提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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続きでーす!!


326話 妹として、姉として

「……?」

 

 

 

恐る恐る目を開ける。

 

 

そこには…

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫…もう、大丈夫だからね」

「大事な姉と妹に…なにしてんのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が居た。

 

彼女は来た。

 

 

 

 

 

彼女は私達の目の前に迫る剛腕の大きな腕を受け止めた。

 

 

 

 

 

「能代…?なんで!?」

 

 

間に合うはずがない距離を彼女は超えてきた。

姉妹を助ける為に。

能代 改として。

 

 

 

なんで?と言うのには

どうやって来た?とか

なんで私達の為に?とか

そんなぼろぼろなのに?とか…。

 

 

 

「なんで…って」

 

 

 

 

「阿賀野や矢矧にとっては…辛苦を共にした…喜びを分かち合った姉でもないてしょう。単なる能代という思い深い偉大な姉と同じ名前を持つ艦娘の仲間でしょう……。でも…私にとっては…大切な仲間で家族で…姉妹なんだ!!」

 

「私に…やっとできた家族なんだ!!」

 

「他の仲間も…提督も……やっとできた家族なんだ!!」

 

「一方的だって思われてもいい…!!それでも…」

 

 

「私に初めてできた…繋がりなんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

背中越しに聞こえた彼女の叫びは…

へたり込む私達に深く突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

特段嫌いな訳ではない。むしろ良くしてくれた。

姉と呼べないのは…能代…姉への申し訳なさだった。

 

 

お姉ちゃんと呼んでしまえば…私達の中からあの人が消えてしまいそうで…

全てが書き変わりそうで怖かったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

少し前の事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ!!阿賀野?!矢矧!?」

今…胸騒ぎがした。

2人が…危ない!!

 

 

 

その能代の異変に2人が気付く。

「…能代?どうしたの?」

 

 

「え?!あ、えと…」

 

でも…2人を信じないと…私も任務がある…でも!!

私は…私はッ!!

 

 

 

 

 

「能代!行って!!」

由良が言う。

 

 

 

「でも!」

 

 

「うん、作戦からの離脱になるね。命令違反だね」

「でも…行くべきだと思う。感じてるんでしょ?」

 

「姉妹のピンチを」

 

「あ……」

 

 

「それは同型艦の繋がりなのかも知れない。でも…姉妹だから繋がるものもあるんだと思うの」

 

 

「ある…白露が言ったわ…」

「1人だろうが…2人だろうが、妹には代わりないんだって」

「なら!妹を守るのに理由なんか要らないんだって!」

 

 

「だから…行きなさい!!ここは…私達2人でも十分大丈夫だから!」

「…ここは私と鬼怒に任せて!!ね?」

 

 

 

 

 

「…お姉ちゃん…そして、妹の凄さ…見せてあげて?」

 

「……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…鬼怒…由良…」

「お願いッ!!!行きます!!」

 

 

 

 

 

 

彼女は行く。

姉と呼ばれなくとも…構わない。

私は……能代だから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ったね…」

 

 

 

「…提督…怒るかなあ」

 

「ううん?きっと大丈夫だよ!」

 

 

 

 

「さあ…鬼怒?いくよ?」

 

「おっけー!お姉ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁあ!!!」

「退け!退け退け退け退け退けぇぇえええええ!!!」

 

「大事な仲間が…姉妹が!家族が待ってるんだぁぁあああ」

 

 

 

彼女は征く道を塞ぐ敵を薙ぎ倒して行く。

 

もっと速く!速く…

まだ…もっと!!

 

 

何でもっと速く動けないの!?

ねえ!私の体ぁ…

お願いだから速く進んでよ…

 

 

お願い…

誰でもいい…!!

私に…力を貸してよ…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…能代…もう1人の私……お願いッ…』

祈るのはもう1人の艦娘。

幾度となく姉妹や鎮守府を支えたかつての英雄。

今は最愛の人と世界を見守る艦娘。

 

 

 

 

 

 

 

 

ザッ…と通信?念話?わかんないけど頭に響いた。

「能代…大丈夫だ…前に進め」

 

 

 

 

 

「え!?て、ててて提督…?」

 

「俺が力を貸す」

 

「え?えと…提督が!?」

なんだろう?この安心感。

ずっと前から知ってるような…お日様のような……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザッ…と

何かが映った。

 

これ…は…

彼女達の本当の姉の…?

 

『…妹ちゃん…私達行くね?』

『あの人の力になりたいから』

 

『…うん!私はこの人と居るから…見守ってるから』

 

『例え離れていても私達は姉妹だから』

 

 

 

 

 

あぁ…本当に慕われていたんだ…

 

 

 

 

 

 

 

だから…尚更守らなきゃいけない

同じ…能代として!!

 

 

 

 

 

 

「提督!私に力を貸してください!!妹を!家族を!守る力をほんの少しだけ!…貸してくださいッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「行け!!」

そう聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

能代   改

 

 

 

 

「…能代 改!!いきまぁぁす!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして能代は辿り着いた。

守りたい者の元へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…バカ』

 

 

 

 

 

 

 

『あなた達の姉妹はそんな気量の狭い艦娘じゃないわよ』

 

そう聞こえた気がした。

 

『私達は何があっても姉妹であることは変わらないよ?でも…あの能代を見て?妹を守る為にあんなになってでも…』

 

『姉が…妹が2人いたって…良いでしょ?そんな贅沢ある?』

 

 

 

『…2人が私を思ってくれてるのは嬉しいよ…大好きな妹だもん』

『でも…矢矧?私の事はいつも通り矢矧能代姉って…阿賀野は妹ちゃん呼びなよ』

 

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃん…

 

 

 

妹ちゃん!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…能代姉…ごめん…そうだよね、そうだよね!!」

2人は背に立つ能代へと告げる。

 

後ろには姉の能代姉。

 

前にも能代…お姉ちゃんが居る。

必死に…必死に私達を守ろうとするお姉ちゃんが!!!

 

 

 

姉を守ろうとする妹が居る!!

 

 

 

 

 

()()()()1()()()()()()()()()()()()() ()

 

 

『行って来なさい…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くううう!!負けるもんか!負けるもんかぁあ!!!」

 

 

 

必死で彼女達を守る能代。

それは家族の為に、繋がりの為に。

圧倒的な火力を前に挫けそうな心も体も奮い立たせながら!!

 

「あぁぁああああああ!!やらせない!やらせないいいい!!」

 

 

ここを退いてしまったら…後ろの妹達が!!

びきびきと音を立てて軋む艤装。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん…ごめんね」

「妹ちゃん…ごめんね」

 

 

 

 

 

 

肩に置かれた手は温かく…

 

その2人は前へ出た。

 

 

「ウチのお姉ちゃん「妹ちゃんに…何してくれてんだぁあ!!!」」

 

 

不意をつかれた港湾は矢矧の蹴りで吹き飛ばされる。

 

 

「大丈夫?!ごめんね」

 

 

大丈夫?と手を差し出す阿賀野。

「…あなた達……今…今!!」

 

 

照れ臭そうに彼女達は言う。

 

「…その……守ってくれて…ありがとう…お姉ちゃん」

 

「言い訳にはならないだろうけど…妹ちゃんって呼んだら…何もかもが無かったことになりそうで怖かったんだ」

 

「でもね?能代姉にね?もう1人の姉が居るなんて幸せだろ!って怒られちゃった…そんな事で私は変わらないって」

 

 

「「ごめんなさい」」

 

 

「………」

能代はぽろぽろと温かいものを流した。

決して姉と呼ばれたくて…妹と呼ばれたくて…その為に助けに来た訳ではない。

でも…いつか、いつの日かそうなりたいと思った。

 

 

 

 

 

 

「こんな…我儘な奴等だけど…一緒に戦ってくれる?」

 

 

 

「我儘?姉妹のの甘えは可愛いものよ!!」

2人のの手を取って彼女は立ち上がった。

 

 

「行くよ!!」

阿賀野が言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い…提督…力を…貸して」

 

 

「この困難を打ち勝って」

阿賀野が

 

「大切なものを守って」

能代が

 

「笑顔で居られるくらいの」

矢矧が

 

 

 

 

3人が叫ぶ。

「「「ありったけの力を貸して!!」」」

 

 

 

 

 

阿賀野 改

 

 

能代 改ニ

 

 

矢矧 改ニ

 

 

 

 

 

 

 

『………ッ』

たかだか1人増えただけ。

2人相手でも余裕だった。

 

そこに私の拳を受けるのですらいっぱいいっぱいのザコが増えただけなのに…?

 

 

 

 

 

 

なのに…何故私が押されている!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動きが…

次にどう動けばいいか分かる。

 

 

言葉を交わさずとも…

 

能代が一気に距離を詰める。

 

阿賀野が飛び上がって上から蹴り下ろす。

 

矢矧が超低姿勢から脚を掬いにかかる。

 

 

他の誰かが攻撃されかけた瞬間に他の誰かが速攻をかける。

 

『この……』

港湾が阿賀野を狙いに掛かる。

能代が振り上げた腕を蹴り飛ばす。

 

『この…………ッ!?」

矢矧が脚を掬いバランスを崩させる。

 

そこに阿賀野の蹴り落としが命中する。

 

『ぐぅぅう』

 

 

 

 

 

 

「行くよ!妹ちゃん達ッ!!」

阿賀野が叫ぶ。

 

「…ッ!!うん!()()()()()()()()()()()()()()()

能代が叫ぶ。

 

「おっけー!お姉ちゃん達ッ!!!」

矢矧が答えた!

 

 

 

「「「はぁぁあああああッ!!」」」

 

3人の蹴りが港湾を捉えた!

 

ドゴッ!!!

港湾が後ろへ吹き飛ぶ!

 

 

 

 

 

 

そして…港湾が体勢を立て直した瞬間に勝負は決した。

いや…3人が手を取り合った瞬間に港湾の負けは決まっていたのだ。

 

 

『––––ッ!!』

 

 

 

3人が構える。

 

別に誰かが号令をかけた訳ではない。

でも…姉妹だから分かるんだ!!

 

 

 

「行くよ!!3人一斉射ッ!!!」

 

 

「「「てぇぇえええええ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

「おっかえり〜」

 

疲れ果てた3人を迎えたのは由良と鬼怒と救達であった。

 

「鬼怒ッ!由良ッ!!」

能代は彼女達に飛びついた。

「ごめんね…ありがとうッ!ありがとう!!」

 

2人もまた、2人で苦戦を強いられた中を切り抜けて来た。

そんな傷だらけの彼女達は笑いながら言う。

 

「良かったじゃん…能代」

 

 

 

 

 

「その感じだと…良くなったみたいだな?3人の関係は?」

 

 

 

「うん!提督…わかってたんだね?いじわる…」

「でも…力を貸してくれてありがとう」

 

 

「ねっ?由良の提督さん!体が痛いの…お姫様抱っこして…ほしいな」

 

「え?」

 

「あーー!私もー」

 

「ずる!私も」

ぞろぞろと救に寄り付く彼女達。

 

「はいはい!入渠終わったら間宮ご馳走するから早く行く!!」

 

 

「はーーーい!間宮ッ!まーみや!テートクさーん!早く終わったら…あーんしてね?」

その言葉にいの一番に走って行く鬼怒。

 

「あ!待て!ずるいぞ!!」

追いかける面々。

 

 

「わ、わたしもー!」

と追いかける能代。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時…能代は聞こえた。

バッと振り向くとそこには…自分と同じ姿をした艦娘が居た。

 

正確には…浮かんでいた。

 

 

その能代は…記憶で見た能代だった。

 

 

彼女は言う。

『可愛いけど…おバカな姉妹だから…よろしくね』

 

「……任せて?お姉ちゃん」

 

『……え!?』

 

「私は後から生まれた能代だから…矢矧のお姉ちゃんではあるけど同じ能代としては妹…ってことで♪」

 

『……プッ…あははは…面白いわねあなた』

『分かったわ妹ちゃん(能代ちゃん)…。お願いね?』

 

 

「うん!」

と、返事した時にビュウッと風が吹いた。

一瞬閉じた目を開けた時には…彼女は居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹ちゃんー!早く行くよー!!」

 

 

 

「あ…今行くー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

「…お姉ちゃん♪妹ちゃん♪…………………お姉ちゃん……」

 

 

 

 

『……なあに?』

何故かしれっと居る能代(魂)

 

 

「ねえ!?あの感動的な別れは?」

 

「…妹ちゃん!?… 何で居るの!?」

「能代姉!?」

 

『ずっと居たよ!?提督さんの中に…』

 

 

「「「ええええ!?!?」」」

 

『酒匂が来たら…戸惑うかなあ?』

 

「いやいや!そう言う問題じゃなくて!!」

 

 

 

 

 

 

「提督!?提督は…コレ…知ってたの!?」

能代が救に詰め寄る。

 

「……自由になったのねえ…能代ちゃん…」

 

『はーい!』

 

『先輩も居るよー!』

能代と先輩提督が答える。

 

「あ、先輩は呼んでないです」

 

『…!?!?』

 

 

「てかどうしよう…能代の呼び分け……」

救が悩んでいる。

 

「だからそう言う問題でも…あるけどないよ!」

 

 

『あなた達で解決する問題だったから黙ってたのよ…』

『ふふっ…まあまあ…まだまだ心配…なのよ〜!』

『仲良く居ましょうねー!』

 

 

 

「「「………はあ」」」

ため息を吐く3人、笑う能代。

 

「ま…それもいいか」

 

「そうねえ」

 

「早く酒匂呼んでね!提督!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日は幽霊が出たとして叫び声が凄まじかったらしい。

 

 

 

 

 

 

鎮守府に素敵な姉妹が増えました(笑)

 

 





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