提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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305話 明石と1日夫婦 ①

「………」

 

「おはようございます。ご飯出来てますよ?」

 

「あ、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おざーす」

 

「おはようござまーす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様したー」

 

「したー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「お帰りなさい!お風呂沸いてますよ?」

 

「ありがとう〜」

 

 

 

 

 

 

 

「出た?ご飯出来てますよ」

 

 

「おー!いただきまーす」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「・…?」

 

 

 

「どゆこと!?」

 

「!?」ビクッ

 

「え!?何!?逆に新鮮なんですけど!この導入は!?」

 

 

 

 

「あ、あなた?」

慌てふためく嫁(仮)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迅鯨ッ!!これは一体何!?」

 

「何って…肉じゃがですけど…気分じゃなかった?」

 

「いや、これは美味しい」

「じゃなくて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あなた?」

 

「整理させて欲しい!変人だとか狂ったとか思われても構わないッ」

「君は!?」

 

「え!?」

 

「名前と所属と…個人情報を!!」

 

「え!?あ、あの!?」

 

「ぷりーず!!」

 

「…神崎…迅鯨ですよ?所属……?えと…あなたのお嫁さんよ?」

 

 

 

!?!?!?

頭を捻る俺。

わからん。全くわからない!

 

 

 

 

 

「…さっきからおかしいわよ?」

 

 

「もしかして他の女と勘違いしてる?」

 

 

「ふぁっ!?」

 

「…誰?誰と勘違いしてるの?」

すちゃりと包丁を取り出してハイライトがフライアウェイした目でこちらを見てくる。

 

 

「いやいやいやいや!待って!秋姉さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰よ…秋姉さんって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え"っ"」

 

無論、秋姉さんとは…秋穂とはアンタの事だろう!?

 

 

 

 

 

 

「…ひどいよ…救くん」

 

「え?」

 

「私の何がダメなの?」

 

「は!?」

 

「好きって言ったのに……」

「好きって言ってくれたのにいいいいい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てーとくー?」

 

「うわぁぁあ!!迅鯨いいい!?………って明石!?」

 

「アレはだめですよー…修羅場待ったなしですって」

 

「……ハッ」

 

 

 

 

ここは西波島鎮守府の工廠。

日々、艤装のメンテナンスや武器の作成等忙しく稼働している。

 

最近では…桜明石や桜時雨がショップの経営も手伝ってくれるので割と楽になってきたとか…。

 

 

先程までのやり取りは、救と迅鯨が明石の新型VRゲームで遊んでいたものである。

 

仮想現実…にしてはリアルすぎる内容だったと思う…。

 

 

 

にしてもリアルなゲーm「秋姉さんって誰よッ!!」

 

と、胸ぐらを掴んでブンブンと揺らしてくるじんげい。

 

「アンタだよ…迅鯨…」

 

「うーん…もっと改良しなくちゃね」

 

「リアル過ぎて既に怖いわ!」

 

「そう?でも楽しくない?ここから動かなくても…好きなとこいけるのよ?」

そう言って何かを書き込む彼女は輝いていた。

 

 

 

元気ハツラツ!

研究…もとい整備、開発に関しては明石の右に出る者は居ないだろう。

ぶっちゃけ他の鎮守府からの見学明石…夕張も少なくないし、何ならスカウトすらも来る。

だが、その度に「ここが好きなので!」と断っている。

 

 

 

 

「またスカウト…しつこいなあ…私はここを動くつもりなんかないってーの!」

 

「本当にー?」

 

「提督は私が居なくなったら…寂しいでしょ?」

 

「明石は?」

 

「秘密」

 

なんて馬鹿なやり取りもするくらい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ明石達が来る頃かな?」

 

「そうですね」

なんて会話を桜ベルファストや迅鯨とやっていると…

 

 

 

 

 

「早く来てよ…明石ぃ!明石は…明日から提督との1日一緒なんだから…夜から居るでしょ?」

 

 

「待って待って!心の準備がッ!!」

 

 

「ご飯も一緒に食べるんでしょお!?」

「ずっと楽しみにしてたじゃない……抵抗するなー!」

 

「2人き…り!?うひゃあ…」

 

「何今更緊張してんのよー!」

 

 

 

 

 

 

 

「…誰か外に居るのでしょうか?」

なんて迅鯨が言う。

なるほど、確かに誰かがやりとりをしてるらしい…内容までは聞こえないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほら!提督待ってるんだから…執務室に入って!

 

ガチャ!とドアが開いて夕張に押し込められるように明石が入ってくる。

 

 

 

 

 

「え…あ、えと…」

「よろしくお願いします…」

 

そこには顔を赤らめてカチコチの明石が立っていた。

 

 

「!?!?」

迅鯨達が驚いている。

 

「明石?」

救が呼びかける。

 

「……はい」

チラリと目線を逸らして彼女は返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…可愛い…」

 

「ほえ!?」

思わず漏れた言葉に明石はギョッとし、迅鯨達は複雑そうな顔でこちらを見て来る。

 

 

 

 

普段の明石の感じからすると考えられない。

ヒャッハー!組ではないが…割とハツラツとした方なので、ここまで緊張してるのも珍しい。

 

 

 

 

 

 

 

そう、明石は…

工廠から一度出て提督に会うと…乙女チックになるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さて、迅鯨様、私達は退散致しましょう」

 

「…仕方ないね。お二人さん、ごゆっくりね」

 

 

 

「え!?か、帰るの!?」

 

「帰るの…?って…明石ちゃん…2人きりの方がいいでしょ?」

 

そう答えられて、はう…と更に小さくなる明石。

クスクスと笑いながら2人はごゆっくり〜と帰って行く。

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あはは、2人になりましたね!て、提督…」

ここまで緊張が伝わる事はあるものか?

言葉遣いも変わるほどに緊張してるなんて…?

 

 

「そうだなあ」

「緊張してる?明石」

 

「そ、そそそそんなことあるわけにゃ………緊張してるよ!」

「だって…初めて…なんだもの…」

 

顔を手で隠しながらクネクネする明石は物凄く新鮮である。

 

 

「明石、おいで!」

と、両手を広げてみる。

我ながら…なかなか鬼畜である。

 

「え!?え、ええええ!?」

「そ、それは…ぎゅっ…ってしてくれる…的な?」

 

「おう」

 

「だ、だだだダメ!手も汚れてるし…汗も…油の匂いもするし!」

 

 

 

 

「気にしない」

彼は胸の前で握り込む私の手を握った。

 

「いつもこの手に助けてもらってるんだ」

と、言いながら彼は私を抱き締めてくれた。

 

 

 

 

それは…暖かくて…

緊張の糸がプツリと切れて大破、気絶するには丁度良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今の音は!?––––って!?明石様!?」

 

「ごめん…可愛くてつい……」

 

「ご主人様……まったく…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ…!!」

気付いたら入渠中だった……。

 

 

ううーー!

恥ずかしい……そして悔しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入渠を終えてもう一度彼の部屋に行く。

糸が切れたお陰か…さっきよりは普通に居られる。

 

 

「…ん、明石」

 

「…あ…」

 

「ごめんな?いじめ過ぎた」

 

「う……私も恥ずかし……です」

 

 

 

お詫びに…と彼が夕飯を作ってくれたらしい。

オムライスを作ってくれていた。

 

 

「2人で食べようか」

 

「うん」

 

 

 

 

 

「いただきます」

 

「いただきます」

 

 

 

 

 

あ…私の好きな…タンポポオムライス…

ケチャップ少なめのバターライスに…デミソース。

 

彼は笑顔で語りかける。

「コレが1番好きなんだろう?」

 

「……うん」

こんな事まで憶えてくれるなんて…

本当に…嬉しいなあ。

ちゃんと伝えないと…。

 

 

「ありがとう…提督」

「……本当に嬉しい」

 

 

 

「あ…あの…ごめんね?」

 

「うん?」

 

「どうも…工廠から出て…あなたの前に出ると…恥ずかしくて」

「本当は凄く嬉しくて嬉しくて仕方ないんだよ?」

「あなたと2人きりで居られると思うだけで物凄く幸せなの…このオムライスも…」

 

 

目の前に居るのは…

いつも油まみれで仕事する明石でなく、

1人の…女の子だった。

好きな人の前では照れて…恥ずかしがって

美味しそうに、幸せそうに過ごす

その姿を見られるのが嬉しい。

 

 

「明石、あーーん」

と、スプーンを明石の前に持って行く。

 

「〜〜ッ!!!あ、あーーん」

ケチャップ並みに赤い明石にその一口を持って行く。

 

 

「ん……おいし…」

「はい…あ、あなたも…あーーん」

 

 

 

「ん、明石から食べさせてもらうと更に美味しいな」

 

 

「…もう」

 

 

 

 

 

そんなやりとりを楽しむ2人だった…。

 

 

 




甘めの…はず
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