提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
誰かが言った。
1人だけが幸せになるよりも…皆で幸せを噛み締めたい…と。
そんな訳で始まりましたデスマーチという名の写真撮り。
他の役は妖精さんをお菓子で買収したらしく…
『…全員で撮るってもさ?他の役はどーすんの?着替えと『大丈夫にゃ!妖精さんを雇ったにゃ!』
なんて桜明石が言ってたなあ…。
「よろしくお願いするにゃ」
「うへへ…まかせてくださいよ…うへへへへ」
何やら黒く笑う妖精と桜明石。
「変なことしたら……飯抜きな」
「…そういうリアルなのはキツいにゃあ…」
用意されるひな壇、衣装!!
そして別の会場ッ!!
「何これ?」
「写真撮りの順番はオークションにするにゃー」
「その稼ぎはどこに?」
「……ち、鎮守府の経営に…」
「嘘つけや!絶対ぇ店の拡張とかだろ!?」
「て、手数料は貰うにゃあ」
「ほーーん……俺をダシにしてそんなことするのか〜…悲しいなあ…いや、本当に悲しいなあ…」
「…に、にゃ!?」
「桜明石の事…信じてたのになあ…」
「…ご、ご主人……わかったにゃ…」
「……ちなみに1番の特権は…指揮官と1日…ゲフンゲフン」
「やめて良かった!!」
てな訳で…
くじ引きで順番に写真撮り。
…アレだな。
ただでさえ可愛い娘達が和服を着ると…うん…可愛い。
特にねえ…海外艦は……やめて!見ないで!そんな目で俺を見ないで!!
撮影…?
何とか無事に終わったよ?
え?
当たり前でしょ!?
暴走気味な奴を取り押さえるのにどれだけ時間かかったことか!!
部屋に戻ると、珍客が来ていた。
「あ!まも君♡お帰りなさい〜」
「幸ちゃん…?!」
「そーだよ!幸でーす!」
と、笑顔で鍵を掛けたはずの部屋で待ち構えていた幸。
笑顔は可愛いんだけど…やはりまだ治ってない顔の傷は痛々しい。
「顔大丈夫?」
「あ、うん!心配してくれるんだね」
「骨も折れてないし、恐らく傷に残ることはないってさ」
「……そうまでなって得られたモノはあった?」
「あったよ」
「僕からしたら夢みたいにね」
「あなたが私を救ってくれたから…
「……あの時…麗が僕の目の前に立ってくれたこと」
「あのお婆さんが撫でて抱き締めてくれたこと」
「皆が帰ってきてくれたこと」
「まも君がこうやって居てくれること」
「頑張ったねって…あなたが言ってくれたこと」
「ずーーっと欲しかったものが一気に手に入ってさ…」
「怖いんだ」
「怖い?」
「この幸せが…すぐに夢だったって思うくらい…無くなっちゃうんじゃないかなって」
「…目が覚めたら……またあの時に戻っちゃうんじゃないかなって」
現実から非現実に切り替わった時…その気持ちは痛いほどに分かる。
幸せが一気にやって来た時…その分不安が大きく押し寄せる。
寝て…覚めたら…もしくは、ある日突然… 無かった当たり前に、元に戻るように…
でも
「…そうはならないさ」
そうさせないから…。
「え?」
「絶対そうさせないから!」
「…ッ!」
「今はまだ信じられないかも知れないけど…きっと…きっと!!」
「……そこにまも君は居る?」
「ん?」
「私の…
「…君は…」
「うん?」
「その…君はそこまで俺を?」
「うん!僕にとって…あなたはそれだけ大きな存在だよ」
「なら…うん、約束するよ。君の隣に居るよ」
「麗にも負けないからね」
「え?」
「あの子はライバルだから!絶対負けないからね!!」
彼女はそっと彼に駆け寄ってキスをした。
「……えへへ…」
「ちょ!?幸ちゃん?」
「え?嫌だった?そんなに慌てて…」
「いやとかじゃなくて…」
大体こんな時には……
「ねぇ?……何やってんの…?救君?」
ほらね?修羅の顔をした麗が居たよ?
「麗ちゃん?節分はまだ先だよ?」
「は?」
「ひっ……すみません…」
「いやいやいや!何してるの!?何したの!?何されたの!?」
「麗見てたんでしょー?えぇ〜?もちろん…ちゅーだけど?」
「だから何で!?!?」
「好きだから…だけど?」
「はぁぁあ!?!?救君も何ぼーってしてるの!?」
「え…いや、あの…」
「何でよお!!!」
ガクガクと俺の首根っこを掴んで振りまくる麗。
「ズルイ!私もッ!してほしいのに!!」
「ダメだよー!!まも君は僕のだよ!!」
「何でよ!?私は結婚だってしてるのに!!」
「え?でもまだ神崎じゃないよね?」
「うっ…そ、それはそうだけど…」
「ならまだ婚約…だよね?他の艦娘達も同じな訳で…」
「……うん」
「なら私にもまだ!!」
「うわぁぁん!!だめええ!救君は私の旦那さんなのー!」
「ちょ!泣かないでよ!?」
「負けない!!ぜーーったい負けない!」
怖い!女の争いは怖い!!
そろりそろりとその場を逃げ出す俺。
「「「「待てえええええ!!!」」」」
提督の嫁は私だーー!!
と、エントリーする面々!!
おい待て…その紙は?え?婚姻届?
「「え?何その格好…あと手の紙…」」
「おや?お2人さん?節分はまだ先だよ………ってすみません、空気読めなくてすみませんだからそんなに睨まないでくださいほんとお願いしますなんでもしますから」
あの時雨が負けた…だとッ!?
「はい…提督とひな祭りの写真撮りをしてました…皆お雛様でしたはい…え?この婚姻届?…結婚って話が聞こえたのとどさくさに紛れて嫁になりたかったんですやめてくださいそんな鬼の表情でこちらを見ないでくださいほんとにごめんなさい」
ぐるりとコチラを見る全員。
窓から逃げようとする俺。
「どこ行くの?」
「あの空の向こう側に逝きます」
「逃すかッ!!!」
「「「追えええ!!」」」
拝啓…元帥閣下…
有給休暇とれますか?
結構溜まってません?
え?ダメ?……そう…
鎮守府は今日も賑やかです。
顔の傷?
大丈夫!次までには治るから!!