提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
こんにちは!私は能代です。
つい先日に、ここ西波島鎮守府に建造されました!
既に阿賀野や矢矧は居るようですが…
「あの!能代です!よろしくお願いします」
「おー!能代!よろしくね!」
優しそうな提督さんです。
見たことも聞いたことも…記憶にない艦娘も居るようですが…
「あ!阿賀野、矢矧!」
「あ……」
阿賀野です。
能代には変わりないのに…まだ妹が近くに居る気がして。
過ごした記憶もあるから…。
「よろしくね、能代」
矢矧は言う。
私は気恥ずかしさと
姉への申し訳なさでお姉ちゃんと呼べなかった。
「……あ、うん!よろしくね!」
彼女達は決して私をお姉ちゃんと…妹ちゃんと呼んではくれなかった。
「お姉ちゃん、妹ちゃんと呼ばれたい?お姉ちゃんって呼びたい?」
「はい…私は能代なので…阿賀野や矢矧にはお姉ちゃんか妹ちゃんと呼ばれたいのですが、一度も呼んでくれなくて…私もお姉ちゃんとか呼びにくくて…」
そう俺に相談する能代は寂しそうだった。
そして俺はその理由を知っている。
彼女達は…元々は旧猛武鎮守府の所属だ。
しかし…とある戦いで命を落とした。
そこには彼女もいた、能代だ。
阿賀野と矢矧は長く彷徨った。
自分がどこへ向かえばいいかも…誰かもわからなくなっても。
そんな時に俺と出会った。
俺の中に居た先輩…提督との出会いで彼女達は成仏できた。
そして…阿賀野と矢矧は俺に会う為に生まれ変わってやってきた。
そう…彼女達の中にはまだ能代が居るのだ。
だが…これは俺から言うべきではない。
「能代…時間はかかると思う。アイツらにも色々と理由があるんだ。…納得してくれとか、我慢してくれとかではなく…少しずつ時間をかけて接してやってほしい。きっと心は開いてくれるから…」
「…言い難い理由なんですね?」
「わかりました」
「おはよ!阿賀野♪矢矧♪」
「おはよう!能代」
「おはよう、能代」
「…………ッ、朝ご飯…行こうか」
「「うん」」
やはりぎこちない…
「お姉ちゃん…っては呼べそうにない?」
「……ごめん」
矢矧は顔を伏せた。
「理由は…聞いても?」
「………ごめんなさい」
阿賀野はそう答えた。
「ごめんね…」
「ううん!大丈夫!じっくり行こう」
「阿賀野〜!洗濯出しとくね」
「矢矧!遠征お疲れ様!」
「阿賀野!任務がんばってね!」
「矢矧〜阿賀野〜ここにカフェできたって!行こう」
それでも彼女は変わらず私達に接してくれる。
「…矢矧…」
「うん、わかってる…でも…まだ…能代姉は……まだ居るから」
お姉ちゃんと呼んでしまえば…
私達の
決してそんなことはないと思っても…
能代に申し訳ないとか
気まずいとか
私達の小さな…ちっぽけな何かが
だからそんな空気を察しているのか…彼女もお姉ちゃんと呼んでこない。
悪循環だ。
「でも…きっと能代姉はそんな事で怒ったりしないのにね」
「うん…頑張って…妹ちゃんって呼んでみよう」
「うん」
タイミングを探した。
その一歩を踏み出す為に…。
「今日は、2人で任務なんだよね?気をつけてね?」
呼ぶんだ。お姉ちゃんって…呼ぶんだ。
「…うん!お…の……の…能代…も任務がんばってね…」
言えなかった。
あと一歩が……踏み出せないまま…私は…。
「気をつけてね?何だか…嫌な予感がするから…」
「……何かあったら私を呼んで?すぐに私が駆けつけるから!」
「……ッ!!!」
変わらない優しさを目の前からぶつけてくれるこの人に…
『………』
彼女は悲しげに見ていた。
魂となって愛する人と共に居る元猛武の能代。
『…馬鹿な姉妹……嬉しいけど…前に進んでよね…』
『…2人も…姉妹がいるんだよ?』
「能代ーどしたの?」
「まだ姉妹ちゃんって呼んでくれないの?」
任務に同行する鬼怒と由良が話しかけてきた。
「…そうなの……まあ……そうよね。能代が居た記憶があるなら…私は本物にはなれないから」
「でも…初めてできた繋がりだから……」
「そんなことないよっ!」
鬼怒が言う。
「大丈夫!きっと伝わるよ!」
その頃、阿賀野と矢矧は大苦戦を強いられていた。
「くっ……こいつ……!!」
阿賀野と矢矧の前には港湾棲姫が居る。
矢矧はその大きな腕に掴まれ投げ飛ばされる。
「きゃあ!!……くっそお!!」
強い。
本当に強い。
「矢矧!立て直して…2人でッ!!」
「うん!!」
一旦距離を置いて…
攻撃で撹乱して!!2人で挟み込んで…蹴りを–––––
ガシッと足を掴まれる2人。
「マジか…って…きゃぁあ!?」
港湾は力いっぱい腕を閉じる–––つまり、2人はぶつかり合う。
「ぐぁ」
「ぎゃあ」
何度も打ち付けられ
「ガッ…ぐっ……あぁッ!!」
「ぶっ…このッ…うぐっ!!」
海に叩きつけられる。
「「きゃぁあ!!!」」
「…大丈夫?阿賀野姉…」
「やばいかも……」
それ以上に矢矧はダメージを負っていた。
見てわかる、もうそろそろ限界ラインだと。
それを知ってか、港湾は矢矧を狙う。
––やらせるもんか!
「……はぁぁあああッ!!」
「阿賀野姉!?」
阿賀野はそうさせまいと港湾に突っ込んで行く。
「主砲…潰されてる…くそ!なら…せめて」
港湾の大振りを回避して一撃を…!!
ドゴッ!!と港湾の脇腹に蹴りが当たる–––が
『効かない』
ドゴォォ!!
正面から港湾の拳をモロに喰らってしまう。
「が…はぁ……」
………
……
…
ひゅーひゅーと肩で息をする2人。
目の前にはめちゃ強港湾棲姫。
対するは大破状態の2人…。
逃げた…とて追われてトドメを刺されるのは必然。
頭によぎるのは色々な後悔。こんなことなら…もっと素直に…
「お姉ちゃん…って呼べば…よかった」
「こら…弱音を吐かない!!」
「阿賀野姉も妹ちゃんっても呼んでない!!」
「………」
そうだ。
絞り出したはずの薄っぺらいユウキは、頭に浮かんだ姉妹の姿に自らが萎縮して影に隠れた。
分かってるんだ。
そんな事で今までの姉妹の思い出が壊れない事くらい
でも…私達の姉妹は、あの能代だって我儘な気持ちがあって、あんなに優しい…新しい能代を遠ざけて……最低だ…私達。
目の前に迫るのは…色濃い"死"
でも…
「あの能代の事を…お姉ちゃんって…」
「妹ちゃん…って」
「「まだ呼んでない」」
「提督に指輪も貰ってない!デートも行ってない!!」
「そうね…やり残しが多い…ね」
「「まだ…死ねるか」」
「だぁぁぁあ!!!」
2人がかりでそれでも挑み続けた。
退けない!絶対に!!
何度ぶちのめされようと
何度叩きつけられようと…
が…
ガクリと矢矧が膝を折った。
「やば…もう立てないかも…」
「矢矧ッ!?」
甘かった。
最終的に私が囮になって矢矧を退かせる事ができない程に矢矧はやられていた。
それを見逃すはずはない港湾。
そして…妹を見捨てて退く事なんか微塵も考えてない。
港湾の拳が目の前に…
だから
「矢矧!逃げ…」
阿賀野は矢矧の前に立つ。
「阿賀野姉!ダメ!!」
「全力で…受け止めてやらぁぁああ!!!」
『マトメテ…シネ…!!』
後ろから矢矧の声が聞こえる。
ごめん矢矧…ごめん能代…
ぎゅっと目を瞑る。
ガンと言う鈍い音が響いたー…
能代の区分けは敢えてやってません。
こんがらがるかも知れませんが…
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あんまり更新はない…かもですけど…