 

 

 

ズドォン!!

 

街へと砲撃が放たれた。

 

 

「うわぁぁあ!!!!」

 

『ぬぐっ!?』

卯月はリ級を跳ね除けて砲撃を追いかけた。

 

 

 

 

追いつけるはずもないのに。

 

 

 

 

 

ズドォン!!

 

 

「ぎゃぁ!!」

 

 

背中に激痛が走った。

後ろから撃たれたらしい。

海に叩きつけられるように倒れ込む。

 

 

『この……クソガキがぁぁあ!!』

 

 

 

ガクガク震えながら叫ぶ。

「あぁぁあ!!うづき!逃げるぴょん!!逃げろおお!」

 

 

 

 

叫ぶ卯月。

だが…うづきは一歩も引かなかった。

 

「ごめんね……この店は…皆が…今も戦う皆がくれたお店なの」

「…それを守る為なら…私は退かない!!」

 

「うーちゃん…1人で戦わせたり…しない!私も…守るんだ!!」

 

 

 

 

うづきは両手を広げて店の前に…砲弾の目の前に立った。

 

 

 

「うづき!!ダメだぁぁあ!!!」

 

 

 

守るって言ったのに!

うーちゃんは嘘つきじゃないのに!

 

 

 

ヒーローに…なれない……

 

 

ダメだ…!!

 

誰か!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その意気や良し!!」

 

「そして卯月!君を嘘つきなんかにはさせないッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぴょん…?」

 

 

「え…」

 

 

 

 

 

 

 

「よく耐えた、良くやったぞ…卯月」

「ぬおおおおお!!!」

 

 

うづきは見た。かつての仲間と同じその背中を

卯月は見た。今を共に戦う仲間の、その顔を……

 

 

迫り来る砲撃を殴り飛ばす姿を!

 

 

 

 

 

 

 

まるで漫画のヒーローのように!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…謎の仮面戦士ナガモン!見参ッ!!」

 

 

「な…長門…さ「ナガモンだ!!」

 

 

 

 

 

『この……

更に砲撃しようとするリ級に蹴りが入る。

 

 

ドゴォォッ!!

「…ざっけんなぁぁあ!!」

 

 

 

「謎の仮面戦士…アーロイ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の罪は…重いぞ?」

重巡棲姫を殴り飛ばす。

 

 

 

「…謎の戦士…ヒッパー…」

 

 

 

 

 

 

 

「……長門…ぴょん…?」

 

 

 

「否ッ!我らは…街を必死に守ろうとするキミに心を撃たれた非番だった謎のヒー…戦士だ!」

 

 

 

 

 

『ケッ!ヒーロー気取りかよ!』

 

 

「…ヒーロー?違うな…」

 

 

「ヒーローとは?

トンデモないパワーを持った奴か?

 

 

敵を寄せ付けない奴か?

 

 

勇気を出した奴だ。

 

 

 

例え力がなくとも

武器がなくとも…守るものの為に勇気を持って踏み出した…卯月こそヒーローなのだ」

 

 

 

 

 

「…うー…ちゃんが…ヒーロー?」

 

 

 

「うむ、我らは…そうだな…エンジェルガーディアン…とでも呼んでくれ」

 

変態の…集い(エンジェルガーディアン)?」

 

駆逐艦守護艦船(エンジェルガーディアン)!!」

 

 

『ふざけんなッ!!ロリコンがぁぁあ!!」

 

『まとめてぶっ殺してやる!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ!どうする?!卯月…旗艦は君だ!」

 

「我らに…指示を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……奴等から街を守るぴょん!!」

 

 

「「「了解ッ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひとつ……非道な奴等に鉄槌を…下し!!」

 

 

「ふたつ…再び海と天使に笑顔を取り戻し…!」

 

 

「みっつ…未来を輝かせる為にッ!!」

 

 

 

 

 

「「「退治てくれよう!!深海棲艦!!」」」

 

 

 

 

 

「ぬおおおおッ!!」

ヒッパーが棲姫をアッパーでカチ上げるッ!!

 

ドゴッ…

『ぐっぎ!!』

 

 

長門が一気に飛び上がって追い討ちをかける!

『がっ!!』

 

 

「そらよッ!!」

アーロイがリ級を棲姫の着地点まで蹴り飛ばす。

 

ぶつかり合う2人。

 

 

 

 

 

 

 

『このッ!』

『武器もないくせー…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主砲…展開」

 

 

 

長門主砲が

ヒッパーの魚雷が

アーロイの艦爆が

 

 

 

 

「…いつ…非武装だと言った?」

 

 

 

 

「貴様らなど素手でも十分だが…」

 

 

「貴様らは天使を傷つけた…」

 

 

「チリ一つ残さんッ!!」

 

 

 

 

 

「「「卯月ッ!!いつでも行けるぞおおお!!」」」

 

 

 

 

 

 

「うてえええ!!!」

 

卯月は叫んだ。

もう立ち上がる力も無い。

それでも叫んだ。

 

 

 

 

 

 

「「「おおおおおお!!!」」」

 

3人から攻撃が放たれた。

 

 

 

『クソッ!なんだよ!あいつら!!』

『うわぁぁあ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

ズドドオオオオオン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーちゃん!うーちゃん!!」

ナガモンに抱えられた卯月がうづきの前にやって来た。

 

「うづき……逃げなきゃダメぴょん…」

 

「…ごめんね…ありがとう…守ってくれて…」

「街も…店も…」

「見てたよ…必死に食らいついて街を守ってくれたの…」

 

 

卯月はグッと親指を立てて言う。

「それが…うーちゃん達ぴょん…」

 

 

ナガモンに向かっても親指を立てる。

ナガモン達はうんと頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

「では…このヒーローを鎮守府に送ろう…」

 

 

傷だらけのヒーローは抱えられながら帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

 

 

街の花屋には…

卯の花のマークが付けられた。

 

「あ!お姉ちゃん!これなに?」

 

「コレはねえ…秘密の証なのよ?」

 

 

 

 

 

 

「あ!卯月お姉ちゃん!」

 

「この前!敵が来てたらしいよ!でも!何かヒーローがやっつけたらしいよ!」

「卯月お姉ちゃん知らない!?」

 

 

 

「…うーちゃんがやっつけたぴょん!!」

 

「うそおお!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…長門…蒼ヒッパー…桜アークロイヤル」

「そ、その…あ……ありがとう…ぴょん」

 

 

 

「はぁう…何だ…そそそそその照れた…言い方は」

 

「可愛いッ可愛すぎる!」

 

「……(轟沈)」

 

 

「お礼に…間宮のパフェ…おごるぴょん」

 

 

 

 

「ふふっ…お礼?何のことかな?卯月…私達は何も知らないぞ?その…ナガモンとか言うカッコいいヒーローの事は知らんぞ?」

 

「…ほぼ言ってるぴょん…」

「でも……なら…暇なら一緒にパフェ食べに行くぴょん」

 

「そう言う事なら喜んで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや?珍しいのね?」

笑顔でパフェを出す間宮。

その席には卯月と奇妙な3人組が笑顔でパフェを食べていたとか…。

 

 

 

そして…その時にあの特撮の話がでたとか…なんとか…。

 

 

 





前日譚…みたいなの
掘り下げですねえ


少しでもお楽しみ頂けたら幸いです!

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