提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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316話 あの空の向こう側 ⑩ エピローグ

御蔵 幸

彼女の目指した理想郷は空の向こう側には無かった。

焦がれた俺の居た世界も…そうとは言えなかった。

 

 

軍所属の彼女であるが…

一連の行動に関しては、クーデターが起きている訳でもなく

例え夢の中の話としても現実ではない為に起こり得て居ない。

また、彼女が深海棲艦との深い繋がりを証明出来るものはない。

俺が前例であるように…。

 

故に彼女はお咎め無し…と言うか、審議すらしようがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの不思議な体験は夢だったのか…

そもそも…

 

あの出来事自体が、どこかの可能性の先ではないかと思う今日。

 

 

 

 

 

鎮守府は…

 

 

 

 

 

そして、彼女はまた俺達の敵となるのかー?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バタァン!!!!!!

 

 

 

 

「やっほー!まもく〜ん♡来たよー……って!!麗!?何で君が居るのさ!?」

 

 

 

 

「そりゃ…奥さんだもん!居るよ!!」

 

「君の鎮守府は!?」

 

「リシュリュー達に留守番をお願いしてるよ」

 

「何でだよー!ちゃんと仕事しないと!!」

 

「あ、あなたに言われたくないよ!!」

 

「僕はダーリン君と甘いひと時をすごすんだよー!あぁー!!まも君の甘ーいひとときがぁあ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……賑やかだなあ…」

 

 

「お邪魔します」

「閣下の周りはいつもああなのですか?」

 

ブインの金剛達が言う。

 

 

 

「ん?ああ…いいものだろう?」

 

「…まあ…残念なことに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これからは君達もあの中に入る訳だ」

 

 

 

「…ッ」

ブインのメンバーは目を潤ませた。

 

「…さぞ辛かったろう。悔しかったろう。無念だったろう」

「だが…道のりはどうであったにしろ、今はここに辿り着いた」

「君達の言う楽園には程遠いかも知れないが…見て欲しい、あの子達の笑顔を」

 

 

 

「…ちと偉そうだけど…許して欲しい」

 

 

 

 

 

「海軍…副元帥として…」

 

「ブイン提督…御蔵 幸…以下艦娘達」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界を跨いでも尚、その強い絆で結ばれた君達に…敬意を」

 

 

 

 

 

「俺は…ここに居る皆は知っている…君達がどれほどに凄い存在かを…」

 

 

 

「だから…」

 

 

 

 

 

「友として…戦友として…言わせて欲しい」

 

 

 

 

 

 

「よく頑張った…。よく耐えた。よく泣いた。……だからその分!これからは楽しくなるし、幸せになれる」

彼は一人一人に語りかけて頭を撫でた。

 

 

 

 

 

変な言葉だった。

とてつもなく…めちゃくちゃで…突飛で…

でも暖かかった。

 

 

 

 

 

 

「マモ君!好き♡好きい♡愛してる〜嬉しいよおー!もっと褒めて!もっと愛して〜♡」

金剛以外で目を♡にしてる奴は初めて見たぞ?

 

 

「ちょっと!わたしの旦那さんだよ!離れてよお」

 

「僕の旦那様になるんだよー!」

 

「ダメ!私の親にも挨拶してるんだからね!」

 

「はーー!?…へーーん!ぼ、僕のお父さんだって…!マモ君のこと…認めてるもん!!」

 

 

「「は?!」」

その場に居た全員から発せられた声。

 

 

「初耳ですよ!?」

 

「やり合ったんでしょ?お父さんに勝ったんでしょ!?なら大丈夫!認められてるよ!」

 

 

 

お父さん…とは…………うーーーん…。

 

 

「それにね?私はその娘だよ?そう簡単に諦める性格じゃないよ」

 

 

 

 

 

 

 

「…何年振りかな?あの子のあんなにはしゃぐ姿は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻って来られた」

 

「あの子達が…皆が…私の手を引いてくれた…」

金剛が幸の手を握って言う。

 

「辛いことだらけだったんだと思いマース…でも…でも、それでも変わらなかったものが1つありマース」

 

 

「……なに?」

 

 

 

 

「あなたが…あなたの艦娘に愛されていた事…デース」

 

「彼女達はあなたの思いを叶えました。ええ、それが例え結果として理想とは異なるものとしても…。愛する人の為なら…私達は命でも懸けます」

鳳翔が彼女の肩に手を置き優しく喋りかけた。

 

「あなたが迷いそうだから…手を引くんデース」

 

 

「…もう少しだけ待ってみて下サーイ。きっと彼女達はあなたの元に帰ってきますカラ」

 

 

 

 

時間にしては全然経っていなかった。

白昼夢…というやつか?

 

あの子達が見せた優しい夢だったのか…?

 

それは分からない。

 

でも…結果として俺も…迅鯨も…皆も救われた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会いたい…よぉ…」

「皆に…また会いたいよお……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「数日お世話になりました……ありがとうまも君…」

 

 

「……麗…も…その……ありがと…」

この数日で彼女なりに考えを噛み締めたらしい。

それを聞いてとても嬉しそうにする麗。

 

「……ッ!!うん!うん!!私達…友達に…なれる?」

 

 

「…あそこまでぶつかってくれる人はて友達じゃないよ……」

 

「え…」

 

「もっと深い…親友になりたい」

 

 

「…!!うん!なろう!なる!」

 

 

 

 

 

抱き合う2人を見ながら数名に指示を出す。

彼女を送る為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その必要はないですよ」

 

 

 

 

 

その声…声の方に振り向く。

大本営からの手伝いか?と彼等は思う。

 

だが、たった1人だけ違うと思う人が居る。

 

 

 

 

 

 

「あ………ぁ」

 

 

幾年を越えただろうか?その想いは。

 

いかほどに積もっただろうか?その想いは。

 

 

 

 

足が自然と海に向かう。

濡れてしまおうが構わない。

震える体を無視して必死で泳いだ。

 

手を伸ばして伸ばした。

確かめたくて…触れたくて。

 

 

 

逆光で顔が見えない。

私は涙と海水で口の中がしょっぱい。

 

 

 

 

「ったく…風邪ひきますよ?」

 

 

 

 

ぐいっと引き上げてくれてやっと顔が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寂しかったな…提督」

涙でぐしゃった顔の皆が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁああああああ!!!うわぁぁああん」

彼女は飛び込んだ。

彼女に出来る最大限の力で彼女達にしがみついた。

 

彼女達が優しく…強く受け止める。

 

「ごめんね!ごめんねえええ」

 

 

「…よく生きていてくれた…それだけで…それだけでいいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曰く、語り掛けてきた人が居たらしい。

アンタ達を待つ人がいるさね。

ボーッとしてないで早く行きな!

 

慌てる私達に彼女は言ったんだ。

 

 

真っ直ぐ行きな!何があっても真っ直ぐにね!

 

 

 

って…

 

 

 

 

 

「あと…」

 

 

「あと?」

 

 

「自慢の子供達に伝えて欲しい」

「 『あたしゃ…いつでも…いつまでも思って祈ってるからね』と」

 

 

 

 

それを聞いて俺たちは泣いた。

嬉しくて…皆で泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さて、今日も頑張るさね。ん?なんだい?」

 

「親に捨てられたのかい?」

 

「ならもう安心しな!今日からここがアンタの家さね」

 

「ここ?ここは…優心の家さ……え?名前が微妙?!」

 

「この名前はねえ……優しい…優しい心を持った子に…という名前なんだよ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ?まも君?」

 

「ん?なあに?」

 

「好き…です。褒めてくれたあの時から…」

「…だから…もう間違わない。…僕もあなたを支えられる人になりたいな」

「皆とならそれが出来ると思うんだ」

 

「ありがとう。俺も…新しい君を見てくよ」

 

「…麗にも負けないからね!たっくさんアピールしまくるからね!」

「支えるって言ってくれたんだから……責任とってね?」

 

 

 

 

「こらー!幸ー!ズルイデース!!そこは私のポジション!」

 

「譲れませんし、譲りません」

 

「私の場所ー!救君ー!痛いよー慰めてー」

 

 

 

 

 

 

 

不思議な体験は…新しい仲間を増やして、鎮守府をさらに賑やかにした。

 

 




はい、10パートの長編でした。
僕っ子キャラは1人くらい増えてもええかなあ…と。


とあるキャラに うん?と思ったかもしれませんね。
そーいうことです。

色々と後に繋がる場面もでてきたかも……しれませんね。





すこしでもお楽しみ頂けたなら幸いです。

感想などお待ちしてます!!

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