提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「未来の……俺?しかも…大好き!?!?」
救が身構える。
「「「「「「え」」」」」」
皆もこっちを見ながら少し引いている。
「…何?俺は未来では自分に殺されようとするの?自分のせいで過去の自分は世界を敵に回すの?あと君のその恋心には……」
「アレだよ!?僕と君が同じ人物って訳じゃないよ?」
「…よかったぁぁあ!!」
「好きってのはそのままだけどね」
「…脱線したね。で?…まもちゃん…その未来の中で君は最後どうなった?」
「……」
「"世界"に弾き出されなかったかい?」
「強すぎる力は〜ナントカって疎まれ…妬まれ…最後は守った者に牙を向けられなかったかい?」
「な…何d「何でわかるか?でしょ?」
「僕がその道を辿ってここに来たから!!」
「は?」
「君の見た未来は…既に僕が通った道なんだ」
「なら…何で幸ちゃんは敵対の立場に居るんだよ!?」
「それなね?僕達が別の世界からやって来た
「は?」
彼は語り始めた。
ある人の話をしよう〜〜!
彼の世界もね…昔は平和だったらしいんだ。
でもある日…怪物が現れたんだ。
ある人を救いたくて…化け物をその世界に持ち込んだらしいよ?
その時から彼の世界は平和からかけ離れたんだ。
でもね?彼の世界にも艦娘が現れたんだ。
アレだろうね。一種のカウンターみたいなものなのかな?彼女達は。
彼は…彼の居た世界で、艦娘を率いて戦ったんだ。
長かったよ…
そして、多数の犠牲を出しながら…辛くも勝利を収めたんだ。
やっと…平和を取り戻した世界。
なのにね?
誰も彼女達を褒めてもくれないんだ。
軍人なんだから当たり前だ!って…。
それにね?彼らには、死んだ者への労いの言葉もなかった。
それどころか…その力は平和な世界にとっては脅威でしかない。
化け物を倒せるのはバケモノだけ。
深海棲艦の存在無き今は…彼女達と提督こそが世界を支配しうると考えられたんだ。
世界は彼達が生きるのを許さなかった。
武力に追われ、助けた人達…守った者達に追われ、命を奪われたよ。
彼等の世界のどこにも安寧は無く、1人、また1人と仲間を失い…英雄は死へと追いやられた。
死に行きがら彼は思い出だした。
小さな頃に思った不思議…
この青い空の向こうには何が有るだろうか?ってね。
母さんは昔言ってたな…
幼い頃に亡くなった父さんは…空の上の天国で見守ってくれてる……と。
平和な世界かな?
天国があるのかな?
理想郷があるのかな?
彼らの魂は…空の向こうに思いを託して…その空を昇って行った。
皆の魂が空へと昇る。
どうせなら…夢見たあの向こうに…行きたくて…
空を登り切った頃に…辺りが暗くなった。
いつまでも続きそうな暗い闇だった…。
「…宇宙…?」
お前は喋んなって…里仲ぁ
…まあいいや!宇宙?違うよ海の底だったんだ。
ゴポゴポと音を立てて昇ってゆく泡。
まさか…と思ったよ。
そう思いながら…彼らはその泡を追った。
海だった。
深い…深い…海の底だった。
ん?
不思議かい?
君は空の上は宇宙って言ったよね。
でもね?
彼の話では…空の上は海の底だったんだって!!
でね?ここで問題…。
深海棲艦はどこからやって来た?
「……海の底…だよな」
救が答える。
そう!!正解!!それは海の底…
海の底の空の下の海。
「艦娘がどうやったら深海棲艦になるかわかるかい!?」
「………沈む事?」
麗が答える。
だから…何でお前が答えるかな……本当ウザいよ……。まあいいや。半分正解!死ぬ事と…怒りや憎しみや悲しみなんだッ!!
それを抱えて死んだ者は海に眠る悲しみに囚われる。
悪を倒して…世界から疎まれた憎しみを抱いた正義が辿り着いた絶望の淵の楽園。
光も届かない…
自分達だけの楽園になるはずの…海の底。
しかし…彼らは求めた。暖かな…あの光を。
その先の海の上で見た。
平和な世界を…。
そして…自分達は…
自分達の持つ感情が何かを知った。
憎しみ…怒り。
身を焼く怒りは…
世界を焼き尽くすような怒りは…彼等の姿をも変えてしまった。
そして…この世界の皆は僕達を化け物だと言う。
だから思った。
僕達を化け物だと言う奴をこの世から排除してやろう…と。
彼等は言う。
我等は…楽園を求める恨みの代弁者だと。
わかった?
そう…
僕達こそが…化け物の生みの親って訳さ。
僕達の憎しみや悲しみが…広がったんだねえ…
海の怨念?
いやいやいや
アレは…それが固まっただけ!!
君を取り込みたかったけど…無理だったんだ。
話を戻すね?
そうして深海棲艦は生まれたんだよ。
そうして世界から海は奪われた。
でも…僕達の渇きは癒えない。
激しい怒り
世界を焼き尽くすような怒り
その怒りは僕達を大きく変えたのに!
同じ殺されて来た君は…姿も変えなかった。
それどころか…幸せそうにのうのうと暮らしてる。
僕達は…味方を増やす為に人に偽装してまで溶け込んでるのに…。
ねえ?神崎救
君にとって…いや、君は正義なんだろう?
でも…
僕達だって正義だったんだ!!
世界を追われて新たな海にやってきたんだ。
その正義はこの世界では悪なんだ!!
同じはずなのに!!!
だから!僕はこの先の…君の居た世界に行くんだ!!
同じ道を辿る君と一緒に!!
そう、いずれ…戦争は終わる。きっと君は英雄になるだろう。
終わって安堵して初めて直面する絶望。
守った者に狩られる絶望感。
僕は知っている。
そしてね…?
僕は…
呪いのような運命を壊したいんだ。
僕の本当の名前は…
御蔵 幸 (ミクラ ユキ)
たった1人を救う為に世界の運命に抗った男の子供。
そして…世界に化け物をもたらした咎を背負った子供でもあるんだよ。
まあ…その僕もこの世界に化け物を持ち込んだんだけどね。
あはは…親子ってそんなもんだよね?
「…待て!御蔵のジーサンは…子供なんて…」
「…うん、お父さん…怪物は…2人を殺さなかったよね?その2人の子供が私」
「でも…お父さんも怪物のお父さんも同じだから……」
「面白い話でさ?私も世界を跨いで…あはは…同じことしててさあ…」
「…何で俺の居た世界にそんなにこだわる??」
だから…言ったでしょう?
理想郷に行きたいって
君の居た世界は…
さぞ幸せなのだろう。
だって!!!
このアイアンボトムサウンドに!!!
最上層を彼の居た世界として…
ここは一つ下
僕達の世界はもう一つ下…
そう考えてもらってもいい…。
そう!!
何度も言うよ!!
きっと君の居た世界は天国なんだ!!!!
だから…あの空の向こう側へ行くんだ。
あの運命の向こう側へ
あの世界の向こう側へ!!
そして天国へと到達する!
理想郷へと!!辿り着くんだッ!!
彼は信じていた。
何故か救は世界から落ちて来たと思い込んでいた。
もし、彼の世界がそうでなくても…もう一度上に行こうとするだろう。
だが…彼の思想には1つ問題がある。
殺されなければならないと言う事。
「なら普通に生きて死んでしまえばいいだけじゃないか!」
…ダメだよ
空を越えるには…強い憎しみしかないんだよ。
だから味方に殺されたいんだ。
一応ね…この世界も好きなものだらけだから…
「ならその為に大事な戦友を殺せるのか!!」
僕にとって大切なのは僕の艦娘と…光である君だよ。
だからそれ以外を殺したの…。
そうすれば…愛する者への耐性が弱い君は…君は必ず僕を殺してくれる。
そうして君も同じ道を辿る…。
そうすれば僕は君と結ばれるんだ。
「………は?」
あれ?男だと思ってた?僕っ娘だからかな?
僕は女だよ
「えへへへ……もうすぐ結ばれるからね?」
「だから何で…」
「助けられたから…助けたいんだよ」
「……世界から弾かれたのは…気持ちはわからないけど…きっと絶えられないほどの苦しみだったんだと思う…」
「でも…あなたが救われる為に…何もかも犠牲にして言い訳無い」
麗が食ってかかる。
「…何さ……アンタに何がわかんのよ!!!」
「僕は苦しみから解放されて!目指した空の向こうの理想郷に行くんだ!!そこで大好きなまもちゃんを迎えるんだ!…私はもう一度救われるんだ!彼を救うんだ!!」
「ふざけないでよ…!!!」
「何?」
「天国とか理想郷とか勝手に決めつけてッ!!意味がわかんないよ!!大好き…?そんなの好きって感情じゃないッ!!」
麗が吠えた。
「……あぁ!もう!!うるさいッ!!大体さ…何であんたがいるの?僕…お前のこと嫌いなんだよね」
「…ずーーっと彼の側に居てさあ…邪魔だなあ…」
「でも…お前を殺したら…すぐにまもちゃんキレるんだよねえ…何か妬いちゃうなあ」
「結局はアンタの勝手じゃない!!」
「そんな勝手に…私の旦那さんや大切な人達を巻き込まないでよッ!!」
「ああ…ウザい…ウザいッ!!私の愛を否定するな!!お前から殺してやる」
「…やれ!キリシマ!!」
「……はい」
「行くよ…武蔵ッ!!」
「ああ!!」
「…私も行きます…」
猛武蔵と桜赤城がキリシマ…と。
「ヘーイ!相手デース」
「…はい!」
「…行きます!」
金剛、鳳翔、迅鯨がショウカク率いる深海軍と対峙する。
彼は彼女でした。
世界三層節はあくまで幸の頭の中の話なので…
サイコな子ではありますが…